バニラ   作:トンカラリン

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ローズヒップティー

抱きしめられてるのが少し恥ずかしくて

それを認めたくない素直じゃない私、て分かってる

わかってるけど…

「帰って、もういいから」

俯いてた。

嵐が怖いのに男の人が居る安心感と彼への恥ずかしさ

「薬飲んで下さいよ」

なんか強引に手を引かれて顔を上げたら

だめですよ て目が言ってる

気まずい一瞬が過ぎて彼の目が逸れてほっとした。

 

少し置いてプチっプチって何か音が風の音に混じって聞こえた後

いきなり変に甘いとろ~としたのが口に入ってくる

重なった唇の向こうから。

衝撃でどこかに飛んでく不安と・・・期待のマーブル

 

「何すんのよー!!何飲ませたの???」

唇が離れた瞬間、叫んだ、だって濃いキスなんだもん

「あのままだったら、ナナさんがどっか行きそうで、俺も怖かった」

「えっ?}

いつから「ナナさん」になったのよ、て悪態ついてからそう呼んでいいよて言ったの私だ、と思い出す。

そう言えば精神科に入院するかも、というその日も一緒に居てくれた。

あの時は何をしてもぼんやりして、何もできなくて

誰からも要らない子になったみたいで、死にたいて思ってた。

傍にいるこの男すらどこか鬱陶しいのに、でも一人になりたくない私もいてなんか悔しかった。

 

 

私は少しボウとしながらも風の音は相変わらず窓を叩いてて

気がつくととなりで男が本を読んでる。

「おなか 空いた・・・かも・・・」

霞がかかった頭で・・・そう思ったら

 

男は、キッチンに立って暖かいお茶を淹れてくれた。

 

入れてくれたお茶の香りでローズヒップと分かった

私のお気に入り、和んじゃう香り。

「あんなちっちゃな声で言わなくてもいいのに素直じゃないですよ、でもちゃんと食べてない人は、先ずお茶ですよ。

あとなんか冷蔵庫の物で作っときますね」

しゃべったんだ???私お腹空いたて…恥ずかし

 

「???・・・・・・・ありがと・・・君はいいの?」

 

「それ、ちょっと酸っぱくて苦手かも・・・」

「ふーん。」

ぼんやりと見つめて、感情のない返事したら、ちょっと慌てた素振りで

 

「あっ、でも慣れるかもしれないですね、砂糖入れたらいいか・・・」

その日から男のお茶には砂糖が入った。

「好きにすれば???」

 

お茶をもう一口飲も…

 

 

***********

 

朝、重い頭が

「昨日の服きてる」事にきがついた 

 

そのままのっそり起きて、ふわ~とした足でリビングへ

ふと見たテーブルにメモ書き・・・・・

 

「ムリしないで、ちょっとでもいいから食べて下さい」

 

ラップのかかったお皿にはシチューがあった。

溜息のあとで、グラスを浄水器の下に置いて、コポコポ音立てて水を満たしていくのを見てた。

 

コクっ・・・

 

「 また 生きてる 」

それは絶望のいとこ位の言葉になってて、ちょっと気が楽。

 

あっ !! キスされた!!!

鮮明な記憶・・・・・・薬ポーチを開けるとロヒプノールが

「えっ?」

3つ足りない。

「やっぱりかぁぁ、ハズ・・・ にしても3個て・・・」

 

頭の重いフラフラ感はそのせいかと納得。

 

私が鬱になった理由なんて、良くわかんないし、そこから過呼吸を起こすようになって

母と一緒に病院に行った。

暫く仕事をしないように言われて、薬を貰ってその晩は実家で寝かさせらた日から

1年位たった今も

今も過呼吸はあるし、夜はお酒を飲まずにいられない時もある。

 

荒んでる自分に酔ってるような毎日。

 

「そっか、私またやっちゃったんだ・・・」

こんな自分やだなぁ、でも、

良く眠剤分かったね君

一つでいいのに、て 

 

ぼそぼそ独り言しながらクスっと笑ったら

別なフワフワが心を柔らかくして

 

ドキドキしながらお水を一口飲んだ。

 

レンジにお皿を入れて

テレビをつけた。

 

 

外は風の強い朝。

天気予報で春一番を知った。

 

 

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