日の呼吸を使う武士、月の呼吸を使う武士が幻想入り 作:take8025
私は継国巌勝という、継国縁壱を双子の弟に持つ者だ。
私には無かったが、縁壱は生まれつき額に不気味な痣があり、継国家からは忌み子として、生まれてすぐに父上から殺されそうになった。
母上の猛反発で、[十歳になれば、寺へ出家させ僧にさせる]を条件に縁壱は殺されずに済んだ。
だが、私と縁壱との生活環境は違った。
衣服から食事からと...あらゆるものに、徹底的に差別化されていた。
そして生まれた時、双子というのはあまり良く思われずな世の中であった、それは何故か?跡継ぎの問題だ。
縁壱と遊ぶと、父上からよく殴れたものだ。
忌み子というのは分かっていた。
だが、忌み子と言われていよう実の弟だ、弟と共に遊んで何が悪い?
殴られようとも構わず、私は縁壱と遊んだ。
私は弟の縁壱が、三畳の部屋に閉じ置かれていたほど冷遇されていた事や、親離れ出来ない為か、常日頃から母の左脇にしがみついていた事を見てきた事から憐れみの感情を抱き、自分の物をあげては父上に知られてしまう、だから私は手作りの笛をあげた。
そして母上は旭の耳飾りを縁壱に与えた。
「頂いたこの笛を兄上と思い、どれだけ離れていても挫けず、日々精進致します」
話す事が出来ないと思っていた縁壱は、いきなり喋りだし、そしてずば抜けた剣の才能を発揮して私の師範を打ち倒したのだ。
私は今まで見てきた弟とはあまりに違い過ぎる才覚と言動に内心では不快感を隠しきれなかった。
弟である縁壱が、兄である私よりも剣技の才能に優れている事が周囲に知られ、継国家の跡継ぎは弟になり、寺にやられるのは私になるのでは?と考えを抱き、絶望する程であった。
だがしかし、母上が亡くなられた後、縁壱は寺へ行かず失踪した。
遺された母上の日記を拝見していると、実は縁壱が母にしがみついていたのは甘えではなく、病に蝕まれて身体が不自由な母上を支えていた事と知り、憐憫は嫌悪に変わっていった。
皮肉にも忽然と縁壱が姿を消した事で家の跡継ぎ問題は無事に解決し、私の中にある縁壱への憎悪や嫉妬は一旦は治まった。
十数年ほど緩やかな時間が流れる中で私は妻を娶り、子供を設けた。
そんな折、鬼狩りとして活躍していた縁壱によって鬼から救われる形で私は縁壱と再会した。
十数年の時を経て、優れた剣技と人格を持つ人物となって兄である私の前に現れた弟の縁壱に対し、私の心にはかつての嫉妬と憎悪の炎が再び燃え上がった。
その強さと剣技を手に入れようと...武将としての地位、今までの平穏な生活と妻子を全て捨て、私は縁壱と同じく鬼狩りの道へと足を踏み入れる。
鬼殺隊に入り、縁壱の元で剣と全集中の呼吸を学び、縁壱と同じ痣を発現するまでに至った。
そして私は、日の呼吸の派生である月の呼吸を習得した。
所詮は日の呼吸の派生である、故に本家に力は及ばない。
そればかりか、痣を発現させた者は二十五歳になる頃には死亡するという副作用までもが見つかってしまった。
武将と家族を捨て、鬼狩りとなった私が知ったのは、もはや縁壱を越えるどころか、その為の鍛錬の時間すら残されていないという現実であった。
「ならば、鬼になれば良いではないか」
鬼狩りの剣士が使う全集中の呼吸に興味を持たれておられた、無惨様によって、そう唆される。
無限の時の中で修練を積めば、いずれは弟の縁壱を超えられる。
全てのしがらみから解放される...。
そうだ、鬼になれば縁壱を超える武士になれる...。
