赤城が不安そうな様子でこちらを見つめている。昨日のうちに軽くでも事情を聞いておけばよかったと後悔するはめになった。なにせこの加賀という艦娘が何故このような状態なったのかが全く分からない。ましてやどのような性格をしているのかもわからない。加賀は挨拶を終えるといかなる処分も受け入れます。といい目をつむっていた。完全に私が悪者の流れだ。困り果てていると赤城がすかさず前に踊りだし、頭を下げながら話し出した。
「提督。この方は加賀、という名前の艦娘で私と同じ航空母艦、そして先の大戦で赤城と加賀は一航戦と呼ばれ、航空戦隊の主力を担っていました。つまり加賀さんは私の相方ともいうべき方なのです。改修された入渠施設と明石さんの工廠施設があれば必ずや加賀さんも再び海に出れるようになるはずです。加賀さんは私よりも知的な方です。提督の事情をきっと理解し、今後力になってくれるはずです。無礼を承知なのはわかっています。どうか、なにとぞ!なにとぞ!」
赤城はいっぱいいっぱいになっており、冷静な様子ではななかった。なんとかして加賀を助けたいという気持ちが先走ってしまったのだろう。半ばこちらの秘密を加賀に話すような流れになっているのは気になるが、赤城と同等の戦力になると考えれば早急に和解し、力になってほしいところだ。和解といっても私が悪いことをしたわけではないのだが。
「おちつけ赤城。君の誠意に免じて今回は加賀に私の秘密を打ち明けるとする。ただし今後はこのような真似はしないように。こちらも色々と考えたうえでの行動を行っていきたいのでな。昨日の鳳翔の件もそうだ。わかったな。」
昨日のことがばれていたのに驚いたのか、赤城はすみません・・・小さくなって謝っていた。過ぎたことだもうよい。と声をかけると、ありがとうございます。と困ったような顔でお礼をいってきた。慣れない嘘をつくからこうなるのだ。汚い化かしあいは我々のような汚れた世界の大人に任せればいいのだ。そんなことをしり目に1人置いてけぼりにされた加賀は一体なにがどうなってるかさっぱりわからないと言いたげな表情をしていた。そりゃ私が同じ立場になっていてもそうなるだろうと少し同情しながら声をかける。
「加賀と言ったな。ほかならぬ赤城が君のことをたいそう信じているみたいなので君に私の秘密を打ち明けることとする。だがこの話は私が許可するまで他言無用だ。もし情報が漏れた場合は解体処分とする。今なら引き返すことができるがどうするかね?」
少しばかりの圧をかけて話かけると、私の想像とは裏腹に力強い返事が返ってきた。
「私は死んだも同然のような存在です。解体処分を望んでお伺いしたのです。今更なにを恐れましょうか。提督のお話をお聞かせください。」
流石歴戦の一航戦といったところか。迷いなく返事をしてきた。日々生死のはざまで戦ってきた彼女達にとって私の圧などなんともないのだろう。少しばかり悔しい気持ちになりつつもこれまでの経緯を話した。
「なるほど。にわかには信じられませんが、赤城さんがこうして提督の前に私を連れてきたことを考えると嘘ではないのでしょう。数日前から急にこの鎮守府が騒がしくなったのはこれが原因だったのね。」
「理解が早くて助かる。ちなみに君は何故その姿になったのかね?そして今までどこに姿を隠していたのだ?デリカシーのない質問かもしれないが、あいにく私は当事者ではないので君のいきさつを知らない。話すのはつらいかもしれないが、詳しく教えてほしい。」
加賀はわかりました。と、了承して話し始めた。数か月前の海戦で戦艦たちとともに出撃し、敵を撃破したのはいいものの、負傷してしまったため、戦闘不可能になった。他の戦艦達は増援の対応のため、その場を離れて新たな戦線に向かうよう命令が下され、加賀は自身は1人自力で戻ってくるように命令が下される。だが足回りもやられているため速度はでない。そんなところを敵航空隊に見つかり、奇襲をうける。沈む覚悟をしていたところ、命令違反をして護衛に戻ってきた複数の駆逐艦の捨て身の攻撃で何とか退けることに成功。しかし敵の追撃はやまず、このままでは全滅するという判断を下した1人の駆逐艦が殿を申し出る。皆が反対したが、彼女は他の駆逐艦に加賀の護衛を託すと、1人反転し突撃していったのだ。そして戻ってくることはなかったという。命令違反をした駆逐艦たちは戦艦達の優しさだったのだろう。その時の命令違反を佐賀山に報告せず、ばれることはなかった。加賀を安全圏内まで送り届けると再び戦艦達と合流するために戻って行った。
「あの時あの子がいなかったら私はここにいることができなかったでしょう。私はあの子によって生かされたのです。ですが私が負傷していなければきっとあの子も沈むことはなかった!!いっそ私が沈んでおけば・・・!!」
そして帰投した加賀は明石に修理をうけるも傷が深く、艤装も直ることはなった。佐賀山は加賀はもうとっくに沈んだと思い込み、確認をしなかったみたいだ。しかし艤装が修復できない艦娘は解体が待っている。赤城と明石は加賀を密かに避難させ、使われなくなった人通りのない部屋でかくまっていたみたいだ。
「なるほど。経緯はわかった。辛かっただろう。よく話してくれた。そして君はどうしたい?話の切り替えが早くて冷たいと感じるかもしれんが、君の意思を確認したい。解体を望むのか、それとも再び戦場に立てるのであれば立つつもりなのか。それを聞きたい。」
「私は先ほど言った通り、解体される覚悟できました。ただしそれは佐賀山提督だった時のことです。真船提督の言う通り、入渠施設などを利用し再びこの足で立ち上がることができるのであれば、私は再び弓をとります。」
加賀さん!!っと赤城が嬉しそうな顔をする。よし。こちらとしても航空戦力が増えるのはありがたい。明石に内線で事情を伝えると、何か伝えづらそうな感じの雰囲気を電話越しに感じた。どうした。いってみろ。とうながす。
「加賀さんの艤装についてですが・・・最新の工廠をつかって修理をしても完全に治すことができなかったのです。申し訳ありません・・」
赤城と笑顔と加賀の決意はもろくも崩れ去って消えていった。
暗雲立ち込める展開。