転生して男の娘メイドになるそうです。…て、え!? 『問題児編』 作:楠木 蓮華
僕は今、非常に、非っ常に困っている。
何を困っているかって?
今、どこかわからない森の中を右往左往。
簡単に言ってしまえば…………迷子である。
「うわぁーーー!!」
もうなにやってんだ僕!
鳥に目を奪われてふらふらぁ~っと迷い込んでから、鳥は見失うし、来た道もわからないしで、完全に迷子。
この年になってから迷子って、滅茶苦茶恥ずかしんだけど。
よし!ともかく歩き続ければ出口に着くはずだ!!
僕は歩き続けた。ひたすら、ひたすら。ただ真っ直ぐに。
そして…………なんかさらに奥地まで来てしまいました。
「OTL」
なんかもう辺りが暗くなるくらい木が密集してるし
「もうこれ誰かの陰謀か?」
「よ~くわかったね~おね~さん」
「!?」
そこには1人の子どもがいた。
頭には耳があって、しっぽがある。そしてそのしっぽは2つに分かれていた。
「猫、又?」
「へぇ~、わたしのことしってるんだ。そう、わたしはねこまたのユリ。よろしく~」
「よ、よろしく。でもお姉さんじゃなくてお兄さんなんだけどね」
「!!そ~なんだ!すごくきれいだからおんなのひとなのかとおもった!」
「それはどうも。それで僕が道に迷ったのは君のせいなの?」
「うん!そうだよ。おに~さんとおはなししたくてわたしのぎふとでまよわせたの!あとユリでいいよ~」
「そうなんだ。それでお話ししたいんだよね」
「うん、いい?」
「いいよ」
「やった~!!それじゃあおに~さん、こっち」
「ん?ここでお話しないの?」
「あのどうくつのおくにわたしのおともだちがいるから」
「そうなんだ」
そして洞窟の中を進んでいくにつれて周りが明るくなってきていた。
「もうすぐつくけど、あしもときをつけて」
「うん、オッケー」
進んで行くと目の前に赤い色の扉があった。
「ここ?」
「うん!!」
ユリは駆け足で扉に駆け寄り扉を開けた。
「どうぞ!!」
「おじゃまします」
中は赤茶色に近い色の家具がたくさんあり暖炉には火がついていてとても落ち着きのある部屋だった。
「あら、今日は誰か連れてきたの?ユリ」
「うん!すっごいびじんなおにーさん」
するとこちらに向かってくる。顔をみるためだろう。
そして暖炉の光が女性の顔を照らす。
そこには落ち着いたやさしい目、少し癖のある赤と黄にグラデーションしている髪。
そんな女性がいた。
「あら、確かに美人ね。それなのに男の子なんて、少し羨ましいわ」
「何言ってるんです?あなたもとてもお綺麗ですよ」
「あらあら、褒めても紅茶ぐらいしか出ませんよ」
あ、いちよう紅茶出してくれるんだ。
「そこにどうぞ」
用意された椅子に座って出してくれた紅茶を飲んだ。
「美味しい……」
「フフッ、ありがとう。私の名前はフェス。フェニックスの方が聞きなれてるとは思いますが。それであなたはどうしてここに?」
「フェニックス!?あの!」
「はい、でもフレンドリーに話してもらって構いませんよ」
「は、はい」
その後、ユリに出会ったことと、どうしてそうなったかの顛末を伝えると。
「すみません。ユリがご迷惑をかけてしまって」
「いえいえ、迷惑だなんて」
「でも同志たちが探しているのでは?」
「それは大丈夫ですよ。この洞窟に入った時に外の時間を止めたので」
「時間を止める?それがあなたのギフトですか?」
「えぇ、その1つです」
「なるほど、ここにずっといると私たちだけが年を取ってしまいますね」
といって笑った。
「ね~ね~おに~さん。おにいさんはどこのコミュニティに入ってるの?」
「ん?さっきも言ったけど、呼ばれたばかりで名前は教えてもらってないんだよね。でも黒ウサギの様子からするとコミュニティは結構ピンチってことぐらいかな」
「このあたりでぴんちのこみゅにてぃだと~」
「ジン=ラッセル率いる“ノーネーム”、かつてはすごいコミュニティだったがこの箱庭の天災、魔王によって滅ぼされた」
