ライダーがいないので、ショッカーを作りました。   作:オールF

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感想や評価が来たので初投稿です。
急いで書いたので誤字脱字などあると思われますが何卒。
2020/10/29 21:00 タグ追加(オリジナル設定など)


ショッカー始動

 ショッカーを結成してから早数年、秘密結社という体裁を保ちつつ、俺は怪人を使って悪事を行ってきた。

 その過程でいくつか俺は気づいたことがある。

 戦闘員がいない。

 ショッカーといえば〜? と聞いたら確実に出てくる黒ずくめの衣服に骸骨の意匠が表されたのを着て「イーッ!」と高らかに手を挙げてる奴らがいないのだ。

 これはまずいと俺はすぐさま集めようとしたが、無個性の人間よりこちらの方が難儀であった。

 まず、戦闘員とは怪人より弱く、そしてベースが一切存在しない。ショッカーがゲルダムと結託して生まれたゲルショッカーならば、ゲルダムの過酷な訓練を受けた上で特殊な薬を服用している真人間からパワーアップした戦闘員がいる。

 しかし、ショッカーやデストロンはおそらく、そのまんまの改造人間。ちょっと身体能力を強化して、上司である首領や怪人の言うことを聞いては、無惨に仮面ライダーやその相棒のFBIやおやっさんにやられるだけの役だ。

 そんな言葉にすると同情の念を浮かべてしまう彼らだが、仮面ライダーを作る上では必須である。本郷猛のバイクを横転させたのは蜘蛛男だが、彼を連れ去ったのは戦闘員のはずなので確実に必要となる。

 けれども、無個性の人間は怪人の素体にしたいからなるべく使いたくないし、これ以上攫うと流石に警察に感づかれてしまう。

 

 次に幹部の不在である。

 これは戦闘員は暇を持て余している野良ヴィランをヴィラン専門のブローカーに紹介してもらおうとなった時に、秘密結社の親玉自ら行く訳には行かないだろうとなって思い至った。

 ショッカーには首領の命令に従う怪人よりも偉い存在、幹部がいたのだ。その幹部のどれもが高い知性や戦闘能力に加えて、強力な怪人に変身できるという、敵ながら心の高まりを感じてしまうような設定を持っていた。

 俺の個性では、無個性を強力な怪人にできる反面、力の反動のためか知性が欠ける傾向にある。命令には従順であるが、仮面ライダーに出てきた一部の怪人のように、簡単に嵌められて情報を引き出されそうなやつが多い。

 一番知性的なのは、カメレオンの能力を付与されたことで、景色に溶け込みながら移動のできる死神カメレオンなのだが、残念ながら人間体に戻ることは出来ない。

 ゲルショッカーには、死んだ人間の身体に乗り移るという能力を持つものもいたが、原理が不明な上に今の俺の個性ではどうにも難しい。

 序盤は怪人が幹部を兼ねていたし、暫くは死神カメレオンに些事を引き受けて貰うことにした。

 

 

 俺の力が強まれば、元の人間体と新たな怪人の身体の切り替えができるようになるかと楽観視していたが、それでは仮面ライダーが作れないではないかと気付いて俺は焦った。

 仮面ライダーはバッタの能力を埋め込まれた、というよりは付与されたといった方が近い。

 おそらくは脳改造をされる寸前だったため、怪人バッタ男になる前だったから、人間と仮面ライダーで容姿を切り替えることが出来たのだと思う。

 これを考慮すれば、脳改造をせずにバッタと融合させればいいとなるが、本郷猛や一文字隼人には改造人間であるが故に身体機能以外にも聴覚や嗅覚、視覚などの五感が強化されている描写が多々あった。

 つまりはバッタを付与するだけでは、ただのバッタ男であり、優秀な身体をさらに強化する必要があるのだ。

 俺はこれを知って、すぐさま人体改造の研究に取り組んだ。一からやるのでは時間がかかるので、洗脳を用いて人体手術のエキスパートからその技を見せてもらい、真似ることにした。

 それに3ヶ月もかかったせいか、戦闘員はかなり集まっており、そいつらを実験体にしながら、肉体改造に着手した。

 その際にヴィラン専門のブローカーから人工筋肉を購入していたので、それらを用いて戦闘員を作り出した。もちろん、その時に脳改造するのを忘れない。

 だが、戦闘員第1号が思いのほか強くて、これ怪人でも苦戦するのでは……? となってお蔵入りになった。

 今回は他の生物を混ぜていないから、あまり難しくなかったものの、人工筋肉の搭載数や密度で力が変わるので、第1号を参考に常人より僅かに強いレベルにしておいた。

 個性がある今では常人について考えると哲学に発展しそうだ。ひとまずは改造人間が3発殴ったら死ぬくらいの耐久性だと思ってくれたらいい。

 

 

 諸々の問題が片付いたところで、やっと悪の秘密結社らしいことを始められそうだと思った頃、俺は世界征服に向けて具体的なプランを練ろうと、社会情勢への理解を深めるのも兼ねて新聞に目を通していく。

 しかし、これといって目立った情報はない。

 夫婦のヒーローが殺されただとか、新ヒーローの誕生を祝うものだったりと、前世での新聞とは近いようで大きく離れている。

 政治についても触れられているし、スポーツも1面のみだがあるにはある。天気予報や番組表一覧に関してはあまり代わり映えしていないが、やはりヒーローに関する記事が多いように見える。

