ミラボレアス討滅戦   作:よしりゅー

5 / 6
ミラボレアスコワイ。ミラボレアスコワイ。

今回はテオ・テスカトル涙目です。
割とガチでテオとは比べ物にならん火力ですしおすし
(全国のテオ・テスカトルファンさん、失礼致しました。)

それと残酷な描写注意!!


「伝説の黒龍」残り10分です。

 一回目の「劫火」よりも、この「劫火」は苛烈であった。

 防護壁は溶けつつある。その様子を見るだけで、壁の向こうの様子が容易に想像できた。当然、ハンマー使いがどうなったか、も。

 

 灼け、徐々に溶けつつある壁を見ながら、狩猟笛使いが話しかけてくる。

「青い星さん、これは仕方の無いことだったんです」

 

 分かっては、いる。「別れと嵐は時を選ばず」だ。だが……

 

 やりきれない悔しさが込み上げ、青い星は下唇を噛んでいた。

「……増援を呼びます」

 狩猟笛使いはそう言うと、腰の辺りから煙弾を取り出し、スリンガーに装着した。狩猟笛使いが腕を掲げ、それを発射した。

「もしかしたら、今度は私がやられてしまうかもしれません。……その時は、これで増援を呼んでください」

 そう言って狩猟笛使いは、自分の持っていた煙弾を幾つかこちらに投げてよこした。

 

 防護壁を支えていた柱が崩れ、防護壁が半分程下がった。

 

 ──いよいよだ。

 

 壁が完全に溶け、地に堕ちる。「劫火」も同時に止み、二人のハンターは生き残ることが出来た。マグマのようになった防護壁の残骸を飛び越える。その後、武器を構え黒龍の飛来を待つ。

 

 辺りは、言い表せようもない程に凄惨であった。狩猟笛使いが使っていた移動式速射バリスタや大砲は溶け、青い星やハンマー使いが使っていたバリスタや拘束弾は跡形もなくなり、高台の一部は焼失した。

 撃龍槍は、未だにその原型を留めていた。どうやら高台の一部が先に溶けたことで、その残骸にたまたま守られたようだ。

 当然ながら、ハンマー使いの姿は見当たらなかった。

 

 黒龍は広場の上空で一瞬羽ばたいた後、歪な雄叫びを上げた。

 蒼い炎の衝撃波が黒龍から放たれ、ハンター達は後ずさる。黒龍の胸がみるみるうちに紅く染まっていった。よく見ると、胸には幾つもの武器らしき物体が付着しているのが確認できた。既に溶け切ろうとしており、ほぼ原型を留めていないが。

「皆、助けにきたぞ!」

「これが黒龍か!」

 黒龍が地面に降りると同時に、増援のハンターが二名やってきた。大剣使いと、片手剣使いである。どちらも、青い星にとっては知らないハンターだった。黒龍が彼らを視認する。ハンター達が広場に降りた瞬間──戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 いや、切って落とすなんて正々堂々としたものではなかった。

 なんと黒龍は着地の瞬間を狙ってブレスを吐いたのだ。しかもただのブレスではない。最初に行使していた「地雷」ブレスである。

 

 目に入ったもの全てを滅ぼす。その姿、さながら「出でよ破壊の権化」。

 

 完全に油断していた増援のハンター達は驚愕した。着地後、二人とも必死に走る。

 地面がみるみるうちに紅く──いや、蒼くなり、もうじき爆発にまで迫っていた。大剣使いは辛うじて範囲外に逃れたものの、片手剣使いは間に合わなかった。翼竜から降りたタイミングが遅すぎたのだ。

 片手剣使いはあと少しという所で爆発に巻き込まれた。結構な距離を吹っ飛ばされた後、彼は起き上がろうとした。しかし、出来なかった。何故なら、足が無かったからだ。

「は……!?」

 足のみが一瞬の内に溶けて消えたことを、理解するのには時間がかかった。

 

 呆然としているそのハンターに向けて、黒龍は追撃のブレスを吐いた。それは、これまでとは打って変わって蒼白いものであった。

 

