【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争   作:ダス・ライヒ

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名前:メルキュール
年齢:不明
階級:なし
所属:新百合帝国軍
武器:パイロキネシス
概要:気がついたら意図して火を起こす力を手に入れた。きちんと制御できるようで、暴走してあれもこれも発火ということはなく、料理や暖房代わりになったりも進んでするが、彼女自身はある戦線を一人で燃やし尽くしていた。
 今回も別の戦線を愉快に全焼させている最中に、本国より救援を命令を受け、戦線に急行する。
キャラ提供は神谷主水さん

名前:ガイエ・ハプスブルグ
性別:女
年齢:18歳
階級:大魔導師
所属:テノジア軍
乗機:テノジア軍演算宝珠
概要:テノジア軍の魔女(なお最高の魔女では無い模様)。

名前:モハメド
性別:男
年齢:25歳
階級:少尉
所属:テノジア軍ゾイド部隊
乗機:モルガ
概要:若くして少尉となったテノジア軍のパイロット。

名前:ムハマド・サウダ
性別:男
年齢:35歳
階級:駱駝部隊隊長
所属:テノジア軍魔導駱駝部隊
乗機:駱駝型演算宝珠
概要:テノジア軍の航空魔導士。幼い頃から駱駝を乗りこなしていた。

名前:グブール
性別:男
年齢:60歳
階級:遠征隊隊長
所属:テノジア遠征隊
武器:二振りの硬棒
概要:外見が拳王に認められた馬鹿でかい硬棒使い。馬鹿でかい外見をしており、両手に持つ硬棒から放たれる打撃は、グブールの怪力も合わさって最新式の戦車も一撃で破壊する。
遠征してたら、留守の領地をイヴ人の武装勢力に制圧されて蹂躙された為、イヴ人に対して並々ならぬ怒りを覚えている。
キャラ提供はG-20さん

名前:スパルタン・バット 
性別:男
年齢:24歳
階級:無し
所属:スパルタンⅤ
ミニョルアーマー:グレーのアーマー
概要:元盗賊のスパルタンⅤ、金髪ソフトモヒカンの髪型をしたガタイのいい男。本名バット・クレイバー
元は民間や連邦軍相手に物資強奪など繰り返してた盗賊団の一員だったが、繰り返しの略奪に激怒した連邦軍に盗賊団を壊滅させられ自身も捕縛。
極刑の身になったがある日羽翼元帥に「スパルタンⅤ計画に参加するか極刑か」の二者択一選ばされ命惜しさにスパルタンⅤ計画初期に参加、幸運にもスパルタンⅤになれた。
キャラ提供はスノーマンさん


テノジアの最強戦士

「ふぅ、扱き使ってくれるね」

 

 陸軍装甲旅団が属する装甲師団の援軍と共にやって来たのは、炎を操ることが出来るパイロキネシスを持つイヴ人の能力者、メルキュールであった。

 メルキュールは別の戦線で撤退中の味方を支援する為、自在に操れる炎で追撃する敵軍を焼き払っていた。その任務を終えた直後、ゲイムランドへの救援要請を受け、再編したばかりの装甲師団と共に援軍としてこの地へやって来たのだ。

 

「フハハハッ! 汚物は、消毒だ~!」

 

 ヘルメットに鶏冠の飾りを着け、両肩には棘のついた肩パットを着けたミニョルアーマーを身に纏うスパルタンⅤ、スパルタン・バットは、両腕に装着された大き目のガントレットに内蔵された火炎放射器で、塹壕に居る第13軍団の歩兵等を焼いていた。

 

「や、止めてくれぇ! 俺は、俺たちは奴らに無理やり戦わされていただけなんだ!」

 

「助けてくれ! イヴ人に無理やり徴兵されて戦わされているんだ!!」

 

 バットの火炎放射攻撃や連邦軍の損害無視の物量攻撃に恐れをなした第13軍団に属する人間の歩兵らは、押し寄せるモリタ式アサルトライフルを持つ連邦軍の歩兵部隊に投降し始める。だが、連邦軍の歩兵らは、立派に正規兵に見える野戦服を身に纏う新百合帝国軍の歩兵に対し、残虐な決断を下す。

 

「へっ、所属も分からねぇ奴なんぞ、捕虜にするか!」

 

 投降した第13軍団の将兵等を連邦軍の歩兵部隊は所属不明だと決め付け、容赦なく発砲して射殺した。

 

「立派な正規兵に見えるがよ、所属不明な時点でテロリストよ!」

 

「こっちは散々殺されまくってんだ! 生かしちゃおけねぇ! 皆殺しだ!!」

 

