【完結】霊能チートのネタバレ事件簿   作:虫野律

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探偵とは……w


悪人VS悪人

「俺が殺しました」

 

 

 

 

( ´∀`)σ)∀`)

 

 

 

 

 

 

 最近、洗面所の鏡が汚れてる。

 見えにくくなってるから、ホームセンターで買ってきた洗剤で本格的な掃除をしていたんだけど、なんか来た。スマホを見る。

 

──根岸バ課長からメッセージが届きました。

 

 嫌な予感がする。すごーく嫌だ。見たくない。でも、きっとそうはいかないんだろうなぁ。見るか。

 

「相談がある。早めに連絡が欲しい」

 

 ん~。何だろ。また、事件かなぁ。嫌だなぁ。でも、どうせ逃げられないんだろ? 分かってる。俺も学習したから。

 

 いい加減、観念した俺は「今から通話していいですか?」と返信する。

 

 ぽぷぴぱぺぷぱぴ♪

 

 頭のおかしい呼び出し音が鳴る。なんか焦ってんのかなぁ。スワイプして出る。

 

「お疲れ様です。何があったんですか?」

 

「今から東京地裁に行けないかい? 事情は道中で話すよ」

 

「え、地裁……?」

 

 まさか遂に訴えられた……? でも、訴状は来てないし、心当たりは……それなりにあるけどまともな証拠なんてない。不思議だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回の事件、実は容疑者は捕まっていて、現在、公判が進めらている」

 

 お、おう。なんや。なら俺要らんくね?

 

「かいつまんで事件のあらましを説明するね」

 

 ……。

 

 今更突っ込まないつもりだったけど無理だ!

 

「なんで無関係の! 民間人の! 俺に話すんですか!?」

 

 絶対おかしいよ! 

 しかし根岸さんはキョトンとした顔を向ける。いやいやいや、前々! 前見て運転しろ!

 

「結城君は一課の常任特別捜査協力者として、部内会議で正式に決まっているよ? 警視総監のお耳にもしっかり入ってるから何も心配要らない。全力で事件解決してくれ」

 

 はぁぁぁ!? 警視総監!? なんでやねん! エリート中のエリートが何でニートを野放しにしてるんだ! いや、野放しにしてほしいんだけど! 解放を要求する! 

 しかし、無情にも根岸さんは事件を説明し出した。

 

「じゃあ、話を戻すね。今回の殺人事件は──」

 

 根岸さんの話はこうだ。

 

 今から2ヶ月程前、とある老婆──兵藤(ひょうどう)美智子(みちこ)さんが自宅で殺された。兵藤さんは首をロープのようなもので絞められ殺害された。現場からは兵藤さんが趣味で蒐集していた美術品が数点消えており、強盗殺人と見て警察は捜査を開始したが、怨恨、通り魔、物取り等様々な線が考えられると捜査は方向性が定まらずに迷走していた。

 しかし、兵藤さんは暴力団とも繋がりがある、近辺の小規模未成年売春組織の実質的トップであったこと、総額100万円以上の美術品が奪われていることの2点を重視し、私怨を前提にした計画的物取りであると判断した。

 ところが、事件発生から5日後、1人の青年が自首をした。青年が言うには「金が欲しかった。魔が差してしまったが、時間をおいて冷静になり、恐くなって出頭した」とのことらしい。

 一応、青年の証言は現場の状況とも矛盾しない。それに何より、青年の毛髪が現場である兵藤宅から発見された。これが決め手となり、起訴。現在、東京地裁で裁判中らしい。

 しかし、事件発生から10週間後、青年の裁判も判決を残すのみとなった頃に、警察署に1人の青年が訪れた。青年は「兵藤を殺したのは私です。彼女への借金に悩み、計画して殺しました」といった内容を語った。そして、青年の証言を裏付けるように青年の自宅アパート(1人暮らし)から、盗まれた美術品が発見された。

 今回の事件の最大のネックは自首した2人の青年が一卵性双生児であったことだ。更に犯行推定時刻に彼らのどちらかが、現場からは数十キロ離れたデパートの監視カメラに複数回映っていたのだ。