次男であれば我慢出来なかったが、流石の長男でも我慢出来なかった。
そう考えた私は、無惨様の血によって鬼となり、鬼狩りの剣士から新たな無惨様の部下「黒死牟」へと生まれ変わったのだ。
強い者程、適正に時間が掛かる。
私は三日程掛かった。
そして、鬼狩りの頭である当時の産屋敷家当主を殺害、鬼狩りを裏切り、縁壱とも袂を完全に分かつ事となる。
それから60年後、縁壱は鬼として、上弦の壱として君臨する黒死牟となった私の目の前に現れたのだ。
信じられなかった、痣持ちの者は例外なく二十五前後と若くして死ぬ。
縁壱は生まれながら痣持ちであったから、他の者と同じく、死んでいると思っていた...だが、痣者でありながらも、八十を超え年老いた姿となって表れた弟は涙を流しながら私に言った。
「お労しや、兄上」
自分よりも遥かに老いた姿の弟にそう言われた私は、動揺を覚えながらも互いに剣を構え、そこで再び縁壱という剣士の底知れない強さを思い知る事となった。
鬼よりも弱い人間、そして老骨である筈の弟は、あっさりと私を死の淵へと追い詰めた。
焦りと嫉妬に身を焼かれながら、あと一撃を受ければ確実に死ぬと実感する所まで、私は縁壱に追いつめられた。
しかし、その前に縁壱は寿命を迎え、討ち込みの構えを取り、私と相対したその姿のまま絶命した。
今までの強い憎しみを込め、逝った弟の亡骸を斬り捨てた。
が、その死体から転がり落ちた物があった。
それは私が幼い頃、縁壱にあげた手作りの笛であった。
その事を知った私は双眸から涙を流した。
家も妻子も人間である事さえも捨て去り、なおも強さを求め続けた私は、結局は何一つ、そして強さすらも手に入れる事、そして残す事は出来なかった。
縁壱は神々に寵愛を一心に受けて生きた、お前が妬ましく、そして憎い。
私は本当の大馬鹿者だ。
「私は一体何の為に生まれてきたのだ...教えてくれ...縁壱」
大正の鬼殺隊の柱達に倒された私は、灰となって消えていきながらも、その懐にはかつて、縁壱に渡した笛を持っていた。
無惨様(パワハラおじさん(男だったり女になったり性別がよく分からない))や童磨(上弦の弐(女しか食わない糞野郎))・猗窩座(上弦の参(ただの戦闘バカ))等と言った鬼達と同じく、私は地獄の底へ落ちるだろう。
我ながら、不幸な人生を過ごし、生きたものだな。
天国へ行きたいと思った事は無いが、地獄へも行きたいと思った事は無い。
だが私は地獄へ行く事は決定事項だろう、多くの命を奪ってきたのだからな。
せめて縁壱だけは...天国に居てほしいものだ、アイツが...私なんかよりも辛き人生を過ごしたのだ、せめてもの、兄の願いだ...。
?...何故だ、ここは地獄ではないのか?風を感じる...。
巌勝は目を開き、辺りを見渡す。
巌勝「(ここはどこだ?どこの竹林だ? それに何だ?妙に視覚に違和感がある...身体にも違和感が...まさか!?)」
巌勝は腰にある愛刀を抜き、確認する。
巌勝「(確か鬼であった時、刀には目玉があった!だが現に刀に目玉が無い...という事はまさか...人間になったのか?私は再び...いや、まさかな)」
巌勝は両手で自分の顔をペタペタと触ってもう一度確認する。
巌勝「(うんやっぱり人間になってる)」
巌勝は驚きを隠せなかった、地獄に行く筈の自分が何故かこうして生きている訳であるから。
試しに巌勝は自分の頬をつねる、殴るを試す。
巌勝「痛い...」ヒリヒリヒリッ...
