【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争 作:ダス・ライヒ
メイソン騎士団のグエンスと激しく交戦する皇帝ラインハルトを前にしたターニャでったが、PAYに阻まれた。力押しの攻撃の為、避けるのは容易かった。
「なんでぇ!? なんで当たらねぇ!?」
「(そんな単調な攻撃に当たるか)」
なんでも出来る日本人だけが持つYAP遺伝子を狂信するPAYの攻撃は呆れるほどに単調だ。技術も無ければ攻撃を当てる工夫も無く、そればかりか訓練も受けていないので、子供のようにただ闇雲に拳を振り回すだけだ。攻撃力と速さだけはあるが、良く見れば、避けるのは容易い。ターニャは攻撃を躱しつつ、皇帝ラインハルトの方へ向かおうとした。
そんな面倒な相手を打ち倒して突破しようとするターニャの背後より、キャシャーンレディの記憶を取り戻したクイーシャ・ノリトが襲い掛かる。
「っ! ピンク色のキャシャーンだと!?」
迫るキックに気付いたターニャは躱し、その姿を見て驚きの声を上げる。ターニャがまだ男性であった前世で知るキャシャーンそのものであったからだ。色はピンク色であるが、背丈の戦闘スタイルはオリジナルのキャシャーンそのものだ。
「邪魔すんじゃばっ!?」
そんなクイーシャことキャシャーンレディはグライダーを駆使し、邪魔なPAYを見事な蹴りで吹き飛ばした後、反撃しようとするターニャに追撃の拳を放つ。その拳は人造人間の為に弾丸の如く速く、躱し切れないと判断したターニャは魔法障壁を張って防いだ。
「流石はキャシャーンっと言った所か。だが、今は戦っている時では!」
拳の威力にターニャは容易くPAYを蹴り飛ばして空かさずに追撃するキャシャーンを褒めるが、今の彼女の狙いは皇帝ラインハルトだ。空かさず次なる追撃を仕掛けるキャシャーンレディに魔法の衝撃波を放って吹き飛ばし、皇帝ラインハルトを狙おうとするが、標的にはぺガスとなったヤッターワンに騎乗するテッカマンドッグが攻撃を仕掛けていた。
「テックランサー!」
「うわぁぁぁっ!?」
「なんだ!? まさか、宇宙の騎士テッカマンか!?」
皇帝ラインハルトはテッカマンドッグが放つ槍の投擲を躱し切れずに受けて吹き飛ばされる中、攻撃を紙一重で躱したグエンスは、ぺガスを駆る宇宙の騎士テッカマンの亜種の姿を見て驚く。メイソン騎士団もテッカマンの存在を知っているようだ。
「テッカマンまで居るのか!? ポリマーやガッチャマンも居るんじゃなかろうな!?」
ターニャもまた、標的である皇帝ラインハルトを攻撃するテッカマンドッグの姿を見て驚いている。キャシャーンに続きテッカマンも現れたので、ターニャはポリマーかガッチャマンも出て来るのではないかと疑っていたが、スミスが彼らを配下に加えているのなら、この時点で投入するので、流石に居ない。
「なんだぁテメェは!?」
「私はテッカマンドッグ。皇帝ラインハルト、その首、討ち取らせてもらうワン」
攻撃しながら問う皇帝ラインハルトに対し、テッカマンドッグは名乗りながらその首を取ると指を指しながら告げる。これにグエンスはパルチザンの突きによる攻撃を行い、テッカマンドッグを吹き飛ばす。
「幾ら宇宙の騎士テッカマンでも、この俺の邪魔をすることは許さんぞ!」
『邪魔なのは貴様らだ!!』
「っ!? 巨人!? 超人型兵器か!?」
テッカマンドッグに攻撃して追い払うグエンスは、次に現れたアルシエルのアンティーク・ギア・カオス・ジャイアントを躱しつつ、驚きの声を上げる。
『そいつを殺すのはこの私だ! 退け!』
「何処の伝説巨人か知らんが、こいつの首は我らメイソン騎士団のトロフィーなんだよ! 貴様こそ邪魔をするな!!」
追撃を続けるアルシエルに対し、グエンスは攻撃を避けながら一撃を見舞う。かなり素早い突きによる一撃であるが、巨体ゆえに効果は薄い。無論、グエンスは承知しているので直ぐに距離を取る。