 つまり、どちらかが嘘をついている。実行犯は1人。しかし、それが分からない。重大な事実が不確定なままでは判決は出し辛い。2人が共犯関係を否定していることも事態をややこしくさせた。結果、判決の言渡しは延期され、捜査を再開せざるを得なくなった。何か裏があるのは誰の目から見ても明らかだった。

 テレビニュースでも放送されている事件で、いつまでも解決できないで良いわけはない。警察の威信の為にも直ちに解決しなければいけない。

 しかし決定的な判断材料もなく、困り果てた某警察幹部が「仕方ない。ここは警視庁の切り札にご活躍願おう」と幹部級会議で発言。そこから「やはりそれしか有りませんな」と別の幹部が発言。最終的に切り札投入が満場一致で決定された。

 で、俺に話が来たわけだ。

 

 ……。

 

 ……。

 

 ……。

 

「はぁぁぁあああ!!?!?」

 

 おかしいよ! 訴えてやる! 最高裁まで争う覚悟だ! 絶対に勝つ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東京地方裁判所。

 

「君が例の」

 

 担当の検察官──霧島(きりしま)(りゅう)さんが探るような目を向けてきた。

 そうそう、これだよ、これ! 普通こーゆー反応になるよな! 安心したわ。

 

「私達も正直困っていましてね。君が何とか出来るというなら、最大限協力します」

 

 ……ブルー○ス、お前もか。

 俺は絶望した。渡る世間はバカばかり。もう救いはないのか。

 

 まぁ、そんなこんなで、2人の青年に面会し、記憶を見た。うん、色々分かったけど、まず、この人達は実行犯だ。頭のおかしい首謀者が別に居る。

 兵藤さんが牛耳っていた売春組織で人気の子──明石(あかし)いずみさんが指示したものだ。

 始め、青年達はいずみさんの単なる客だった。しかし、いずみさんはもの珍しい双子の客を見て、遊んでみたくなったのだろう、青年達へはとても良くしていた。

 思わせ振りな態度、献身的な行為、涙袋が特徴的な可愛らしい容姿、それらが重なり青年達はいずみさんにのめり込んでいった。

 結果、2人はいずみさんを巡り争い出した。いずみさんは、ここで2人にある提案をした。

 

「どちらかが兵藤を殺して、2人で自首して」

 

 いずみさんは、警察にコイントスのような判断をさせ、有罪になった方と個人的に付き合う、と嘯き青年を焚き付けた。

 いずみさんはおそらく、そのギャンブル劇を見たかったんだろう。いや、ちょっと彼女の気持ちはよく分からない。まぁそれは置いておこう。

 いずみさんへの妄信的な愛情に支配されていた青年達は言われるがままに今回の事件を起こした。

 

 分かりはしたけど、どうすんのこれ? とりあえず、いずみさんのとこに行くか?

 記憶を読むには触らなくても、近づけばいいだけだから、なんかヤバそうな子だけど何とかなるっしょ。

 

「兵藤さんの売春組織の情報を下さい」

 

 俺がそう言うと、検察官の霧島さんが目を見開く。

 

「何か分かったのですか!?」

 

「えぇ、まぁ。気になることがありましてね」

 

 いずみさんの精神構造が謎過ぎて気になるわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、いずみさんのとこに来た訳だ。客として。

 いずみさんは明暗高等学校の2年生だった。結構偏差値高かったはず。パッと見、やや地味な雰囲気の可愛い系の子なんだけど、なんつーか隙がない。序でに証拠らしい、証拠もない。

 

「初めてですよね? 選んでくれてありがとうございます」

 

 ホテルで会ったいずみさんが、男好きのする笑みを張り付ける。

 こっわ。この子、なんか苦手だわ。

 

「いえ、よろしく」

 

 すっとベッドに腰掛ける俺の横に座る。

 

「緊張なさらないで下さい。色々買ってきたので、何か飲みましょう」

 

 コンビニの袋からはお酒やジュース、お菓子が見える。

 さて、なんか嫌だが、記憶を見るか。

 

「じゃあ、ポテチとコーラを下さい」

 

「はい。どうぞ」

 

 !?

