そろそろ依頼主様から「おねショタサーガから逃げるな!」って言われそうだったので頑張って続き書きました。垢BANされるんじゃないかってくらいアレな前回とは違って、今回は割と健全な方ですので安心してくださいなのです!
今回のヒロインは、アリス
ローズトライスター(スリーローゼス)小隊に所属し、アバウトで男の子が好きという危ない一面を持つ彼女との、甘々なひと時をお楽しみ頂けたのなら幸いでございます。
それでは、続きをどうぞ……
(はぁはぁ……ここまでくれば……)
暴走した朧と黛から逃れること数分……2人のいる部屋からある程度距離を離れられたことを確認し、指揮官は物陰に身を隠して息を整えた。
謎の薬の効果を受け、幼い少年の姿になってしまった指揮官。さらに、媚薬の効果を受けた朧によって服を斬られてしまい、洋服はもとより下着すら付けていない素っ裸の状態だった。
いわゆる、ネイキッドショタ指揮官である。
現在、自身が服用した謎の薬には、見た目が幼い姿になるだけではなく、女性を魅了するという副効果があると推測した指揮官は、素っ裸であることもさながら、なんとか人目を避けてここまで辿り着く事が出来ていた。
最高責任者である今の自分の姿を他のスタッフにでも見られたりしたら、猥褻物陳列罪により下手をすれば基地全体……いや、それどころか交流のある全ての人物からの信頼を失ってしまうかもしれない。そう考えた指揮官は、セラスティアの分析が終了するまで大人しく自室に引きこもることにした。
(それに、薬の副作用の疑いもあるから……)
もし、周囲の女性を魅了するというような副作用があると仮定した場合……指揮官がこのままウロウロすることによって、副作用に暴露してしまった女性を増やすことになってしまえば、それこそ大惨事に発展しかねなかった。
(部屋まであと少し、そこまで行けば……)
息を整えた指揮官は、周囲に誰もいないのを確認し、唯一の安全地帯である自室に向かって移動しようとして……
「あ〜〜〜疲れたぁ〜〜〜」
(……!)
突然、曲がり角の先から1人の女性が姿を現したのを見て、指揮官は慌てて物陰へと身を隠した。
仕事終わりだろうか、とても疲れた様子で指揮官の方に向かって歩いており、しかも、運の悪いことにその女性というのが……
(ア、アリス……!? こんな時に……!?)
長い水色の髪の毛、赤い瞳、少し眠そうな表情、スリットのついたシャツを着崩し、その上からG.O.E.傭兵団のロゴマークが入ったジャケットを羽織っている。
その女性……アリスは、世界最大の傭兵団G.O.E.より派遣された部隊、スリーローゼス(ローズトライスター)のポイントマンだった。
アリスは一風変わった面々の集まりであるスリーローゼスの中でも特に個性的で、アバウトでだらしなく……なにより年下の男の子が大好きというアブナイ一面を持っていた。
(見つかったらヤバイ……!)
そんなアリスの一面を知っていた指揮官は、物陰の中で息を殺し、彼女が通り過ぎるのをジッと待った。
「あ〜〜〜どこかに可愛い男の子でも落ちてないかな〜? 指揮官似で〜すっぽんぽんの、素っ裸の〜穢れを知らない熟す前の男の子が〜」
(ピンポイント過ぎない……?)
徐々にこちらへ接近するアリスのそんな呟きに耳にし、指揮官はゾッとするものを感じた。もし、彼女に見つかってしまえば、少年の姿をした自分はどうなってしまうのか分かったものではない……
指揮官は見つからないよう、可能な限り身を縮こませた。
「ま、この基地にいるわけないよね〜〜」
鼻歌まじりにそんなことを呟きながら、アリスが指揮官のすぐそばを通り過ぎていく……そんな気配を感じ取り、物陰の中で指揮官がホッとため息を吐いた時だった。
「ん〜?」
指揮官を通り過ぎ、そのまま数歩進んだアリスだったが、そこで何やら足を止めると、クンクンと鼻を鳴らして何かを探すように周囲を見回した。
「男の子の匂いがする〜」
(!?)
