ライダーがいないので、ショッカーを作りました。 作:オールF
タイトルとあらすじ通り、昭和ライダー厨が本郷猛のような仮面ライダーを作るために心を悪魔に売り渡してショッカーを結成する話です。
怪人や仮面ライダーの設定は基本的には特撮版に準じます。
ショッカー誕生
俺は仮面ライダーが好きだ。
仮面ライダー。正義の味方。正体を隠して、悪と戦う。
彼らのそんな姿に憧れた俺は、幼少期を仮面ライダーで過ごした。
家では仮面ライダーのソフビ人形で遊び、ビデオを見た。
外では友達と仮面ライダーごっこをした。
けれど、友達の知っている仮面ライダーは俺の知っているライダーではなかった。
クワガタは知らない。
アギトってのも知らない。
ドラゴンとか剣も知らない。
響とかキバ、ファイル? とかも知らない。
電車の王様とかもいたらしいけど、はっきり言って知らない。
けれど、ディケイドとダブルは知っていた。
ディケイドには俺の知ってるライダーが出ていたからだ。
ダブルは俺の好きなライダーのようなシンプルなデザインに惹かれたからだろう。
そうして、小学校になって物心が着いた頃に理解した。
俺が好きだったのはみんなが見ていた仮面ライダーではない。
俺が生まれたのは平成。ならば、みんなが見ているのは当然のように平成に誕生した仮面ライダーだ。
けれども、俺は違った。昭和生まれの父親から教えてもらった。
本郷猛は最高のヒーローだと。一文字隼人は1番かっこいいと。
その2人の力を持つ風見志郎はすごいんだと。
俺はそれを言葉で貰って、映像で実感した。
本郷猛。仮面ライダー1号。
俺が生まれて初めて知ったヒーローにして最高のヒーロー。
仮面ライダーが生まれたのは昭和のこと。
そして、1号は仮面ライダーの原点。つまりは生まれたのは昭和。
俺が生まれる前から彼は、俺の父親のヒーローをしていたのだ。
それは平成に生まれた俺でもわかった。
黒いマスクの時もかっこよかったが、やはり多くの技を携えて帰ってきた銀色のマスクと赤い目とマフラーをした新1号の方がかっこいい。
でも、友達は知らなかった。いや、知っていたけど、古くないかと言われた。
今の仮面ライダーは携帯とかコウモリ、カードで変身するんだとか言われた。
いや、仮面ライダーは変身ポーズを構えるだけでは無いのかと思ったが、平成ライダーというのはかなり異質だったようだ。
だが、同じく仮面ライダーに憧れた者同士ということで、俺は否定しなかった。でも、特別なフォームというのを持たないからという理由で、仮面ライダーごっこではいつも1号は負けていた。
おかしい。技の1号だから、どんな逆境でも跳ね返せるだけの技がたくさんあると言っても、武器もなしに勝てるわけがないと言われた。
なので、俺は仕方なく特別なフォームもあって、武器が刺さってしまえばどんな相手も関係ない仮面ライダーRXを持ち出した。
何があっても「その時、不思議なことが起こった」で跳ね返してきたがずるいと言われた。大人になった今だから言えるが、確かにずるい。
しかし、それもそのはず。RXはギリギリ昭和ライダーで、放送時には平成に入っていたらしいのだ。
やはり平成か……と思ってしまったが、スーパーワンやストロンガー、なんならゼクロスもかなりチートだったので、ごっこ遊びで使った。
けど、歳を経るごとにそういうことはしなくなった。
自分も今のライダーはどんなのがいるのだろうと興味を持って見たのがダブルで、その後は見ていない。
さて、ここまで長ったらしい自分語りに付き合ってもらったが、俺は別に平成ライダーが嫌いではない。むしろ、1号から続いた仮面ライダーの歴史を継承してくれてることに感謝しているくらいだ。
いつの間にか令和に変わっていた訳だが、そこは置いておこう。令和に関しては名前くらいしか知らない。
その理由は簡単。俺は令和に変わって死んだのだ。
人の人生とは呆気ないなと、非人間の敵が思いそうな事を思いながらまどろみの中をさまよった。
そして、俺はそこで思った。そういえば、昭和ライダーは死にかけてからの改造手術によるライダー化が鉄板だったなと。
ん? いや、それはV3とライダーマン以降か。1号、2号は優秀な肉体と脳を持ってるから誘拐されたんだった。
自分はライダーに憧れただけで、なろうとしなかった。いわば、落ちこぼれとか憧れるだけの軟弱者だ。そんな男が今更、仮面ライダーになれる機会を与えられるなんて烏滸がましい。そう思った。
次の人生では仮面ライダーになれるといいな。
友人から聞いた話では、最近の流行りは転生してからの俺TUEEEE! 無双ハーレムチートはこれまた大定番らしい。長文タイトルとか、学園ラブコメの時代はとっくに終わったそうだ。
ならば、俺も、現実ではないけれども、もしかしたらそういった世界に転生して、神様から仮面ライダーの力を与えられる。
なんて考えてたら敵側の力を与えられたよ、ちくしょう!
