細かいとこは後で直すと思う。
『ひゃ、ひゃい。わわわかりまひた!』
( :゚皿゚)
「今日からお世話になります。教育実習生の
学校内を自由に動き回るには実習生って立場が便利そうだったから、学長にだけ話を通してもらって、潜入することにしたんだ。
うん、すげー無理があると思うけど強行した。凄く恥ずかしい。
なんか生徒の目が痛い。何でこんな時期に? とか思ってそうだ。
ま、まぁいいよ。どうせすぐ居なくなるしな。ちなみに名前は本名だ。
てか、解理さんあの後、犯人を取り逃がしたらしい。解理さん曰く、絶対協力者がいるってさ。逃走の仕方が1人でがむしゃらに逃げてる感じじゃなかったんだって。よー分からん。
そんで現場に居たってことで、解理さんは捜査本部に缶詰めだってさ。銃撃犯の主担当として、すげー忙しいってRINEで言ってた。いい年して女子中学生みたいな文でちょっと引いたよ。
「それでは結城先生、早速授業をお手伝いしてもらいますね」
俺の指導を担当するアラサーの男性教諭──
出来る訳ないだろ! 何を隠そう俺は何処に出しても恥ずかしいニートだぞ!?
しかも、担当教科数学ってなんだよ! せめて公民とか現代文にしてくれよ! 解○さん──クソビッチの陰謀だぁ!
謎は全て解けた! ……解けたんだけどなぁ。
「はぁ」
場所は屋上。普通に鍵が掛かってたけど、職員室から拝借してサクッと侵入した。誰も居ないから快適だぜ。それはいんだけどなぁ。
真相は、進藤さんによる性被害を受けている生徒達のデモンストレーション的自殺劇だ。進藤さんは様々な変態行為を強要し、それを撮影。その動画を使い、生徒達に泣き寝入りさせ続けている。
多少嫌でも警察に助けを求めればいいじゃん! て俺は思うんだけど、生徒達はそれをしない。何でかって言うと、簡単に言うと校風……か? いや、育ち……?
ここに来る子の親って勝ち組上流階級なんだよね。エリートにはたまにあることだけど、生徒達もその例に漏れず、小さな失敗、人生の汚点、そういったものを受け入れられない、ていう強迫観念に縛られてるっぽい。結果、バレたら終わりだって思い込んで、性被害を誰かに打ち明けることが出来なくなる。
失敗は無いように見える優秀な親の下で育ち、似たような家庭の子の居る学校に通えば、その感覚はエスカレートしちゃうよな。なんとなくは分かる。
そして、進藤さんはその強迫観念が強い子、つまりメンヘラ気質の子を見分ける嗅覚が鋭い。そういう子をターゲットにしてきたらしい。
でも、1人だけその強迫観念に逆らった子が居た。最初に死んだ少女──
華さんは勇気を出して、この学校のスクールカウンセラーに相談した。で、当然のように揉み消された。で、絶望した。で、キレた。それはもうブッチギレよ。
そこで華さんは、今回の殺人劇を計画した。社会に強いインパクトを与える形で殺人に見せかけた実質的集団自殺を行う。そうやって社会の注目をかっさらい、最後の1人が進藤さん、スクールカウンセラー、学校の対応を暴露する。マスメディア各社に生徒達の肉声でのメッセージを送るつもりらしい。
情報を集める為に、華さんは進藤さんに媚を売り、上手くお気に入りになった。そして、他の被害者についての情報をゲットした。
後は、被害者の生徒を1人、また1人と説得して、最終的に8人全員を引き込むことに成功。皆もう疲れきっていたんだ。死ぬきっかけを探していたんだろう、華さんの話は渡りに舟だった。
と、まぁこんな感じなんだけど、これを上手く解決ってどーすりゃいんだ?
生徒達をほとんど時間差なく逮捕しないと自殺される可能性が高い。それに、納得してないと逮捕後も自殺の可能性がある。それはアウトでしょ。ギリギリ及第点と言い張る為にも、せめて半分以上の生徒は生きてる状態で逮捕して、適正に法手続を受けさせたい。
「でも、どうすっかなぁ」
バカみたいな力技使うか? でも、それやっちゃうと生徒達が廃人になる可能性あるんだよなぁ。俺は別にいいけど、解理さんめんどいこと言い出さないか不安だわぁ。
『はぁ』
出るのはため息ばかり……、て、おい! 俺はため息ついてねぇ。俺の声じゃない。
横を見る。
俺はニタァと笑うのを抑えられなかった。見つけたんだ。使えるネタを。
『ひぃ!』
ガシッと少女の肩を掴む。絶対に逃がさん。
「お前後悔してるよな!?」
『え、何で見え? え? え、触ってる……』
「こ・う・か・いしてるよな!?」
俺の霊圧を少女の霊体が消えないギリギリまで高める。少女が面白いくらい分かりやすく震え出した。目尻には涙を浮かべている。
ガクガク震えてばかりで返事がない。イラっ。俺を巻き込みやがって、数学の授業やらせやがって、マジ腹立つわぁ。
おっと、霊圧をすこーし上げすぎてしまった。てへ☆
「へ・ん・じ!」
『ひ、ひゃい! ひひひてまひゅ!』
始めからそう言えばいいんだよ。全くやんちゃしやがって!
「じゃあ、俺に協力しろ。YESか、はいで答えろ」
『ひゃ、ひゃい。わわわかりまひた!』
よーしよしよしよし! これで霊的ロボトミーをしなくて済むかもしれない。クソみたいな力技に変わりはないけどな!
少女の霊──
謎(?)は全て解けた! 名探偵(笑)は伊達じゃねぇぜ!