鬼であった時、この程度の痛みは一瞬で消えていたのに、何故か痛みは引かない、これで確信した。
鬼としての黒死牟ではなく、人としての継国巌勝だと。
巌勝「(人として生き返ったのであれば、私はおそらく二十五前後で死ぬ事になる、どうするか...もう一度、鬼になるか...いや、私の弟は八十過ぎても生きていたのだ...決めたぞ、私は人として生き、人として死ぬ、そうそう早く死んでたまるものか)」
鬼として生きる事を辞め、人として生きる事を決めた巌勝。
長男だから、二度目の人生では我慢できたな?偉いぞ巌勝。
巌勝「(しかしこの竹林...何となくだが範囲が桁違いに広い、無事に出られるか...人として生き返ったのに早速不安だぞ)...仕方ない、動くか」
巌勝は自分の勘を頼りに○○○竹林を動き回る。
動く事20分、巌勝は無事に○○○竹林はまだ出られなかったものの、人が歩く道を見つけ、その道を歩き続ける。
巌勝「寒いな...鬼の時では感じなかった肌感覚だ」
巌勝は日が沈む前に○○○竹林を脱出し、ここがどこなのか分からぬまま、日の沈む方向へ雪の積もる地を走り出した。
巌勝「(暫く走り続けているが疲れを感じない...鬼であった時の体力は持っているのか?私は...だとすれば、身体の治る速度も鬼並みだと良いがな)」
人里
寺子屋
縁壱「今日の授業はここまで、皆、気を付けて帰るんだぞ、風邪をひかないように」
「先生さよなら!」
「後で◯◯の家で集合な!」
「分かった!」
「ん、おかのした」
◯◯「(俺ん家集合で)良いよ!(早く俺ん家に)来いよ!」
「ゴメンこの後、空手あるんだ」
「まだあの空手やってんの?」
「うん」
「あのメチャクチャな課題を押し付けてきて出来なかったら罰を与えられるあの空手を?」
「うん、キツいけど何だかんだ言ってやりがいあるよ」
「しょうがないな...頑張れよ」
「うん!」
子供達が教室から居なくなった事を確認して、片付けし、慧音の元へ向かう。
縁壱「慧音殿、授業は終わった」
慧音「ご苦労だった、縁壱殿、お茶でも飲んで一息つかないか?私も丁度、試験の採点が終わったからな」
縁壱「そうしよう、お茶の用意をしてくる」
・・・
・・
・
慧音「縁壱殿が自警団に入ってくれて活躍してくれてから人里に被害という被害が一件も無いというのは凄いものだ」
縁壱「私はそう大した者ではないぞ?慧音殿、長い長い、人の歴史の、ほんの一欠片に過ぎない、私の才覚を上回る者が今この瞬間にも産声を上げている事だろう」
慧音「いやいや、そこまで謙遜しなくて良い、事実を言ったまでだ」
縁壱「そうか...言われると少し恥ずかしいものだ///」照れ
慧音「今日は仕事は無いのだろう?それに寺子屋も明後日まで休みだしな「今日から明後日までは道場も警護も休みだ」なら、妹紅と食べに行くが...良かったらどうだ?」
縁壱「そうだな...今日は気分的に食べに行こうと思っていた、ご一緒させてもらおう」
慧音「!よし!そうなれば急いで準備だ!」
10分後に二人は妹紅と合流し、慧音の行き付けの居酒屋へ入る。
最初は三人仲良くビールから飲み始め、お次に焼酎、ワイン、そして日本酒と、呑んでいく。
飲み始めて数時間、先に酔って呂律が回らなくなったのは妹紅だった、完全に酔っ払ったというよりは幾らか理性が保っている状態で、受け答えは出来るようだ。
慧音はというと、妹紅と同じ様に飲んではいなく、ゆっくりと飲んでおり、差程酔っては居ない様に見受けられる。
縁壱はというと、妹紅よりかなりハイペースで飲んでいたにも関わらず、酔っていない。
酒の耐性がかなり高い事を縁壱は自覚していない。
縁壱「飲み過ぎは身体に毒だ、もう止めた方が良いのではないのだろうか?」
