ライダーがいないので、ショッカーを作りました。   作:オールF

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幕間的なもの。本編に関係は大あり。
拙者、心がないはずのアンドロイドやロボットに心芽生えるが大好き侍。故に初投稿なり。


ヒーロー/偽善者を狩る者

 正義とは何か。

 ヒーローとは何か。

 

 

 答えの出ない問いを繰り返す。

 問われてもいないのに、何故か私が生まれた時から繰り返している問いだ。

 私はとある女性の遺伝子から作られた人造人間であり改造人間。

 身体の中は一般的な人間と異なっており、人工物が100パーセントを占めている。

 そんな私が考えるは正義とヒーローについて。

 どうして考えているのかは分からない。

 バグなのかもしれないと思ったが、大首領に「考えることをやめた時に人は人である意味を失うのではないか」と助言を貰ってからは考えをやめないことにしている。私は普通の人間とは違うが、大首領は私を「人間」と称した。人造人間、改造人間と呼ばれるならば人間だろうと言った彼の偽りのない目を信じた。

 

 

 さて、問いに戻ろう。

 正義とは100人いれば100通りの正義があるのではないか。

 ヒーローとは、誰かを救うために誰かを切り捨てる愚か者の名では無いのか。

 

 

 違う。

 そうであるとも言えるし、そうでないとも言える。

 万人が納得する答えを用意することは出来ても、集団から外れた"個"にとっては正義やヒーローとは否定され、断ぜられるべきなのかもしれない。

 

 

 全ての人を救えるわけでないのにヒーローを語る奴らは何者なのだ。

 正義の味方ならば───────

 正義の代弁者なら全ての悪を払い除けて見せろ。

 全ての悪を打ち倒してみせよ。

 この世の災害からも人々を守って見せろ。

 理不尽に晒されている人々を救って見せろ。

 

 

 そんなことできるはずがない? 

 やってもいないのに否定するな。

 無理かどうかはやってから言ってみろ。

 真にヒーロー足る者を、私はまだ2人しか知らない。

 

 

 その身を世界平和、悪の根絶に捧げる男。ヴィラン討伐数トップにして、ただの人間であるにも関わらず、改造人間と渡り合える力を持つ男。

 

 頭脳明晰、スポーツ万能という天から授かった才ゆえに、改造人間に選ばれてしまった不運な男。しかし、それを恨まず、人類に憂いも憎みも持たずに彼はその身を自分と同じような人間が生まれない為にと人間の自由のためにその生涯を捧げると決めた男。

 

 

 前者は目の前で苦しんでいる人だけでなく、名を呼べば日本のどこであろうと駆けつける。どんな悪も跳ね除けてみせる。どんな災いからも守り抜いてみせる。正義の体現者とは彼のことを言うのだろう。

 しかし、そんな彼でも世界中の全ての人を救うことは出来ない。

 1人が救える量には限度がある。だからこそ、ヒーローは今から未来までを見通して、危険度の高い悪を優先的に排除し、そうでない悪はのさばらせる。

 

 

 かつて、大首領は私に言った。

 正義は悪からしか生まれない。

 悪を倒す者が正義なのだと。

 誰が決めたかは知らないが、合理的じゃないかと。

 しかし、こうも言っていた。

 勝てば正義。負ければ悪だと。

 我々がどんなに世界から憎まれ、恐れられようとも、最終的に勝てば正義なのだと大首領は言った。

 大多数が掲げる正義を全て駆逐すれば、残るのは悪と呼ばれる存在で各々が持つ"正義"を示した者だと。

 ならば、それが新しい正義になるのだと。

 

 

 欺瞞、建前、屁理屈。偽りの虚言。色々と思ったが、確かに。

 誰が決めたか分からない正義よりもわかりやすくていいと思ったのは事実だ。

 

 

 

 だが、私は答えを貰っても未だに問い続けている。

 正義とは何だ。ヒーローとは何だ。

 正義を掲げ、ヒーローを名乗るならばその真髄を見せよ。

 私を納得させよ。

 

 

 

「お前が真にヒーロー(正義)ならば、俺を倒して証明して見せろ」

 

 

 羽を広げ、立ちすくむヒーロー達にそう告げて、私は大首領の命令通りに日本各地にいるヒーローを名乗る偽善者を殺す。ショッカーの改造人間らしく、悪辣に残虐に、凄惨に。ヒーローの仲間や家族、友人たちが恨みや憎悪よりも恐怖を抱くように残酷な死を与える。

