【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争   作:ダス・ライヒ

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これで最終回です。

ドクター・ストレンジは、元カノの結婚式に出席してた方です。

メチャ長くなったな…


オーラ力を合わせて

 与えられた膨大な力をコントロールできず、怪物となって暴走したラインハルトの対処に負われた秩序の女神であるホーラは、バウムガルデンの撤退を許してしまった。だが、それは想定内であり、自らが組織した追跡隊に対処させていた。

 

「バウムガルデンが逃げるぞ!」

 

「いや、奴の追跡はロンド・ベルのブライト艦長たちがやる! 我々はあの化け物の対処をすれば良い!」

 

 オーラ力を動力源とするオーラ・シップであるゼラーナの艦橋内にて、操艦手であるドワ・グロウがバウムガルデンが逃げることを伝えれば、その艦長であるニー・ギブンは、ラー・カイラム級機動戦艦を旗艦としたロンド・ベルが追撃を行うと返し、自分らは怪物と成り果てた皇帝ラインハルトの対処に専念すると告げる。

 

「ドクター・ストレンジ殿、あのような化け物との戦闘経験はおありか?」

 

「あぁ、似たような物とは何度か戦ったことがある。あれよりも強かった気もするが」

 

 ニーに皇帝ラインハルトのような怪物との戦闘経験を問われたドクター・ストレンジと呼ばれる以下にも魔術師な男は、少し経験があると答えた。

 

「それなら結構だ。キーン、フォウにドクター・ストレンジを乗せて出撃してくれ」

 

「分かったわ!」

 

「安全運転でお願いするよ」

 

 経験があるというドクターストレンジの言葉に嘘が無い事を理解したニーは、キーン・キッスと言う少女に彼を乗せて出撃するように命じる。それに応じ、キーンはドクター・ストレンジを連れて艦橋を出て行った。

 

「それじゃあ、俺たちも出るか!」

 

「速くあの怪物を倒さないと、他の世界に影響が出るって言ってたわね。あのドクター・ストレンジって人は」

 

 同じく艦橋に居る日本人青年であるショウ・ザマと、アングロサクソン系の女性であるマーベル・フローズンも出撃するとニーに告げた。彼らは異世界より助っ人に来たドクター・ストレンジから、早期に怪物ラインハルトを倒さねば、他の世界に影響が出ることを知らされていた。

 

「マルチバースと言うのは、バイストンウェルと地上と大体は同じような物だ。即ち、あの怪物がこの世界で暴れれば、他の世界にも被害が及ぶって訳だ。ゼラーナは援護する! ショウとマーベルはターニャと言う少女と共に協力し、あの怪物を倒せ!」

 

 マーベルの言葉に答えるように、ニーは両名にターニャと合流するように出撃を命じた。

 それに応じてショウとマーベルは艦橋を飛び出し、格納庫へと走り、オーラ・バトラー呼ばれる全高十メートルほどのオーラ力で動く人型兵器に乗り込んでいく。ショウがビルバインと呼ばれる赤と白が特徴的な鳥のようなオーラ・バトラーで、マーベルが昆虫のような外見を持つダンバインに乗り込み、ゼラーナより出撃する。

 二機のオーラ・バトラーが出撃していく中、ゼラーナの長く突き出た船首の真下に駐機しているフォウと呼ばれる同じくオーラ力で動く戦闘機にキーンとドクター・ストレンジが乗り込んでいく。

 

「シートベルトは着けたぞ。出してくれ」

 

「えぇ。キーン、フォウで出ます!」

 

 ドクター・ストレンジが副操縦席に座り、シートベルトを着用したことを伝えれば、キーンはヘルメットを被り、エンジンを作動させ、操縦桿を倒して出撃する。

 

「な、なんだ!? 敵か!?」

 

 地上ではバウムガルデンが異世界へ撤退した所為か、マイ・アーミーで召喚された二百万と航空魔導士、巨人と言った大陸軍は消滅していた。

 だが、帝国再建委員会とワルキューレ、アガサやメイソンの両騎士団は混乱しており、ゼラーナと出撃したビルバイン、ダンバイン、フォウを敵と判断して攻撃を行う。

 最初に攻撃したのは、ガンパック装備のVF-11Cサンダーボルトを駆るシーン・プライセルだ。怪物となって暴れ回るラインハルトに向かうショウ等に向け、機体の全身に装備された機銃を一斉に放ち、弾丸の雨を浴びせた。それに続き、首都に居る全ての軍がショウたちに攻撃を始める。

 普通ならハチの巣にされているはずだが、オーラ力で動くオーラ・マシーンはあらゆる攻撃から対象を守るオーラ・バリアが働いており、オーラ・マシーンを駆るショウ等には通じなかった。

 

『地上の軍が攻撃してくるわ!』

 

「こいつ等、混乱しているのか!?」

 

『オーラ・マシーンに乗っている限り、オーラ・バリアが俺たちを守ってくれる! 我々の敵はあの暴れ回る怪物だけだ! 一々相手にするな!』

 

 凄まじい弾幕を浴びせられているが、オーラ・バリアに弾かれるばかりだ。それを理解しているニーは相手にするなとショウたちに伝え、怪物ラインハルトへの接近を続ける。

 