慧音「大丈夫、私は半獣だ、お酒の耐性はある程度ついているさ、縁壱殿には、未だに勝てないがな」笑
縁壱「いやいや、私はそこまで酒に強くはない」無自覚
妹紅「ならもっろろめー!(翻訳:ならもっと飲め)」瓶片手に持ち
「「......」」
縁壱「...今日はお開きにするか」
慧音「そうしよう、妹紅はウチで泊まらせるから大丈夫だ」
縁壱「分かった、会計を済ませてくる」
会計を済ませ、店外へ出た三人は解散した。
縁壱「(酒の酔い醒ましには丁度良い...)帰るか」
ーーー
巌勝「(ようやく竹林から出られたな...どれだけ広いのだこの竹林は...鬼の気配がないし、野宿で良さそうだ)」
巌勝は野宿し、日が登る前に目を覚まし、移動を開始した。
ーーー
人里
縁壱も日が登る前に起きて、道場に入って一人で鍛練をしていた。
縁壱「よし、とりあえずここまでとするか...」
鍛練を終えた縁壱は片付けをし、汗を流して道場を後にする。
縁壱が人里の繁華街に出た頃には、村人達が既に活動を開始していた為に賑わっている。
グルッと一周、人里を回って何も異常も無いと分かった縁壱は慧音の所へ向かった。
寺子屋
縁壱「慧音殿、居られるか?」
慧音「縁壱殿、おはよう、今日は休みだぞ?」
縁壱「朝の鍛練を終えて何もする事が無くてな...暇であったから来たという感じだ」
慧音「そうだったか..妹紅も居るぞ、まだ寝てるけど」
ガラッ
妹紅「おはよう...眠い...」
慧音「やっと起きたか、だらしないぞ妹紅、顔を洗ってくるんだ「良いよ別に」縁壱殿が目の前に居るがそれでもか?」
妹紅「え?」
縁壱「おはよう妹紅殿、朝は弱いのか?」
妹紅は、自分のだらしない姿(シャツに下着以外は何も着てない)を縁壱に見られて恥ずかしくなったのか、急ぎ部屋から飛び出した。
縁壱「...」
慧音「まぁ、気にする事は無い」
縁壱「気にはしない、私もああ言った腑抜けな所もある」
慧音「縁壱殿が?意外だな...」
縁壱「私も人間だ、そういった面もある、これから甘い物でも食いに行こうと思うのだが...どうだ?行かないか?金銭に関しては気にしなくて良い、私が出す」
慧音「良いのか?いや、奢ってもらう訳にはいかないが...」
縁壱「気にするな、女にも出させるのは男として何か許せなくてな...」
妹紅「見苦しいものを見せて悪かった縁壱!」
縁壱「いや、私は別に気にしない」
慧音「妹紅、縁壱殿が私達を甘味処へ誘ってくれたんだ、一緒に行くだろう?」
妹紅「!もちろん!(シャツにパンツの格好じゃまだ縁壱は興奮しないか...)」
縁壱「ならば決まりだ、善は急げ、だ」
縁壱達は里で人気の甘味処へ向かった。
ーーー
この分からない地で目覚めて暫く立つ、今は鬼であった時の様に睡眠、そして休息を必要としない訳ではない、私は人間だ。
休息を必要とすれば睡眠を必要とする、そして食欲もだ。
今、私が欲するのは食事だ、まだ目が覚めて何も口にしていない...。
腹が減ったのだ、そのせいか、物凄く胃が痛い、そして寒い。
昔から腹が減ると胃が痛む事がある。
目にした事が無い程、綺麗な川の水をすくって飲み、腹減りを誤魔化しているのだ。
人間、水さえあれば何とかなると聞いた事があるが、これは相当に来るものがある...。
ん?
あそこに見えるのは...村か?
見間違いでなければあれは人が住む村に違いない。
どうやら私は何とか人のいる場所に辿り着いたようだ。
流石に全力で走る程の体力は無いが、行ってみせる。
何とか無事に村へ入った。
この村は守りがある様だ、という事は敵がいるという事か...鬼か?
見た所、かなり平和な村という事は分かる、被害は他と比べて無いという事か。
それと少し疑問に思う事がある、子供達が[縁壱兄さん]と言っていたのを耳に挟んだが...まさか弟の縁壱も居るのか?
