海渡る願い   作:哨戒艦艇

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世間は三連休ですね。私は・・まぁそうねぇ・・・。


第35話

 執務室に戻った私は長門達からの報告を受け取り、書類の整理をすます。大淀にもあがってもらい、執務室に一人になる。机の上にいつのまにか妖精がひょこっと現れ、私にきづいてほしいのか、手をぶんぶんとふりながらアピールしていた。頭を撫でながら、ありがとう。お前のおかげだ。と言葉をかけて冷蔵庫から間宮のお菓子を取り出し、目の前に差し出す。うれしそうに食べる妖精に語り掛ける。その時の私は、はたからみたらきっと何もない机にただただ独り言を喋る危ないやつにみえていただろう。妖精は力を使い果たしたため、当分このような力を使えないとのことらしい。申し訳ないという顔をしている妖精に気にするな。お前がいてくれるだけで十分だ。妖精用の小さいコップに紅茶を注いでやると、私も用意した自分用のお菓子を食べながら紅茶で甘い余韻を洗い流す。アフタヌーンティーというにはとても遅い時間だったが、心地よい時間がゆっくりと流れていた。

 

 2人で仲良く食べ終わると、工廠近くに住居があると妖精から情報をもらったので、工廠にむかう。人気のいなくなった工廠の明かりをつけると、甘い匂いにつられたのか、妖精がぞろぞろと集まってくる。間宮のお菓子をみんなに分けると、嬉しそうにする妖精達。そして少しの酒と菓子をそれぞれパイロット妖精に渡し、労いの言葉をかける。

 

 

 「今日ここに帰ってこれなかったパイロットの分だ。立派な最後を迎えたと聞いた。気持ちばかりの量で申し訳ないがこれを供えてやってくれ。」

 

 

 何人かの妖精が代表して受け取ると、綺麗な敬礼をしてくれた。きっと思いが伝わったと信じたい。あまり遅くならないようにな。と声をかけ部屋に向かって戻る。シャワーを浴びて今日はもう寝よう。そう思いながら工廠を後にした。

 

 

 『しんみりしてちゃあ、あいつらもきっと浮かばれねぇ。もらった分の酒で今日は騒ぐぞ!ただし逝っちまったやつらの分には手を出すなよ。ちゃんとお供えしてやらんとな。』

 

 

 大空に散って行った戦士達。あいつらの分まで生き抜いていつかあの世で会った時に戦果スコアを自慢してやるさと妖精達は騒ぎ、乾杯する。なみなみ注がれた誰も口にしていないグラス達とともに勝利の美酒を味わう。こんなにうまい酒は久々だ。次もこうやって飲み明かしたいものだ。航空隊の夜はふけていった。

 

 

 妖精達がよろしく始めだしたころ、食堂ではいつもと違う光景が並んでいた。入渠を終え、ご飯と集まってきた面々の前に広がっていたのは一部のテーブルにぎっしりと並んだ大量の料理だった。どういうことなのかと誰かが間宮に問いかけると、今日はどうやら半立食形式で食べることになったとのことだ。艦隊の勝利報告を聞いた提督がめでたい日なのだから、今日ぐらい贅沢をさせてやってほしい。是非君たちの腕をふるってくれ。と指示をもらった厨房組は張り切って作った結果こうなったそうだ。普段はあまりみない料理がずらりとならんでおり、おいしそうな匂いをそこら中に漂わせている。なんとデザートまで種類がそろっているではないか。湧き立つ面々の中、明らかにオーラが変わっている者達もいた。

 

 

 「ちなみに提督からの伝言で、空母組に料理を独り占めさせないように。と忠告をうけていますので、ほどほどにしてくださいね。」

 

 

 と間宮が声をかけると、声をかけられた二人はそんな…。とショックを受けていた。せめて皆が一式まわってからおかわりをしてほしいものだ。実際、洗い物が減るから洗い物も楽なのだ。間宮は大食艦に心の中で感謝すると、追加の調理に対応できるように厨房の近くの席で一足先にご飯を食べ始めた。それを皮切りに用意された皿を手に取り、お目当ての品の近くに集まり皿を彩っていく艦娘達。賑やかな活気に食堂は溢れかえっていた。

 

 

 「カレー!カレーがいっぱいあるっぽい!さらにここにハンバーグを合体させて・・!」

 

 

 「これは上手い・・!この品をもってそのまま酒保に向かうのも悪くない。」

 

 

 「食べ放題。なんて素敵な響きなんでしょう。こんなおいしい料理が食べ放題!箸がとまりませんね加賀さん。」

 

 

 「この品は譲れません。」

 

 

 大淀と明石は盛り上がる面々をよそに静かにおいしいねこれ、と料理に舌鼓をうちながらゆっくりと食べる。ほんと今日すごかったねぇみんな!と艦隊の勝利を振り返りながら整備や装備開発が役に立ってよかったと喜んでいる。どうやら提督に褒められたらしい。ちょっとだけ羨ましくなるが、明石や工廠の整備妖精達が普段から点検や修理してくれてなければきっと被害は増えていただろう。それぞれが輝ける場所を与えてもらい、結果をだす。自分はなにか役に立っているだろうか。センチメンタルな気分になってしまうが、今は美味しい料理を食べて英気を養うのよ!大淀は自分に言い聞かせると、その後も皆で喋ったりして充実した時間をすごした。

 

 解散となり部屋に戻ると、ドアノブに何かかかっているのを見つけた。包装された包みと手紙だ。一体だれが?気になりその場で手紙をあける。

 

 

 

 

 

 今日の艦隊決戦時、色々な情報が飛び交い不安だったが、君がいてくれて助かった。きっと私だけではパニックになっていただろう。緊急時だけでなく、普段の執務でも大いに助かっている。日ごろの感謝の意味もこめてささやかだがこれはお礼だ。好きな時にゆっくり食べてくれ。今後もよろしく頼む。頼りにしている。

 

                                        真船

 

 

 

 にやけ顔がとまらない。自分は必要とされている。このことが大淀にとってたまらなくうれしかった。やはり言葉にしてもらうと嬉しさが実感できるものだ。一人浮かれていると、たよりにされてるねぇ~と明石が手紙を覗きながら茶化してくる。覗くなんて失礼よ、と少し怒るも、部屋に入った二人はもらったケーキを仲良く食べた後、寝床につくのであった。




大淀、明石は縁の下の力持ち。
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