「か、艦艇でもハチの巣だぞ!? まさかバリアだとでもいうのか!?」

 

 ありったけの弾幕を浴びせても、オーラ・バリアのおかげで無傷なショウたちを見て、シーンは驚きを隠せないでいた。

 

『あれだけ受けて平気なのか!?』

 

「ならば、接近戦でやるまでよ!」

 

 上空でGNライフルで攻撃するジンクスⅢを駆るメイソン騎士団の面々も、オーラ・バリアで無傷なショウたちに動揺する。だが、接近戦ならば仕留められると判断し、背中にマウントしているGNランスを取って、ショウたちに接近戦を挑む。

 

「あいつ等、近付いて攻撃してくるつもりよ!」

 

「チャム!? どうしてここに!?」

 

「そんな事より、モビルスーツって言うのが来るわ!」

 

「言われなくとも!」

 

 チャム・ファウと呼ばれる妖精のような小さいミ・フェラリオと呼ばれる赤毛の人種がコクピット内に居ることにショウは驚き、どうして乗っているのだと尋ねるが、接近するジンクスⅢが先決だと告げて対処に負われる。

 

『バルキリーか、エステバリスか? 見たことも無いマシーンめ!』

 

「お前たちと戦う気は無いというのに!」

 

「ショウたちの邪魔しちゃだめよ! せっかく助けようとしてるのに!」

 

 あの弾幕を躱しながらランスを突き刺そうと接近してくるジンクスⅢに対し、ショウは戦う気が無いと叫べば、チャムもそれに同調して肩の上で助けようとしているのにと叫んだ。

 

『馬鹿な!? 串刺しになっている距離だぞ!』

 

「邪魔をするな!」

 

 ジンクスⅢに乗る騎士は躱し切れない距離で突きを放ったが、ショウはそれを躱して見せた。オーラの力によって躱すことに成功したのだ。

 確実な突きを躱された事に驚く騎士に、ショウのビルバインは敵機の背中に蹴りを入れ込んで怪物ラインハルトの元へ急ぐ。

 小型であるビルバインの蹴りで吹き飛ばされた事に、そのパワーにジンクスⅢを駆る騎士はまたも驚かされた。勢いをつけずに十八メートルはあるジンクスⅢを蹴飛ばしたのだ。小型のビルバインに中型MSを蹴飛ばされるパワーがあることに、騎士は驚きを隠せない。

 

「あ、あの小ささで、そのようなパワーが!?」

 

 蹴飛ばされたジンクスⅢは、ビルバインに向けて飛んでくる攻撃を受けて爆散した。

 地上や上空の四つの勢力に襲われるのはビルバインだけでなく、マーベルのダンバインやキーンとドクター・ストレンジが乗るフォウ、ニーたちのゼラーナにも及ぶ。

 

「こいつ等、俺たちを攻撃するなんて!」

 

「急に現れたんだ! それに彼らからすれば、俺たちは得体の知れん存在だ! 混乱してもしょうがない! それと各員、絶対に反撃するな! 余計なことになる!」

 

「こっちが助けようとしてるのによ! たくっ!」

 

 オーラ・バリアに守られながらも、攻撃による衝撃は流石に防げないようで、ゼラーナの艦橋内にも伝わって来る。ドワは自分らを攻撃する四勢力に激怒するが、ニーは混乱した状況下で、得体の知れない自分らが急に現れたのだから混乱しても仕方が無い事だと言って宥める。

 これにドワは苛立ちつつも、他の乗員たちと共にニーの指示に従い、四勢力の攻撃を無視しながら怪物ラインハルトの元へ向かう。当然ながら、キーンとドクター・ストレンジが乗るフォウにも攻撃が及んでいた。

 

「こんなに攻撃して! なんで撃ち返しちゃいけないの!?」

 

 フォウもオーラ・バリアで守られているが、これほど攻撃を受けてはたまった物では無いので、キーンもムキになって反撃しようとする。この状況にも関わらず、冷静なドクター・ストレンジが宥めつつ、解決策を取る。

 

「そう熱くなるな。要は傷付けず、撃墜せずに追い払えば良いのだろ?」

 

「そんな事、出来るの?」

 

「そうするために、ソーサラー・スプリームとなった」

 

 攻撃してくる相手を傷付けず、撃墜せずに追い払うと言うドクター・ストレンジに、キーンは出来るのかと問えば、彼は出来ると答え、それを行うための詠唱を行った。

 

「うわっ! ぶ、武器が!? あの大型戦闘機には、魔術師が乗っているのか!」

 

 ドクター・ストレンジが行った詠唱は念動力であった。念動力でフォウを攻撃しようとする全てのMSやエステバリス、ASと言った人型兵器より武器を取り上げたのだ。念動力で取り上げた武器で、ドクター・ストレンジは鈍器のように叩いて追い払う。

 固定兵装を持つ機体やゾイドなどからは取り上げられないが、取り上げた人型兵器の武器を投げ付けてい仕舞えばよい。それで遠距離を除く敵からの攻撃からフォウを守って見せた。

 