次の瞬間、アリスの視線が指揮官の方を照らした。生暖かなアリスの視線……物陰の中に身を潜め、彼女の様子を伺っていた指揮官はその視線に気づき、思わずびくりとなった。
「そこにいるのは分かってるよ〜何もしないから出ておいで〜」
指揮官の存在に気づいたアリスがそう呼びかけてきた。しかし、色々な意味で出るわけにもいかず指揮官が物陰の中でオロオロとしていると、ついにアリスの方から足を踏み出してきた。
「こんなところで何してるの〜?」
そう言ってアリスは、指揮官が身を隠していた段ボールを取り上げた。
「可愛い坊や…………え?」
そして、その中にいた全裸の幼い指揮官を見るなり目を丸くした。
(……あ、アリス……これはその…………)
指揮官がこうなった訳を説明しようとするも……
「……やった」
(アリス?)
「やったあああああああああああ!!!」
(アリス!? 待って話を……)
「あたし好みのちょー可愛い男の子! しかも全裸! ゲットだぜええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!」
アリスは力強いガッツポーズと共に歓喜の叫びを放ち、それから指揮官の体を抱き上げた。そのあまりの素早さに、指揮官は反応することすらできなかった。
(もご……)
アリスの無駄に膨よかな胸の谷間に顔面を押し込まれ、指揮官は口を封じられた。
「スゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…………ハァァァァァァァァァ…………うーん、いいね〜〜〜紛れもない男の子特有の芳醇な香り、素晴らしい〜!」
発情した猫のように瞳を蕩けさせ、恍惚とした表情を浮かべるアリスは、指揮官の頭に顔を埋め、深々とその匂いを嗅いだ。
「ウェーイ!!! あたし今〜すっぽんぽんの男の子を抱っこして、その匂いを嗅いでいるんだ〜〜この事実だけで[削除済み]!」
(…………っ!……っ!)
指揮官はなんとかアリスの抱きしめから逃れようと身をよじるも、非力な子どもの状態ではどうやっても大人の力には敵わなかった。
「アハハ〜〜〜おねーちゃん、もー我慢できなくなっちゃったよ〜。ねぇねぇ、このままあたしの部屋に行こうよ〜ね! ね!」
(!?)
「大丈夫大丈夫〜取って食ったりしないから……その代わり〜頭のてっぺんからつま先まで、くまなく沢山可愛がってあげるからね〜〜〜」
(ッッッ!?)
指揮官はアリスに『お持ち帰り』されてしまった。
機動戦隊アイアンサーガ
非公式イベント『機動戦隊おねショタサーガ』
第3話:ショタと姉と食べさせっこ
数分後……アリスの部屋
「うん、これでよし……と」
指揮官の服にネクタイを通し終えたアリスは、指揮官の頭に優しく手を置いた。
(えっと……ありがとう)
「どういたしまして〜」
指揮官が礼を述べると、アリスは服のなくなったハンガーをクローゼットの中へ戻しながら軽く返事をした。
アリスに抱きしめられたまま、部屋へと『お持ち帰り』されてしまった指揮官だったが、アリスは特に指揮官のことを押し倒しただとか、襲ったりだとかそういうことはせず、むしろ裸の指揮官に服を着せてあげていた。
(服、沢山あるんだね)
子供用のフォーマルに身を包んだ指揮官は、クローゼットの中にある沢山の子供服を見て思わずそんなことを口にした。
「そーでしょ? こんな時の為に……っていうか、可愛い男の子を部屋に招いた時に、いつでも着せ替えごっこで楽しめるように前々から子供服を集めてたんだ〜」
(へ、へぇ……そうなんだ)
アリスの行動に少し引いてしまった指揮官だったが、何にせよ助かったことには変わりない為、彼女に対して感謝する他なかった。
「ところで、指揮官はなんでそんな風になってんの?」
(え? 気づいてたの?)