「標的を狙う者が多い。それでもやるのがテッカマンだワン!」
吹き飛ばされるが、駆け付けたぺガスに再び騎乗したテッカマンドッグはテックランサーを構え直し、アルシエル共々乱戦を覚悟して再び皇帝ラインハルトの首を狙いに向かう。
だが、帝国再建委員会で皇帝ラインハルトの首を狙うのは、ターニャだけではない。委員会に属するイヴ人魔術師によって召喚され、戦闘力を向上させるために調整された
「今度はサーヴァントか! 何処の英霊か知らんが、我らメイソンの邪魔をする者なら、英霊とは言え容赦はせんぞ!」
「アハハッ! お兄さん強いね! 私の一撃を耐えちゃうなんて!」
「フン、子供に構っている暇は無い!」
標的を狙うアルシエルと共に仕掛けようとしたグエンスの背後より、いつもの学生服とは違う黒装束の燕結芽が迫り、手にしている大脇差にっかり青江を振り下ろす。それに気付いたグエンスはパルチザンで防ぎ、結芽を弾いた。結芽の小柄な体格と幼さで子供と判断し、少しばかり油断していた。
「へぇ~、お兄さんからすれば、わたし子供に見えちゃうんだぁ。なら、私が本気になっても、お兄さんは文句は言わないよね? 卍解!!」
「なっ!? この小娘の英霊、イヴ人共に調整されたのか!?」
自身を子供扱いする相手に結芽が見せたのは、彼女がいた世界とは違う戦闘力向上の技であった。その技を見たグエンスは、帝国再建委員会に英霊として召喚された結芽が、調整された英霊であると驚く。
メイソン騎士団でも、所属する魔術師による英霊の調整が行われているのだ。自分ら以外にも英霊の調整が行われていることを知るグエンスは驚くが、使命を果たす騎士としてパルチザンを構え、臨戦態勢を取る。
「まさか我らメイソン以外に英霊の調整をするとは…! だが、所詮は残党気取りの賊軍! 英霊なんぞに頼る軟弱なイヴ人共に、この俺は負けん!!」
卍解で巫女服のような衣装に変わり、戦闘力が飛躍的に向上した結芽に対し、グエンスは恐れを抱くことなく、恐ろしい速さで繰り出される彼女の斬撃を防いだ。
「卍解を使う? あいつ、BLEACHのキャラだったのか。席官クラスか?」
「アァァっ! なんで死なないんだぁ!?」
結芽が卍解を使ったことで、ターニャは自分がサラリーマンだった前世の頃に読んだ漫画の登場人物と思い込む。そんな彼女の下方より、負けないはずの自分が負けていることを認められないPAYが奇声を発しながら迫る。
それに気付いているターニャは余りにも読め過ぎるPAYの攻撃を躱し、強烈な蹴りを叩き込んで再び吹き飛ばした。次に来るのは交戦中のキャシャーンレディで、素早い手刀を繰り出してくる。
「あいつはどうにかなるが、ピンク色のキャシャーンは厄介だ!」
ただ攻撃力の高いPAYよりキャシャーンレディが厄介なため、ターニャはその攻撃を避けつつ、どうにか皇帝ラインハルトに食らい付こうと思考を巡らせた。
「傲慢が過ぎたか。こうまで接近を許すとは」
本陣で指揮を執るバウムガルデンは、次々と皇帝ラインハルトの接近を許す部下たちに呆れ果てていた。
バルトルトは大型MS「ハイゲール」でニコレのガンダム・ニコレ、アモレのガンダム・アモン、パール・カーシアの初代ガンダム三機を数十機の随伴機と共に抑えているが、帝国再建委員会の能力者たちの突破を許している。既に数名が本陣に迫り、最終防衛ラインに配置された親衛隊と交戦を始めている。
ファビアンの方は召喚した巨大な魔人で良くモンジェルナ侯爵のマゴートを抑えているが、押され気味であり、いつ突破されてもおかしくない。
親衛隊副司令官であるアードリアンは、メイソン騎士団のレッドホークを抑えるので必死だ。正義の軍団の二番手である東条武夫は、アガサ騎士団の勇者と膠着状態に陥っている。
クルス来夏は「ハーレムアーミー」を全力召喚し、レオナが属するワルキューレの北部方面軍を一人で抑えていたが、慢心で敗北する可能性は否めない。