「す、凄い…! オーラ力でも、こんなことは出来ないわ!」

 

「まぁ、オーラ力と似たような物さ」

 

 敵がフォウに手を出せず、退いていく姿を見たキーンが驚きの声を上げれば、ドクター・ストレンジは自分が使う魔術とオーラ力は似たような物と告げる。

 

「ガンダム? でも、乗って居るのはアムロ・レイでは無さそうね」

 

 邪魔な敵機を、この世界ではオーラ力も相まって強力過ぎる左腕のオーラショットを使わずにあしらうマーベルのダンバインの方には、パール・カーシアのガンダムが迫っていた。ガンダムに驚くマーベルであるが、動きでかつてそれを駆り、伝説を生み出したアムロ・レイで無いと見抜き、右手に持つオーラ・バトラー用の剣で対処する。

 

「外れた!?」

 

『これでも、聖戦士なのよ!』

 

 射撃を目に止まらぬ速さで躱したダンバインに驚くパールのガンダムに対し、マーベルは無視して行こうとする。

 

「なら、接近戦で!」

 

 だが、それを逃すパールではない。射撃が駄目なら接近戦なら出来ると思い、バックパックに付いている二本のビームサーベルを抜き、二刀流となってダンバインが居る上空へとスラスターを使って飛ぶ。

 

「陸戦用の兵器で、ダンバインに接近戦を挑もうというの!? なんて無謀な!」

 

 接近戦を挑むパールのガンダムに驚くマーベルであったが、彼女が驚いた理由は、その無謀な行動であった。近くまで迫れば、ビームの刃を振り下ろすガンダムに対し、マーベルはオーラ力を使ってダンバインの反応速度を強化して避けた。

 

『えっ!?』

 

「これなら!」

 

 一撃目の斬撃をオーラ力で躱したダンバインは、左手のビームサーベルから繰り出される二撃目も躱して見せた。驚くパールに次なる手を使わす暇を与えず、マーベルは敵機の左腕を剣で斬り落とした。ダンバインが使う剣は実体剣であるが、オーラ力で切れ味が上がっており、ガンダリュウム合金すらも切断も可能である。

 

「くっ、まだだァ!」

 

 左腕を斬り落とされて尚も右手に持つビームサーベルで斬りかかろうとするパールのガンダムに対し、マーベルのダンバインは左足で蹴りを放ち、胸部装甲を抉って地上へと叩き落した。

 

『お、落ちる!? こ、こんなところで!』

 

「どういう命令を受けたかは知らないけど、それなら言い訳つくでしょ! 帰りなさい!!」

 

 ダンバインの蹴りを受けたガンダムの損傷は、大破に至らぬほどの損傷であった。マーベルが敢えて撃墜せずに損傷を与え、味方の陣地に帰投するように行ったのだ。

 地面に落下しても、ガンダムなら大丈夫と分かっているマーベルは、その損傷なら帰投しても問題ないと告げ、怪物ラインハルトの元へ急いだ。

 

「後ろから怖いオーラの気配が! あそこ!」

 

「ン? あの鳥のような奴、人間だけを殺す為に作られたハシュマルって言う機械か!」

 

 怪物ラインハルトの元へ急ぐショウとチャムが乗るビルバインは、再起動したハシュマルに気付いた。

 チャムは無人MAであるハシュマルが、人間だけを殺すために作られた機械であると、設計した者から伝わるオーラで気付いたのだ。

 

「あれもあそこの憎悪ばかりの怪物と同じく、地上に残してはならない兵器だ!」

 

 それを知ったショウも、開発者の邪悪なオーラがハシュマルより発生しているように見え、怪物ラインハルトよりも先に破壊しなくてはならないと判断する。

 直ぐにオーラ力をフェラリオのチャムと共に込め、ビルバインのオーラキャノンを展開し、照準を暴れ回りながらこちらに来るハシュマルに向ける。そのショウとチャムの敵意を感じてか、ハシュマルは高出力ビームを二人が乗るビルバインに向けて放った。

 

「きゃぁ!? ビームが来る!」

 

「オーラ・バリアなら、大丈夫だ!」

 

 射線上に居た友軍のはずのバルキリーに、両騎士団の航空戦力を焼きながら迫る強力なビームであるが、オーラ・バリアを貫通することは無かった。核の爆発や放射線からも守ってくれることはショウも理解しており、敢えてその場に留まり、ハシュマルに攻撃させたのだ。ビームの掃射が終われば、対象が健在であることに驚いた様子を見せるハシュマルに向け、オーラ力を込めたオーラキャノンを放つ。

 

「大量殺戮を目的とした無人兵器は、ここで破壊する!」

 

「人間だけを殺す機械なんて、壊しちゃえ!」

 

 ショウとチャムの叫びと共に、ビルバインの二門のオーラキャノンは発射された。

 発射された弾頭はオーラ力で強化されており、放物線を描きながらハシュマルに向けて飛んでいき、数秒後に命中した。ハシュマルもナノ・ラミネート装甲を有しているが、オーラ力で強化された弾頭は容易く貫き、胴体の内部まで食い込んだ後、爆発を起こす。