 それが今の私の役目、アジャーラレクスとしての志村菜奈の仕事なのだ。

 耳を劈くような喚き声も、許しをこうような命乞いも、私には何の意味もない。

 

 

「や、やめてくれ、お、俺はッ!!?」

 

 

「口より手を動かせ」

 

 

 爪から放たれる爆弾により、人の身体が飛び散って、臓器と骨が混ざりあって魑魅魍魎のように見える。

 身体を引き裂かれたヒーローを見捨てて、自分は生き延びようと逃げるヒーローには身体の穴という穴から血が吹き出すように爆撃を加えた。

 

 

 無意味。

 無意味。

 

 

 個性という異能を持とうが、単純な身体能力で劣っている時点でお前たちは無力なのだ。

 

 

 私の爪でコンクリートの地面が溶ける。足場が無くなったヒーローは海面へと足を滑らせていくが、私には翼がある。だから飛べばいいだけだ。

 それに空から降り注ぐ爆弾はもっと痛かろう。

 

 

「うおおおおぉっっっ!!!」

 

 

 熱を帯びた個性の持ち主が私に向かってくる。1000度を超える高熱。

 あらゆる動物にとって火は恐ろしく、耐え難いものだ。

 だが、改造人間であり、肉体が人工物で作られた私にはバチバチと燃え盛る炎の音しか聞こえない。

 

 

「とっとと、降りて来やがれ!!」

 

 

 氷がどうした。私の心臓を止めるほどの冷たさではないぞ。

 

 

「このバケモンがぁっ!」

 

 雷。

 

 

「吹き荒れろ! そして、消えろ!!」

 風。

 

 

「お前なんかに! 私たちが!」

 

 

 毒。

 多種多様な個性を持ったヒーローたちが私を倒すために一丸となる。

 

 

 けれども。

 無駄。無駄。

 

 

 惰弱な生命に、終焉を与えるのは容易く、断末魔を上げる時間さえ与えない。

 

 

 

「この程度か」

 

 

 その気を出さずとも、片付いてしまう。

 残酷な死を与えようにも、蝋人形のように砕けてしまう脆い身体だ。

 大首領のように趣向をこらそうにもそうする前に死んでしまう。

 しかし、彼らもそれで幸せだっただろうと思う。

 再生能力を持つヒーローは、再生する度に体内のどこかが爆発するように爪爆弾を配してみたが、すぐに謝りだして、最期には自ら死を選んでいた。

 なんとも儚き命だと思うと同時に、大首領の命令を守るのは難しいと思考する。

 

 

 だが、分からないことがある。正義やヒーローについての問いの、私なりの答えではない。

 どうしてヒーローを1人殺す度に、中にいる私は涙しているのか。

 これが───────分からない。

 

 

 

 

 ###

 

 

 

 オールマイトの登場。悪の秘密結社、ショッカーの存在認知。

 これら2つが世界に与えた影響は様々。まずは前者から語るとしましょう。

 

 

 個性を一切公表してないにも関わらず、溢れるパワーに恐れを知らぬような笑顔で市民を救い、ヴィランを退治するオールマイト。その姿に無個性及び科学者の大量誘拐事件という事件や、未だ解決の兆しを見せないビールス事件で市民が抱えていた不安は緩和され、日本だけでなく世界でもオールマイト旋風が巻き起こっていた。

 どんな強敵も災害も跳ね除けてみせる真のヒーローと呼ぶべき存在の誕生に人々は祝福し、希望を抱いた。

 はじめは快く思わなかった一部の市民も、彼に助けられたり、親族や友人の命を救われたとなれば掌を返して万歳三唱。オールマイトを支持するものが激増した。

 それでも世界からのつまはじき者、ヴィランたちは不快感をあらわにしてオールマイトを倒したものこそがナンバーワン。ヴィラン界の頂点に輝けるという風潮が出来上がっていた。

 そんな最中に頭角を現したのがショッカーである。噂では起源は数世紀前の軍属の生き残りとされるその組織が起こしてきた犯罪行為は今や数知れず。誘拐から始まり、殺人に破壊活動、さらには人体改造すらも行っているとされるその所業に真の悪とは彼らのことではないかと囁かれるようになっていた。