「クソっ、こんな奴らに手こずるなど!」
「焦るな、マースル。この戦、我ら世界帝国の勝利に揺るぎはない。だが、慢心が過ぎ、足元をすくわれる者が多い! 者共に伝えよ、敵を見くびらず、全力で応戦せよと!」
倒せるはずの敵にやられる味方を見て怒る正義の軍団の十一番手であるマースル・グッド・フォクトに対し、バウムガルデンは焦るなと注意する。それと同時に自軍が慢心で負けていると悟り、傘下の者たちに敵を見くびらず、全力で応戦するように指示を出す。
真の皇帝とも言えるバウムガルデンの指示に従い、世界帝国への進化を始めた正義の帝国の将兵等は全力で侵略軍と応戦するも、戦況に変わりはない。そればかりか、バウムガルデンが居る本陣にも、帝国再建委員会に身も心も売った転生者である千葉セイジが迫る。
「ジェノサイダーセイジ改め、チートスレイヤーセイジが相手だ!」
「…ぶっ殺す!」
自分の異名をチートスレイヤーに改めた迫るセイジに対し、巨像兵の能力を持つゲルニが迎撃するために立ち向かった。
能力を使い、巨大な像の兵士に姿を変えたゲルニは、右手に持つ剣を迫るセイジに叩き付けようとしたが、あっさりと躱され、更に強化された転生者の強烈な一撃を腹に叩き込まれる。その一撃で巨像のゲルニの腹に大穴が空き、膝から崩れ落ちる。
『ば、馬鹿な…!?』
「へっ、あの碌な転生特典も出さないクソ神様よりも、良い物を貰ってるのよ! この俺は!!」
「あの力、転生者か。しかし、強化されている。イヴ人共に毒されたか」
巨像状態で腹に大穴を空けられたゲルニは、元の状態に戻っても大穴は空いた状態であり、そのまま力尽きた。
ゲルニを倒した非人道的に強化された事すら自慢するセイジに、バウムガルデンは強化されていると見抜き、彼はもう完全にイヴ人の奴隷であると見なす。そんなセイジは溢れ出る力に支配され、本陣に居るバウムガルデンらに襲い掛かった。
「髭とクソ、テメェらも血祭りだァーッ!!」
「虫けらめ! 身を弁えろ!!」
「お、おわっ!?」
襲い掛かるセイジに対応したのは、マースルであった。大柄な体格であるマースルの動きが余りに素早く、それに対応できないセイジは顔面を掴まれ、近くの建造物に叩き込まれた。
「ぶ、ぶご…!」
「フン、この程度で我々に挑むとは!」
掛けていた眼鏡を割れるほどに叩き込まれたセイジは、白目を剥くほどに意識を失う。それ程にマースルは強敵なのだ。相手が意識を失ったところで、マースルはセイジを殺すには値しないと判断し、バウムガルデンの元へ戻って来る。
「我らに挑んだ馬鹿を始末…いや、排除しました」
「神より碌な力を分け与えられなかったと見えるな。さて、どれほど持ち堪えられるか」
マースルの報告に対し、バウムガルデンは褒めることなく、いつまで配下たちが持ち堪えられるかと、まるで他人事のように呟いていた。
「馬鹿な! 三次元の女が僕の花嫁たちを!?」
ハーレムアーミーを率いてワルキューレの北部方面軍を抑えていたクルス来夏は、自分のハーレムソルジャーたちを次々と蹴散らしながら迫る専用VAのクリームヒルトを纏うレオナに驚く。
レオナはハーレムアーミーの本体をクルスと見抜いたのだ。自分だけ何もせず、ただ偉そうに配下のハーレムアーミーに指示を出していることで、あれが本体だと見抜いたのだろう。正体と居場所させ分かれば、後は本体を叩くだけである。
上位種のハーレムトルーパーやハーレムサージェント、ハーレムオフィサーですらレオナの前では蹴散らされるばかりなのだ。お気に入り候補であるコマンダーですら、ブレードで真っ二つに切り裂かれるほどだ。
「あぁ! 僕のお気に入り候補が!? 良くも! 何をしてるんだ!? 速くあの三次元女を殺せ! 殺すんだ!!」
お気に入り候補が撃破されて激怒するクルスであるが、何もせずにハーレムアーミーに対処させている。止めるために戦闘力の高いハーレムユニットをぶつけるも、己と養っている孤児たちの為に奮戦するレオナのクリームヒルトに蹴散らされるばかりだ。