 爆発が動力源にまで達すれば、ハシュマルは内部爆発を起こし、唸り声を上げながら四散した。辺りに破片を巻き散らし、胴体が吹き飛んだ巨体を支えていた足は機能を失い、その場で倒れた。ハシュマルを一撃で倒したことで、チャムはショウの右肩の上で喜ぶ。

 

「やったー! 鳥の化け物をやっつけた!」

 

「だが、憎しみのオーラと共にいる全てを破壊し尽くさんとする邪悪なオーラが残っている! 速く止めなければ、この世界は破壊されるぞ!」

 

「そうね! あんな怖いオーラ力の持ち主、速くやっつけないと!」

 

 自分らから見れば脅威であるハシュマルを撃破したショウとチャムは、本来の目的である怪物ラインハルトを倒すべく、ビルバインを飛行形態に変形させ、現場へと急行した。

 その後をマーベルのダンバイン、キーンとドクター・ストレンジが乗るフォウ、ニーたちのゼラーナが続く。

 

 

 

「脅しに屈したおかげで、エレ二ウム九五式を使っても精神汚染はないが…」

 

 秩序の女神であるホーラの指令を受けたショウたちが怪物ラインハルトの元へ急いでいる頃、それと対峙しているターニャは、敵の余りの巨大さに、制限が解かれたエレ二ウム九五式でも倒せるかどうか不安になる。

 

「馬鹿でかいな。これは流石に全開のエレ二ウム九五式でも倒せそうにないな。ここは大人しく、ビルバインやダンバインを待ちたいところだが」

 

『テメェも、テメェも共産主義者(アカ)かァーッ!?』

 

 少し観察すれば、幾ら全力を出したところで、自分一人では倒せそうも無いとターニャは、目に見える物全てに攻撃を加える怪物ラインハルトの攻撃を避けつつ判断する。

 攻撃は上空で援護射撃を行っているアガサやメイソンの両騎士団の艦隊にも及び、アガサ騎士団は旗艦であるタゴンが中破し、左舷に居た艦艇は全て撃沈。メイソン騎士団の十五隻はあったホエールキングの内の七隻が、黒煙を噴きながら墜落していく。

 怪物ラインハルトは力が暴走している他に、転生の際にゴットカオスによって掛けられた自分に意にそぐわぬ物全てが共産主義者に見える呪いが強化されているらしく、今では目に見える全員が共産主義者に見えてしまうほど悪化していた。その所為で暴走に拍車が掛かり、無差別攻撃を行っている。

 

「おぉ、タゴンが!?」

 

「勇者殿を守れ! 青の盾隊、盾の陣!」

 

 討伐隊の旗艦であるタゴンが中破して航行に支障が出る中、青の盾隊と呼ばれるシールドライガーを主力としたゾイドの部隊は、地面に落下した勇者をラインハルトの無差別攻撃から守るため、シールドライガーをピラミッド型の組体操のような陣形を取った。

 

「シールド展開!」

 

 部隊長の指示で、シールドライガーの十八番であるEシールドを展開すれば、巨大なシールドとなり、ラインハルトの攻撃から勇者を守った。その後からアガサ・ライガーも勇者の元へ来る。

 

「助かった! それにアガサ・ライガー、貴公も!」

 

 青の盾隊に礼を言った勇者は立ち上がり、自分の元へ寄って来たアガサ・ライガーの頭を撫でる。

 

「力に溺れ、怪物と成り果てたか! 例えこの身が犠牲になろうとも、あの怪物を倒さなければ!」

 

 暴走して怪物と成り果てたラインハルトを見て、勇者は自分を犠牲にしてまでも倒さなければならぬ存在と捉え、アガサ・ライガーに騎乗する。

 

「共に行くぞ、アガサ・ライガー!」

 

 アガサ・ライガーに騎乗した勇者は、飛翔して怪物ラインハルトの討伐に向かった。

 

「この私を共産主義者(コミー)扱いとは、さては右が正義有能で左が極悪無能とか思ってる奴だな。まぁ、化け物になる前もそう思ってるだろうが。そのような危険思想を持つ者は、独裁者や共産主義者と同等の存在だ。排除しなければな!」

 

 この無差別攻撃に対し、ターニャは自分を嫌いな共産主義者扱いするラインハルトに怒りを覚え、排除対象と捉えた。だが、まだショウたちは到着していないので、まずはラインハルトを攻撃しようとする者たちを先に仕掛けさせ、その出方を見ることにする。

 

「と、言いたいところだが、今の私では火力不足だ。ダンバインらが到着するまで、まずはあいつ等に先に攻撃させ、その出方を見るか」

 

 そう言ってターニャは安全圏まで退避し、高みの見物を決め込んだ。先に仕掛けたのは、メイソン騎士団の最高戦力であるグエンスとレッドホークである。

 

「これ程デカくなったなら、何処かに弱点があるはずだ! 援護しろ、レッドホーク!」

 

「御意!」

 

 グエンスはラインハルトが暴走して怪物と化しても冷静さを保ち、レッドホークに援護させつつ攻撃を始める。レッドホークが敵の注意を引くべく先行する中、グエンスは巨大なラインハルトに接近し、対空砲火を避けながら弱点らしき物を探す。