「そりゃあね〜お互いに初対面の筈なのに、あたしのことアリスって呼んでたし、何より指揮官にそっくりだったし〜」
アリスはベッドの上に指揮官を座らせ、自分はその隣に腰を下ろした。
「本当に似てるからびっくりしたよ〜最初、キミがどこぞの女と作った子供かと思ったけど、それにしてはそーいう噂とか聞こえてこないから……多分、本物の指揮官なんだろうなって」
(察しが良くて助かるよ)
「それで、何があったのさ?」
(実は……)
指揮官はここまでに至る経緯を説明した。
「フーン、飲むと体が小さくなる薬ねぇ……それって名探偵コナンじゃん」
(え?)
「いやいや、こっちの話〜」
アリスは手をヒラヒラと振った。
「それで、キミはこれからどーすんの〜?」
(とりあえず、セラスティアの分析が終わるまでは部屋に籠ろうかと。自分のこんな姿、スタッフたちにはあんまり見られたくないから……)
「そう? かわいーから別にいいと思うけど〜?」
(うーん、可愛いのはいいとして……実はそういう訳にもいかないんだよね)
「と言うと?」
指揮官はそこで、薬の副効果について説明した。
「へぇ、女性を魅了する効果ねぇ……」
(そう。効果範囲とか影響力とかまだ分からないことばかりだけど、だからアリスもあんまり自分のことを見ないで欲しいんだ)
「そー言われてもねぇ、もう遅いんだなぁこれが〜〜〜それに、こんな可愛い子を見るなって言うのは、あたしにとってそれはまさしく死刑判決そのものだから〜」
そう言ってアリスは、指揮官の頰を指先でツンツンとした。
(あの、くすぐったいんだけど……)
「アハハ〜恥ずかしがっているキミも可愛いねぇあ〜〜〜可愛い〜、本当に可愛い! ねぇねぇ、抱きしめてもいいかな〜? いいよね〜」
(別に恥ずかしがっては……むぐっ!?)
そこまで言いかけたところで、指揮官はアリスに抱きしめられてしまった。
「どう? あたしの体、気持ちいい?」
(…………)
抱きしめられたことにより、アリスの温もりと甘い香り、そして柔らかさに包まれ、心地よさを感じた指揮官が口を塞がれた中で頷くと、アリスは満足げな表情を浮かべた。
「いつも身なりとか私生活がだらしないって言われてるあたしだけど、スタイルの管理とかは一応しているんだよね〜男の子を抱きしめた時、だらしない体つきだったら嫌でしょ? 抱きしめる方も、抱きしめられる方も」
そう言ってアリスは指揮官の髪を撫で始めた。
「だから、いつ男の子を抱きしめてもいいように、そこだけはちゃんと気を遣っていたんだ〜ほら、指揮官にもあたしの水着姿とか〜前に色々見せてあげたじゃない」
指揮官はそこで、以前、スタッフのみんなと海へ行った時のことを思い返した。荷物番をする指揮官の前に「一緒に泳がない〜?」と誘ってきた彼女の体は、普段のだらしなさに反して意外と引き締まっていたのを覚えていた。
「男の子の為に用意したこの体だけど……でも、今は指揮官専用。だから〜あたしの体をたっぷり堪能していってね〜〜〜まあ、あたしも小さくなったキミの体を堪能するんだけどね〜♪」
そう言ってより深く抱きしめてくるアリスに、指揮官はドキッとするものを感じた。美女に抱きしめられるという、本来ならば喜ばしいシチュエーションなのだが、その一方で指揮官は素直に喜べないでいた。
(アリスも薬の効果を受けているんじゃ……?)
薬の副効果である、女性を魅了するという作用に曝露してしまっているのではないか? そう考えると、これはアリスの本心ではないと言えた。
「うん? そーかな〜? まあ、別にいいじゃないの〜〜キミがあたし好みの可愛い男の子であることには変わりないんだから〜」
(そうかもしれないけど、なんか複雑……)
「まあまあ〜細かいことは気にしないの〜」
指揮官の顔に頬ずりしてきたアリスに、指揮官はどうしたものかと考えていると……その時、指揮官のお腹が小さく鳴った。
「ん〜? もしかして指揮官、お腹空いてる?」
(ん……まあ)
アリスに尋ねられ、指揮官は少し躊躇いつつも頷いた。というのも、朝は体が小さくなってしまったことでバタバタしてしまい朝食どころではなく、指揮官は昨夜に例のドリンクを飲んで以来、何も口にしていなかった。
朧と黛による慌ただしい朝を経て、そしてお昼にはまだ少し早い時刻となった今、指揮官はようやく空腹を感じ始めていた。
「それじゃあ、行こっか〜」
(行くってどこへ?)