秒ごとにハーレムアーミーを蹴散らしながら迫るレオナに恐怖するクルスは、隣のミレイナに一定範囲内に居る味方を強化するように指示を出す。
「うぅ、なんて女だ! ミレイナ! 聖域を展開しろ! 何としても奴を止めるんだ!!」
その指示に応じてミレイナは聖域を展開し、周囲のハーレムアーミーを強化する。戦闘力が強化されたハーレムアーミーらが味方を蹴散らしながら向かってくるレオナに群がることで、ようやく止めることが出来た。
「本体が、本体が目の前にいると言うのに…!」
「な、なんて奴だ! あんな状態でもまだ近付こうとしてくる!? 女の子たち、奴を止めろ! 他は良い! あの三次元女の息の根を止めるんだ!!」
ミレイナの聖域のサポートで強化状態の数十名のハーレムアーミーに取り付かれ、レオナの前進は止まった。本体のクルスは目と鼻の先だが、取り付いたハーレムソルジャーとトルーパーが多く、動けない。取り付いたハーレムソルジャーやトルーパーを振り払うべく、ブレードやクローを振るって吹き飛ばすも、先の倍以上の数が取り付いて来る。北部方面軍を抑えていたハーレムアーミーも動員しているらしく、抑えきれていない後続と増援が皇帝ラインハルトやバウムガルデンが居る中心部へと進出していた。
「マスター、敵軍が…!」
「うるさい! 今はあの三次元女を殺すのが先だ!! 僕に指図するんじゃない!!」
「い、イエッサー…!」
戦略的に見れば完全にクルスが負けているが、このナルシストな自己中心的な男は全く気にも留めない。今はレオナを倒すことしか頭に無いのだ。それを指摘するハーレムジェネラルとコマンダーらに、クルスは凄まじい剣幕で睨み付けて黙らせる。
「こんなところで、こんなところで終わるわけには…!」
そんなレオナも過剰なハーレムアーミーの数に圧し潰されようとしていた。大勢に圧し掛かれてもまだ無事なクリームヒルトであるが、何百人どころか何千人もが圧し潰そうと乗りかかっている。幾ら本家IS譲りのバリアがあったとしても、廉価版であるVAでもいつまで持つか分からない。いずれは圧死することだろう。
「まだだ…! あの子たちと、私の未来の為…! 奴の、奴の首を取るんだぁッ!!」
孤児たちと自分の未来の為、このままでは終われないレオナはクリームヒルトのエネルギーを全開にし、圧し掛かっていた強化体のハーレムアーミー全てを気合の波動で吹き飛ばした。あれだけ圧し掛かっていた大勢のハーレムアーミーを気合の波動で吹き飛ばしたレオナに、クルスとハーレムジェネラル等は驚愕する。
「ば、馬鹿な…! 千体は圧し掛かっていたんだぞ!? そ、それを、たかが気合だけで!?」
「まずはお前だァァァッ!!」
「お、女の子たち! 僕を守れッ! ミレイナ、何をしている!? 聖盾だ! 速く張れ! 僕と君の周りだけだ!!」
気合いだけで状況を覆したレオナにクルスは怯え、配下のハーレムアーミーらに阻止するように命じた後、ミレイナに防御結界である聖盾を張るように慌てて指示を出す。ハーレムアーミーらがレオナに挑んでグラムの剣とバルムンクで薙ぎ払われる中、ミレイナはそれに応じ、防御結界を自分とクルスの周りにだけ張った。
「ま、マスター!? キャァァァ!」
「ハーレムジェネラル、下がれ!」
結界内に居ないハーレムアーミーらは次々とレオナに惨殺されていくが、クルスは全く気にも留めない。聖域による強化を受けてはいるものの、覚醒して暴れ回るレオナのクリームヒルトは止められないようだ。流石にお気に入りであるハーレムジェネラルは下がらせたが、その所為でクリームヒルトの接近を許した。
「ひっ!? ハハハッ、無駄だよ! 君の努力もここまでだ! 所詮、三次元女はそこまでが限界さ! 二次元こそが最強なのさ!!」
「くっ、なんて頑丈な!」