 新百合帝国軍は、この世界では正体不明な軍隊であり、連邦軍からすればテロリストにしか見えないのだ。その為に連邦軍の歩兵部隊は容赦なく射殺していった。

 

「うわっ!?」

 

「う、撃ち落とせ!」

 

「ヒャッハーッ! 死ねぃ!!」

 

 多勢に攻める連邦軍の攻撃に後退するレオパルド1A7戦車に、バットが襲い掛かって来た。これに戦車長は砲手に命じ、機銃を撃ちながら後退するが、既にバットに取り付かれ、砲身を捻じ曲げられた挙句、ハッチをこじ開けられて殴殺された。

 

「よーし、このまま一気に奴らを蹂躙して…」

 

 第13軍団の防衛線の一部を突破した部隊は、このまま一気に新百合帝国軍の駐留軍本部まで突き進もうとしたが、到着したメルキュールが放った業火により、部隊ごと焼き払われた。

 

『な、なんだ!? 一個大隊が消滅したぞ!』

 

『敵の増援を確認! 二個機甲師団と航空機の大編隊だ!』

 

 大隊規模の味方の反応が消えたことに、連邦軍の将兵等は動揺する。そんな連邦軍とUCA軍に、メルキュールを含めた新百合帝国軍の増援が駆け付けて来た。

 

「おのれ、何処から湧いて出たのだ!?」

 

「忌々しい! まだ抵抗するか!」

 

 次元転移装置より現れた敵増援部隊に、戦線を蹂躙していたスパルタン・ゴウダとサンダールは思わず足を止めたる。他のミニョルアーマーを纏うスパルタンⅤも、MSや戦術機、アームスレイブを含める二個旅団規模の機甲部隊の攻撃の前には、敵わないらしく、総攻撃から身を守るために後退り始めた。

 

「ひ、人が! 人が飛んでいる!?」

 

 増援部隊には空軍の部隊も混じっており、可変戦闘機(バルキリー)のみならず、横流しされたヴァルキュリア・アーマー(VA)や航空魔導士も含まれていた。ターニャと同じようにファイテックスを纏っている航空魔導士も居り、ミニョルアーマーを纏うスパルタンⅤに対し、三人掛かりで交戦して対処している。VAも同様に三機でスパルタンⅤに対応している。

 

「謎のアーマー集団とかなんなの!? 五人で寄ってたかってキモっ!!」

 

 IS寄りな外見を持つスパルタン・フラウロスには、ファイテックス三名とVA二機が攻撃を行っていた。巧みな集団戦法にフラウロスは翻弄され、苛立ちを覚えながらビーム砲をファイテックスに向けて撃つが、纏っているのは航空魔導士なので、魔法障壁で防がれ、VAの攻撃を受けてシールドのエネルギーを削られる。

 

「クソっ、何なんだこいつ等!? 連中にもスパルタンⅤが居るのか!」

 

「背後に敵機!!」

 

 地上攻撃用の爆装に換装したスカイグラスパーで、上陸部隊の航空支援を行おうとしていた直人と美穂であったが、現れた航空魔導士やVAに驚いて動揺していた。護衛のスピアヘッド四機もいたが、背後から来たVF-31Aカイロスの奇襲を受け、瞬く間に壊滅した。

 スカイグラスパーも攻撃を受けるが、美穂が旋回式ビーム砲を操作して背後から来るVF-31Aを牽制し、追い払うことに成功する。

 

「おぉ、援軍か! こちらフェアリー1、救援を要請する! こっちだ!!」

 

 ルシファーらと交戦中のターニャは援軍が来たことに気付き、少しでも楽をする為に無線で付近の隊に救援を要請する。だが、自分らの戦闘空域外であったのか、バルキリーやVAは近寄らず、その要請を拒否していた。

 

「死ねェェェ!」

 

『戦闘空域外の為、要請は応じられません』

 

「クソっ! こんな時に任務優先して!」

 

「うわぁぁぁっ!!」

 

 要請を拒否されたことで、ターニャは全力で殺しに掛かるルシファーらを八つ当たりするかのようにランチャーを放ち、標的にしたスパルタンⅤの腹に穴を空けて殺害した。

 

「こ、こいつ! また殺しやがったなァ!?」

 

「この怪物共相手に、私一人で対処しろというのか!? 司令本部は!」

 

 アバトンに続き、二人目の仲間を殺されたルシファーと残り一人のスパルタンⅤは激昂し、攻撃を強めて来る。嵐のような弾丸の雨を魔法障壁で防ぎつつ、ターニャは司令本部に対して悪態を付いた。

 

「向こうの方は、押し戻しているように見えるが?」

 