...これはかなり気になってしまう、探してみよう。
ーーー
人里
甘味処
縁壱「...」
慧音「?どうしたのだ?縁壱殿」
縁壱「いや...何か、懐かしい気配を感じたのでな...」敏感
妹紅「見てくれば良いんじゃないか?」
縁壱「そうだな...すまぬが、少し席を外させてもらう、時間は掛けない」
慧音「分かった、ここで妹紅と待っている、行って来ると良い」
縁壱「すまぬ」
縁壱は甘味処から一旦抜け出して気配を感じた所へ向かう。
甘味処を出てすぐ、縁壱は見つけた。
縁壱「! 兄上...!?」
ーーー
巌勝「ふむ...やはり縁壱は居なi「兄上..!?」む?」
巌勝は呼ばれた方向へ顔を向け、驚愕する。
巌勝「縁壱...縁壱なのか!?」
巌勝は弟の縁壱と再会した。
ーーー
縁壱「兄上、今度は人間として[また]幻想入りされたのですね、またお会い出来て嬉しいです」
巌勝「幻想入り?また?どういう事だ?」
縁壱「覚えてなられないのですか?兄上は鬼の姿で幻想入りされたのですよ、少し前に」
巌勝「私がその幻想入り?をしたのは一日程前だぞ?」
縁壱「そうであられましたか...(ではあの鬼の兄上は別の世界の兄上だったのか?)」
巌勝「すまぬが縁壱「はい?」幻想入りしてからまだ何も口にしていないのだ、何か食える物は無いか?腹が減ってな...」
縁壱「でしたら兄上、甘味処へ、私は知り合いと来ていたので是非」
巌勝「すまん、恩に着る」
縁壱「お気になさらず」
継国兄弟は甘味処へ向かう。
ーーー
甘味処
妹紅「縁壱遅いな」
慧音「そろそろ戻ってくるんじゃないのか?ほら、噂をすれば何とやら、だ」
縁壱「慧音殿、妹紅殿、席を外してすまなかった」
慧音「気にしなくて良いぞ縁壱殿、後ろの方は誰だ?」
縁壱「紹介する、私の兄上の」
巌勝「お初お目に掛かる、縁壱の兄である継国巌勝だ、縁壱が世話になっている」
慧音「ご丁寧に、この里の警護と教師をやっている上白沢慧音という者です」
妹紅「藤原妹紅、宜しく」
縁壱「兄上も一緒になるが良いだろうか?」
慧音「全然構わない、むしろ人数が多い方が楽しめるだろう?」
妹紅「私も構わないよ」
巌勝「ありがたい、ご一緒させてもらう」
慧音「(これが縁壱殿が言っていた、縁壱殿の兄上か...かなりの美形の男じゃないか、この里でもかなりの(女性の)人気者になりそうだ)」
妹紅「(縁壱と同じ位にカッコいい男じゃないか...)」
巌勝「?私に何か?」
「「!」」
慧音「いやいや!別に!縁壱殿と雰囲気が似ているな、と思ってな!」
妹紅「見た目も縁壱とそっくりだな、と」
縁壱「兄上とは双子兄弟であったから、似ているやもしれんな」
慧音「巌勝殿、縁壱殿から話は伺った事がある、大変苦労な生を過ごしたのだな...」
巌勝「確かに私も、そして縁壱も相当な人生を歩んできた、それがあったからこそ、今があると私は思う、私は縁壱と同じく第二の人生が始まる、前世ではやりたくても出来なかった事を一杯しようと思っている」
妹紅「幻想郷は全てを受け入れる、目一杯楽しんでくれ」
巌勝「感謝する」
縁壱「兄上、団子が」
巌勝「うむ 団子を食べたのは何時振りだろうか...数百年振りだ...これ程までに、団子は旨かったか?」
縁壱「それはここの甘味処のイチオシです、私の大好物でもありますよ」
巌勝「おかわりを貰おう」
縁壱「今すぐ出来る、私からの祝いです、何でも食べてご満足されてください」
甘味処で腹を満たした一同は、巌勝に人里を回りながら幻想郷を出来るだけ事細かく説明した。
