偵察情報を本部に送った翌日、私は潜水艦達を呼び出した。普段は索敵行動の都合上、そろって集まることがない潜水艦達だが、今回は少しでも情報がほしい。全員が集合したのを確認すると、作戦内容を伝える。
「集まってもらったのは他でもない。前日に伝えた通り、マリアナ諸島付近に敵艦隊が再集結しつつある情報を得た。そこで君達にマリアナ付近への偵察及び、可能であれば、敵輸送船団への攻撃を行ってもらいたい。危険を伴う可能性が十分にあるので、情報を持ち帰ることを優先、攻撃に関してはチャンスがある場合のみでいい。必ず安全に帰れる状況以外では攻撃は行わないように。」
「わかったでち。できる限りの情報を持って帰ってこれるよう頑張ります!」
「イクのスナイパー魂が滾るのね~!」
ゴーヤやイクもやる気に満ち溢れているようだ。
「パラオとグアム間の連絡船などが恐らく襲撃限界ラインだと思うけどそれでもいいかな?それ以上は結構厳しくなりそう。」
「それで構わない。戦果を欲張って奥まで入って逃げられないというのは本末転倒だからな。必ず無事に戻ってきてくれ。」
シオンからの質問に答え解散となると、ゴーヤたちは工廠に向かっていった。装備などの最終確認が終わり次第出撃していくのだろう。次の仕事にとりかかろうとした時に、大淀から谷上中将から連絡が来ていると言われ、急いで応対する。作戦内容の速報でもはいったのだろうか。
「真船君かね?久しいな。元気にしてるかね?君の送ってくれた情報をもとに作戦会議が後日行われるのだが、恐らくはマリアナに決まりだろう。そういう空気が漂っている。まだ正式に決まったわけではないが、そういうつもりで動いておいてほしい。」
「お久しぶりです中将。抜かりなく対処できるように準備は整えております。潜水艦の部隊に、更なる情報を得られるよう先ほどマリアナに向けて派遣したところです。作戦に合わせて行動できるようにもしておりますので報告をお待ちください。」
「話が早くて助かる。それともう一つ、知らせなければならないことがあってね。実は陸軍にも艦娘いるのは知っているかね?その艦娘を君の艦隊に預けたいという打診があった。ひいてはその娘を今回の作戦にも参加させてもらえないだろうか?大変だとは思うが受け入れてもらえるか。」
陸軍に艦娘?一体どういうことだ?艦といえば海軍ではないのか?はぁ。と間抜けな返事をしてしまった後、受話器からわはははと愉快そうな声が聞こえてきた。どうやら私の返事がつぼにはいってしまったのだろう。
「そうか。君はまだ知らないのだったな。実は先の大戦で陸軍も多少艦をつくっていてね。その艦の名をもった艦娘だ。」
突然の提案に驚きを隠せない。この人の頼みを断れる状況に私はいないので受け容れるしかない。
「わかりました。こちらとしても戦力は多ければ多いほど嬉しいですので。受け入れはいつになりますか?」
「おお。ありがとう。君ならそう言ってくれると思っていたよ。それでだな・・。実は明日にそちらの鎮守府にやってくるのだ。急な話で申し訳ないが、対処してはくれまいか。」
「あっ、明日ですか?どうしてまた急に!」
これはどちらにせよ無理やり押し込まれた形になっていたな。しかしここまでして急ぐとは。
「艦娘といえど、一人二人だけでは艦隊運用をすることも難しい。そこで最近活躍している君の部隊に白羽の矢が立ったわけだ。陸軍としても、海軍にいいところばかりをとられてばかりじゃ肩身も狭くなるからな。手柄が欲しいというのもあるのかもしれん。割合は少ないが、一緒に出撃して活躍すれば、共同戦果ということにもできる。ここで我々が戦果を欲張る必要もない。正体不明の相手に内輪もめしている場合ではないからね。」
ごもっともだ。私は出世競争などには興味がないが、世間では艦娘の活躍が大いに報道されている今、陸軍は役に立ってないなどと言われ続ければ、当然良い思いはしないだろう。先の大戦でも陸軍と海軍の不仲は敗戦の原因の一つと言っても過言ではない。
「陸軍将校の知り合いは陸軍の艦娘達を不憫に思っていてね。似たような存在の娘達は活躍しているのにこの子達には活躍の場を与えてやれない。そのノウハウもない。ならばせめてとおもって私にお願いしてきたようでな。さきほどいった通りだが、陸軍としても戦果を上げる口実にもなるし、陸軍艦娘にも良い環境を与えたいということだ。その子達は元々は揚陸艦という艦種に分類されている娘でな。今回の作戦内容的にもうってつけだとは思う。」
揚陸艦か。これまた初めて聞いた。後で大淀に確認をとるとしよう。ここにきてまた知らないことがでてきた。艦というのはどうやら思った以上に難しいようだ。
「わかりました。こちらで受け入れの用意をしておきますので、先方にお伝えください。」
「ありがとう。ではよろしく頼むよ。今度じっくりと飲みにでもいこう。ではな。」
通信が終わると私は先ほどの内容を大淀に伝えると、大淀は少し困った顔をしていたが、問題はなさそうです。と返事をした後にテキパキと調整をし始めた。やはりなくてはならない存在だ。それにしても明日やってくるなんて急な話でびっくりしてしまった。だが、これであらたにこちらの作戦内容のとれる選択肢が増えるのはいいことだ。後はうちの艦娘たちと折り合いをつけて上手くやっていけるかだ。陸軍と海軍。私としては仲の悪いイメージしかないので不安だが、いったいどうなるのだろうか。
ついに陸軍の艦娘も鎮守府にやってきます。誰か来るかはわかりませんが、とても楽しみであります。