 

「これほど大きいんだ。何処かに死角が…」

 

 攻撃を躱しながら探すグエンスであったが、レッドホークは主君に弱点を探させる時間を稼ぐことが出来なかった。

 

「なにっ!? グワァァァッ!!」

 

 飛んでくる攻撃を二刀流で弾いていたレッドホークであるが、攻撃を防ぎ切れずに吹き飛ばされた。幸い、念の為に防御魔法を掛けていたおかげで大事には至っていない。

 

「レッドホーク!? クソっ、この化け物がぁ!!」

 

 部下をやられたことで、グエンスは激怒してパルチザンによる全力の突きを行うが、大して効果が認められず、レッドホーク同様に戦闘不能に追いやられる。

 

「馬鹿な!? ウワァァァッ!」

 

『グへへ、この俺に歯向かうからだァ!』

 

 吹き飛んでいくグエンスを怪物ラインハルトは嘲笑う。

 

「あの敵、他と戦っている場合では無いワン」

 

「ここは共闘って所ね」

 

「ウキキ!」

 

「こんなことになるとわね」

 

 メイソン騎士団の最高戦力二名を圧倒した怪物ラインハルトに、テッカマンドッグ、キャシャーンレディとバナナ、モンジェルナ侯爵は最優先で倒すべきと判断し、出し惜しみ無しの総攻撃を敢行する。

 

「ファング・ボルテッカ!!」

 

 総攻撃はテッカマンドッグのボルテッカーより始まった。テッカマンドッグが放つ必殺技は、本家テッカマンの必殺技であるボルテッカと同じであるが、彼のボルテッカはドッグの名の通りに両手を対象に噛み付こうとする動物の顔を形にするように構え、それに額からエネルギーを発射し、十分に充填させた後に対象に向けて放った。

 技名と共に放たれたファング・ボルテッカは、対象に噛み付こうとする巨大な犬の顔となって目標である怪物ラインハルトに向けて飛んでいく。敵を粉砕するテッカマン最強の技の派生であるファング・ボルテッカは見事に怪物ラインハルトに命中した。

 

『グワァァァっ!? い、痛いィィィッ!!』

 

 流石はテッカマン最強技という所か。対象の一部を見事に噛み千切るように消滅させた。続けざまにキャシャーンレディも、ヘルメットの鍬形から光を炸裂させ、台風のように変化する超破壊光線を放った。超破壊光線もまた、本家キャシャーンの諸刃の剣とも言える必殺技である。

 

「効いている! 超破壊光線!!」

 

「キキーッ!」

 

 キャシャーンレディの超破壊光線に続き、フレンダーの枠であるバナナも口から破壊光線を発射し、怪物ラインハルトに更なるダメージを与えた。

 

「マゴート、やりなさい」

 

 一斉射が行われる中、鬼械神マゴートを使役するモンジェルナ侯爵もそれに同調し、マゴートにも破壊光線を怪物ラインハルトに向けて発射させた。

 

「クソっ、先を越されたか!」

 

 この必殺技による総攻撃の影響か、凄まじい爆発が巻き起こり、怪物ラインハルトの巨体が見えなくなるほどであった。並の怪物なら消滅レベルの攻撃であり、アンティーク・ギア・カオス・ジャイアントのアルシエルでさえ、倒されたと思うほどだ。

 

『うぅゥ…! 痛い、痛い…! でも、俺は無敵だァァァッ!!』

 

「ば、馬鹿な!? あれほどの攻撃を受けてもまだ生きているのか!?」

 

 だが、対象はあれほどの攻撃を受けたにも拘らず、まだ健在であった。これに一同は驚愕して動きを止めてしまう。その隙に怪物ラインハルトは強力な攻撃を繰り出した。

 

「ワォーン!?」

 

「キャァァァ!?」

 

「そ、そんなことがァァァ!?」

 

 怪物ラインハルトの反撃は余りにも速く、テッカマンドッグ、キャシャーンレディとバナナは一撃で叩き飛ばされた。巨体であるマゴートですら一撃で粉砕してしまうほどであり、肩に乗っていたモンジェルナ侯爵は叫び声を上げながら地面へと落下していった。

 

「ぶわっ!?」

 

 背後からあの千葉セイジが仕掛けるも、見えているかの如く吹き飛ばされ、再び戦闘不能に追いやられる。

 

「ちょっと! このサイズは荒魂(あらだま)でも…! うぅ!?」

 

 あの卍解を取得して戦闘力が生前より比較的に上がった結芽でさえ、怪物ラインハルトに成す術もなく、千葉セイジと同じく戦闘不能となる。

 次にガンダム・ニコレを駆るニコレが僚機のガンダムタイプと共に一斉攻撃を浴びせるも、ワルキューレの対能力者部隊が総出の必殺技を耐え抜いた怪物ラインハルトに通常兵器やビーム兵器が通じるはずも無く、放たれた光線で僚機共々吹き飛ばされる。他のガンダムタイプは大破したが、ガンダム・ニコレはナノ・ラミネート装甲のおかげでニコレは無事であった。

 

「なんで、なんで燃えているのに苦しまないの!?」

 

