コンコンコン…
恐る恐るドアをノックする。留守かな?留守だな!よし帰ろう!
「入ってください」
幻聴が聞こえたもしかしたら具合が悪いかもしれないな悪い気がする、よし!帰ろう!
「入ってください」
「ワームジムのコルチです入ります!」
絶対零度もかくやの声に慌てて駆け込むとソファに座って微笑むローズさん、そして若干青筋が浮かんでる気がしないでもないオリーブさんがソファの後ろに立っていた。
「わざわざ呼び出してすまないね。まぁ、まずは掛けて下さい。」
ローズさんの優しい声音に誘われるまま対面のソファに腰かける。
「何か飲みますか?」
オリーブさんの(見かけは)優しげな問いかけに首をブンブンと振る。これがアメとムチ…?いつもよりローズさんが優しく見える。
「さて今日お呼びした件ですが、コルチ君がジムリーダーとしての責務を分かっていないのではと思いまして。」
「す、すいません…。」
「ここ2年前マイナーリーグに降格してから公式戦ゼロ勝」
「そ、それは今までが出来すぎで」
「おや、先代の見る目が間違っていたと」
「そういう意味では!」
「そしてその間ジムトレーナーに誰かをスカウトすることも無かったですよね?」
「そ、それは新人トレーナーを最下位のジムにスカウトして経歴に傷がついてはと」
「先代にスカウトされた時もそんな事を思っていたのかい?」
「そんな事は!ない、です…けど」
ローズさんは目を反らし前髪をいじりながら微笑む
「コルチ君の実力を疑ったことはありませんよ、12歳でジムリーダーになったあの時からずっと。」
「はい、目を掛けて頂き感謝しています。」
「メジャーリーグにたまたま昇格することなど出来ません。3度もとなると尚更です。」
「ですがメジャーリーグに残留できたことはないんです!俺は…」
ローズさんが俺の目を見る
「ジムを残したければ来季で結果を残しなさい。コルチ君はジムなんてどうでもよくなった訳ではないでしょう。」
「ぐ、具体的にはどのような」
「それを言ってはコルチ君はギリギリ達成出来るように手を抜いたバトルをするかもしれないでしょう。本気のバトルでなくては観客は熱狂しないんですよ!もちろん私もね。私はコルチ君の真価が見たいんです。」
「…はい」
「頑張ってくださいね、では私はこれで。」
ローズは立ち上がり部屋を後にする。ローズも一礼しそれに続く。部屋には俯いた俺だけが残った。
「俺の真価…」
部屋を後にして通路を歩いていると前に見知った影が立っている。
「ずいぶん絞られたみたいね。」
「ルリナ…。」
ルリナは持っていた水を投げ渡す。
「ねえ、なんて言われたの?」
「来季中に結果を残さないとジムを潰すって。」
「ふうん」
当然といった表情だ。
「じゃあ結果を残せばいいじゃない」
「簡単そうに…」
「そう聞こえたならごめんなさい?でも、そもそもジムリーダーで居続けるのって簡単じゃないから。それに比べれば簡単なんじゃない?」
ルリナの言う通りだ。ジムリーダーとはプロフェッショナルだ。
結果を残し続けなくては消える世界なんだ。
ルリナはジムリーダーだけでなくモデルとしてもそういった世界で生き残り続けてる。だからよく分かっている。
成果を出せなければ消えていくだけだと。
いや、多分俺も俺以外のジムリーダーも、あのオニオン君でさえ分かっているのだ。俺と俺以外が違うのはきっと、それを受け入れられていないからなんだろう。
自虐的な物思いにふけっていると声をかけられる。
「…ねえ。」
「…?なに?」
「バトルしましょう?」
「へ?」
「約束したじゃない、朝に。バトルしようって。」
「いや俺は了承なんてしてない。」
「…」
「…」
「……」
「それに今は一匹しか連れてない。」
「じゃあ1vs1ね」
「えぇ…」
「じゃあコートの利用許可取ってくるから先にコートいってて。」
そう言ってルリナは去っていった。
えぇ…本当にするの…?
次回!ポケモンが出ます!