「勿論、ご飯食べに行くに決まっているでしょ〜」
(いや、だから薬の副効果が……)
「大丈夫大丈夫〜この時間帯なら食堂も空いていて誰もいないと思うし、顔は帽子で隠せば問題ないって〜〜〜よーし、そうと決まったらさっそく出発〜」
(ちょっ待……)
帽子を被せられ、なす術なくアリスに抱き上げられた指揮官は、そのまま基地の食堂へと連れられてしまうのだった。
ーーーーー
食堂
アリスに抱き上げられたまま、指揮官は食堂へたどり着いた。辺りを見回すと、アリスの言葉通り昼食の時間にはまだ早いこともあって、飲食をしている人は殆ど見られなかった。
「指揮官はなんでも好きなものを選びなよ〜お金はあたしが払うからさ〜」
奢ってくれるというアリスの好意に感謝しつつ、指揮官は出来るだけ安い料理を注文した。続いてアリスも注文をすると、すぐさまカウンターの向こうから熱々の湯気を立てた2人分の料理が出てきた。
料理を受け取り、2人は適当な席に腰を下ろす。
「ねぇ指揮官〜」
向かい合って料理を食べすすめていると、オムライスを食べていたアリスが、唐突に持っていたスプーンを指揮官に向けてきた。
(ん、何?)
「食べさせっこしよ〜」
(え?)
アリスの差し出したスプーンには一欠片のオムライスが乗っていた。まさか食べろということだろうか……? 指揮官がそう思っていると、アリスは机に身を乗り出して指揮官の口へスプーンを近づけてきた。
「はい、あーん♡」
(いや、それはちょっと……)
「もー、そこは『あーん』でしょ?」
(だから、その……そういうのは……)
「はい、あーん♡」
(…………あーん)
半ば押し切られる形で、指揮官はアリスの差し出したオムライスを口で受け止めた。卵の淡白でありながらとろけるような食感と、ケチャップライスの濃い味付けが絶妙にマッチし、とても味わい深かった。
「どう、美味しい?」
(ん、美味しい)
「そっか〜よかった〜」
指揮官がそう告げると、アリスは微笑みを浮かべた。
「それじゃあ、今度はキミの番ね〜」
(え? いやでも……)
「いいからいいから! ほら早く早く〜」
まるで餌を求める雛のように身を乗り出すアリスに、指揮官は周囲を見渡して、誰も自分たちのことを見ていないことを確認し……
(えっと……あ、あーん?)
「あーん♡」
料理を乗せたスプーンを差し出すと、アリスはそれを遠慮なく口で受け止めた。
「うん、美味し〜」
(そっか、よかった)
頬っぺたを抑えて嬉しそうな表情を浮かべるアリスに、指揮官も思わず頰を緩ませた。
「お〜! やっと笑ったね〜」
すると、指揮官がここで初めて顔に笑みを浮かべたことに気づいたアリスが、指揮官を見て優しく微笑みかけた。
「いつものカッコいい感じのキミもいいけど〜笑った時のキミはもっと魅力的だなぁって……」
(え? あ、どうも……)
「アハハ〜照れてる照れてる〜、オマセでクールなのもいいとは思うけど、やっぱり男の子は笑った顔が1番だよね〜〜〜うんうん」
照れてない! そう言い返そうとしてアリスを見つめた指揮官だったが、そこで笑いながら小さく頷く彼女の表情に、どこか違和感を覚えた。
(…………?)