 日本では公な活動はとあるマンションでの集団ビールス感染事件以来、姿を見せていなかったが、オールマイトの存在を目の上のたんこぶと認識したか彼に対して攻撃を開始。だが、ことごとく返り討ちに逢い牛男を最後に数週間の間、ショッカーの改造人間を名乗る者は現れていなかった。

 ショッカーの改造人間には全て共通して人と動物の姿を持つ、異形型の個性の持ち主のような風貌であり、さらに腰には彼らの組織の象徴であろうワシをあしらったデザインのレリーフが巻かれている。それがショッカー怪人の見分け方であり、オールマイトが見たという怪人には全て共通していた。

 全員が何らかの動物の姿を持つと同時に、特殊な能力を持っており、その能力に対抗できない一般市民や警察官が犠牲になっていた。それも少数で止められているのはオールマイトの功績であったが、人が死んでから駆けつけるのでは意味が無いと攻撃的な主張をする者もいた。

 もちろん、オールマイトに助けられた存在の方が多くいるため、その主張は少なく、したところでSNS上で叩かれて市民から鎮圧されるのが日常となっていた。

 

 

 さて、話を少し戻してショッカーに移ろう。警察の緘口令により、警察やプロヒーローでも少数しか知らない悪の秘密結社であるが、日本以外の国では存在が認知されつつあった。

 アフリカのある都市ではサボテンを爆弾のように扱う怪物にライフラインが破壊され、壊滅的被害が起こり、ヨーロッパでは伝説の雪男・スノーマンなる怪物により登山客の死者が多数報告される事態となっていた。

 世界は個性発現黎明期に暗躍していたとされる魔王の仕業だとはじめは思っていたが、日本政府からもたらされたショッカー怪人の特徴であるワシのレリーフがサボテン怪人の身体に付けられていたことで判明した。

 この他、生物や植物の特徴を持った怪人の存在が次々と報告され、ショッカーの攻撃は全世界へと及んでいることが分かり、日本政府は日本中の警察組織とヒーローへとショッカーの存在を公表することを決定した。

 公表の場を設けたその後、恐ろしい出来事が起きていたのが発覚した。気づいたのは九州の警察署で、とある県を拠点に活動しているヒーローの数が大きく減っていたのだ。九州警察は一丸となって、行方不明となっていたヒーローを探し出した。そして、見つかったのは。

 

 

「なん、だ……これは」

 

 

 港にあるコンビナートで多くの血溜まりが固まった痕が発見され、その周囲には多くのヒーローらしき死体が転がっていた。身体の骨や臓器が抜かれたように皮膚だけになった者。逆に骨だけにされた者。頭部や身体や腕がバラバラとなった者。惨い者は細かく刻まれて海に落とされており、パクパクと外来種の肉食魚が喰らっているのが発見された。

 

 

「これもショッカーのヤツらの仕業なのか……?」

 

 

 どれもこれもほとんど顔が判別できず、誰が誰なのかさっぱりな者がほとんどであった。ざっと死体を数えただけでも6人。もし、これもショッカーの仕業なら、プロヒーロー6人を相手取って圧倒したという結果になる。

 このままいけばショッカーの勢いは止まらず、さらにはショッカーを信仰するもの達も現れるだろう。他にもショッカーを名乗って悪事を働くものも出てくることも考えれば、政府や警察がすることは山積みであった。

 

 

「上と特殊犯罪対策班の見解に期待だな」

 

 

 組織の一部でなんの力もないと自負している刑事はそう呟くと、現場を立ち去った。死肉の匂いと、悪の大気が込み上げるような現場からは早く離れたいというのが彼の率直な気持ちであった。

 一方でその刑事に期待された特殊犯罪行為班は眉を潜めていた。ショッカー怪人は確かに強力な力を持っているものの、オールマイト1人で倒せるレベル。つまりは能力の差異はあれどプロヒーローが5人もいれば倒せるのではないかというのが彼らの予想であった。

 

 

「でも、犯人が1人とは限らないね」

 

 

「なんなら、ショッカーかも怪しいでしょこれ」

 

 

 福井の言葉に続くように渡真利が言うと、他のメンバーも頷く。

 

 

「今まではオールマイト狙いだったんですよね? それが急に九州でヒーロー殺しなんてしますかね?」

 