クリームヒルトが行った打撃に震えたが、防御結界の範囲が広いおかげで頑丈であり、それが分かったクルスはこちらを睨み付けるレオナを煽り立てる。無論、攻撃は行う。ミレイナに聖槍と言う追尾レーザーによる攻撃を命じる。
「直ぐに引導を渡してやるさ! ミレイナ、聖槍だ! 奴を串刺しにしろ!!」
それに応じてミレイナは聖槍をレオナに向けて放つ。至近距離から来るレーザーに対し、レオナは躱すことよりも防御に徹したが、流石にシールドとバリアの組み合わせでも、レーザーによる攻撃は完全に防げない。
「まだだ!!」
だが、それで止まるレオナではない。向かってくるハーレムアーミーを排除しつつ、バルムンクの超振動クローを防御結界に向けて叩き込み、超振動で防御結界を破壊しようと試みる。これに驚いて尻もちを着いたクルスであるが、割れない結界に安心する。
「ハハハッ! 何をするかと思えば、無駄な抵抗か! このまま聖槍で串刺しに…」
またも調子に乗るクルスであるが、超振動による打撃は相当な物らしく、小さなひび割れが出来ていた。クルスはそれに気付くことなく、無駄な行為をするレオナを嘲笑っているが、ひび割れは徐々に広がって行く。やがてミレイナにとどめを刺すように命じた瞬間、レオナの諦めない気持ちが功を奏してか、堅牢な防御結界は破壊された。
「う、ウワァァァッ!?」
「ハァァァッ!!」
自分を守る唯一の防御結界が破れたことで、クルスの顔は青ざめる。そんなクルスに防御結界を砕いたレオナは、容赦なく左手に持つグラムを振るってミレイナ共々斬り付ける。ミレイナは魔導鎧のおかげで致命傷にならずに済んだが、全く戦闘に出ることを想定していないクルスは右腕を深く切り裂かれ、悲鳴を上げながら出血を必死に抑える。
「ひっ、ひやァァァッ!? 僕の腕が!? 僕の腕がァ!? は、速く、速く治せミレイナ!!」
噴き出る血を抑えつつ、クルスはレオナを聖盾で吹き飛ばしたミレイナに聖光による治療をするように喚き散らしながら告げる。当のミレイナは重傷で口から血を吐いているが、全く痛みも感じていないように無表情であり、マスターであるクルスの指示に応じて治療魔法を彼に行う。それを見ていたレオナは、一番治療が必要なのはミレイナなのに、自分の治療を優先するのは何事かと告げる。
「あ、あんた…! 一番治療が必要なのはそこの女じゃないの!?」
「黙れよ! 三次元女の分際で、この僕の右腕を斬り落とそうとした癖に! 説教するんじゃない!!」
そんなレオナにクルスは激怒しながら説教するなと返し、付近のハーレムアーミーを差し向けるが、返り討ちにされるばかりだ。配下のハーレムアーミーが倒されていく中、自分を守り切れなかったミレイナが許せず、クルスは重傷を負いながらも顔色一つ変えず、寄り添おうとしてくる彼女に罵声を浴びせる。
「それにミレイナ、君なんてもう要らない! あれだけ強化してやったのに、聖盾を破られた挙句、あの三次元女にこの僕の右腕が斬り落とされ掛けたんだぞ! これだから三次元女は嫌いなんだ! この僕の期待を裏切るなんて!! がっかりだよ!!」
罵声を浴びせた後、クルスの怒りは収まらず、ミレイナに対して自爆命令である聖裁を命じた。
「もうこれで最期だ! 聖裁を発動し、あの三次元女と自爆して責任を取れ! ミレイナ!!」
この命令をミレイナは拒否することなく、顔色すら変えずに実行する。自身の魔力を鎧の力で爆発的に増大させ、暴走させていた。それが分かるように身に纏うドレス状の鎧が光っている。
広範囲の自爆攻撃の為か、クルスはお気に入りのハーレムジェネラルとコマンダー等、お気に入りと候補たちと共に付近に待機しているヘリに乗り込み、退避を始める。無論、ハーレムソルジャーとトルーパー、サージェントにオフィサーはレオナを確実に仕留めるために取り付かせている。何回か吹き飛ばすも、やはり限界が来ているのか、振り払う余力は残っていなかった。
「こ、こいつ! 味方を巻き添えに!!」