それは側から見ればごく僅かな差なのだが、笑みを浮かべるアリスの表情はどこか硬いものがあり、まるで無理して笑っているような……そんなアリスの表情を見て、指揮官はそう感じた。
(アリス)
「ん? どうしたの〜? そんな気難しそうな顔して〜〜〜あ、もしかして照れてるって言われるのが嫌だったとか〜?」
(そうじゃない。自分のことじゃなくて、アリスのこと)
「え? あたしのこと〜?」
(……何か思い悩んでない?)
「え? え? 何で急にそんなこと聞くの?」
(何となく、アリスの表情がいつもと比べて硬いような気がして……もしかして、無理して笑ってる?)
「そんなことないよ〜あたしは特に思い悩んでもいないし〜むしろ好みの男の子と一緒にお昼を食べれて、しかも食べさせっこも出来てサイコー! ……って感じだし〜〜〜」
(本当に?)
「…………」
指揮官が再度問いかけると、アリスは沈黙した。
「……流石だね」
しばらくの間、思いつめたような表情を浮かべたアリスだったが……それから少し経つと、小さくため息を吐き、指揮官に向けて淡い笑みを送った。
「何てことはないよ。ただちょっと……弟のことを考えてただけだから」
(弟さん?)
そこで指揮官は以前、喫茶店バビロンでアリスとサシ飲みしながら話をした時のことを思い返した。その際、アリスにはかつて弟がおり、彼女はその弟に対して兄弟以上の愛情を向けていたと語っていた。
そして、その弟がもういないことも話していた。
「自分でも何でか分からないけど〜、小さくなった指揮官といると、あたしが好きだった弟のことを思い出してさ……」
(今の自分が、弟さんに似てたとか?)
「うーん、キミとは全然似てないかな〜?」
(あれ? そうなんだ)
「そーそー、だから不思議だな〜って」
そこで、アリスは顔に影を落とした。
「ただ、1つ言えるのは……弟にもこうしてあげたかったなって、そう……こうやって2人で楽しくご飯食べて、仲良く食べさせっことかしたりして……あの子のために、穏やかな時間を作ってあげたかった」
(アリス……)
「結局、お姉ちゃんらしいことすら……何1つしてあげられなかったし」
(もしかして、男の子が好きっていうのは……)
「うーん、もしかしたらそういうのもあるかもね〜。昔、弟にしてあげられなかったことを今の男の子たちにしてあげたいって、愛情を向ける相手を探していたからそうなっちゃったのかもね〜」
アリスは笑顔を浮かべてはいたものの、指揮官からしてみれば、その表情はやはりぎこちないものだった。
「ほんとは分かってるよ。弟の代わりなんていないって……どれだけ男の子が好きって言っても、愛情を向けても、それ自体に意味はないし何の解決にもならない……結局のところ、あたしの行動は全て自己満足なんだって」
(…………)
指揮官は静かに席を立った。
「弟への想いはとっくの昔に振り切ったはずなのに、どうして今になって出てくるんだろ……弟が死んだあの時、あたしがもっと上手くやれていれば、あの子は死ななかったはずなのに……いや、むしろ死ぬのはあの子じゃなくて、あたしの方だったはずなのに、どうしてあの子が死んで、あたしだけが生き残って…………」
(アリス……)
後悔の言葉が止まらなくなってしまったアリス。指揮官はそんな彼女の元へ歩み寄ると、その体を優しく抱きしめてあげた。
「…………!」
アリスは一瞬だけ体を硬ばらせるも、次第に指揮官のことを受け入れる気になったのか、全身から力が抜けていった。
(どうあがいても、自分では弟さんの代わりにはなれない。でも、アリスの感じている痛みを分かち合うことなら出来ると思う)
「指揮官……」
(それが大切な仲間なら、尚更ね)
「仲間……」
アリスはその言葉を呟くと、リラックスしたかのように目を閉じた。それから、自分のことを抱きしめる指揮官の腕に手を置いた。
(アリスのこと、支えさせて)
「…………じゃあ、お言葉に甘えようかな」
それからしばらくの間、2人は抱きしめ合った。
お互いの温もりを感じ合いながら、静かに時が過ぎ去っていく……
そして、時刻もいよいよお昼時……そろそろ食堂に大勢の人がおしかけようとする時になって、名残惜しそうにしながらもようやく2人は体を離した。
(どう? 少しは落ち着いた?)
