そろそろか。建造終了ともに赤から緑に変わる灯。そして煙を吹きながら建造窯の扉が開く。扉が出てきたのは幼女と言ってもさし違いないぐらいの大きさの子だった。
「択捉型海防艦一番艦、択捉です。頑張ります!」
「同じく択捉型海防艦の松輪・・です。私も頑張り・・ます。」
「対馬です。よろしくお願いします。」
「択捉型海防艦!佐渡です!よろしくお願いします!」
いやこれ。大丈夫なのか?いくら艦娘が見た目に比例しない力を持っているのを知っているとはいえ、流石に幼すぎる。小学生に上がりたてぐらいといっても過言ではない大きさだ。私はなるべく平静を装いながらそれぞれと握手を交わし、自己紹介する。そして海防艦達は見学していた駆逐艦達の方へと歩いていき、互いに自己紹介を始めた。
「おい、これは大丈夫なのか?どう見ても・・・あれなのだが・・・」
「?大丈夫とは?」
どうやら意図が伝わってないらしい。私は疑問をぶつけると、明石はあぁ。と納得した様子で丁寧に説明してくれた。海防艦は主に護衛任務を中心に活動を想定して作られた艦であり、対潜任務などで活躍できるように対潜ソナーなどを搭載しているという。これは護衛任務にうってつけなのではないか?彼女達を鍛えれば漁船護衛の任務にもつけるかもしれない。速度や火力は駆逐艦と比べて劣るみたいだが、それでも十分だ。まさにぴったりな人材がちょうどいい時期に来てくれた。
続いて窯から艦娘がでてくる。大潮、荒潮、満潮と朝潮型のラッシュだ。その時の朝潮の喜びようは大変だった。霞も相変わらずつんつんしていたが、それでも喜んでいるようだった。そして最終的に他の駆逐艦は如月、文月、卯月、白露、村雨、初風、谷風、浦風、浜風、磯風、岸波が加わることになった。多くの駆逐艦がやってきてくれた。かなり数が増えたので統率できるか心配だ。そして問題の空母らしき模型が入った窯。駆逐艦達よりも少し時間がかかったが、ようやく窯の扉が開いた。二人とも似たような恰好をしている。そして私に駆け寄ってくると、敬礼をし、自己紹介をしてくれた。
「蒼龍型航空母艦の蒼龍です。よろしくお願いします!」
「飛龍型航空母艦、飛龍です。空母戦はお任せください!」
蒼龍と飛龍。名前からして姉妹艦っぽい名前だが、それぞれがネームシップ艦なのか?私は自己紹介の後に疑問をぶつけてみる。すると、飛龍が笑顔で答えてくれた。厳密に言うと違うらしいのだが、姉妹艦として思ってもらっていいとのこと。確かに模型は似てるとはいえ、言われてみれば、少し違いがあったような気がする。まぁいろいろとあるのだろう。彼女達二人の仲はとても良さそうなので問題なさそうだ。
とりあえず建造が終わったので、いつも通り、先輩たちに鎮守府を案内してもらうか。見学組に案内を頼むと、みんなでわいわいと騒ぎながら工廠を出ていった。しかしその群れに混ざらず、ポツンと残っている人影が二人。陽炎と不知火だ。事前に不知火が留まるように話しておいたのだろう。
「話は聞いたぞ。まぁなんだ。私自身が前線に出て戦っていないので何とも言えないが。神通達が言っていた通り、聞いてはいると思うが、ここの鎮守府では恥ずかしいことに、囮作戦や弾避けとして艦娘を消耗品につかっていた過去があってな。ここにいる不知火、あの時旗艦を務めた朝潮、そして川内や神通も仲間、そして姉妹艦をそのせいで失っている過去がある。だからそのことを思い出してしまったのだろう。勿論陽炎があの時、自分自身が最善の策をとって戦隊に貢献しようとしていたのはわかった。だがお前達が囮役なんてやらなくていいんだ。あの時は訓練だったからいいものの、実際の戦場では敵は情けをかけてくれない。お前達を本気でしずめようとしてくる。実戦と訓練は別物なんだ。」
