海渡る願い   作:哨戒艦艇

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艦娘のセリフ回しを考えるのが一番難しい。


第11話

 哨戒任務の準備のために工廠に集まっていた吹雪達は驚きを隠せない。工廠がいつのまにか広くなっている。そして自分の艤装が新品とまではいかないが、損傷が明らかに修理されており、見違えている。思わず自分の物なのかと再確認したくらいだ。食堂の厨房といい、いつの間にリニューアルされていたのか皆目見当もつかない。

 

 

 「明石さんこの艤装本当に私のなんですか?」

 

 

 「そうだよ吹雪ちゃん。これは正真正銘吹雪ちゃんの装備なの!詳しい理由は言えないけど提督が大幅な方針転換をしたみたいでね。それでみんなにしっかりとした装備をって話になってそれでこうなったって訳!」

 

 

 「一体どういう風の吹き回し?すごい今更感が強いけど。前までは私たちに碌な装備や修理をうけさせてくれなかったのにさ!」

 

 

 急な方針転換に戸惑いを隠せないのかそれとも提督に対する怒りからなのか川内は不満を垂れていた。川内姉さん!っと神通が抑えるように宥める。いつ提督がきて耳にはいるかわからないのだ。口を慎めと言わんばかりだ。

 

 

 「なにはともあれ水雷戦隊にとってはありがたいことに違いありません。ここは喜んでつかわせてもらいましょう。」

 

 

 「はっ!あの提督のことだから艤装に火薬をつませて特攻させるんじゃないの!?私は信用できないね。」

 

 

 「姉さん。その発言は流石に聞き捨てなりませんよ。確かに今までのことを考えるとそれもあり得ない話かもしれません。ですが明石さんがそのようなことをするようにみえますか?その発言は明石さんも侮辱してるようなものです。ここはしっかりと明石さんに謝ってください。」

 

 

 「・・・・軽率な発言だった。ごめんね明石。」

 

 

 ハッとした川内はすぐに明石に謝ると気まずそうに頬をポリポリとかいた。そうだ。明石は自分たちが負傷して帰ってきたときも寝る間を惜しんで修理をしてくれたではないか。その明石が長としてこの工廠を担っているのだ。当然艤装に関してもチェックをいれているはず。そんな大事なことを私達に伝えないはずがない。自分の浅はかさに情けなさを感じつつ頭を再び下げた。

 

 

 「いえいえ!大丈夫ですよ!確かに今までのことを考えるとこの待遇は戸惑うかもしれません。私も実際そうでした。詳しい理由は機密のため話すことはできないですけどきっとこれから私たちの待遇は改善されていくと思いますよ!実際に食堂の厨房やここをみて期待できると思いませんか?」

 

 

 確かにこの話が嘘であればわざわざ私達をだますためにここまで大がかりなことをするだろうか。そんな予算や資材はないはずだ。ともなれば本当に信じていいのだろうか。

 

 

 「明石さんを信じてみましょう姉さん。これだけ立派な装備であれば仮に戦闘となっても再び戻ってくることができるはずです。」

 

 

 「そうだね。神通の言う通り。ここはありがたくつかわせてもらうとすることにしよ。よし!準備ができ次第哨戒任務に行くよ!」

 

 

 気を取り戻した川内は神通とともに艤装の確認のために明石に装備の詳細を尋ねていく。改良された主砲だけでなく魚雷、しかも酸素魚雷だ。それに水偵、電探、機銃まで用意されているときた。フル装備で出撃など今まであり得なかった。逆に使いこなせるかどうか心配になってくる。しかしその弱気な気持ちを吹き飛ばしてくれる心強い助っ人がいることに気が付いた。各装備にはそれぞれ妖精がサポートとしてつくため一緒に出撃してくれるのだ。出撃の際、妖精は光となって艦娘の体内に吸い込まれるように消えていく。頭の中に響く妖精達の士気高い声に励まされた川内と神通は戦意が高まっていくのを感じた。これなら哨戒どころか戦闘に即移っても勝てる!そんな風に思えてならないのだ。

 

 

 同じように吹雪達駆逐艦用の装備の説明を聞いて喜んでいた。今までは申し訳程度の単装砲だけしか支給されなかったのに対し、立派な装備を使っていいと言われ喜ばない艦娘などいないだろう。酸素魚雷はもちろん連装砲や電探、そして機銃と戦える装備をもらえる。おまけに明石と妖精達によって整備された艤装は以前のように不調を起こしそうな感じではない。やったね睦月ちゃん!同じ水雷戦隊に属する睦月に対して笑顔がこぼれる。他の駆逐艦たちも明石に矢継ぎ早に質問をし、上手く使えるかな?と小声でつぶやいたりしていた。しかしその顔は心配する発言とは裏腹に笑顔が見える。明石も頑張ったかいがあったと笑顔で見渡していた。

 

 

 工廠のとなりにある出撃所に向かう。重機で艤装をとりつけてもらうと妖精達も光となって艦娘達に乗り込む。

 

 

 「第一水雷戦隊、旗艦川内。出撃するよ!」

 

 

 「第二水雷戦隊、旗艦神通。出撃します!」

 

 

 第一水雷戦隊は川内、吹雪、睦月、島風、響、霞。第二水雷戦隊は神通、時雨、夕立、雪風、曙、電という布陣だ。出撃してしばらくすると、装備をつんでいるのに前より早い!旋回が滑らかにできるよ!とみな思い思いの感想を述べていた。明らかに修理前と違う艤装の感触に違和感は感じるもののすぐになれるであろう。程なくして分岐点につくとそこから二手に分かれて哨戒を開始する。それぞれの旗艦は水偵をとばすと陣形変更の訓練をしながら哨戒任務についた。

 

 

 少し遅れて空母組が工廠にやってきて川内と同じような感じで不満を口走っていた瑞鶴と翔鶴をなだめながら説明をうけていた。赤城に言われ了承はするもどこか納得がいっていない様子だったがまぁそこはいいでしょう。おいおいわかる話なのだから。と言い聞かせ赤城を中心に空母達は不知火と朝潮を護衛としてつけて近海の海に訓練のために出撃していった。補充された艦載機は九九式艦爆機や九七式艦攻ではなく、彗星、天山といった名前の物だ。ゼロ戦とよばれる零式艦上戦闘機も紫電改二という名の戦闘機に生産ラインが変更されたみたいだ。赤城と赤城隊の妖精達は見慣れない艦載機に説明を受けた際多少混乱はしたものの、そこは歴戦のパイロット達、何度か発着訓練や自由に操縦すると感覚をつかんだようだ。

 

 

 『ゼロには悪いがこいつはいい。機銃も強力になってる上に、速度も上がっている。新兵にはもったいないぐらいいい機体だ。』

 

 

 操縦している妖精が品評会をおこなっていると同じように彗星や天山のパイロット達からもこっちも上々だ。と無線がはいり、赤城は満足げに様子をみている。対して翔鶴や瑞鶴のパイロットはいまだになれないのか発着訓練でぎこちなさがとれないみたいだ。瑞鶴は簡単にこなしてしまう赤城とそのパイロット達に少しばかりの嫉妬心を胸に感じつつ黙々と数をこなしていくのであった。

 

 

 

 




艦載機関係についてもしっかり勉強しないと細かい描写ができないので資料を見ながら書き込んでいます。詳しい方がいれば、ご指摘していただければ幸いです。この艦これの世界では空母達の戦闘方法は発艦は弓などで行い、帰艦はそれぞれ装備している甲板を使って着陸させて着陸後、光となって元に戻るというシステムです。
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