「うん、もう大丈夫〜」
指揮官が尋ねると、アリスはいつも通りの笑みを浮かべた。その表情を見て、彼女の中である程度踏ん切りがついたと判断した指揮官は小さく頷いた。
「でも、ちょっと納得いかないかな〜」
(え? どうして?)
「本当なら、抱きしめて甘やかしてあげるのは、お姉ちゃんの役目なんだけどな〜」
(ああ、そういうこと……)
アリスは、お姉ちゃんとして小さくなってしまった指揮官のことを甘やかすはずが、逆に小さな指揮官から抱きしめられてしまったことに関して不満があるようだった。
(なんか、ごめんね)
「ううん、いいのいいの〜。キミがあたしの為を思って抱きしめてくれたのは分かってるし、全然嫌じゃないしさ〜ううん、寧ろ男の子に慰められるのって大歓迎……!」
(あはは……そっか)
いつもと変わらない様子のアリスに、指揮官は少しだけ呆れたようなものを感じつつも、小さく笑いかけた。
「やっぱりあたしは、まだ熟す前の男の子が好きーーーー!」
(うん、それでこそアリスだ。まあでも、犯罪になるような真似だけはやめてね?)
「当たり前でしょ〜あたしを誰だと思ってんのよ!」
そう言ってアリスは、指揮官の頭を優しく撫でた。
「あたしは世界に名高いスリーローゼスの近接担当 アリス! 世界最大の傭兵集団G.O.E.の広告塔でありながら、今はキミの部下でもあるからね〜〜だから、キミが困るようなことは絶対にしないよ〜誓ってね!」
そして、彼女は最後にこう付け足した。
「指揮官、ありがとね」
ーーーーー
それから数分後……
指揮官とアリスが食堂で料理を食べ終えたちょうどその時、午前の仕事を終えた基地のスタッフたちが昼食を取るために、ゾロゾロと食堂の中へ姿を現し始めた。
様々な理由から、スタッフたちに今の自分の姿を見られる訳にはいかなかった指揮官は、アリスの提案もあって食器の片付けを彼女に任せ、自分はこっそり裏口を通って誰にも気づかれることなく食堂を後にするのだった。
そして今、指揮官は1人、基地の通路を歩いている。
(もしかして……)
曲がり角から様子を伺い、自分の部屋へと続く通路に誰もいないのを確認しつつ、指揮官は心の中であることを考えていた。
(自分が小さくなってしまったのは、自分の部屋に薬を置いた誰かが、こうなることを見越していたからではないのだろうか……?)
そんなことを考えつつ、指揮官は朧とアリスのことを思い返した。2人とも、一見すると特に悩みなど抱いていなさそうに見えたものの、指揮官が関わることによって、両名とも内に抱えていたものを吐露してくれていた。
それは指揮官が幼い見た目をしおり、いつも以上に話しやすかったからか、はたまた、女性を魅了するという副効果による影響なのだろうか……いずれにせよ、2人が指揮官に想いを打ち明けてくれたのは確かだった。そして、それを成したのは……あの薬があったからこそと言えるのではないだろうか?
(今の自分なら……いや、小さくなれたからこそ、出来ることがあるんじゃないのか……?)
指揮官は通路を進みつつ、さらに思案を続けた。
(大人としての自分ではなく、打ち解けやすい子どもの状態でしか聞くことのできない、スタッフたちの心があるというのなら、自分がこの状態でいることは案外悪いことだけでもないのかもしれない……)
そうして、角を曲がった時のことだった。
(……わ!)
突然、角の向こうから音もなく何かが飛び出してきた。そのため、考え事をしていた指揮官は反応することができず、飛び出してきたそれと真正面からぶつかってしまう。
(……あれ、痛くない?)