鬼は居るが人を食らわず、妖怪は存在し、人を食らう事もあると。
巌勝は妖怪に驚きを隠せなかった様だ、無理もない。
縁壱「最近は妖怪の襲撃はありません兄上、私が全て片付けています」
巌勝「そうか、私も次は加勢する」
妹紅「気が付けばもう夕方か...」
慧音「巌勝殿はどこに住むのか?」
妹紅「嫌じゃないなら私の所でも良いよ」笑
巌勝「うむ...ご厚意は感謝する、が、暫くは縁壱の所で世話になる...縁壱、良いか?」
縁壱「構いません、兄上」
慧音「夕方だ、それに晩御飯はどうする?」
妹紅「私は帰ろうかな、今日の夜にアイツの所へ行くからさ」
慧音「そうか、気を付けて帰るんだぞ」
妹紅「もっちろん」
妹紅は縁壱達と別れ、帰路についた。
慧音「妹紅も帰ったし、私も帰るかな」
縁壱「近くまで送ろう」
慧音「いや大丈夫だ、気持ちだけでもありがたく受け取っておく、では」
縁壱「気を付けて」
慧音も帰宅した。
縁壱「二人も帰られたし、今日の晩御飯の材料の買い出しを急ぎましょう兄上、兄上は何が食べたいですか?」
巌勝「そうだな...お手軽に鍋はどうだろうか?」
縁壱「鍋ですか...良いですね、では、もつ鍋にしましょう、食べた後で呑みましょう」
巌勝「そうだな」
縁壱と巌勝は人里の中にある八百屋と肉屋、そして酒屋に立ち寄り材料と酒を買い出して帰宅した。
縁壱「兄上、申し訳ないのですが、風呂掃除をお願い出来ますか?」
巌勝「あぁ、世話になる身だ、これ位の事はやらせてもらおう」
帰ってすぐに野菜を洗い、カットして肉と共に鍋に入れ出汁を注ぎ、囲炉裏の火で煮込む。
巌勝「風呂掃除、終わったぞ・・・その鍋は大き過ぎないか?」
縁壱「この鍋は大人数の時に使用する鍋ですね、兄上が沢山食べられるだろうと思い、こちらの鍋を使う事にしました、こちらも終わりました、後は煮込むだけです」
巌勝「うむ、良い匂いだ」
縁壱「味噌を使った もつ鍋です、美味しいですよ」
巌勝「匂いからして大変美味だろう」
縁壱は鍋の蓋を開け、箸で軽く具材をつつく。
縁壱「...出来ました、兄上、お好きにお取り下さい」
巌勝「・・・・・・いただきます うむ、旨い...!」
縁壱「お口に合い、何よりです、では私も・・・・・・・!、我ながら良い出来です」
巌勝「これ程旨い物を食べたのは何百年振りか...あぁ、旨い...」
縁壱「まだまだ沢山あります、遠慮なさられず沢山お食べ下さい」
・・・・
・・・
・・
・
縁壱が用意して、ギッシリと詰まっていた具材は一つ残さず、縁壱と巌勝の腹の中に見事入り、出汁も うどん と米にかけて完食した。
巌勝「我ながらよく食べたものだ...」
縁壱「小休止を挟んだ後は...」
縁壱は巌勝に一升瓶を見せる。
巌勝「あぁ、そうしよう」ニヤリ
・・・
・・
・
巌勝「縁壱は酒にここまで強かったか?既にかなりの数を空けておるが...」
縁壱「いえ、私はそこまで強くはありません、今日は気付けばここまで空けておりました、兄上は呑まれますか?まだありますよ」
巌勝「いや、これ以上呑めば二日酔いに悩まされるだろう、ここで辞めておく」
縁壱「そうですか...では、先に入浴をお済ませ下さい、布団を用意しておきます」
巌勝「すまぬ、先に湯をもらうぞ」
縁壱「ごゆっくり」
ーーー
巌勝「(まだ詳しく知らないこの幻想郷で、独り孤独で生きるかと思っていたが、数百年振りに縁壱と再会出来たのは大変嬉しかったな、だが...数百年前に抱いていた縁壱に対する感情も無くなっていた...縁壱、本当に済まなかった、鬼となりお前を裏切っても、まだ私を兄と慕ってくれた...私は誓う、もう二度と、お前を裏切ったりはしない)」