 他のガンダムタイプが撃破されるか戦闘不能となる中、火炎放射やナパーム弾を怪物ラインハルトに浴びせるガンダム・アモンをアモレは、対象が燃えながらも苦しむ様子を見せないことに激しく動揺を覚え、炎を浴びせ続ける。

 

『ウヒヒッ! 熱くない! 熱くないぞォォォッ!! 俺は、俺は無敵だァ! 最強なんだァァァッ!!』

 

 全身が燃え上がっても興奮が冷めぬ怪物ラインハルトは、狂乱して火炎放射を浴びせ続けるガンダム・アモンを光線で吹き飛ばした。ニコレ同様にナノ・ラミネート装甲のおかげでアモレは助かる。

 メイソン騎士団に続き、ワルキューレ、帝国再建委員会の最高戦力は怪物ラインハルトの前に倒れた。だが、まだアガサ騎士団が残っている。その最高戦力たる勇者とアガサ・ライガーのコンビが強襲を仕掛ける。

 

「我らの全力、受けて見よ!」

 

 その勇者の叫びと同調するようにアガサ・ライガーは咆哮を上げ、全身全霊の体当たりを仕掛ける。両名は全ての魔力を使い切る勢いで対象に全速力で突っ込めば、オーラによって青い巨大な矢となり、怪物ラインハルトに突撃する。

 

『グエアァァァッ!?』

 

「おぉ、命中したぞ!」

 

「やったか!?」

 

 青い巨大な矢となった勇者とアガサ・ライガーの体当たりは怪物ラインハルトに命中し、陸・空で疲弊したアガサ騎士団の者たちを歓喜させた。

 

「何っ!? ヌワァァァッ!」

 

『俺は、俺は無敵だァーッ!!』

 

 この全力の攻撃を受けても尚、怪物ラインハルトは健在であった。確かにダメージは受け、それを現すかのように叫んでいる。それでも力が尽き果てるまで怪物ラインハルトは止まらず、勇者とアガサ・ライガーを吹き飛ばした。

 

「やはり奴は、奴は私でなければ殺せない! 母と父、同胞と仲間たちの仇を殺せるのは、この私だ!!」

 

 異世界より大帝国に攻めて来た四勢力の最高戦力は全滅した。だが、まだアルシエルが残っている。彼女は余所者たちが全滅したのを見て喜び、怪物ラインハルトを倒せるのは自分の他に居ないと豪語し、敗れた者たちと同様に全身全霊の攻撃を仕掛ける。

 

「今こそ、今こそ本懐を果たす時! 見ているか狂人よ! 貴様等が生み出した幾万幾十万の怨嗟が、集い貴様等を殺しに来たぞ!!」

 

『いけない! その憎しみオーラでは、全てを破壊しようとするあの怪物には勝てない!!』

 

 両親と同胞、仲間、それにラインハルトの帝国によって殺された者たちの恨みを果たすべく、憎しみによる全力の攻撃を仕掛けようとしたアルシエルであったが、丁度ショウとチャムが乗るビルバインが到達したのか、オーラ力によるテレパシーで彼女を説得しようとする。

 事実、古代の機械混沌巨人(アンティーク・ギア・カオス・ジャイアント)となっているアルシエルのその全身全霊の攻撃は、憎しみだけで己を殺してしまう物だ。だが、ショウの説得も空しく、アルシエルは全身全霊の必殺技を行う。

 

「煩い! 私は今まで、この時の為に生きて来たのだ! それを何処からかしゃしゃり出た貴様に止められる筋合いは無い!」

 

 憎しみのオーラでショウのテレパシーを打ち消せば、アルシエルはカオス・ジャイアントの必殺技を行った。

 

「我が家族と同胞、そして仲間の仇よ! 今こそ消え失せろ! クラッシュ・オブ・ダークネス!!」

 

 カオス・ジャイアントは光線を乱射する怪物ラインハルトへ一気に接近した後、掴んで空中に上昇して地面に叩き付けた。そこからとどめの一撃と言わんばかりに、地面に叩き付けた対象に向け、両手からレーザーを発射した。

 

「そ、そんな…! 嘘だ! この全身全霊の私の憎しみが、奴に、奴に効かぬというのか!?」

 

 だが、それでもまだ怪物ラインハルトは生きていた。その姿を見たアルシエルは激しく動揺する。

 

『こ、このアカ野郎がァーッ! 死ねぇぇぇッ!!』

 

 そんな動揺するアルシエルに、目に見える全ての物が敵に見える怪物ラインハルトは容赦なく攻撃し、アルシエルのアンティーク・ギア・カオス・ジャイアントを破壊した。

 

「こいつの、こいつの憎しみは、我々の、我々の憎しみを遥かに上回るとでも言うのか…!? 悔しい、悔しい…! 父さん、母さん、みんな…ごめん。私、仇を取れなかったよ…!」

 

 数多の怨念と自分の憎しみを抱えて挑んだアルシエルであったが、怪物ラインハルトはそれを遥かに凌駕していることを攻撃を受けて知り、敗北を悟って仇が取れないことに悔みつつ、殺された者たちに謝罪しながら消滅する。

 