 配下のファントム・タロン社の戦力と共に、自分専用のサイリオンでスタールアームズ支社の防衛線を支えるベノワは、新百合帝国軍が増援を得て盛り返しているのを見逃さなかった。

 次元転移装置より二個師団以上の増援が来ているので、その存在を知らない連邦軍とUCA軍はいきなり湧いて出て来たとしか思えず、混乱している。だが、ベノワとハヅキ、アドルフ、ダーメン神父らが守るスタールアームズ支社方面の状況は変わらない。

 

『ヒャオー!!』

 

「予備にしては不自然だが、こっちにも欲しいな!」

 

 スパルタン・バッシュ2が駆るレイダー制式仕様の猛攻に、ベノワは自分らの方にも増援が欲しいと嘆きつつ、レールガンで反撃を行った。

 

 

 

『敵の数がいきなり増えて、ギャァァァッ!』

 

「クソっ、何処から湧いて出たのだ!」

 

 連邦軍にとって何の前触れもない新百合帝国軍の増援の出現は、かなり衝撃を与えたらしく、作戦の司令官である羽翼元帥を苛立たせていた。側近が激怒する中、羽翼元帥は拳を強く握りしめ、静かにその苛立ちを周囲に見せている。

 数は未だに連邦軍とUCA軍が圧倒しているが、相手は多対の戦いに慣れた者が多く、物量戦が十八番の敵軍に更なる損害を与えていた。

 

「もっと数を出せ! 付近に居る友軍からも、戦力を出させろ!」

 

「奴ら、何処にあんな戦力を残していたんだ? 初手に大群相手に一個軍団程度で防衛線を張るなど、愚策としか思えん」

 

「いきなり湧いて出たとしか思えん。数はこっちが多いんだ! 冷静に対処しろと伝えろ!」

 

 側近らは新百合帝国軍の増援がいきなり湧いて出たことに、やや混乱する作戦本部であるが、慌てても被害が増すだけなので、数の多さを武器に冷静に対処しようとする。

 そんな羽翼元帥を更に苛立たせる事態が発生した。それは、ターニャの命を狙うテノジア軍と刺客たちの襲来である。

 

「各方面に新たな反応! こ、これは!?」

 

「今度は何の騒ぎだ!?」

 

「あ、アンノウンです! 各所に次元の歪みより出現!!」

 

「な、なんだと!?」

 

 その第三勢力の出現は、新百合帝国軍の増援とは違って前触れのように発生した。

 

 

 

「ほぅ、これがあの化け物が居る戦場か?」

 

「誰だ貴様ら!?」

 

 ゲイムランドの首都、国家主席が居る宮殿に発生した次元転移から現れたのは、テノジア軍のアンオスゴタ王子であった。

 かつて存在したイスラム帝国やオスマン帝国軍を思わせるような甲冑姿で出現したテノジア軍の面々は、出現した次元の歪みから続々と姿を現せば、統制された動きで整列し、王族専用の甲冑姿で出て来たアンオスゴタ王子を出迎える。

 突如となく現れたアンオスゴタ率いるテノジア軍に、スパルタン・カイザとデルタ等は驚き、手に敷いている銃火器を向けた。アンオスゴタは戦場慣れしているのか、それとも即座に親衛隊の兵士たちが自分の前に立って防御陣形を取って守ってくれている為か、、銃口を向けられているにも関わらず、堂々とした態度を取っていた。

 

「ほぅ、シルバリー合金以上の甲冑はこの世界にも存在するか」

 

「あっ! た、助けて! 助けてください!!」

 

 カイザらが身に纏うミニョルアーマーを見てアンオスゴタは感心する中、いきなり現れた謎の集団に、ゲイムランドの国家主席は泣きついて助けを乞う。だが、冷酷な王子は睨み付け、次元の歪みから出て来た大男に彼を踏み潰させる。

 

「ゲブール、そこのゴミを踏み潰せ。目障りだ」

 

「御意に」

 

「ひ、ヒヤァァァッ!? や、やめっ」

 

 ゲブールと呼ばれる二振りの硬棒を持つ大男はアンオスゴタの命に従い、失禁して悲鳴を上げるゲイムランドの国家主席の胴体を巨大な右足で力強く踏み潰した。強い力を込めて踏み潰したため、国家主席は上半身が完全に無くなり、残っているのは両腕と下半身のみであった。これにカイザらは戦慄し、後ろへと下がる。

 

「貴様ら、こいつ等の後ろ盾じゃないのか?」

 

「俺がその踏み潰されたゴミの後ろ盾だと? フン、面白いことを言うな、貴様。貴様の名を名乗るのを許してやろう。この俺が、殺す前に少しは覚えてやろうと言うのだ。どうせ忘れるがな」