 無慈悲に命を刈り取る死神が現世に君臨した。その姿、さながら「失われた幽世線」。

 

 断末魔をあげる間もなく、そのハンターは消滅した。

 

 その一連の流れを見て、青い星は呟いた。

「不用意に救援は呼ばない方がいいな……」

 青い星は何も出来なかったことを悔やみつつ、今は悲しんでいる暇はないと武器を構え直す。

 狩猟笛使いが再び旋律を揃え、音楽を奏でる。身体が強化され、魂が鼓舞されるのを感じた後、青い星と大剣使いは黒龍へと向かっていく。

 

 黒龍は一瞬の内に十個以上もの地雷ブレスを吐き、ハンター達を待ち構えた。

 

 地雷が爆発し、地面を次々と抉りとる。その様、さながら「乱れ咲く連爆の華」。

 

 爆発した地雷、いや、噴火がハンター達を襲う。何とか避けた後、大剣使いが赤熱化した腹に攻撃を加えた。その腹に刃が深々と刺さる。どうやら、体温の急上昇により肉質が軟化しているようだった。

 これをチャンスと見たハンター達は、一斉に攻撃を仕掛けた。青い星のランスや大剣使いの大剣が腹に刺さり、黒龍から生々しい血が流れる。狩猟笛使いは再び煙弾を発射した後、自分も黒龍の元へ向かう。

 黒龍にも、痛覚はある。斬られれば当然痛いし、叩かれても当然痛い。だが、今はそんな痛みになりふり構っていられるほどの余裕はなかった。怒りだけが、黒龍の頭を埋めつくしていた。

 

 黒龍の邪眼が煌々と光り輝き、ハンター達を見据える。その色、さながら「終焉と云ふ名の金色」。

 

 黒龍は四足歩行の体勢になり、突然首だけを後ろに向けた。

 その行動の意図が全くわからずハンター達が戸惑っていると、黒龍の口元から音がした。火花の散るような音だった。

「まずい、退避しろーっ!!」

 青い星の掛け声と共に、ハンター達は納刀し高台の上まで走った。唯一、大剣使いは間に合わなさそうだった。

 黒龍が直線状のブレスを吐き続けながら、その場で半周する。首も同時に回すことにより、ブレスはその場で一周。

 

 高台に登ったハンター達は、難を逃れた。大剣使いは……生きていた! 直前で黒龍の胸にクラッチクローを発射し、張り付いたのだ。しかしその代わり、彼に異変が起きた。

「クローが溶けて取れねえ!」

 黒龍の胸に張り付いた、原型を留めていない武器達と同じことが起こったのだ。

 黒龍が首を動かして大剣使いを睨みつける。このままでは黒龍の追撃をくらう──その時だった。

「早くクローを切り落とせ!」

 そう叫んだのは、見知らぬハンター。なんと黒龍の頭にしがみついていた。

 

 

 黒龍が全体なぎ払いブレスを吐いている時。救難信号を見たこのハンターは操虫棍を担ぎ、翼竜に掴まっていた。

 彼は空から大剣使いがクラッチクローを発射するのを確認した。そして、黒龍に張り付いたが問題が起こって焦る様子も見た。

 直ぐに翼竜を降り、操虫棍お得意の跳躍で黒龍に突撃した。そして今に至る。

 

 大剣使いは懐から剥ぎ取りナイフを取り出し、クローを切り落とした。

 操虫棍使いも懐から剥ぎ取りナイフを取り出し、黒龍に突き立てた。

 黒龍は長い首を振り回して暴れた。

「こい……っつ! 今まで乗ってきたどんなモンスターより凶暴だな!」

 黒龍と操虫棍使いとの攻防が続き──とうとう操虫棍使いのナイフが黒龍の左目を掠めた。黒龍が怯んだのを確認した操虫棍使いは、すぐに武器を取り出した。

 対する黒龍はなんと、口にチャージブレスを溜めた。自爆を覚悟で、操虫棍使いを振り落とすつもりのようだった。

 