『ヒヤァァァッ! アヒャヒャヒャッ! 俺は、俺は最強だ! 無敵だ! イィヒヒヒッ! みんな、みんな殺してやるぞ! 皆殺しだ! 俺に逆らう奴はみんな共産主義者、否、敵だ! 全部敵だァーッ!!』

 

 自分に挑んだ者を全て倒した怪物ラインハルトは悍ましい笑い声を上げ、再び全ての物に攻撃を行う。この世界を破壊し尽くすまで、ラインハルトは止まることは無いだろう。自分らの最高戦力が叶わないと知った四勢力の者たちは攻撃を止め、怪物ラインハルトから逃げるように離れ始める。

 だが、怪物ラインハルトは無敵ではなく、本人が気付いていないようだが、確実にダメージは蓄積されている。それにまだ止められる者は残っていた。

 

 

 

「みんなやられちまったぞ。恐ろしいな」

 

 怪物ラインハルトに果敢に挑み、敗れ去った者たちを助けもせずに見ていたターニャは、改めて自分一人では勝てないと実感する。

 

「ダメージは受けているようだが、倒せる自信が無いな。おっ、来たようだ」

 

 まだ元気に暴れ回っている怪物ラインハルトであるが、先に攻撃した者たちの努力は無駄ではなく、ダメージが蓄積している様子が見られる。それが分かったターニャであるが、それでも倒せる自信が無いと言って、攻撃しようとしない。待っている間に、ショウとチャムが乗るビルバイン、マーベルのダンバイン、キーンとドクター・ストレンジが乗るフォウが到着する。

 

「子供…? いや、転生者だな」

 

「ドクター・ストレンジ!? いや、不思議では無いか」

 

 飛行中のフォウより魔術と身に着けているマントの力を得て現れたドクター・ストレンジを見てターニャは驚きの声を上げるが、自分が知る物語の登場人物が出て来るので、特に驚いた様子も見せなかった。対するドクター・ストレンジも、ターニャを転生者であることを見抜き、彼女の側に降り立つ。

 

「秩序の神から聞いているかと思うが、協力してもらうぞ。マルチバースを守るためにな」

 

「ま、マルチバース? まぁ、マーベルなら問題ないと思うが。それと来て早々に何故そいつ等を回収しているんだ? 敵だぞ」

 

「一度や二度ほど世界を救った身でね。人を救わなくてはならない性質なんだ」

 

「あぁ、そう言えば、ヒーローだったな」

 

 来て早々にドクター・ストレンジが怪物ラインハルトに敗れ、気絶した者たちを魔術を使って救助していることを問えば、彼は人を救わなくてはならない性質だと答える。これにターニャはヒーローだから納得し、ドクター・ストレンジが空間転移魔法で敗者たちを上空のゼラーナに送り込んでいる様子を眺めていた。その後からショウのビルバインとマーベルのダンバインが降り立つ。

 

「ニー・ギブン、彼らを安全な所まで運んでくれ」

 

『我々を攻撃してきた者たちで気が乗らないが、任せてくれ』

 

「よし、また世界を救うぞ」

 

 敗者たちを乗せたゼラーナのニーに安全な所まで退避するように命じれば、彼は承諾して安全圏の方へ向かった。ゼラーナもオーラ・バリアを有しているが、機銃くらいしか積んでいないので、巨大な怪物ラインハルトに対しては火力不足だ。心置きなく戦えるようになったドクター・ストレンジは、両手に魔力を宿らせながら臨戦態勢を取る。

 

「キーン、お前も退避しろ。フォウじゃ分が悪過ぎる」

 

『このフォウだってオーラ・マシンだわ! あんな醜い化け物だって!』

 

「直に応じておけ。その戦闘機じゃ、返り討ちにされるだけだぞ。それにゼラーナを狙う奴もいるはずだ」

 

『くっ、分かったわ。それなら必ず勝ってよね!』

 

「元からそのつもりだ」

 

 ショウがキーンに退避を命じたが、食い下がらずに挑もうとする。これにドクター・ストレンジが返り討ちにされるだけと告げ、ゼラーナにも護衛が必要であると説けば、彼女は苛立ちを覚えつつも納得し、ゼラーナの護衛に着いた。

 

『そっちの幼い子に大人の男の精神が宿ってる! あの化け物と同じく気持ち悪い!』

 

『こらっ! 今はそんな言ってる場合か! 今のは聞かなかったことにしてくれ!』

 

「はぁ、慣れんな。これも全て存在Xの所為だが」

 

 ターニャを見たチャムも彼女が転生者であると見抜いており、それに前世が成人の男と分かれば、その気持ちを隠すことも無く口にした。それをショウが咎め、効かなかった異にしろと言えば、ターニャは自分を幼女に転生させた存在Xを改めて呪う。

 

「喧嘩をしに来たんじゃないのよ! 速くオーラ力を合わせて、あのモンスターを倒さなくては!」

 

「その転生者の性癖を咎めるより、今はそのお嬢さんの言う通りに力を合わせるべきだ。行くぞ」

 

 マーベルもまたチャムを注意し、オーラ力を合わせるように告げれば、ドクター・ストレンジも同調して防御をしつつオーラ力を合わせる。

 