ここから先は転生というやつをした俺の話だ。
これまた長い自分語りになってしまうが、それでも良ければ聞いて欲しい。
近畿地方のとある県で、俺は再び世界で命を与えられた。
赤ん坊だったから、生まれた時の記憶はないが、物心がついて日本とか県の名前とかにとても聞き覚えがあったことを今でもよく覚えている。
けれども、何か足りないのだ。
そう、圧倒的に。
俺の心を満たしてくれるものが。
生活には困っていない。父親はサラリーマンで、母親も共働きでパートをしていた。
おもちゃやゲームも興味を示せば、誕生日やクリスマスにプレゼントとしてくれた。
でも、違うのだ。俺はそう思いながら、テレビに目をやる。
するとそこに映っているのは、超人的な能力を持ったヒーローと呼ばれる職を持った人達が、ヴィランと呼ばれる現実的な悪と戦うニュース映像だ。
普通なら、みんなはヒーロー達の活躍に一喜一憂し、心を湧かせるのだろう。だが、俺は湧かない。興奮しない。
何故だ。
次の日、学校に行けば友達は昨日のヒーロー達のことで話している。
かっこよかった。強かった。俺もああなりたいと。
本当にそうか?
俺は首を傾げた。
違うんだ。決定的に何かが。
水を出したり、音速で移動するのはかっこいいと思う。
でも、俺の憧れていたヒーローはそんなものでは無いと、心の中に違和感を抱え込んでいた。
そして、ある日俺は遠足で訪れた山で運命的な出会いをした。
トノサマバッタだ。
まぁ、誰でもとまでは言わないが、比較的知名度の高い昆虫だ。
図鑑では見たことあるけど、実際に見るのは初めてだなと俺はそいつを掴んで真正面から見た。
その時だった。俺の頭の中に何かピースがハマり始めた。
んん? と思いながら、足りないものを付け足していく。
なんか緑過ぎないかと、脳内でトノサマバッタを黒くする。
目は黒かったっけ……? といろんな色に変えると赤が何やらしっくり来た。
首? バッタに首はあるか分からないが、何か巻いてみたくなるなと適当な葉っぱを巻く。それに目と同じ色をつけると仮定した。
かなり近づいた気がするけど、まだ不足な気がするぞと唸っているとバッタが逃げ出してしまう。
ここで逃がしては、俺は一生後悔するとバッタを追いかけた。
そして、向かった先で最後のピースがハマった。俺の追いかけていたバッタを捕まえてくれた友人はとあるアイデンティティを持っていた。
それは世間を賑わせるヒーローやヴィランから、自分の父や母、クラスメイトも持っている不思議な力。人々が個性と呼んだ力だ。
残念ながらこの時の俺にはなかったが、その友人にはあった。
小学生からは考えられない胸筋の発達具合。そこに先程まで描いていたトノサマバッタが結びつく。
あっ。
そう漏らした俺の中で今まで足りなかったものが浮かび上がってくる。
そして、不幸か幸運なのか。俺の中でとある個性が芽生えた。
これがバッタ人間とか、電気カブト虫人間みたいなのなら、どんなに良かっただろう。
けれども、俺の肉体に大きな変化はなく、変身ポーズをとったところで何も起きない。
あったのは他者の精神に干渉して洗脳する力。
えっ、これ完全に敵側の能力じゃん。
個性が目覚めて喜んだのもつかの間、手に入れた個性に愕然とする。
しかも、こんな個性が出たとバレれば、周りにそういう扱いをされるのは目に見えていた。
オマケに個性には複合型と呼ばれる2つ以上の力を使うことが出来るタイプもいて、俺がそれに該当した。
有機物や無機物を1つにする力。くっつけたものは戻せなくなるけど、くっついたもの同士の相性が良ければ、多大なる力を発揮できる。
なるほど、DIY型改造手術かと不用意にその辺にいた蜘蛛とホームレスのおじさんを合体させてしまった俺は思った。
この個性は自分以外に作用するも、自分には一切作用しない。バッタを身体にねじ込もうと思ったら、普通に死んだ。他にもカブト虫で試したけどダメだった。普通に角が刺さって痛かった。
そんなわけで積み木とレゴなどの無機物から、自分を含まない有機物と有機物で試してからは感情や理性のブレーキが外れた俺は、怒りで襲いかかってきた蜘蛛男となったホームレスを傀儡にしてある計画を立てた。
俺が仮面ライダーになれないなら、誰かを仮面ライダーにしてしまえばいいと。
そうすれば、この世界のみんなも仮面ライダーの良さに気付くだろう。
残念ながら、この世界は俺の知ってる世界とは別で、普通の人が何らかの特殊能力を持った代わりに、超常現象が普遍になった世界。
