「突然呼び出した形になってすまないね。少しばかり老人の世間話に付き合ってくれるとうれしい。」
まずは真船の事情を知っている組が面談をすることとなった。赤城や加賀、長門、明石は掛けるように言われそのままソファーに座る。提督から谷上中将がお前達と話がしたいそうだ。聞かれたらありままのことを話してもらってもかまわない。と言われたがやはり提督やこの鎮守府の進退がかかっているかもしれないとなると少し緊張してしまう。長門達の様子を察してか、そう固くならないでいいと言われるが、そんな簡単に緊張はほぐれるものではない。みかねた谷上は彼女達が欲しかったであろう言葉を紡ぐ。
「ちなみに真船君には引き続きこの艦隊の司令官として働いてもらうことになった。いらん心配はしなくても大丈夫だよ。」
この言葉を聞いた瞬間に四人は安心したのか、顔を見合わせてよかったと喜びあっている。
なかなかに慕われているようだ。そこから佐賀山君が真船君にかわった時の話を聞いていくとやはり本人達も最初は信じていなかったようだ。冗談だとしても佐賀山君はどうもとっつきにくい感じだったらしく、冗談なのか確認をとるのさえ恐れていたそう。下から意見が上がりにくい環境を自ら作ってしまっていたわけか。そこに真船君が入れ替わるように現れ環境をかえていったと。以前と比べて今の環境はどうだという質問に四人はみな感謝していると言っている。食堂や工廠、そして入渠施設や部屋の改装により劇的に改善したこの鎮守府に愛着を感じ始めているようだ。戦闘面においても経験豊富な艦娘をしっかり頼り、独断で決めることもないようで好感が持てる。彼自身が言ってた通り、どうやら手柄を貪欲に求めるタイプではないらしい。佐賀山君とは真逆のタイプと言える。その姿勢が艦娘達の信頼を勝ち取った秘訣なのかもしれない。
「私個人としても、真船提督には大恩があります。」
そう話を切り出してくれた加賀君。彼女は航空母艦としてこの鎮守府を支えているそうで以前使い捨てにされそうになったところを保護してもらい、さらに妖精の力を借りて完全復活したとのこと。朽ちて海に沈む運命だったところを救ってもらったとなれば、彼を慕うのも納得できる。工作艦の明石君も仕事がもらえず、くすぶっていた所を工廠を改装し自分達が活躍できる場を与えてくれたことに感謝しているようだった。なるほど。現場からの評価は上々ということか。私は彼女達に礼をいうと、次の子達を呼んできてもらうようお願いする。次は事情を知らない子達か。彼の言う通りならばまた違った反応が返ってくるはずだがどうだろうか。
長門達が面談中に私は鎮守府内を歩き回り、誰か面談を受けてくれそうな人を急いで探し、ようやく見つけて声をかけた。
「川内、神通すまない。君達と谷上中将がお話がしたいと言ってきてな。少しの時間ですむようなので面談をうけてくれないか?」
声をかけられた私達は訳が分からず少し茫然としていたが、我に返り大丈夫ですと返事を返す。模擬演習で見学に来ていた方のことだろう。しかし私達と話をすることなどあるのだろうか。疑問に思っていると特別きにすることはなく、ありのままを答えてくれればよい、と言われたのでそれならばと引き受けた。待機する部屋に向かう途中で朝潮と霞に遭遇したので二人も一緒に面談を受けることになった。別の部屋で待機していると面談が終わったのか、長門さんが私達を呼びに来た。偉い人と話すのは意外に緊張するものだ。夜戦とは違うこの緊張感はどうも好きになれない。
やはり緊張している様子だ。さっきの子達よりも幼い見た目をしている子達が多い。軽巡級と駆逐級の子達だろう。ゆっくりと話し合いたいが、面談を予定に入れてなかったため少し時間に余裕がない。要点だけまとめてきいていくとしよう。
「突然の呼び出しですまない。私は本部からやってきた谷上というものだ。今回呼び出したのは他でもない。最近の佐賀山君の行動に変化があるらしいではないか。そのことについて聞きたいと思っているので君達が感じたことを遠慮なくいってほしい。」
そういうと少しの間をおいて神通と名乗る子が語り始めた。
「初めのうちは勝利を重ねていたものの、敵もてごわくなってきて、こちらの損害がでているのにもかかわらず、無理難題を押し付けるような命令ばかりを以前の提督は繰り返していました。その結果、私たちの仲間は次々と沈み、帰らぬ存在となってしまいました。その中には私達川内型の姉妹艦である那珂も含まれています。ここにいる朝潮と霞も姉妹艦と別れています。にもかかわらず、この鎮守府の環境は劣悪になっていき、私たちは一体何のために戦っているのかという思いを募らせて苦しい日々を過ごしていました。ですがある日突然。劇的にこの鎮守府の環境がかわりました。妖精があらわれるようになったのです。妖精の出現と同時に提督もなにか憑き物が落ちたかのように人柄がかわりました。レーションだけだった食事も毎日おいしい食事がでるようになり、修理されず使いまわしの装備が新しくなるだけでなく、それぞれの艦娘達に配備されみな戦えるようになりました。大和型の建造のためと節約され続けた燃料や弾薬などの補給も許されるようになったおかげで訓練もできるようになりました。そのおかげか、先の艦隊決戦で私ども含め、誰一人欠けることなく帰ってこれたあの時ほどうれしかったことはありません。この方針を最初からしていただければ。と思っていましたが過ぎたことを悔やんでもせんなきことです。今は前のような悲劇を起こさないように日々精進しています。」
「正直に申しますと、以前の司令官はクズでした。神通さんの言った通り、無茶な突撃命令、そして私達駆逐艦を囮としてつかうような作戦。今思い出すだけでも怒りがわいてきます。そのせいで私たちの仲間がどれだけ沈んだことか・・同じことを言ってしまいますが、ある日突然司令官の気性?性格とでもいうのでしょうか。ぴりぴりしていた雰囲気が急に穏やかになったような気がして。私達にも配慮してくれるというか、なんというか優しい感じになったんです。最初は自己満足の罪滅ぼしのためかと見下した目でみていたのですが、少しずつ話していくと、どうもそうではないような気がして。狙ったわけではないと思いますが、私達の姉妹艦である霰も建造してもらいました。これだけ方針や物腰がガラッと変わると何か司令官に大きな変化が起きたのだと思いますが、その変化自体は私にはわかりかねます。」
神通君に続いて霞君も話してくれた。鬱憤がたまっていたのだろう。途中途中言葉が強くなるところもあったが、朝潮君に宥められて落ち着きを取り戻していた。やはり中身が入れ替わったことについては、ほぼほぼ間違いなさそうだ。話終えた四人に改めて佐賀山君を呼んできてくれとお願いし、一時的に誰もいなくなった部屋で一人ため息をつく。川内君と神通君については人格が入れ替わっているという事に感づいてそうな感じではあった。彼女達は水雷戦隊の旗艦を務めているのだから真船君と話す機会も駆逐の子達よりもはるかに多いのだから当然と言えば当然か。にしても佐賀山君が思った以上に恨まれているようで危なかった。彼のままだったら最悪艦娘の反乱などもありえたかもしれない。そういった意味では真船君に感謝だな。そして建造を行ったという報告書が上がっていたが、これも事実なのか。となるとますます今彼を手放すわけにはいかん。なんとかこの戦線を支えてもらわねば。
もっといろんな艦娘だしていきたいけど私の文章能力では収集つかなくなりそうなので控えめにしています。朝潮にもっと台詞をあげたかった。