「分かったな? オーラ力を合わせるんだ!」

 

「まぁ、気持ち悪い人だけど、今は贅沢を言ってられないわね。合わせるわ!」

 

 チャムもそれを理解し、聖戦士であるショウとマーベルと共にオーラ力を合わせ始める。二人、否、三人がオーラ力を合わせると、ビルバインとダンバインはオーラを纏って光り始める。

 

「どうやって合わせるんだ?」

 

「あぁ、魔力だ。念じて魔力をあのロボットに乗る三人に合わせれば良い。防御も忘れるなよ」

 

「難しいな。でも、やるしか無いな」

 

 どうやってオーラ力を合わせるかどうか分からないターニャであったが、ドクター・ストレンジに魔力を合わせれば良いと告げられた。だが、防御も忘れるなと言われ、少し悩みつつもやる他に無いと悟り、魔法障壁を張りながらショウとチャム、マーベルとオーラ力を合わせる。

 

『くぇーっ! 何だテメェらァァァッ!!』

 

 当然ながら怪物ラインハルトが彼らを黙って見過ごすはずが無く、攻撃を行う。ドクター・ストレンジはそれを見越してか、防御魔法を掛けており、攻撃を防いでいた。

 

「くっ、まだ溜まらんのか!? バリアが解けるぞ!」

 

「今は集中しろ。魔法障壁が解ければそれまでだ」

 

 だが、魔法障壁はそれほど頑丈ではない。ラインハルトの攻撃は強力であり、いつ障壁が解けてもおかしくない状態だ。少し焦るターニャを除き、オーラ力を溜めていく。

 

「よし、十分だ!」

 

「これなら行ける!」

 

「ショウとマーベル、やっちゃえー!」

 

『ハイパーオーラ斬り!!』

 

 オーラ力が十分に溜まれば、ショウが目を強く見開いて叫んだ。マーベルが確実に怪物ラインハルトを倒せると口にすれば、チャムの叫びと共にビルバインとダンバインは右手に持つ剣を高く上げ、それを目標に向けて振り下ろす。

 二機のオーラ・バトラーが振り下ろした剣は、ターニャとドクター・ストレンジが合わさったオーラ力によって巨大な剣となり、怪物ラインハルトを斬る。オーラの刀身を巨体に叩き込まれた怪物ラインハルトはうめき声を上げ、苦しみ始める。

 

『ギヤァァァッ! アァァァッ!?』

 

「お前は人を殺し過ぎた! だが、俺はお前を殺さない! 全てを憎悪するその怨念を殺す!!」

 

 悶え苦しむ怪物ラインハルトに、ショウは殺さず、全てを憎悪するその怨念だけを殺すと告げ、見事に巨体をオーラの剣で切り裂いた。大爆発が巻き起こり、怪物ラインハルトが見えなくなるほどであった。

 

「や、やった…?」

 

「いや、まだ残っている…!」

 

 チャムが大爆発の末に怪物ラインハルトは消滅したと思う中、ドクター・ストレンジは倒し切れていないことを告げる。彼の言う通り、巨体ほどでないが、人の形を保っているラインハルトが姿を見せた。

 

『うご…! 俺は、俺ハ無敵ダ…!』

 

「オーラ力を合わせたのに、まだ生きてるなんて…!」

 

「くっ、まさか生きてるなんて…! もうオーラ力は残って無いわ…!」

 

「うぅ、私も、もう限界だ…!」

 

 対象がまだ生きていることに、一同は絶望感を覚える。怪物ラインハルトはあと一息で倒せるところだが、もう彼らにその力は残っていない。否、残っている者が一人いた。ターニャである。

 

「ふぅ、こういう時に備えて力を残しておいて良かった。とどめは、この私だァーッ!!」

 

 ショウとマーベル、チャム、ドクター・ストレンジに全力を出させ、自分だけ力を残していたターニャは完全に怪物ラインハルトの息の根を止めるべく、エレ二ウム九五式の力を全開にして超高速で対象に突撃する。

 

「はぁ、なんて性格の悪い奴なんだ! 通りで神様に罰を与えられる訳だ…!」

 

 自分一人だけ力を温存していたターニャに疲弊しているショウが悪態をつく中、彼女は怪物ラインハルトを消し飛ばす爆裂術式を放とうとする。

 

「あのクソったれに感謝する言葉も必要ない! 私の昇進の為に死ね! クソニート野郎!!」

 

 強力な技を発動するための詠唱も必要なくなったターニャは、狂気的な笑みを浮かべながら爆裂術式を放った。

 

『ウワァァァッ!? 俺は、俺は無敵のはずなのに! 最強のはずなのにィィィッ! ヤダァァァッ!! バッ!!』

 

 爆裂術式を受けた怪物ラインハルトは吹き飛び、原型をある程度は留めている首が宙を舞った。

 

「皇帝ラインハルトの首、討ち取ったり!」

 

 その首をターニャは受け止め、この瓦礫の山と化した首都に居る全ての者たちに、怪物と化した皇帝ラインハルトを討ち取ったことを知らしめた。




これで終わりです。

いつも通り、次のエピローグで終わりです。
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