海渡る願い   作:哨戒艦艇

13 / 64
戦闘描写はとても難しい。


第12話

『敵の艦隊を捕捉!方角は200から220!距離80000!数は戦艦級1!重巡2!軽巡2!駆逐が6の模様!』

 

 

 

 「このままではまずいですね。まず通信妖精は緊急電を!鎮守府の提督に指示を仰ぎましょう。」

 

 

 

 戻ってきた水偵の情報を伝えるため司令部に連絡をつなぐ。提督の指示を仰ぐ必要がある。このまま戦っても火力、人数の差で押し切られるのは必然だ。一度撤退を行いたいが、自分の要望は届くことはないのだろう。半ばあきらめの境地にいる自分がいる。1隻でも多くの敵を沈め華々しく散ること。恐らくこの答えが返ってくることは明らかだ。自分の分まで生きてと沈んでいった妹に遭える時がきてしまった。先に那珂ちゃんと会えるのは私が先になりそうです姉さん。と心の中でつぶやく。しかし現実は悲観に浸ってる時間を与えてはくれない。鎮守府の司令部に連絡がつながるまでのこの短い時間がとてつもなく長く感じた。 しかし下った命令はいつものような命令とは全く違う内容だった。驚きのあまり無意識に再確認をするぐらいその時の私は驚いていただろう。

 

 

 

 「本当でそれでいいのですか?提督。」

 

 

 

 いいもなにもそんな戦法では困るんだよ!神通からの再確認がくる。そんな作戦をとっていたら装備をどれだけ新調しても足りないだろうが。緊急通信が入り、長門と大淀とともに作戦室にはいり、大淀がなにやら機械をいじって神通の声が私と長門にも聞こえるようにしてくれた。ようはハンズフリー状態だろこれ。内容は敵を発見したが敵はこちらの戦力よりも多く、現状ではやられる可能性が高いが、いつもの通りの作戦でいいのかということだった。いつものってなんだ?と長門に小声で聞くとデコイ作戦とでもいうべきか囮作戦の戦法を教えてくれた。戦艦はあとから出撃する重役出勤ってことか。弾薬など消耗させた敵を倒すのは確かに容易いことなのかもしれないがこの戦法はもう使わないと決めているのだ。神通に数分だけ待ってほしいと伝え、長門に相談する。大淀は通信を切り替えこちらの声が神通に届かないようにしてくれた。相変わらず気が利く。

 

 

 

 「ここは一旦ひいて川内との部隊と合流させ、せめて数で有利をとれるようにするのはどうだ?火力がちと足りないかもしれないが合流させる間に赤城たちに指示をだし援護をもらえばいけるのではないか?」

 

 

 

 「その作戦でおおむね間違いはないだろう。私はその作戦に賛同するぞ。」

 

 

 

 てっきり自分も出撃するぞと言い出すと思ったが意外な言葉が返ってきて驚いた。

 

 

 

 「提督が我々を信じてくれるのだ。私も仲間を信じないでどうする。それに赤城たちがいれば大丈夫だ。あいつは結構な手練れだぞ。」

 

 

 

 長門が言うならば私からは何も言うまい。私とてこれが初陣みたいなものだ。スクランブルでだしたとしても戦闘に間に合うことはまずないだろう。これからのことを考えてもやはりここはこの状況を乗り越えてもらう必要がある。しかし皆が帰ってくることを祈ることしかできない私はなんと無力なのか。大淀に通信を再び開くよう指示をだすと作戦の旨を伝えた。了解しました。感謝します提督。とほっとしたような声を最後に通信をきる。急ぎ川内につなぎ同じように作戦を伝えたところ、神通以上に驚いていたが直ぐに気を取り戻し、合流地点に向かいます!と張り切っていた。この分なら士気も高く、そう簡単にくじけることもないだろう。後は赤城達がまにあうかどうかだ。

 

 

 

 「提督からの指示をみなさんに伝えます。速やかに反転し指示された合流地点に向かい、川内たち第一水雷戦隊と艦隊を再編成し川内を旗艦にし指揮をとるようにとのことです。つまり一旦逃げて川内姉さんの艦隊の指揮に入れとのことです。」

 

 

 

