もし炭治郎のところにしのぶさんが来てたなら? 作:卵かけ太郎
胡蝶しのぶは頭を抱えていた…
「……」
「……」
「あらあら」
信じて送り出した姉が、半分羽織の男とボロボロの服を着る幼女を連れて帰って来たのである。
「姉さん…その子はどうしたの?」
「そうね、説明すると………」
昨日言った通り、朝から義勇と共に街に出て来ていた。
「……今日は何をしに街に来たんだ?」
珍しく自分から話を始める。
「ちょっと呉服屋さんに、頼んでいたものを取りに行くの。」
「……わかった。」
そのまま二人で大通りの川の近くにある呉服屋に行き、用事を済ませて出て来たところで
「おら…さっさと歩かねぇかぁ!!」
店から少し離れた橋の上で、縄で縛られた少女が引っ張られている。カナエは気がつくと少女の近くまで歩いていき、後を追うように義勇もついて行く。
「あの、その子は何故縛られているのでしょうか?罪人か何かなのかしら?」
「見てわからねぇか?汚ねぇからだよ、それに逃げるかもしれねぇからな。」
「……心根はお前の方が汚そうだな。」
「あ“ぁなんか言ったかテメェ!!」
「……?」
「無視してんじゃねぇよ!!」
義勇の挑発?により意識が義勇に向く。
「あなた名前はなんと言うの?」
「……?」
「あっテメェ勝手に話してんじゃねぇ」
男が少女と話し始めたカナエに怒り、掴み掛かろうとする。
ガシッ
男の手がカナエに触れる前に男の腕を掴み上げる。
「……そいつに触れるな。」
「なんなんだよ、お前!!」
腕を掴まれ止められて、ついに男は激昂して少女の縄を離して殴りかかる。
「あらあら、危ないからこっちに来ましょうねー」
「……」
カナエは少女を連れ数歩下がる。
ブン!ブン!!
男の攻撃を避けて行く。
「くそ!!当たれよ!」
拳を避けて腰を掴む。
「なっ!!」
「……泳げるか?」
「はぁ?うわああああ」
ブン!!!
ドポーン
川に投げ捨てる。
「……行くぞ。」
「いいのかしら?」
「……正当防衛だ。」
「……」
「あなたも行くわよ。」
少女の手を引き歩いて行く。
「………」
連れて帰ってきた少女をお風呂に入れ、替えの着物を着せたところで
「どうするのよこの子…」
「まぁそれは、おいおい考えましょうか。」
「じゃあこの子…えっと名前はなんと言うの?」
「そうね…カナヲというわ。」
「もしかして今考えたの?」
「えぇでもいい名前でしょ。」
「まぁそうだけど……」
少女の名前も決まり、カナエから
「ところで炭治郎くんは、どうしたのかしら?」
「炭治郎なら、実家で行われていた、神楽の準備で焚火用の薪を集めているわ。」
「神楽?なんで急に?」
「昨日柔軟してるときに、気が付いたんだけど、炭治郎の呼吸方法が普通の人と違うの。全集中の呼吸を会得している隊士と、とてもよく似ているの。」
「それで、原因がその神楽にあると思ったのね。その神楽、私と冨岡くんも見ていいかしら?」
「えぇむしろお願いしたいわ。何の呼吸なのかも判断したいし。」
「冨岡くんもいいかしら?」
「……あぁ構わない。」
「カナヲも一緒に見ようね〜」
「……」
カナエに話しかけられるが反応せずじっと見つめるだけである…
「……お前はもっと話せ。」
「「(えっ冨岡くん(さん)が言う?)」」
「…無理に話せとは言わないが、少しずつでいい意思表示ぐらいはできるようになれ。出会って間もないが、ここにいる人間はそれを望んでいる…」
「……」コクン
無口同士だからか、ここにきてから、初めて意思表示をした。
「あぁー冨岡くんずるいわ。」
「……?(ずるい?何がだ?)」
「あーあー姉さんへそ曲げると長いんだから、冨岡さんあと任せますね。カナヲも行くわよ。」
「……」
初めて意思疏通ができた半分羽織を切り捨てて早々にしのぶについていく。
モウワタシダッテ、カナヲカマイタカッタノニ!!