しかし、勢いよく頭からぶつかったにも関わらず、指揮官は全くと言っていいほど痛みを感じなかった。
飛び出してきたものがクッションになったのだろう。今、指揮官の視界は何か柔らかいもので埋め尽くされており、それと同時に心地の良い暖かさが頰全体を包み込み、さらに、ほのかな甘い香りが指揮官の鼻孔を刺激した。
……いや、それもそのはず
「あら……指揮官くんってば大胆ね〜!」
(!?)
突如として発せられた聞き覚えのある声に、指揮官が思わず飛び退くと……目の前に、つい先ほどもお世話になった黒髪の女性がいた。
(黛……っ!?)
それは朝、指揮官が謎の薬を飲んで小さくなってしまったのを目撃し、護衛の朧の目を盗んで指揮官を拉致しようとした極東安全機関に所属する特務機関員、コードネーム『霊蛇』こと、黛だった。
「ふふふ……再会して早々、いきなり私の胸の中に飛び込んでくるなんて、やっぱり指揮官くんも男の子ってことなのね〜?」
そう言って黛は、自身の豊満な胸を強調するように下から抱いた。そして彼女の言葉から、指揮官は自分がぶつかったのは黛の大きな胸であることに気づき、思わず赤面した。
(ち、違う……これは事故で……)
「またまた〜。顔を赤くした状態でそんなこと言っても説得力がないわよ? もー! 私の胸を触りたいって言ってくれたらぁ、こんな事しなくても、たくさん触らせてあげるのにー!」
(だから、そうじゃなくて……)
「あ、もしかして触りたいだけじゃなくて吸いたいの?」
(もっと違うからッ!)
挑発的な笑みを浮かべて迫る黛に、指揮官が一歩、また一歩と後退を始めた時だった。なんの前触れもなく……ぽすん と、指揮官の後頭部に何か柔らかいものが当たった。
(え?)
「うふふ……捕まえたぁ♫」
指揮官が気付いた時には、既に後頭部を何か柔らかいもので覆われ、両手を捕まれ、そして背後から黛のものと似た色っぽい声が響き渡った。
「ナイス! 姉さん!」
指揮官の真正面にいた黛が、指揮官のことを背後からがっちり掴んでいるその人物に向かって、手でグッジョブ! と示した。
(姉さん……ってことは、まさか臙脂!?)
「うふふ〜正解よ〜〜〜」
黛の姉である臙脂に後ろから抱きしめられ、耳元で囁かれ、戸惑いと恥ずかしさのあまり指揮官は思わず体が熱くなるのを感じた。
(ふ、2人とも……なんでこんなことを……?)
「なんでって、決まっているじゃない」
黛は指揮官の元へゆっくりと近寄った。
それから、臙脂に抱きしめられて身動きの取れなくなった指揮官の顔に指を添え、少女漫画でよくあるように顎をクイッと持ち上げ……そして、瞳に色っぽいものを浮かべてこう続けた。
「保健体育、しましょ?」
指揮官の受難はまだ終わらない……
アリスを描こうと思ったのはいいのですが、ローズトライスターの中で唯一未だに台詞と声が用意されていなかったので、どうやって彼女を描いたものか悩みました。用意されたセリフから、アリスはこういう人物で、こういう過去があるんだな……っていう推測ができなかったので、とりあえずストーリーとミアのセリフを参照して大体こんな感じなんだろうと書いてはみたものの、正確かどうかは分かりません。正直、もう少し書くのを待とうかなと思いはしたものの……最近追加されたG.O.E.の外伝にもアリスは登場しなかったので、しばらく彼女の過去が深掘りされる機会はないだろうと踏み、書くなら今しかないと思って書きました。
何が言いたいかというと、間違ってたらすみません。
今後、実装されるアリスのセリフやストーリー次第では余裕で訂正、削除もあり得るのです。
長々と失礼しました、それで次回は黛に加えてお姉さんとの3ぴ……甘々な展開が繰り広げられる予定なのですが……いろんな意味で、正直キツイです。
それでも見たいよって言いたい方は乞うご期待を?
まあまあまあ
本日はここまでとなっております。ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。誤字脱字等ありましたらお気軽にご報告をお願い致します……それでは、また……