 第二水雷戦隊みんながざわつく。どういう事なのだ?今までの戦闘パターンとまったく違う。哨戒任務中に敵と遭遇した場合はそのまま交戦し消耗させ、あとから増援できた戦艦などの部隊がとどめを刺すといういわば前座役、敵を確実に倒すためのコマとしか見られてなかったはずだ。装備の件といいなにか今までとは違う。しかしどうあれみんなの命が助かる可能性がでてきた。このまま命令に従っても罰が下ることはないはずだ。なにせ提督の命令なのだから。混乱状況にあるみんなをまとめ、追いつかれる前にここを離脱して戦力を立て直さねば。那珂ちゃんに会うのはまだ先になるかもしれない。前言撤回ですと心の中でつぶやき皆をまとめて合流地点を目指していった。

 

 

 

 「第一次攻撃隊、発艦してください!」

 

 

 

 訓練中の艦載機を戻し、補給をすませ爆撃機と艦攻機を発艦させる。提督からの通信を受けた後、速やかに皆に状況報告をすませる。腕がなるわっ!と意気込む瑞鶴としっかりするのよ翔鶴。と自分を鼓舞する翔鶴。実践経験こそ少ないものの2人とも歴とした空母である。赤城航空隊に続いて2人の航空隊も次々と発艦し、敵艦隊めがけて飛び立っていったのだった。情報によると敵空母がいないはずだがもしやがあるかもしれない。念のため護衛に戦闘機を発艦させ、艦爆、艦攻を目標地点まで護衛するように指示をすると、戦闘機部隊の隊長妖精から任せてくれと頼もしい言葉を残し飛び立っていった。

 

 

 

 『まさかこんなに早くお披露目会がくるなんてなぁ。腕が鳴るぜ!』

 

 

 

 『しかも相手は空母がいないって話だぞ。対空にさえ気を付ければ後はもらったも同然だ。』

 

 

 

 飛行中の赤城隊の会話は緊迫した様子のかけらもなかった。それどころか敵を求めてうずうずしている。常に最前線で戦ってきた経験が自信の裏付けになっているのだろう。やってやるという強い意志を誰もがもっていた。そんな赤城隊とは逆に翔鶴隊と瑞鶴隊のパイロットは緊張していた。再編成されたばかりのため初陣の者が多く、操縦桿を握る手は固いままだった。

 

 

 

 『おいルーキーども。やけに静かじゃねぇか。怖くなったのか?』

 

 

 

 自分たちはわいわいと話しあっているのにあっちの隊のやつらはやけに静かだ。問いかけられて少しおくれたテンポで無線に返事が届く。

 

 

 

 『自分は緊張などしておりません!自分たちだってパイロットです!なにがなんでも戦果をあげる覚悟です!』

 

 

 

 『いいかルーキー。戦果を求めて絶対に命を粗末に扱うんじゃねぇぞ。先陣は赤城隊が預かる。今のお前たちの目標は生きて帰ることだ。戦果は二の次だ。経験を積めばおのずと腕は上がってくるもんだ。生きて帰ってくるたびにみっちりしごいてやるからな。だから絶対に生きて帰るぞ。』

 

 

 

 は・・はっ!!とあいつらの顔をみなくても敬礼している様子が目に浮かぶ。かっこつけた手前先輩としていいとこ見せなきゃな。間もなく敵艦隊を発見すると赤城に突入する旨を打電する。悪いが水雷戦隊の嬢ちゃんたちには手柄を譲るつもりはないぜ。予想通り敵機の妨害がなかったのをいいことに、爆撃体勢にはいる、敵艦隊の手厚い歓迎を受けながら目標にぐんぐんと近づいていく。

 

 

 

 『手厚くもてなしてくれたんだ。こっちもお礼にプレゼントをあげなくちゃなぁ!!』

 

 

 

 弾幕の中、次々と急降下して爆弾を落としていく彗星。今回は25番のため少し威力が低いのが悩みだがまぁよかろう。全弾命中とまではいかないが、戦艦と軽巡2隻を沈める大戦果だ。その様子を見ていた後続の新兵たちも活気づく。

 

 

 

 『流石先輩たちだ!よし!我々も負けてられんぞ!翔鶴隊も後に続け!』

 

 

 

 先行した赤城隊がヘイトをとりつつ何隻か沈めてくれたため、対空も薄くなっている。これならばと続く天山の魚雷も大きな水しぶきと爆発を起こし敵駆逐艦を沈めていくのであった。  

 




彗星が水平爆撃できるかどうか調べたのですが結局わからずじまいでした。仮に水平爆撃ができるのであれば、すこしだけ展開は変わっていたかもしれません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。