海渡る願い   作:哨戒艦艇

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イベントクリアが遠い。


第52話

 あれから数週間後、予定通り漁師の方々がこの鎮守府にやってくる日が来た。一般の方がここに訪れるのは初めてだそうだ。谷上中将以来の視察だ。私は大淀と供に抜かりないか色々とチェックをする。以前の会談と違ってそれなり人数がくるので大変だ。昼も間宮の食堂でとるように段取りしてあるので間宮達は少し大変だろうが今日は頑張ってほしい。

 

 

 予定時間の少し前になったので、出迎えをするために鎮守府の入口で待つことにした。大淀と長門、そして吹雪と朝潮、明石と夕張、川内神通といった面々だ。宇野さんと野村さんもくるみたいなので明石と夕張を出迎え要員としてよんでおいた。顔見知りがいたほうがあちらもなじみやすいだろう。

 

 

 「どうもお久しぶりです。こちらのわがままを受けてくださってありがとうございます。今日はよろしくお願いします。」

 

 

 「いえいえ。私達もこういった交流する機会がないので非常に楽しみにしておりました。よろしくおねがいします。」

 

 

 間もなくやってきた宇野さんと漁師の方々と挨拶をかわし、談笑しながら案内を始める。宇野さんと野村さんは以前明石、夕張の二人と会話をしたおかげか慣れているようで、お久しぶりだな嬢ちゃんたち。と早くも打ち解けていた。二人を連れてきて正解だったようだ。他の漁師の人達は全てが珍しいのか、鎮守府内を見回したり、あるいは長門や川内、神通といった艦娘達に見惚れていたりしているようだ。彼女達の容姿はかなりレベルが高いためそうなるのも無理はない。機密事項に触れないエリアの案内や説明をした後にいよいよ本題にはいる。この時はデレデレしていた男衆も真剣な眼差しに変わっていた。

 

 

 「では本題に入りたいと思います。今回みなさんの護衛船団の旗艦を務めるのは先ほど一緒に回っていた吹雪と朝潮です。只今装備装着のため、少しお時間を頂けると幸いです。それぞれが旗艦となってみなさんの漁場周辺を中心に巡回をするようにします。偵察機と艦娘の空と海から敵を早期発見し、敵を見つけた場合、信号弾を打ち上げますので信号弾を確認した場合は速やかに漁を中止して港に戻るようにしていただきます。」

 

 

 説明に入ると漁師の方々は近くにいる人と何やら相談をしている。信号弾については視察の日程が決まった日に市に連絡をしている。視察日の十二時ちょうどに信号弾を打ち上げるので市および周辺の住民のみなさんに周知してほしいとお願いしているのでその辺は大丈夫だろう。

 

 

 「提督さん説明ありがとうよ。んで今からおれ達の目の前で演習の様子をみてもらうってわけだな?」

 

 

 理解が早くて助かる。漁師の方々の今回の一番の目的は自分達の目で艦娘の実力を確かめること。自分達を守ってくれる艦娘という存在を確かめたいとの要望だからな。間もなく出撃所から水面を走ってくる集団がこちらに向かってくる。漁師の方々は驚きを隠せないようでざわついていた。そして私達の前までやってくると綺麗な隊列を組んで一斉に敬礼してきた。

 

 

 「第一護衛戦隊、旗艦吹雪。及び以下五名。準備完了しました!」

 

 

 「第二護衛戦隊、旗艦朝潮、及び以下五名。準備完了しました!」

 

 

 皆とてもいい顔をしている。自信に満ち溢れているようだ。漁師の方々も先ほどまで一緒にいた愛らしい少女達の真剣な眼差しに影響されてか、ざわつきが収まり、みな真面目な表情をしていた。

 

 

 「今日は演習ということで訓練用の弾を使いますが、実際の護衛の際には実弾装備で護衛につきます。そして今回模擬戦に参加しない艦娘にあちらの海上に設置している目標に砲撃を行いますので、実際の護衛時の火力はこれぐらいの威力だということをみてください。では頼んだ。」

 

 デモンストレーション用に呼んでおいた暁、響、雷、電の四人は凛々しい返事をすると、少し加速しながら照準を合わせ、暁の一斉射の掛け声とけたましい音と供に砲弾が放たれる。綺麗な放物線を描いた弾はそれぞれの目標に命中し、木端微塵に爆発した。遅れて発射した魚雷も別目標に命中し巨大な水柱を上げていた。想像以上の結果だったのだろう。皆ただただ茫然とながめているだけだった。初めて艦娘の訓練をみた私と全く同じリアクションだ。懐かしい。

 

 

 「ははっ・・・嬢ちゃんたちには喧嘩売ったらとんでもないことになるなこりゃ。」

 

 

 「・・・これは逆に言えば敵も同じようなサイズで同じぐらいの攻撃をしかけてくるってことですかい?」

 

 

 「おっしゃる通りです。敵も我々を沈めるために攻撃をしてきます。これでもし仮に信号弾が上がった後でも欲張って漁を続けていた場合。ああなる可能性があるということです。もちろんそうならないように護るのが我々の役目でもあります。」

 

 

 宇野さんと野村さんはそれぞれ感想や質問を口々にしていた。これで実際の火力はみてもらったので、言い方は悪いが見せしめにはなっただろう。こんなのをくらったらひとたまりもないということを漁師の方々はわかってくれたはずだ。緊急時に素直こちらの誘導に従ってくれそうだ。

 

 

 「そして今から護衛戦隊二組が演習を行いますので是非見ていただけたらと思います。安全のため、少々離れた場所で行いますので、こちらの双眼鏡をそれぞれお使いください。被弾判定はこちらの飛行機を飛ばして行いますので、戦闘中に空を飛んでいる小さな飛行機は気にしないでくださいね。では準備を頼む。」

 

 

 漁師の方々に説明した後、川内、神通がそれぞれ水偵を飛ばす。それについていくように二つのチームは移動し、互いに十分な距離をとった。

 

 

 「思った以上にはえぇぞありゃ。本当に軍艦なんだな。」

 

 

 「人間サイズの大きさであの威力の大砲と速度が海上ででりゃ敵が海を荒らしまわれるのも納得だ。」

 

 

 感想が飛び交う中、互いのチームから轟音が響く。一斉射で戦いの火ぶたが切られた。




演習開始。私は呉や佐世保に行ったことがないのでいつか見て回る機会があれば行ってみたいです。
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