「マジふざけるなよ、あのクソ親父……!」
舞網市にある港の倉庫街で俺、榊遊矢はそう吐き捨てる。
俺のクソ親父こと、榊遊勝は半年前に行われたアクションデュエル王座決定戦の当日に何の前触れもなく失踪した。
それにより俺は毎日毎日老若男女問わず周りからいじめの対象になってしまった。
―――――――おい、あいつ。腰抜けの榊遊勝の
―――――――あぁ、よくもまぁ顔出せたな
―――――――おーい腰抜けの息子! お前も逃げるのかぁ?
―――――――やめてあげなよ、可哀想でしょww
本来の遊矢なら逃げることしか出来なかっただろう。
だが、俺は違う。榊遊矢に憑依転生した俺は……
俺の前世は遊戯王ARC-Vをきっかけに遊戯王を始めた一般OCGプレイヤーだった。
ペンデュラム召喚から融合召喚、シンクロ召喚、エクシーズ召喚へと繋げて勝つ。その姿に感動を覚えてネットでルールやらカードを色々調べた。
そして特に俺は主人公様である遊矢、逆鱗遊矢君が好きだったため、ストラクチャーデッキ-マスター・オブ・ペンデュラム-を三つ買った。
さらに逆鱗遊矢君が使い、俺のマイフェイバリットモンスター、覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴンや覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン。他にも四龍を揃えて魔術師オッドアイズデッキを組んだ。
ARC-Vが終了しても俺は遊戯王の沼にどんどん嵌って行き、家で魔術師オッドアイズデッキの調整をしていたら急に目の前が真っ暗になって、気が付けば幼い頃の榊遊矢になっていた。
まるで意味がわからん。
ただ、幸運だったのは俺が生前? 集めていたカードたちとデッキがあったことだ。ただし、リンクはなかったがな。
長くなったが、生前のデッキがあるのなら話は別だ。
俺は俺をイジメてきたデュエルしている人間老若男女問わず、魔術師オッドアイズデッキ。ペンデュラム、融合、シンクロ、エクシーズ、儀式ありのデッキで叩き潰した。
今だってそうだ。半年も経つというのに俺をいじめる奴らを倒し、負けた奴らは地面に転がっている。
「はぁー。ふざけんなよ、遊戯王ってのは楽しくて笑顔になるカードゲームだろ。俺は遊戯王を楽しみたいのに、何でこんなことに……」
こんな状況に嘆いていると、突然デュエルディスクにセットしてあるデッキが光だす。
光っているデッキを取り出し確認するとダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンと覇王眷竜ダーク・リベリオン、そしてオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンのカードが光っていた。
「頼むから面倒ごとは勘弁してくれ、まだ原作前だぞ」
俺の願いも虚しく光は俺を飲みこんで行った。
☆ ★ ☆ ★
私の幼なじみである榊遊矢は昔からあまり笑わない子だった。
でもデュエルするときは、いつも真剣で笑顔が溢れていた。おじさんが失踪するまでは……
おじさんの失踪に遊勝塾の塾生は私と遊矢だけになってしまった。
さらに街の人々は遊矢を卑怯者の子供だと周りからいじめの対象になってしまった。
お父さんやおばさんはなんとかしようと動いたけど、どうにもできなくて……
私は遊矢になんて言葉をかけたらいいかわからなくて、見てることしかできなかった。
たぶんそこからだと思う。遊矢が壊れたのは……
きっかけは権現坂の兄弟子である暗黒寺が遊矢にデュエルを申し込んだとき、遊矢は見たことのないモンスターたちを召喚して暗黒寺を含めて遊矢をいじめてきた奴らを問答無用で叩き潰して行った。
いじめてきた人たちとデュエルするときの遊矢に笑顔はなくて、逆にとても怖かった。
そして私や権現坂とデュエルしているときも遊矢は笑顔を見せなくなった。
おじさんが失踪して半年たった頃、遊矢が急に居なくなることが多くなった。
2日、3日は家に帰らないときもあれば、一週間も帰らないときがあって……
たまに包帯を頭に巻いて帰ってくるときがあった。
私やおばさんが問いただしてもデュエルしてたの一点張りでどうしようもできなかった。
おじさんが失踪して1年ほど、いつものように急に居なくなった遊矢の帰りをおばさんと待っていると雨の中怪我した遊矢が私と同い年ぐらいの銀髪の女の子を連れて帰ってきた。
何でも親に暴力を振るわれ、食べるものも帰る場所もない彼女を家で引き取りたいって遊矢は言った。
もちろんおばさんは最初躊躇ったけど、女の子の酷く怯えた様子と服の下から見えるたくさんの打撲傷に了承した。
遊矢が連れてきた女の子、リーナ・フォーミリアスは四六時中遊矢にべったりだけど、彼女のお陰かどうかわからないけど遊矢が居なくなることは格段に減った。
さらにリーナとデュエルするときの遊矢は笑顔だった。
私や権現坂駄目だったのにリーナは遊矢を笑顔に……
それにリーナのデュエルの腕は私や権現坂以上、遊矢と互角。
私は、どうすればいいの?
次回
柚子「謎美少女リーナ登場! 私の立場は!?」
リーナ「でも、まだ私の出番はもう少し先です」
柚子「え? じゃあ次は誰が……」
遊矢「そりゃあ、俺と」
ユーリ「僕と」
瑠璃「私のターンよ!」
柚子「ちょっと! 瑠璃が出たら本当に私の意味は!」
ユーリ「次回、『ユーリ対遊矢!』。楽しいデュエルをしようね、遊矢」
遊矢「あぁ、ルールを守って楽しいデュエルを!」
リーナ「遊矢もユーリも頑張ってくださいね」
瑠璃「頑張ってね!」
柚子「ちょっと無視しないで―――!」