・・・
・・
・
縁壱「上がられましたか、兄上」
巌勝「あぁ、丁度良い湯加減だった」
縁壱「こちらです」
縁壱は巌勝を部屋へ案内する。
縁壱「申し訳ありません兄上、今は来客用の部屋をお好きにお使い下さい、他の部屋が今は荷物で一杯なもので...」
巌勝「いや、これでも充分過ぎる、住み処を早めに見つけるとしよう」
縁壱「何かあれば言って下さい「あぁ」では、お休みなさい」
巌勝「あぁ、おやすみ」
縁壱は一階へ降り、風呂場へ向かった。
巌勝「(寝るか...)」
巌勝、就寝。
その20分後に縁壱も就寝。
翌日
日が昇る前から庭で木刀を使い、素振りをする者が二つ。
縁壱と巌勝だ。
縁壱は日課であったが、巌勝も今日からする事となった。
鬼となっても鍛練を欠かさず行ってきたにも関わらず、縁壱の日課とする素振りに疲れの顔を出す巌勝。
縁壱「ここまでとし、朝食にしましょう」
巌勝「あ、あぁ、そうしよう(縁壱の体力は相変わらずの化け物か...)」
朝食を食べた頃には既に日は昇っており、里の者達も活動を始めた。
縁壱は巌勝に幻想郷をもう少し知ってもらおうと考え、一先ずは慧音の居る寺子屋へ。
慧音「私はこれから私用があってだな...すまない」
縁壱「そうであったか、仕方がない」
慧音「霊夢の所へ行ってはどうだろうか?」
縁壱「そうだな...博麗神社に行ってこよう」
慧音は用事がある為、詳しい事は聞けず。
縁壱は巌勝を博麗神社に連れて行く。
縁壱「博麗神社へ行きましょう」
巌勝「何だそれは?」
縁壱「そうですね...幻想郷の治安を維持している神社と思っていただければ」
巌勝「そうか、行こう」
縁壱「兄上そちらは反対方向です」
巌勝「......」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
巌勝「縁壱、博麗神社とやらにはまだ着かないのか?」
縁壱「それなりに距離がありますので...もう少しです」
巌勝「そうか」
・・・・
・・・
・・
・
縁壱「この階段を上がれば博麗神社です」
巌勝「...少し...休ませてくれるか?(化け物かこやつの体力は...いやコイツ確かに化け物だったな)」
縁壱「分かりました」
・・・
・・
・
縁壱「着きました」
巌勝「あの階段はかなりキツいぞ...」
「あら縁壱さん、こんにちは」
縁壱「元気そうだな、霊夢」
霊夢「えぇ、元気にしてるわよ、そちらは?」
縁壱「あぁ、私の兄上だ、数日前に幻想入りしたとの事だ」
巌勝「継国巌勝だ、宜しく頼む」
霊夢「博麗霊夢よ、この神社の巫女をしているわ、宜しくね」
縁壱「魔理沙は居ないのか?」
霊夢「魔理沙なら今日はまだ見てないわね、もうじき来るのじゃないかしら?」
縁壱「そうか、私の兄上を紹介しておきたいのでな、ここで待っていても構わないだろうか?」
霊夢「えぇ、勿論良いわよ、お茶の用意してくるわね」
縁壱「かたじけない」
霊夢は台所へ姿を消す。
縁壱「兄上、縁側にでも座って待ちましょう、霊夢がお茶を用意してくれるとの事です」
巌勝「うむ」
縁壱と巌勝の二人は縁側に座り、霊夢を待つ。
ーーー
縁壱の自宅
玄関前
アリス「...(中々出てこない...もしかして縁壱、居ないの?)」
ーーー
縁壱「...」
巌勝「...」
霊夢「...」
「「「(何か話題が出てこない...)」」」
縁壱「...魔理沙は、何をしているのだろうか?...想像は出来なくもないが...」