 え、ここまでヤバい奴、久しぶりに見たよ。

 いずみさんは俺が呆然としているのを不思議がる。

 

「大丈夫ですか? 失礼します」

 

 ごくごく自然体なまま俺の額と自分の額をくっ付けてきた。

 ひぇ……。ホラーかな? たまひゅんである。

 

「……んー。熱は無いですね。どうなさいます? 今ならまだお金をお返しできますよ」

 

 今すぐ帰りたいけど、もうちょい頑張るわ。

 

「いや、それはいいけど……」

 

「分かりました。したくなったらおっしゃって下さい」

 

 ならねーよ! 

 ただ、この子ホント隙が無い。過去何人もの人生をぶっ壊してきた癖に証拠が殆ど無い。やばすぎ笑えない。

 この子の基本スタイルは男を自分に溺れさせ、破滅させて、それを楽しむ。これだけだが、何人も死人が出てる。今回の事件だって、無罪になった青年の口封じを別の男にやらせるつもりだ。ガッチサイコパスやん。

 

 つい、いずみさんから距離を取ってしまう。くっ付きたくない。色々流れ込んできてキツイ。できれば触らないでほしい。

 しかしいずみさんは何か勘違いをしたようだ。

 

「……お客さん、もしかしてホント(・・・)の初めてですか?」

 

 そう来るか。いや、でもこれは使えるかも。

 

「そ、そうなんだよ。全然モテなくて……」

 

「いえいえ、わりといらっしゃいますよ。それに……」

 

 いずみさんが急に抱きついて来た。心臓止まるかと思った。頼むから早く離れて。

 

「初めてに私を選んでくれたんですよね。嬉しいです」

 

 ポジティブシンキング極まれり。何故そうなるのか。俺はビビりまくってるというのに。

 

「大丈夫です。私に任せてください」

 

 それは絶対に嫌! いずみさんに任せたら地獄行きは確定だよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんで俺が小娘1人にこんなビビっているかって言うとさ。いずみさん、めっっっちゃ憑かれてるのよ。いろんな男の霊を背負ってらっしゃる。

 それなのに、まっっったく精神に異常をきたしてないんだよね。バケモンだわ。

 

 今、いずみさんはシャワーを浴びてる。その間に憑いてる人たちとお話しよう。

 

「なぁ、ちょっといいか?」

 

『やっぱり見えるのか』

 

 スーツの幽霊が食いついてきた。しめしめ。

 

「ああ、見える。ところでさ──いずみさんに復讐したくないか?」

 

 ざわっと幽霊達が色めき出す。

 

『……できるのか?』

 

 今度はチビが食いついた。

 

「できる。それには皆の力が要るんだ。ノッかってはくれないか?」

 

 おー、と盛り上がる中、スーツの人が俺を不審がる。

 

『お前のメリットは?』

 

「今、いずみさんにハメられている奴の事件を担当してんだ。いずみさんに一泡吹かせたい」

 

『……私達は何をすればいい』

 

 ハイ、スーツの彼も御案なーい。

 

「なーに、簡単さ」

 

 ふふ。いずみさんに隙が無いなら、強引に隙を作ってしまえばいい。うへへへへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜、俺は幽体離脱して、いずみさんのお宅へと向かった。

 

『お疲れー』

 

 いずみさんに憑いているナイスガイズに挨拶をする。

 

『……』

 

 しかし、返事がない。ただの背後霊のようだ。

 

『どうした? 元気ないな』

 

『いやいやいや。君は何者なんだ? 普通じゃないと思うが』

 

 そうかもしんないけど、別によくない?

 

『世の中、色んな奴が居るんだよ』

 

『……』

 

 スーツの彼、沈黙……!

 

『まぁまぁいいじゃないか。それより早く始めよう』

 

 チビの彼もこう言っていることだし、やりますか!

 今、いずみさんは勉強中だ。数学やってるよ。やだやだ。

 

『じゃあ、最初はスーツの人』

 

『私からか』

 

『うん、じゃあいっきまーす』

 

 ほいさ!

