海渡る願い   作:哨戒艦艇

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先日頂いた感想に対して返信をしていたのですが、いつのまにか消滅していて困惑しています。なにか私の間違えで感想ごと消してしまったのではないかと思うのですが、原因がよくわかりません。自分の感想が消されたと不快な気持ちになっているのであれば、誠に申し訳ないです。頂いた感想はすべて読み、返信をしていくつもりですのでこれからも本作品を宜しくお願いします。


第29話

 「ではそろそろ私たちも準備をしましょう。」

 

 赤城がそういうと、加賀とその護衛の子は返事とともに艤装の装着を行う。その様子を見守っていると、頬をつんつんとつつかれる感触があり、視線を肩にむける。いつも私の近くにいる妖精が今日はきちんとした格好をしていた。なんだこいつは。あのだらけている感じがまったくないな。と思っていると、こしょこしょと耳打ちしてくる。自分も一緒に戦うときがきた。艦娘と一緒に海へでたい。だと。こいつはそもそも戦闘要員なのか?いつも菓子をねだっている様子しかみてないので全く想像がつかない。お前が行っても役に立たないと思うぞ。と声をかけると、それでも首を縦に振らず懇願してくる。どうやらよほどの覚悟らしい。根負けした私は妖精が指をさす方向へ歩いていき、その艦娘に妖精をたくした。

 

 「加賀よ。すまないがこの妖精もつれていってくれないか。こいつがお前をご指名でな。正直役に立つかはわからないがお願いできるか。」

 

 

 「ええ。かまいません。しかしこの子は一体どういう妖精なのでしょう?みたことのない妖精なので私にもわからないわ。」

 

 大淀や赤城、明石も首を横に振る。やはりどうやらみたことのない恰好をした妖精らしい。私のまわりにいる時はその他大勢の妖精と思っていたので気にしていなかったが、こうやって後から乗り込むタイプの妖精は確認されていないみたいだ。まぁ悪さをすることはないだろうからきっと大丈夫だろう。 

 こうして赤城と加賀が後詰の部隊として先行部隊の後に出撃していった。本来は加賀とその護衛のみにするつもりであったが、加賀が心配だということで赤城も後詰として後方で備えることになった。前線の航空部隊が少し手薄になるのが不安になるが、今回は龍驤もついていっている。あいつの航空部隊もなかなかの手練れぞろいなので問題ないだろうということで赤城の後方待機を許可した。二人の護衛については、第六駆逐隊が務めている。加賀が後詰として後方に残るとなった時に、駆逐艦達の子は戦果をあげようと前線での戦闘にこだわる中、彼女達は護衛の役目を志願してきたのだった。今度こそは護るのだと意気込みながら二人の周りを囲む。頼りにしてるわ。と加賀の優しい返事とともに先行部隊が背後を突かれないような位置をとりつつ進んでいく。決戦の時は近づいていた。

 

 『伊五八から入電!彩雲からもたらされた情報と敵艦隊数差異なし!及び敵の航空部隊による第一次攻撃隊はこちらに向かってる模様!第二攻撃部隊は別方角へ飛行していったとのこと!』

 

 彩雲とともに哨戒に出ていたゴーヤから無線が届く。長門は通信妖精からの報告を全艦隊に共有する、第二部隊が飛んでいった方角に恐らく敵の別働隊がいるのだろう。指令室の大淀に情報を送ると、こちらも戦闘準備をとるように指示をだす。まもなく戦いが始まる。待ち望んだ艦隊決戦だ。胸が熱くなってくる。なんとしてもここで勝利し、国を護るのだ。だが使命感に燃えているのは長門だけではなかった。

 

 「空母艦載の攻撃が終わり次第、我々第二水雷戦隊がまず敵に同行戦をしかけ先陣を切ります。その後、後方から主力艦隊が砲撃を開始し、隙ををみて我々は一旦離脱。入れ替わりで第一水雷戦隊と第三水雷戦隊が敵の進路をふさぐように突貫し、一時的にT時有利をとるように進むので、頃合いをみて私たちも反転し、再突入します。海戦と同時に魚雷は私の号令で一斉射します。離脱中にしっかり魚雷装填はすませておいてください。みな心するように。」

 

 

 これまで厳しい訓練をこなしてきたのだ。きっとやれる。以前はただただ逃げ回り、囮となるだけの存在だった私たちとは違うのだ。神通は今までの雪辱を果たす時と、鼓舞し先行していく。第二水雷戦隊の面々はそれぞれ装備している武装を力強く握りしめ、決戦にそなえるのであった。

 

 「一番槍は神通たちになってしまったけど私たちだって同じぐらい重要な役目を任されたんだ。気を引き締めていくよ!」

 

 後発で突入していく部隊になった第一水雷戦隊と第三水雷戦隊は川内を中心にまとまっていた。長良率いる第三水雷戦隊は第一水雷戦隊に比べ、少々練度に不安が残るので、単縦陣をとる第一水雷戦隊の後に続くように決まった。敵が一時的に神通達に火力を集中しているときに突入しT字をとり、魚雷を一斉射しつつ砲撃を開始し敵の進路を絶つ。沈んだ那珂の恨みを果たすときがきた。ここで敵をとらずしていつとるのか。そして勝って護国の海を護るのだ。川内は執念の炎を燃やし、陣形を整えてその時を待つのであった。

 

 味方主力艦のさらに後方では空母組が艦載機を次々と発艦させていた。全艦爆、艦攻機を発艦させると、翔鶴航空隊を中心に敵方向へと飛び立っていった。

 

 『各機へ。我々の任務は敵主力艦隊への攻撃及び、味方艦隊への攻撃をしかけてくる敵航空部隊の殲滅だ。敵攻撃部隊の迎撃は龍驤隊及び、隼鷹隊軽空母組、そして翔鶴隊、瑞鶴隊のそれぞれ半数の戦闘機で行う。味方の船団の護衛は残りの翔鶴隊、瑞鶴隊で護衛につく。各員の健闘を祈る。』

 

赤城隊の隊長みたいに上手いことは言えないな。翔鶴隊の飛行隊長は今回大隊長を任された責任が重いのか、少し緊張している。今回は実践だ。以前のような戦闘訓練ではない。そう自分に言い聞かせる翔鶴隊と瑞鶴隊のパイロット達。模擬戦ではほろ苦い結果となったが、あの訓練のおかげで一回りも二回りも成長できた。別方向へ飛んでいったという敵飛行部隊が気になるが、そこは一航戦の先輩たちがなんとかしてくれるだろう。我々は我々のなすべきことをなすだけだ。気合いをいれると、攻撃部隊の先陣を切りながら目標に向かっていく。雲一つない快晴に海面からの光の反射がところどころ眩しかった。

 

 

 

 

 




 執筆に必要な資料集めや、仕事の関係で更新速度が少し落ちそうです。
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