……?
モウチャントキイテルノ!!
中庭
カナヲを連れて、炭治郎が準備をしている中庭に移動すると、薪を高く積み上げる炭治郎の姿が見えた。
「炭治郎、準備はどうかしら?」
「あっしのぶさん。これで火を起こせば始められます。あれそちらの女の子は?」
一緒に連れてきたカナヲに気がつく。
「この子は今日姉さんと冨岡さんが連れてきた女の子で、名前はカナヲって言うわ。」
「へぇーそうなんですか…俺は竈門炭治郎、よろしくカナヲ!!」
「……」
「あれ?」
「この子、話すのが苦手みたいなのよ。」
「そうですか。ならカナヲ、これから俺が神楽を舞うからよければ見てくれ。うちのヒノカミ神楽には無病息災の祈りが込められているんだ。だからこれからは、健康で健やかにカナヲが自分の心に素直になっていけるようにきっとなる。だから見てくれ。」
「……」コクン
「(もう…炭治郎は天然のたらしよね…)すーはー、炭治郎早く準備終わらせるわよ。」
夜になり
いつもは暗く、月明かりと星に照らされる中庭は、煌々と燃え上がる炎により明るく照らされている。
その傍らで、 『ドン! シャン!! ドドン!!! ドン!!!』 と拍子を刻みながら一人の少年が舞う。
見ている全員が息を呑む。まだまだ拙さを感じさせるその動きながら、炭治郎が繰り出す一つ一つの型は、何処か、各々が使用する型に名残のような物を感じさせる。
しかし見ていた全員が共通して一番思った物は、炎でも水でも風でも雷でも岩でもなく『日輪』であった。
「この呼吸とあの型は一体…」
「そうね、今まで見てきたどの呼吸とも違うわ。」
「…あぁ俺も見たことがない呼吸と型だな。実際に日輪刀で振れば威力も高そうだ。」
此処で異変が起きる。炭治郎が十二個目の型を披露したところで動きが止まったのである。
「はぁはぁはぁ…」
「炭治郎!どうしたの!!」
心配そうに駆け寄るしのぶ
「はぁはぁ、すいません。やっぱりまだ正しく呼吸が出来てないみたいで…何回も続けて踊れないんですよ…」
「確か、あの舞を朝まで連続で踊り続けるんですよね?」
「はい、そうです…父曰く呼吸を意識して正しい呼吸で踊れば雪が降る中でも休まず踊ることができるそうです。」
「(あの呼吸と型を朝まで続けるなんて…)やっぱり全集中の呼吸であることは間違いないみたいだけど、呼吸の仕方が正しくないから、肺に負担が掛かっているのかもしれないわね……」
「すごいわ!!炭治郎くん、今の舞とても凄かったわ。ねっ冨岡くん。」
「……あぁそうだな、もっと呼吸の精度を高めればその呼吸と型で鬼と戦うことも可能だろう。」
「えっ!そうなんですか!!」
「ちょっと、冨岡さんまだこの呼吸で戦えるかもわからないのに無責任なこと言わないでください!!」
「まぁまぁしのぶ落ち着いて。もしかしたら御館様なら何かご存知かもしれないから、もう少し調べてから判断すればいいじゃない。」
「まぁそうだけど……(私の初めての弟子なのに…)」
「もうむくれないの。」
「もう姉さん!!むくれてないわよ!!!」
少し離れて見ていたカナヲに近づき
「カナヲ、神楽どうだった?」
「……」
「まぁそんないきなりは、変われないよな…これからよろしくカナヲ。」
「……」コクン
カナヲの扱いにすごく悩んでます