 

 ゲブールに踏み潰された国家主席の後ろ盾が、アンオスゴタらテノジア軍であると思っていたカイザであるが、これに王子は鼻で笑い、面白いことを言うので気に入ったと話し、見下した態度で名を聞いて来た。この王子の身分の低い者を見下す態度に怒りを覚えながらも、カイザは本名で答える。

 

「マサト、マサト・クサカだ」

 

「ほぅ、マサトというか。では、シルバリー合金の甲冑を身に纏うくらいの実力があるかどうか、我がテノジア軍の兵士共で試してやろう。歩兵隊、目前の奴らを殺せ!」

 

『御意!』

 

 アンオスゴタに問われたカイザは本名で答えるが、当に聞いていた王子は覚えるつもりが無いような反応であり、手始めに随伴させている槍や剣などの刀剣類を持つ歩兵らを差し向けた。自分と親衛隊、ゲブールは動かず、歩兵等だけに向かわせている。

 

「奴め、覚える気は無いだろうな! 数が多過ぎる! ここは退いて付近の部隊と合流し、協同して対処する!撃ちながら下がれ!」

 

 向かってくるテノジア軍の歩兵の大群に、カイザは現状の戦力では分が悪過ぎると判断してか、付近の部隊と協同するため、外へ出ると指示を出した。デルタ等もそれに応じ、ライフルやライトマシンガンを撃ちながら後退する。

 

「フン! あれほど大口叩いて逃げるとは! 見掛け倒しにも程があるわ!」

 

「いや、あれは戦においては正しき判断よ。だが、易々と獲物を逃すアンオスゴタではない! 追撃せよ! 地の果てまで追いかけ、彼奴等の首を討ち取るのだ!! ゲブール、貴様も行けィ!」

 

「御意に!」

 

 自分らと戦う気だったのに、逃げ出したカイザらを嘲笑うゲブールであるが、アンオスゴタは正しい判断であると評する。それでも逃がす気は毛頭も無いので、ゲブールに追撃命令を出して追わせた。

 

「な、なんだこいつ等!?」

 

「歪みか亀裂から続々とアンノウンが!?」

 

 出現するテノジア軍は、ゲイムランド首都に出現したアンオスゴタ王子の本隊だけではない。各所に出現しており、この世界には無い機動兵器や新百合帝国軍と同じバルキリーやAS、ゾイドなどで混乱する連邦軍やUCA軍に襲い掛かる。即座に対応するも、予想外の場所から出てきた敵に間に合うはずもなく、奇襲攻撃でかなりの損害を出した。

 

「俺の出世の為、死んでもらうぜ! 異世界の軍隊!!」

 

 大量に出現した昆虫型の小型ゾイドのモルガは、その数の多さを活かして連邦軍の側面から襲い掛かり、混乱して動きを止めたグスタフカールとストライクダガー、アデルMk-Ⅱ、量産型ヒュッケバインMk-Ⅱ、スコープドッグなどの部隊に被害を与える。

 一小隊の指揮を任されるモハメドは、自分が駆るモルガの武装であるバルカン砲を撃ちながら一機の敵機に体当たりを行い、見事に撃破する。

 

「こいつ等、テノジア軍!? どうしてこんなところに!」

 

 テノジア軍の存在を知る新百合帝国軍も、いきなりの出現に動揺しており、その隙を突かれて何機かが撃破されていた。

 

「おいおい、どうなってんだ!? なんだよこいつ等!」

 

「こいつ等、テノジア軍の航空魔導士! どうしてこんなところに居るのだ!?」

 

 ルシファーらと交戦するターニャの方にもテノジア軍が現れた。現れたのは多数の駱駝型演算宝珠に跨る航空魔導士であり、ターニャを見るなり手にしているブルパップ式アサルトライフルであるKH2002カイバーを撃って来る。

 

「あの甲冑、標的では!?」

 

「俺たちは運が良いぞ! 転移して早々、いきなり標的と遭遇するとは! 見事に奴を討ち取れば、昇進は確定だ!!」

 

 副官からの問いに、ターニャを攻撃する航空魔導士部隊の隊長であるムハマド・サウダは、これをチャンスだと思って攻撃を強めた。片方は外見に合わぬ歴戦錬磨の航空魔導士で、もう片方はミニョルアーマーを纏う半グレのスパルタンⅤ二名だ。こちらが数で勝る最新鋭装備の航空魔導士一個連隊とは言え、両方一編と戦うことになれば、全滅に近い損害を負う事は確実である。

 

「誰だテメェらァ!?」

 

