海渡る願い   作:哨戒艦艇

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矛盾がないよう丁寧に。


第21話

 時間をずらしてやってきた食堂は寂しいもので食堂の入り口からでも間宮たちが食器を洗う音がカチャカチャと聞こえてくる。すまない遅れた。と声をかけると、お疲れ様です!と元気な声で食事を用意してくれた。宜しければご一緒してもよろしいですか?と間宮が声をかけてくる。かまわないぞ。と返事を返すと業務用の自動洗浄機の音を背景に自分たちの食事をもってきた間宮と伊良湖。伊良湖は緊張している様子か、本当にいいんですか?間宮さん?と小声で間宮に尋ねていた。この静寂のなかだと丸聞こえだぞ伊良湖。だが伊良湖には私の話を通してなかったことを思い出すとどうすべきか悩むところだ。向かいの席に着席した2人はいただきます。と食事をとり始めた。食べながら甘味処のメニューについて話してくる。きっとこのことを相談したかったのだろう。私も世話になることになると思うので相談にのることにした。

 

 

 「メニューについてなのですが、手始めに洋菓子と和菓子を数種類つくっていこうと思います。鳳翔さんに酒保をまかせるという情報も本人からききました。私たちがつくったお菓子を酒保で販売していくという流れでよろしいですか?」

 

 

 「まぁそれが無難だろうな。日々の食事の準備もあるだろうし、菓子作りだけに専念するわけにもいくまい。ある程度慣れてきて時間に余裕ができてきたらお前たちがつくりたいものを作って行けばいいさ。ただしあまりに金がかかるものはやめてくれよ。さっき聞いた話だと赤城だけでなく加賀の食事の量も結構な量みたいだな。これではいくつ米俵があっても足りん。」

 

 

 うふふっとはにかみながら口に手を添え笑っている間宮。割と冗談じゃない量を消費していく可能性になっているだけに心配だ。まぁいざとなれば大淀に頼めばなんとかなるだろう。すでに楽をしようとしている自分に呆れつつ、話を進めようと思ったが、せっかくなら鳳翔もよんで話を詰めるとするか。食事の後に2人とも時間あるか尋ねると、夕ご飯の準備にはまだ早いので大丈夫だと返ってきた。間宮と伊良湖に少ししたら執務室にくるように指示をだし、おいしかった御馳走様と食器を返却スペースにもっていき、食堂を後にした。執務室に戻ると大淀がお帰りなさいと声をかけてくれる。不思議と懐かしい気持ちになりつつ、戻った。と返事をし、椅子にすわり大淀に話しかける。

 

 

 「実は先ほど間宮と伊良湖3人で話をしてな。酒保にあいつら2人の甘味をおくことになった。数は少ないがおいおい増やしていく予定だ。となると鳳翔もまじえてこの後執務室で話し合おうと思う。君も会議に参加してくれ。」

 

 

 「了解しました。鳳翔さんと伊良湖ちゃんには提督の秘密を打ち明けるので?」

 

 

 「いずれは艦隊の皆に休みを定期的に取ってもらうつもりでいる。そうなると間宮がいない日に伊良湖が1人で食堂を切り盛りする日も出てくるだろう。その時に何か問題があったり疑問が生まれた時に、伊良湖側から私に声をかけづらい雰囲気があればそこでコミュニケーションエラーが出る可能性がある。それを防ぐためにも今回話すことにする。この際だ。工廠組にも伝えるとする。明石に連絡を入れ、夕張もつれて参加してもらうように伝えろ。そして改めてこの鎮守府が解体されないようにするにはどうしたらいいか考える必要がある。私の秘密を知っている者を集め、知恵を貸してもらうとするか。」

 

 

流石に人数が多いかと思ったが意見が少ないよりは多いほうがいいだろう。それらを吟味し、ブラッシュアップしていけばいいのだ。内線を工廠につなぐと、少ししたら会議をするので夕張もろとも参加するように伝えた。長門と赤城、加賀にも連絡を頼むといい準備をする。茶菓子の用意をしているとふらふらといつものように妖精達が現れた。甘い物には目がないみたいだ。だが今回は我慢するように。というとぶーぶーと不満を漏らしていた。今から話すのは甘味のことについてなのだ。大人しくしていれば話が早くまとまってお前達のもとに本格的な甘味が届くのが早くなるぞ。というとおぉ~っと歓声を上げながら我慢する雰囲気になっていた。ちょろいやつらだ。いい子だ。と頭をなでて用意がおわったころに続々と集まってきた。これだけ執務室にいればなかなか壮観だ。皆が着席したのを見届けると話を切り出す。まずはいつも通りに、私の秘密を他言しないように念を押すと秘密を打ち明ける。鳳翔は何となく理解していたのだろう。とくに驚きもせずなるほど。と納得していた様子だった。夕張と伊良湖はとても驚いていた。明石この話ほんと?とひそひそと確認をとっている。なんだがドッキリのネタばらしをしている気持ちになる。慣れないとは思うがこれからはもっと気楽にしてほしい。もちろん公の場ではしっかり頼むぞ。と声をかけると3人は了解しました。と気を引き締めていた。それから話を進めていく。甘味処に少しずつだが、甘味をおくことになり、それを間もなく完成する酒保で販売という形で取り扱うことだ。数人の艦娘が反応を示したのをスルーしつつ入荷していくものの種類について話し合う。酒やスナック菓子、雑誌などちょっとしたコンビニみたいな感じになりそうだ。販売、というワードが気になったのか質問がとんでくる。

 

 

 「提督よ。菓子は販売、と言っていたが我々には手持ちの金がない。どうやって甘味を購入すればよいのだ?」

 

 

 必ず食いついてくると思った。長門が率先して切り込んでくる。一航戦の2人はうんうんと首を縦にふっている。こいつらの食に対する団結は一体何なんだ。ツッコミを入れつつ、今まで艦娘あてに支給されていた金があること、それらの配布を再開することを伝えると、っし!と小さいガッツポーズを赤城がしていた。めちゃくちゃ嬉しいんだろうな。なるべく多くの艦娘にいきわたるよう買い占めは控えるようにいうと少し悲しそうな返事をしてきた。買い占めるつもりだったのか。大人げないぞ。金が給付されると聞いた工廠組はひそひそと話し合っており、内容がまとまったのか夕張が声をあげる。

 

 

 「例えば酒保に自分が欲しい物がなかった場合はどうしたらいいのでしょうか?」

 

 

 「なかった場合はカタログを酒保に置いておくからそれで発注してもらって買うという流れだな。つまり予約制ってことだ。あと艦隊運用に余裕がでてきたら当番制にして外出許可も出すようにする予定だ。もちろんある程度規制はかけさせてもらうがな。」

 

 

 そう伝えた途端やったーと喜んでいた。〇ークマンってところ、いってみたいとおもっていたのよねー!と笑顔で明石と話している。なかなかに変わったやつだ。だが人それぞれだ。何を趣味にしてもらってもかまわんさ。そして細々とした話をはさんだ後についに本題にはいる。




個人的に工廠組は人の懐に飛び込むのが上手そうな感じがします。人懐っこいというかなんというか。
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