 操虫棍使いが急いで納刀し降りようとしたが……その行動は青い星の叫び声によって中断された。

「操虫棍を目に刺せ!!」

 なんと青い星は大剣使いの大剣に乗っていた。ランスしか構えていない。盾は、狩猟笛使いが持っている。

「行くぞ!」

 青い星は大剣使いの掛け声と共に吹っ飛び、黒龍の左目を目掛けてランスを突き出した。操虫棍使いも、武器を取り出して左目の辺りを抉った。

 

 黒龍の左目は潰され、その周辺には見事傷が刻まれた。

 

 黒龍は怒り、首をぶんぶんと振り回した。

 青い星は腹にしなる鞭のような衝撃をもろにくらい、吹き飛ばされた。操虫棍使いは必死にしがみついている。次の瞬間、黒龍の頭が爆炎に包まれた。

 

 炎が消えると、やはりと言うべきか、操虫棍の姿はなかった。

 

 黒龍が、畏怖せよと言わんばかりの咆哮を上げる。日暮れの宵闇に、自身の熱で光り輝く凶星が鎮座している。その姿、さながら「宵闇の煌黒星」。

 

 

 これまでも地獄のような光景だったが、この後も地獄のような光景が続いた。……地獄という表現では温いかもしれない。

 数多のハンター達がやって来ては次々と焼かれ、消される。

 命を嘲笑うかのように黒龍は雄叫びを上げながら、その眼光で人類を睨む。

 

 結局、最後まで残ったのは青い星だけだった。その彼も、現在進行形で壁に追い込まれている。盾は、溶かされた。「新大陸の白き風」も、エイデン以外は死んだ。エイデンはとっくに大火傷で脱落。

 

 ……みんな、みんな死んだ。

 

 黒龍の口が見る見るうちに燃え上がり、間もなく炎弾が放たれようとしていた。

 

 俺も、終わりだ。

 

 その瞬間だった。遥か彼方の空に、青い煙弾が打ち上がるのが見えた。それと同時に、黒龍の近くの撃龍槍がわずかながらに音を立てた。

 

 

 

 ──────────

 

 〜現大陸・シュレイド地方・シュレイド城高台のキャンプ〜

 

 燃え上がる城の中、黒龍に歴戦のハンター達が溶かされてゆく。そんな凄惨な光景を、彼らは黙って見ていた。そう、総司令に受付嬢、将軍である。エイデンの編纂者はエイデンの治療にあたっており、とっくにこの場を離れていた。

 受付嬢は吐き気を催しながらも、それを何とかこらえている様子だった。

 

 将軍の元へ、一人のギルドナイトがやって来た。

「撃龍槍、動作確認! 使用可能です!」

「まことか! ではあのハンター達に報告を」

 将軍がそう言いかけた時、総司令が口を挟んだ。

「いや、この状況の中、どう彼らに報告する?」

「確かに、このまま突撃すれば我々すらも灼かれ死ぬだろう」

 一同が悩む中、受付嬢が口を開いた。

「私に考えがあります」

 彼女はギルドナイトの方を向くと、こう告げた。

「撃龍槍を少しだけ動作させてください」

「それはいいが、今戦っているハンターは果たして気づくのか?」

 その瞬間だった。将軍が声を張り上げる。

「まずい、青い星が追い詰められている!」

 総司令が歯軋りする。

「『導きの青い星』でさえも、『悪夢』には打ち勝てなかったか……」

「そう決めつけるのはまだ早いです!」

 受付嬢が突然叫び、何やら腰元のポーチからとある物を取りだした。

 何かを察したギルドナイトが走り出して去っていった。

 

「どうか、これで悪夢を終わらせてください!」

 彼女は青い煙弾を打ち上げた──

 




アプデで追加されたモンスの特別任務(フリー混じってるけど)クエスト名総出です。

「砕破極臨」と「金色羅刹」はどうしても相応しくなかったのでフリーの方を使用しました。
「暁の凱還」はすでに第1話でそれとなく取り上げてるので使用してません。
それとキリンは追加モンスじゃないのと、ムフェト、特殊ベリオは特別任務枠に入ってないので除いてます。

余談)暁の凱「還」が正解やぞ!凱旋の「旋」じゃないぞ!よく間違える人多いんだよなぁ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。