「君達に集まってもらったのは他でもない」
生徒指導室では犯人グループの生徒達が布を噛ませられ、椅子に縛り付けられている。うん、俺のせいやね。
サクッと幽体離脱して霊体になった俺は生徒達に取り憑き、身体を操作。この部屋に来たら、憑依を解き、戸惑ってる内に拘束。それを6人分繰り返す。これじゃどっちが犯人か分からんね。
「君たちのことは全て知っている」
記憶見たからね。それにしても進藤さん、変態過ぎて笑うわ。中々あそこまでの変態は居ない。
「今回の殺人、進藤先生のこと」
皆に動揺が広がる。
「どうして知ってるのか? て顔をしてるな」
雰囲気を出すために窓のブラインドを少しずらし、外を見る。
眩し! ヤメヤメ!
なんか偉い人ってよくこんなことするよね。マジ意味不明。目がやられてしまったぜ。
たっぷりと溜めを作ってから、俺はジャケットの内ポケットへと手を入れる。
そして、取り出す。
「この中に全てがある」
俺が取り出したのはボイスレコーダー。
「事件の真相、進藤先生の悪行。この中で、それらについて華さんが述べているよ」
今度は先程よりも大きな動揺。
お、何人か物申したそうにしてる。じゃ、サクサク行きますか。
「聴いてみないことには信じられないよな。じゃあ流すぞ」
ポチっとな。
「これを聞いているということは私はもう死んでいるのかな」
間違いなく、矢川華さんの声だと思ったのだろう。生徒達が息を飲む。
「今回の事件は──」
と、まず真相が述べられる。
「このボイスレコーダーを聞いた方にお願いがあります。私達の中にまだ生きている人が居たら、この音声を聴かせてあげてほしいです。そして一度だけ聞いたら、焼却炉で燃やしてほしいです」
一旦止める。
「ここからは華さんの君たちへのメッセージになる」
再生を再開。
「
これは良君──
良平さんが静かに泣き始める。
はい! オッケー。次!
「──」
と、こんな具合に皆への謝罪にかっこつけて、各々華さんと本人、2人しか知らないはずの思い出とかを挟む。
まぁ、それなりに信じてくれたっぽいから、オッケーっすね。
「皆には悪いことをしたと思ってる。だから、ごめんなさい。私が死んだだけで十分。勝手なことを言って、ごめんなさい。でも、やっぱり私は皆に死んでほしくない。もう皆には自殺なんて止めてほしい」
ここで音声が終わる。
生徒達が顔を見合わせる。迷ってるな。
「俺はこれを学校の中庭で見つけた。華さんも迷っていたんだろう。しかし、止めるべきとの思いを捨てきることも、今回の集団自殺を諦めきることも出来なかった。それがすぐに見つかるような場所にボイスレコーダーを捨てるという中途半端な行動に繋がったと俺は見ている」
生徒達は静かに聞いているが、中には涙を流す子も居る。
「はっきり言って、君達の犯行はすぐにバレる。おそらく計画の完遂を待たずして逮捕されるだろう」
皆薄々分かっていたんだろうね。犯行計画の粗さは自覚してた。だから、今も難しい顔はしているけど、取り乱すまではいってない。
「でもさ」
雰囲気を作る為に少し間を開ける。まったく! 気を使うぜ。
「華さんは君たちに自分の意思で踏みとどまってほしい、と言っている。俺にはそう聞こえた。だから俺はこのボイスレコーダーを警察に提出とか、真相を告発とかはしないつもりだ」
ぶっちゃけ、提出したら色々まずいのは俺だもん。提出出来る訳ないじゃん。
「華さんの言う通り、後で焼却炉にでも突っ込むよ。君たちにとって残したくない事実が沢山含まれているから、華さんはそう願ったんじゃないか? 華さんは君たちの将来を少しでもマシにしたいと思ってるんじゃないか?」
ぶっちゃけこじつけ甚だしいよな。とんだコントだせ!
でも、生徒達の口に布を噛ませてるから、キレのあるツッコミはない。もごもご言ってるけどよー分からん。
「……つまり、心から君たちに生きていてほしい、と思ってるんだろ」
疲れた。心にもないことをそれっぽく言うのってマジ疲れるわ。だって本心は全く別なんだもん。演技の才能皆無なんだよなぁ。
「……俺が言いたいことは以上だ。これから君たちを解放する。どうするかは君たちの自由だけど、俺は信じてる」
ホントに頼むぞ! 自首! 自首しろよ!? フリじゃねぇからな!
この日、生徒達は皆で揃って警察署を訪れた。事件発生から解決までたったの1週間。
でも、解理さんはやや不満顔だ。解決に自分があまり関与出来なかったからだとよ。警察官のクズである。AV女優への転職を勧めてあげよう。
え? ボイスレコーダーはどうやって調達したか?
デパートで買ったよ。そんで、華さんの霊を憑依させ、声を完全に再現して、俺が吹き込みました。
何か問題でも?
『うぅー。納得いかない!』
華さんが唸ってる。鬱陶しいなぁ。
やっとサヤさんの霊が居なくなったのに、今度は華さんに憑かれてしまった。
俺も納得いかないよ。
ま、いっけどね。人なんてそんなもんよ。
「差出人不明じゃん」
臨時に用意された俺のロッカーに張り付けられていたメモを眺め、そう呟く。
──結城先生、ありがとうございました。
すまん。先生じゃないんだ。でも一応受け取っておくよ。
「……どういたしまして」
腹減ったな。ファミレスでも行くか。
一人称苦手。コツとかってあるのかなぁ。