霊夢「えぇ...やってるでしょうね」
巌勝「?」
「「紅魔館の図書館で借りパク」」
巌勝「ズズッー...(紅魔館?図書館?借りパク?このお茶旨いな)」霊夢が用意したお茶を啜りつつ(´・ω・`)?に思う
縁壱「魔理沙は、自分が同じ様にやられたらという考えが無いのだろうか?」
霊夢「多分というより、絶対に無いわね」確信
縁壱「絶対がつくのか...」困惑
霊夢「魔理沙は昔から一緒だったけれど、ホントのバカだから...大変だったわ...」
縁壱「苦労したのだな...「えぇ、もう大変だったわ」それはそれで、あやつの将来が心配だな」
霊夢「前の宴会で[なら!縁壱に私を嫁として貰ってもらうのぜ!]って言ってたわよ、何人かが[それは私よ!]と反発してたけど、縁壱さんモテモテね?」
縁壱「そうか、別に私は嫁なぞいらぬ」断言
霊夢「(縁壱さんって考えというか、全てが硬いのよねぇ...)」
縁壱「む?噂をすれば...か」
魔理沙が箒に股がり、浮遊しつつ神社に降り立つ。
それを目の当たりにした縁壱と霊夢はいつも通りと気にしていなかったが、巌勝は今回が初めてなので驚愕した。
巌勝「(人が空を飛んでいる...!?血鬼術か!?)」
魔理沙「オッス霊夢!縁壱!遊びに来たぜー!」
霊夢「何しに来たのよ」
縁壱「うむ、元気だな」
魔理沙「私は客人だぜ?お茶位は出せよな?」
霊夢「縁壱さんや巌勝さんなら当然出すけどもアンタに出すお茶なんて無いわよ、泥水か雪の溶けたのでも啜ってなさい」
魔理沙「後、煎餅もな!」
霊夢「魔理沙...図々しいわね、我慢というのをそのバカな頭じゃ分からないかしら?」半ギレ
魔理沙「(しまった煽り過ぎたのぜ...)冗談だぜ!」
霊夢「全く...魔理沙、アンタがだんだんと、どこかの氷妖精と同じ様に見えてくるわ...」
魔理沙「私はチルノより頭は良いんだぜ!一緒にされるのは困るのぜ!」
(チルノ「何かディスられてるような気がする」)
縁壱「魔理沙は、口だけは達者の様であるな」霊夢の援護
魔理沙「私も流石に怒るのぜ?マスパ喰らいたいのか?」
縁壱「私に斬られたくなくば、その手を降ろすが良い」抜刀準備
魔理沙「!...分かったのぜ」
縁壱「うむ、それはそうとお前に紹介したい人が居る「?」」
巌勝「継国巌勝だ、宜しく頼む」
魔理沙「?」
縁壱「私の兄上だ」
魔理沙「巌勝って言うのか、私は霧雨魔理沙!宜しくな巌勝!」
巌勝「うむ(年下に呼び捨てされたのは初めてだ...こう呼ばれるのも悪くはないな)」
それから少しして、霊夢と魔理沙の二人と別れた継国兄弟は、博麗神社を後にして、(レミリア(館の主)・フランドール(主の妹)・咲夜(館の従者)・美鈴(居眠り門番)・パチュリー(大魔法使い、そして主の友)・小悪魔(パチュリーの従者みたいな立場)や妖精メイド等の居る)紅魔館へ向かった。
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家への帰路の道中
アリス「(縁壱に会いたかったのに...どこ行っても居なかった...作ったクッキーどうしよう...)」ズーン...
縁壱の家には居なく、もしかすればと思い、人里まで行った結果、縁壱が居なかった(甘味処でゆっくりしていた妹紅から聞いた)ので、トボトボと帰宅したアリス、大量に作ったクッキーは責任もって全部食べた。
その後、体重が増えてしまい暫く体重計との格闘が始まったとの事で...。
縁壱は次に会ってその事を聴くまで(体重の件は聴いてない)気が付かなかった。
イケメン兄弟、それが継国兄弟。