 

「さぁな。ヴィランってのはいつだって神出鬼没だし、何をするか分からない」

 

 

「でも、ショッカーの仕業にするには早計すぎますね」

 

 

 後輩である珂神の言葉に渡真利が肩をすくめると、後藤が福井へと目を合わせる。

 

 

「……まぁ、九州のこともあるけど、オールマイトが見た仮面ライダーの件も片付いてないしね」

 

 

 福井は困ったような顔をしながら、オールマイトが見たという仮面ライダーの姿を描いた絵を持ち上げる。オールマイトに絵心がなかったためか、詳細はよく分からない。黒いボディに赤い目とマフラーが特徴なのは分かったが、それ以外のことは一切、何も分かってない。

 "仮面"と自らを称していることを考えれば、マスクの中には誰かいるのだろうが、それが誰かなのかは不明である。人類の味方であることはハッキリしているようだが、蜘蛛男や戦闘員といい証拠がなければ捜査もできないし対策の講じようもない。

 進展の見えない話し合いにため息をついた一同は、窓の外を見やった。自分たちがこうした不毛な話し合いをしている今もショッカーは活動しているのかという不安が彼らを苛ませていた。




仮面ライダーが出てきたところでショッカーは止まんねぇからよぉ……! けど、原作も世界征服進めてたけど日本で苦戦して、そこからジリジリとって感じだったからこれからですよ! ガハハ!
感想で何回も言うの疲れたから言いますけど、首領が目指してるのは特撮版で、漫画とか小説はNothingです。まぁ、ここに宇宙人とか未来人、超能力者が干渉してくるのは首領の予見するところではありませぬが。


昭和ライダー知らない人のためのコラム
仮面ライダーV3/風見志郎
ズバッと参上、ズバッと解決、怪傑ズバット! ジャッカー電撃隊のアオレンジャー!(違う)



真面目な解説はこちらから⤵︎ ︎
仮面ライダー第3号。ゲルショッカー壊滅後に首領が組織した悪の秘密結社デストロンによって、瀕死の重傷を負わされた風見志郎は1号、2号による改造手術を受けて、仮面ライダーV3となった。26の秘密があるんだとか。しかし、子供ウケが悪かったので全て判明したのは本編終了後のゲーム作品や雑誌など。1号の技と2号の力を受け継いでいる。
ベルトはダブルタイフーン。愛車はハリケーン。また追跡、索敵などに役立つV3ホッパーが腰部についている。
変身者は前述の通り、風見志郎。城南大学の本郷猛の後輩。不運にも黒塗りの秘密結社の悪事を見てしまったが故に、家族を皆殺しにされてしまう。ちなみに家族構成は犬がいない以外は国民的5歳児と同じ(父よ、母よ、妹よ)。初めは家族を殺された怒りから改造人間にして欲しいと1号、2号に懇願していたが、改造人間の悲しみは自分達だけで十分と2人に跳ね除けられる。しかし、彼らの窮地を救ったことで重傷を負って、結果的に改造人間となり、デストロンと戦うことになる。
器械体操をやっており、マットの白い豹という異名があった。バイクの運転技術も高く、柔道、空手、剣道の有段者でもある。
性格は陽気で、他者を傷つけないために距離を取ることもしばしば。だが、V3になってから人間的成長があり、困った人々や後輩ライダーへの協力は惜しまず、また過去の自分と同じくデストロンへの復讐心に駆られていたライダーマン/結城丈二に正義の心を説き、さらに彼に仮面ライダー4号の称号を与えている。
デストロン壊滅後は1号、2号と同じく日本を離れてことごとく現れる悪の組織と戦っている。次作の仮面ライダーXでは、クモナポレオンにやり重傷を負わされたXライダーに、本郷猛の後輩らしく強化改造手術を施している。また客演なのに、その時の主役ライダーを食うほどの活躍を見せる。ストロンガーでのバイクに乗った状態での変身は興奮しかないので是非とも1度見てほしい。
平成作品での登場は昭和平成のお祭り作品がほとんどだが、当時の中の人(宮内洋氏)が声を当てているのはレッツゴー仮面ライダーのみ。また完全に余談だが、仮面ライダーアクセル/照井竜と重なる部分が多い(ダブルライダーに救われる。家族を殺される。はじめは復讐心で動いている……など)
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