初めから特別な力を持って、それを育て上げたヒーローが輝く世界で、改造されてヒーローとなった悲しみの仮面ライダーは存在しないのだ。
ならば、俺が作ればいい。
幸い、その力は手元にある。
お金? そんなもの金持ちを傀儡にすればいい。
人材? いくらでもいる。
場所? かつてのショッカーは至る所に基地を作っていた。しかも本部は太平洋の遥か下。ならば俺もそれに倣えばいい。
俺は安全に活動できる時まで、ずっと待った。
学生ではダメだ。活動範囲に限界がある。
それに深夜に出歩けないのもマイナスポイントだ。
だから、始めるなら卒業してからだ。
それでも計画は進める。
第1の個性には弱点はない。
だが、自我が強い者は支配するのに時間がかかることが分かった。
寝てさえいれば、割と簡単だったりする。
けれども、先人であるショッカーに倣って俺は医学を学んだ。
なんでって? 脳改造。
次に第2の個性だが、これが厄介だった。
なんと個性がある人間に、その他の生物を混ぜると拒絶反応を起こすのか、あるいはその変化に肉体が耐えきれないのか、融合が果たせず死んでしまうのだ。
これには非常に困った。
幸運なことに、死んだ人は脳梗塞やら脳卒中などの脳関係の死因として片付けられたようで、俺は新聞やニュースを、毎日バクバクと心臓を鳴らして見ていた。
その経験から第2の個性で改造人間を作るには無個性の人間が必要であり、そして、俺はまだまだ非道に徹してきれていないことを理解した。
結果として、医大を卒業した俺は細々と医者をしながら、自らの傀儡になりそうな人に当たりをつけていった。他にも、蜘蛛男に情報収集をさせて、ホームレスにいる無個性の人間を攫ってもらったりした。
「な、なんだここは!」
「ヒィッ!? 俺たちをどうしようって言うんだ!!?」
当たり前だが、さらってきた人間は軒並みこの反応だ。
病院の地下に作った部屋で惨たらしく叫ぶ我が改造人間候補を麻酔で眠らせて、俺は脳を改造し、ついでに昭和ライダー怪人の定番である敗れたら爆発ができるように体内に爆弾を仕込んでいく。
そして、最後に俺の選んだ生物を混入していく。
「あがっ" あっ" あ"あ"あ"あ"っ"!!!」
ブチブチとミンチ肉の中を掻き分けるようにして、身体のいい無個性の少女にスズメバチが入っていく。
隣の男にはコウモリを。その隣にはカメレオンを。
「ひぎゃああああ"あ"あ"あ"」
「わばぁあ"あ"あ"あ"ッッッ!!!!?」
どんな叫びも俺の耳には耳障りな音として届くも、それは次第に小さくなっていく。
蜘蛛男を含めて、様々な生物と融合して俺の望むような姿となった改造人間達が目覚める前に、俺は別室へと移る。
俺の姿は知られてはならない。知られれば、俺のような自分では何も出来ない愚か者では、ヒーローに簡単に殺られてしまう。
なるべく、俺が悪人とは悟られてはいけない。でも、彼らを導くものが必要だ。
赤の装束を身に纏い、工学部の連中を洗脳して作らせた変声機を取り付けた俺は、次々と改造人間がめざめていくのをカメラで確認した後、マイクへと口を近づけた。
『諸君、お目覚めかな?』
さぁ、俺の理想の第一歩だ。
オリ主(ショッカー首領)
ライダーになれないなら、ライダーを作ればいいじゃない!
個性は洗脳、融合。
大人になったことで洗脳の力は強まり、融合も2つから3つまでできるようになっている。
洗脳は思考を持つ者なら誰でも可能だが、自我が強かったり、強い信念を持つものだと時間を要する他、解除される恐れがある(オールマイト、死柄木、AFOなど)。
融合は無機物だろうが有機物だろうがなんでも可能。ただし人と何かの場合は、無個性でないと死んでしまう。なお、無個性から他者から個性を与えられたものに関しては今のところ不明。
身体能力G
思考能力A
特殊能力A
蜘蛛男
原作では仮面ライダー1号、最初の敵。
蜘蛛っぽいことはもちろん、吐きだす糸には人間を溶かす力がある。
身体能力 B
思考能力 D
特殊能力 C
(A>G)
コラム続けた方がいいですか?(V3まではできてる)
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続けて! 答えは聞いてないっ!
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絶版✩