「でも私はあの演習できっとああでもしないと役に立たなかったわ!もちろん経験が足りないとわかってる!でもそれでも貢献したかった・・足手まといは嫌なの!砲撃も当たらない、装填も遅い、挙句の果てに突撃してきた相手を恐れて不知火達の叱咤がなかったら勢いにのまれていたわ。きっと。その中で精一杯考えた結果があの行動だったの。」
「ああ。わかっているよ。川内や神通から毎日訓練の報告を受けているからわかる。お前は頑張っているって二人もいっていた。不知火だって急激に強くなった訳じゃないんだ。厳しい訓練を乗り越えたからあんな風な動きができるようになったんだ。月並みの言葉しかかけてやれないが、囮なんか出さなくていいぐらい強くなってくれ。陽炎自身の力で皆を守れるように。もちろん時には厳しい決断を下さなければならない時もある。だがそうならないよう私も努力していくつもりだ。」
「私も目の前の敵に集中するあまり、不意を突かれて大破判定を貰ってしまいました。私もまだまだです。一緒に強くなりますよ。陽炎。」
「・・・わかったわ。もっと強くなっていずれは司令に旗艦を任せてもらえるように私も頑張るわ!不知火!明日からも頑張るわよ!」
ポンと二人の頭に手のひらをのせて軽くとんとんと叩く。上手く説明できたはどうかわからないが、どうやら力になれたようだ。工廠入口で話していたためか、夕張と明石にもちょっとだけ聞こえていたようで、夕張は片目をつむりながら親指でグッとグットポーズをしてきた。少し恥ずかしいからやめてほしい。
工廠を後にして執務室に向かう。大淀はすでに新たに加わった艦娘達のリストを整えて、本部に報告できる状態にしてくれていた。非常に助かる。工廠を去る際、新しい艦娘達の装備も配備できるように明石と夕張に手配しておいたので、ほどなく訓練も始められるだろう。しかし艦載機は正規空母となると、それなりの数も必要だろう。配備がおくれそうなので、しばらくは旧型の零戦などで訓練をしてもらわなければ。おっとパイロットの養成も急がなければ。千歳や伊勢などにもパイロットを割いたので、現状はかつかつだ。しかし最近妖精が増えてきているみたいなので、人員としては問題なさそうだ。あとは訓練あるのみ。しかし艦娘が増えてくると、その人数に応じて当然事務処理も増えてくる。早急に秘書補佐を増やさなければ。大淀が出撃でいなくなる時もあるだろうからな。果たして誰がいいものか。
「大淀。だれかいい秘書補佐はいないか?流石にこの人数だともう増やしたほうがいい気がする。お前もたまには休ませたいからな。だれかお前が推薦する人物はいないか?」
「うーん。私はこのままでも大丈夫ですが。まだまだ余裕がありますし。でもだれか一人推薦するとなると・・・白雪ちゃんとかですかね?あっ。白雪ちゃんはもう鳳翔さんのところのお手伝いをたまにしているんでしたね。」
そうなのだ。私も白雪は目を付けていたのだが、鳳翔のところの手伝いをすでにやっているため、遠慮していた。本人も楽しそうに手伝いをしているみたいなので、引き抜きみたいになるのは申し訳ない。誰か適任がいるとは思うのだが。
「いっそのこと全体通知して募集かけてみるのはどうだ?いい人材があらわれるかもしれん。」
「色々な子に聞いて名前が多く上がる適任そうな子に依頼するというのはどうですか?」
「それもいいな。それでいこうか。」
やることが再び色々と増えたが、暇よりかはいい。日が落ちて業務終了となったので。私は自分の部屋でお風呂に入った後、恐らく新人で賑わっているだろう食堂に歩を進めていった。
今回は駆逐艦がかなり多く建造されました。登場した艦娘をまとめる表を作ってもそろそろいいかもしれませんね。
白雪は艦これの設定で海軍経理学校の修学経験があるみたいなのでこの作品の初期案として補佐官を予定してました。個人的には適任かなと思っていたので。しかし鳳翔のところでお手伝いをしているため、断念。