「魔王……」
その後、黒ウサギからは伝えられていないこの世界のことを教えてもらった。
それから黒ウサギのコミュニティが再建させるために僕達を呼んだことを。
「これが私が知っていることの全部です。」
「ありがとうございます」
「それで1つ質問してもよろしいでしょうか?」
「はい」
「あなたはそんなコミュニティに入るんですか?もう崖っぷちのそんなコミュニティに」
そんなことを聞いてきた。僕はそんな質問にこう答えた。
「僕、この世界に来た時点で夢は叶ってるんです。でもフェスさん「フェスでいいです」……フェスの話を聞いてまた夢見たんです」
「夢?」
「ゆめって?」
「はい、僕は“ノーネーム”のみんながコミュニティを再建させるっていう夢を叶えることを夢見ちゃったんです。だから僕は手伝ってあげたいんです。そんな夢を叶えるために」
2人は黙っていた。今の話にあきれられてしまったのかはわからないけど。
「クスッ、あなたは面白い人ですね。気に入りました」
「わたしも~おに~さん、おきにいり~」
「えっ?」
「こんな人を見たのは初めてですね。他人の夢を叶えることを夢見るなんて」
「うん!おに~さん、おかし~」
「ちょ!!それひどくないですか!!」
2人そろって笑われました。うぅ~かなりいいこと言ったのに。
「ですが、素晴らしい答えでした。ご褒美でもあげましょうか」
「ご褒美?」
「わたしも~!」
「なんです?」
すると2人は顔を見合わせた後、ニコッと笑って言った。
「「私たちのギフトです(わたしたちのぎふと~)」」
「は?」
耳を疑った。だってギフトはその人にとって大切なものだから。
「な、なに言ってるんですか!!ギフトは持ち主にとって大事なものなんでしょ!!」
「落ち着いてください」
「どう落ち着けと!」
さっきこの世界でどれほどギフトが大事かも、価値があるのかも聞いた直後だからこそ思ったのだ。
「もうおちついてってば~!!」
「むぐっ!?」
いきなり体で顔を押さえつけてきた。
あ、いい香り。って違う!!
「よく聞いてください。私たちは別に全てを渡すとは言ってませんよ」
「え?」
「もうはやとちり~!」
どうゆうこと?
「私たちは複数のギフトを持っています。それの1つをお渡ししようということです。それにあなただから、夜月さんだからこそ私達の魂の一部であるギフトを渡したいと思ったんです」
「フェス……」
「それでは、受け取っていただけますか?」
そんなことを言われたら断れないじゃないか。
「はい、喜んで」
「ありがとう(ありがと~)」
こんな笑顔を見られたし、よかったのかな?
そうすると、2人は僕の頭に手を掲げた。
すると僕の中に暖かい何かが入ってくる感覚がした。
「これでオッケーです」
「えっ、もうですか?」
「ええ」
「簡単なんですね」
「まぁ、そうですね。私達のことは終わりましたので、後はのんびりお話でもしましょうか」
「おはなし~!!」
「はい」
この後、フェスとユリと一緒に世間話や紅茶などの淹れ方やたくさんの料理の作り方を教えてもらった。
「あなたにはもう教えることは何もありません」
「ありがとうございました!!」
なんかテンションがおかしな感じになってしまった。
「あなたと過ごしたこの時間、今まで生きてきた中で一番面白かったです」
「それはよかった」
「また来てくれませんか?ユリも気にいっているようなので」
「おにい~さん、すき~」
「ありがとう、また来ます。それじゃあまた!」
「はい(うん)!!」
この洞窟をでたあと暖かい風が僕の体の周りに吹いてきた。
その風の暖かさに少し、もう死んでしまった母さんを思い出した。
今回はオリジナルキャラの登場でした。
フェスはお母さん的ポジション。
ユリは少しおませな子供。といったところでしょうか。
また、空の母親のことが最後に少し出てきましたね。
これからもちょくちょく出すかもしれませんが、メインではないです。
それでは、次回もよろしくお願いします。