「ハハハッ! 幾ら吠えたって無駄さ。僕のお気に入り候補を殺した罰だよ! まぁ、減った女の子たちは新しく作れば良いさ。それに僕の理想の女の子は三次元には存在しなかったな。やっぱり二次元こそが至高だね! じゃあね、三次元女。もう会わないと思うけど」
「許さない! こいつだけは絶対に!!」
自爆するミレイナから逃れる事も出来ず、大量のハーレムアーミーに取り付かれたレオナは味方を見捨てて退避するクルスに激怒するが、当の彼は涼しい顔で煽り返し、お気に入りたちと共にヘリに乗り込み、この場から飛び去って行く。
もうじき自爆しようとするミレイナの虚ろな赤い瞳より一滴の涙が零れ、瞳は元の碧眼へと戻っていた。大勢のハーレムアーミーに取り付かれたレオナは、人形同然に洗脳されたミレイナの瞳より零れたその涙を見逃さなかった。
「自分を、自分を取り戻したのね…でも、もう…!」
最後の最期で自分を取り戻したミレイナであったが、既に聖裁が発動した後であり、レオナも間に合わないと思って覚悟を決めた。周囲がミレイナの自爆による魔法の爆発に呑まれたが、レオナはクリームヒルトの一度限りの絶対防御バリアのおかげで無事であった。
「あれ…? 私、生きてる…?」
死を覚悟したレオナであったが、自分が生きていることに驚き、破壊されて機能を失ったクリームヒルトを脱いで周囲を確認する。自我を取り戻したミレイナの咄嗟の判断か知らないが、爆発の範囲は敢えて弱めており、被害は取り付いた大量のハーレムアーミーの消失と周囲が消し飛んだ程度で済んでいた。だが、レオナはかなりの無茶をした所為で、身体を動かすので精一杯だ。
ミレイナは自爆を行ったにも関わらず、鎧が吹き飛んだ程度で済んでいるが、横たわったまま動く気配が無い。そんな時にワルキューレ北部方面軍に属する数名の歩兵がやって来る。レオナの状態を見た士官は衛生兵を呼んだ。
「大丈夫? えーと…」
「レオナ暁星です。あそこに倒れている子は無事ですか?」
士官に無事を問われたレオナは自分の氏名を答えてつつ、ミレイナが生きているかどうか問う。これに士官は部下にミレイナが生きているかどうか確認するように無言で指示を出し、確認に向かわせた。担架を持った衛生兵四名が来て、レオナを担架の上に載せる中、ミレイナの生死を確認しに向かった部下は脈が無い事を確認し、首を横に振って息絶えたことを伝えた。
「あそこで倒れている子、死んだみたいだわ。知り合い?」
「知り合いじゃありませんが…何とかできませんか?」
「まぁ、出来る限りはするけど。今は貴方を後方に運ぶのが優先よ。あの子を埋葬するのは、戦闘が終わった後になるわね」
「そうですか。それじゃあ、頼みます」
知り合いなのかと問われたレオナであるが、知らないと答えた。どうにか埋葬は出来ないのかと聞いたが、今は戦闘中であるので難しいと返される。そう返されたレオナは、大人しく担架に載せられて後方へ移送された。
かくして、暁星レオナとクルスのハーレムアーミーとの戦いは、前者の勝利で終わった。
クルスは勝ったと思っているが、洗脳して手塩を掛けて強化したミレイナが自分を守れなかったと言う理由で自爆させ、北部方面軍の進出を許した挙句、バウムガルデンの本陣へ後退している。完全にクルスの負けだ。おかげで首都北部に展開している大帝国軍は壊滅的被害を被り、中心部へ撤退するか、玉砕攻撃を敢行していた。
己の魔力で鎧の力で暴走させ、自爆したミレイナはある意味では幸せであろう。何せ洗脳前にシスターとして勤めていた小さな教会は、もう既に無いのだから。もし生き延びていれば、その辛い現実を受け入れ、絶望しながら生きていたのだろう。
それでも、戦闘は無慈悲に続いていた。皇帝ラインハルトの首を、どちらかの勢力に属する誰かが討ち取るまで続くだろう。
Rararaさん、レオナ戦闘不能にしてごめんなさい。
初めはミレイナを生存させるつもりでしたが、死亡枠なので散ることに…。
クルスは、次に出る時は、確実に退場ですね。