 スーツの人の霊体の核である魂をいずみさんの魂に無理矢理重ねる。

 

「!? な、何が……」

 

 いずみさん戸惑ってるね。キョロキョロと部屋を見回してるけど、当然何も無い。でも、そわそわと落ち着かない様子だ。

 

 さて、俺の狙いが何かと言うと、対サイコパス攻略メゾット「擬似的罪悪感植込み作戦」だ。

 サイコパスって言うのは反社会性人格障害とも言われ、その主要な要素となるのは、人を傷つけても罪悪感を感じないという点だ。

 で、先ず前提としていずみさんに憑いてる霊はいずみさんを怨んでる。いずみさんを責める気持ちに溢れてる訳だ。

 そんな彼らの魂をいずみさんの魂に重ねると、いずみさんは彼らの感情を自分の物だと錯覚する。魂というのは感情や人格の土台だ。そこが重なるとそんな風に感じてしまう。

 つまり、いずみさんはいずみさんを責める彼らの気持ちを自分の感情と認識する。結果、いずみさんは自分で自分の行いを責める状態=罪悪感を持った状態になる。

 俺はこれを毎日徹底的にやるつもりだ。

 

 1日目。

 いずみさんはなかなか眠れなかったようだ。未知の感情に戸惑っている。

 2日目。

 表情が沈んでいる。元気がないね。売春にも支障が出始めた。しめしめ。

 3日目。

 執拗にシャワーを浴び出した。ストレスが強迫的な行為へと向かっている。上手く濡れずにお客さんに文句を言われてた。よしよし。

 4日目。

 売春仲間から今までの傲慢な態度を酷く詰られてた。自殺について調べ始める。ぶつぶつと独り言が増えてきた。よーしよしよし。いい感じ。

 5日目。

 いよっし! ピアスを何ヵ所も開けたりと自傷行為に走り出した。うまい具合に追い詰められてる。お客さんも取ってないみたいだし、学校も休んでる。狙い目だな。

 

 期は熟した。Rineで連絡を入れよう。

 

──や! 最近元気が無いって聞いたよ。良かったら少し話さない?

 

 これでいいか。ぶっちゃけ文面なんて大して重要じゃない。絶妙なタイミングに不安をぶつけられそうな奴だと思わせられればそれでいい。

 

 ぽぷぴぱぺぷぱぴ♪

 

 呼び出し音が鳴る。ふぃーーっしゅ! 電撃フッキン!

 

「久しぶり。何かあったの?」

 

「……分からない」

 

「うん」

 

「……」

 

「……」

 

「苦しいの。自分が分からない……」

 

「そっか」

 

「どうしたら……」

 

「少し時間ある? 会えないかな」

 

「……うん」

 

 はい。みたいな感じで会う流れになりました。げへへへ。弱りきってる10代の小娘なんてただのカモよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっす。大丈夫?」

 

「……大丈夫ではないかな」

 

 はーい、じゃあ幽霊さん、少し責める気持ちを抑えてー。

 自分の右耳を触る。これが幽霊チームとのサイン。

 

「?」

 

 いずみさんは何か感じたようだ。

 

「どうしたの? 行こう」

 

 さっと手を繋ぎ、歩き出す。

 

「……うん」

 

 洗脳ではよくあることなんだけど、苦痛を和らげる瞬間を意図的に作ってやり、それを都合の良い行動と繋げることで、術者の思うような行動を取るようにさせる。

 苦痛は人を狂わせる。

 そして、そこに差し込む安心は遅効性の毒のように浸透していき、人を惑わせる。俺がやろうとしていることはそういうことだ。

 俺と居る時だけ、幽霊の責める気持ち、つまり疑似罪悪感が少しだけ和らぐようにしてる。これで俺へと依存する。

 この日は、ちょっと会って話したくらいでそれ以上はしない。別れた後にはまた強い罪悪感に苛まれるだろう。うへへへ。

 

 夜。

 

「会いたい」

 

 早速Rineが来た。ちょっと既読スルーしてみよう。

 

「ねぇ会いたいよ」

 

 ふむふむ。

 

「なんで無視するの」

 

 気分である。

 

「助けてよ」

 

 いや、始めから助ける気はない。

 

「リスカした」

 

 ほー。

 

「ふざけんな」

 

 キレだした。笑うわ。

 

「ごめんなさい許して」

 

 いや別に怒ってはいない。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

 しょーがないなぁ。

 返信すっか。

 

「ごめん、忙しくて返信出来なかった。3日後なら時間あるよ」

 

 ニートだからいつも時間はあるけどな!