 

 

 このままだと、ヒーローばかりが脚光を浴びる世界に不満を持つヴィランの連合組織が出来そうだなと顎に手を添える。その前にショッカーの力を磐石なものにして、警察の上層部とかに「何かしら」の存在感はアピールしておきたい。

 確かショッカーの作戦は、有名な研究者の誘拐とか、改造人間候補の優秀な人材の誘拐……誘拐ばっかだなこいつら。

 あとは、サボテンとか死の霧……紀伊半島に秘密基地……うーむ、世界征服とは一体。

 いや、一応あるにはあったが、途中から打倒仮面ライダーにシフトしていたせいもあるし、そんなので世界征服できるのかよって作戦が多かったような気もする。

 世界中の火山を噴火させるというのがあったけど、それはショッカーも沈むのでは? という疑問にぶち当たったし。

 

 

 ひとまずは日本とか世界征服よりも先に、仮面ライダーを作るまでの準備としてショッカーの名を世の中に知らしめたいところだが、あくまで秘密結社なので、穏便にやるとしよう。

 手始めに、有能そうな科学者の誘拐からだな。

 

 

 

 

 ###

 

 

 

 とある警察署の一室。

 そこにはまだ警察官になって日も経っていない男と、これからヒーローとして世の中に名を知らしめることになる大男に、そのヒーローを頭脳面で支える細身で眼鏡をかけた男がいた。

 彼らの目の前に置かれたホワイトボードには、いくつかの資料が貼られている。そこには警察署周辺で多数報告されている行方不明者のデータであった。

 

 

「これは……多いな」

 

 

 呟いたのはメガネの男だ。3ヶ月前まではヴィランと呼ばれる存在のせいもあって、年々上昇していたにしても警察が目を光らせていたおかげか行方不明者の数は抑制されていた。にもかかわらず、ここしばらく行方不明者の数が増加していた。

 

 

「ほとんどが無個性やホームレス……狙うにしてはやや不可解だ」

 

 

 不可解な点は2つ。とある男の存在もあって、優秀な個性を持つ人間の誘拐ならば、理解が及ぶものの何の個性もない人間を攫うというのはこれまでに例がないことであった。今や、超常社会が当たり前となっている世界で、無個性の人間は旧世代の人間として扱われている。

 加えて、ホームレスという資産を持つわけでもない人間を攫うことのメリットが全く読めない警察官はこの目的の分からない犯罪行為に眉を顰める。

 

 

「強い個性ならば奴が餌食にするのはわかるんだけどね」

 

 

 そう言いながら大男は視線を右にスライドさせる。ホームレス以外にも、報告されている行方不明者には優秀な個性持ちや頭脳明晰な科学者達も含まれていた。

 しかし、優秀な個性持ちとホームレスや科学者を攫っている人間は別の者であるというのがこの部屋にいる人間の総意だった。

 

 

「片方はキミの言う通り、奴と見て間違いないだろう」

 

 

「しかし、ホームレスや科学者の誘拐は別人。それもグループによる可能性が高いな」

 

 

 警察官に続いてメガネの男が言うと、さらに資料が付け足される。調べてみれば驚くことに優秀な個性持ちの行方不明よりも、日本中から様々な科学者とホームレスがさらわれていることが分かった。

 

 

「所轄の人達に協力してもらったからこれだけのデータを集められたが、まだ行方不明者は大勢いるだろうね」

 

 

 もしかすると、無個性の人間たちが集まって個性持ちに対する反旗活動をするのではと睨んだ警察官に、メガネの男が頷いてみせる。

 確証は得られないも、流石にこれだけの行方不明者が確認されているならば、警察として、ヒーローとして、正義の味方を名乗るものたちだからこそやらねばならない。

 

 

「とりあえず、僕たちに今できることは、無個性の市民と、優秀な研究者の保護。協力が無理そうなら監視という形でもいいだろう」

 

 

「しかし、守ってばかりでは解決にならないぞ」

 

 

 警察官の提案に大男が真剣な顔で意見する。だが、それくらいは警察官にも分かっている。情報が少なすぎる今、やれることは少ない。それでもやれることは確実にやり遂げねばと彼の顔が引き締まる。

 

 

「ああ、分かっているさ。だから、彼らを保護、監視していれば何かしらのアクションがあると思う。なければ、被害者が減るし、あればこちらは手がかりを掴める」

 

 

 他に有用な手があるわけでもなく、大男とメガネの男は警察官の言葉に首肯すると、ひとまずの方針が決定する。それから直ぐに、今のところ被害に遭っていない無個性の人間や研究者のところへと多くの警察官が事情を話して、保護を申し出た。

 受け入れたものも居れば、自由を制限されると無下にした者もいる。そんな者には、彼らからバレないように遠くからの監視と地域ヒーローとの協力により被害を抑えつつ、敵の詳細も知るという作戦に至った。

 

 

 だが、それでヒーロー達は知ることになる。

 未知の存在を。

 個性で生まれた命ではなく、作られし異形の命を。

 自分たちとは相容れない真の怪物を。

 

 次回 怪奇蜘蛛男




ホームレスだけを攫っていれば、警察にも気付かれなかったのに……

コラム続けた方がいいですか?(V3まではできてる)

  • 続けて! 答えは聞いてないっ!
  • 絶版✩
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