 

「やだすぐ会いたい」

 

 駄々こねだした。

 

「無理。じゃあ、もう会わないよ」

 

「ごめんなさいわがまま言わないから捨てないで」

 

「ちゃんと言うこと聞く?」

 

「うん」

 

「じゃあ捨てない」

 

「うん」

 

 まぁ、これでいっか。

 

 それから2週間、飴と鞭を極端に使い洗脳は完成した。てか、時間掛かりスギィ。もう俺は疲れたよ、パ○ラッシュ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いずみさんのお部屋。

 

「……」

 

 いずみさんが今までの悪行を俺に打ち明けてきた。ここが一番大事だよな、うん。

 

「嘘ではないんだよね?」

 

「……うん」

 

「よく教えてくれたね」

 

 そう言って頭を撫でてやる。

 ……いや、なんだ。完璧に俺のキャラじゃあない。早く帰りたいわ。

 

「いずみはどうしたい?」

 

 いずみさんは視線が定まらない様子だ。

 

「分からないか」

 

「……うん」

 

 いや、嘘だな。重すぎる罪悪感を紛らわす方法なんて限られている。

 

「証拠は殆どないんだな?」

 

「……うん」

 

「じゃあ、警察に行こう」

 

 いずみさんが動揺する。貧乏揺すりもしてる。

 

「それで一度区切りを付けよう。自白以外の証拠がなければ有罪にはならないし、なっても大した罪にはならないよ」

 

 いくら罪悪感を擬似的に感じるようになったとはいえ、その本質は利己的かつ合理的だ。今みたいに都合の良いことを理屈付きで言われると効くはずだ。

 

「……でも、幽日くんに会えなくなっちゃう」

 

 めっちゃ自己チューだな。俺は早く君と離れたいよ。

 

「大丈夫だよ。すぐ出してもらえる。俺はそれまで待ってるよ」

 

「ホント?」

 

 勿論、嘘だ。誰がお前みたいのを待つんだよ。けっ。

 

「勿論だよ。愛してる」

 

 ぎゅっと抱き締める。いやー俺も嘘を付くことに抵抗がなくなってるなぁ。ま、いっけど。

 

「……分かった。行く」

 

 はい、オッケー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、俺といずみさんは警察を訪れた。いずみさんは自首をし、取り調べを経て逮捕されるに至った。

 

 さて、いずみさんにはああ言ったけど、勿論、可能な限り適切な判決を受けてもらう。その為に幽霊達にいずみさんを責める気持ちをマシマシにしてもらう。これで俺という逃げ道を失ったいずみさんはペラペラと自白するはずだ。

 更に、幽霊達の証言を元に余罪用の証拠を集めておいた。一つ一つは大したことのない証拠でも、いずみさんの自白を補強するだけならばある程度は可能だ。

 

 結果、いずみさんは殺人、強盗殺人、詐欺、窃盗、放火、強制性交の罪で起訴された。いずれも実行犯ではなく指示役の共同正犯としての罪状になる。

 

 やばすぎだって。まだ17でこれだぜ? 恐すぎる。

 

 まぁ、それはいい。よくないけど、次だ。最後の仕上げに双子の青年の下に訪れ、いずみさんが自首したこと、今回の事件についても自白していることを話す。

 

「嘘だ。信じられない」

 

 でしょうね。双子も洗脳に近い状態だからそう簡単には信じないよね。そこでこれですよ、奥さん。

 じゃじゃーん。

 

「このボイスレコーダーにはいずみさんの自供が入っている。流すぞ」

 

 はい、いずみさんが俺に罪を告白した時のやつね。

 ま、これでもすぐには受け入れられないだろうけど、牢屋の中でゆっくり何度も考えたり、検察官から何度も言われたらそのうち認めるっしょ。

 

 この17日後、双子も真実を自供した。これにて一件落着。いやぁ今回は長かったわぁ。1ヶ月半位は掛かったよ。2度とやりたくないね。うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「女の敵っすね」

 

 解理さんからこんなこと言われてしまった。納得いかねぇー!

 

 なお、検察官の霧島さんからやたらと熱い視線を感じるようになったが、気のせいだ。気のせいったら気のせいだ。

 クソが!

 

 

 

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