 怒り混じりにルシファーは、仲間と共に航空魔導士等を次々と血祭りに上げていく。銃撃などを魔法障壁で防ぐが、打撃など防げるはずもなく、無惨な肉片と化す。

 ターニャの方に襲い掛かった航空魔導士等も同様の末路を辿っていた。ルシファーらはアーマーの性能と力任せに殺し回っているが、ターニャは同じ兵科の航空魔導士と何度も戦っており、無駄のない動きで次々と殺害している。

 

「第一大隊、壊滅!」

 

「第二大隊も壊滅しました!」

 

「な、なんだというのだ!? 相手はたった三人なのだぞ!!」

 

 味方の航空魔導士が次々と倒されていく報告に、ムハマドは戦慄する。そんなムハマドが居る方へ、ターニャは止めに入るテノジア軍の航空魔導士を殺しながら迫る。ファイテックスでただでさえ高い戦闘力が更に強化されており、並の航空魔導士は止められず、直ぐにムハマドが居る連隊本部への接近を許した。

 

「うわっ!? き、来た!」

 

「貴様ら、テノジア軍だな?」

 

「っ!? ぬ、ヌワァァァッ!!」

 

 止めようとする敵航空魔導士を殺しながら辿り着いたターニャは、ムハマドらにテノジア軍かと問う。これにムハマドは腰の刀を抜き、雄叫びを上げながら斬りかかる。刀で斬りかかる相手に、ターニャは繰り出される斬撃を軽やかに躱し、右腕のガントレットから出した口臭はブレードを素早く振るい、相手の頭を斬り落とす。

 

「大方狙いは私だろうな。たく、面倒な!」

 

 自分ら新百合帝国と敵対しているテノジア軍が来たと言う事で、ターニャはその狙いが自分であると気付き、厄介ごとが増えたことに腹を立てつつ、八つ当たりするように、残っている周囲の敵航空魔導士等を攻撃する。

 

「っ! 今度は誰だ?」

 

「この距離で俺の狙撃を躱しただと!?」

 

 手当たり次第にテノジア軍の航空魔導士を殺害するターニャを、長距離から大型スナイパーライフルの二脚を立て、狙撃で仕留めようとしていたスパルタン・クロウであったが、当の彼女はそれに気付き、紙一重で躱した。

 

「死ねやぁぁぁ!!」

 

「だが、狙撃手の始末は後になりそうだ!」

 

 自分の狙撃を躱された事に動揺するクロウであるが、ターニャは自分の周辺に居たテノジア軍の航空魔導士を皆殺しにしたルシファーから強襲を受ける。もう一人は多数の航空魔導士の攻撃に耐えられず、戦死してしまったようだ。返り血まみれのルシファーに応じるべく、ターニャは専用ライフルを撃ち込んだ。

 

 

 

「随分と、遠くの方へ転移してしまったな」

 

 テノジア軍の最強戦士であるダリュン・ヴァフリズが転移したのは、よりにもよって空軍野戦師団が配置されている場所であった。ダリュンのみならず、親衛隊の騎兵隊、ナイトギガフォートレス(KGF)のバタララン・ドゥを駆るジダン・ガルファールや多数のKMFのゲド・バッカ、トラの大型ゾイドであるセイバータイガー多数、航空魔導士でテノジア軍の大魔導士であるガイエ・ハプスブルクが随伴していた。

 

「て、テノジア軍…!?」

 

「ど、どうしてこんなところに…!?」

 

「それにあいつ、ダリュン・ヴァフリズ!?」

 

 突如となく現れたダリュン等に、塹壕の中に居る空軍野戦師団の将兵等は戦慄した。自分を見て震える彼女らを見たダリュンは、一目見ただけで碌な戦闘経験も無く、装備も練度も低い質の悪い将兵等と見抜く。無視して良い存在と捉えたのだ。現にダリュンに見られた空軍野戦師団の将兵等は、全く攻撃して来ない。兵士たちに指示を出す士官でさえ、攻撃すれば殺されると思って震えるばかりだ。

 

「あの怯え様、碌に訓練も受けていなければ、この戦が初陣だな。ジダン、こいつ等は無視して良い。構うだけ時間の無駄だ」

 

『はぁ、あれで無視して良いと言うので? 完全に武装しておりますぞ』

 

 空軍野戦師団を無視して良いというダリュンに、ジダンは疑問を抱いた。そんな腹心の疑念は、直ぐに当たった。航空魔導士のイーリス・フォン・リフレインが、数名の航空魔導士を引き連れて攻撃してきたのだ。

 

「テノジアの奴らにビビッて攻撃できないなんて、情けない!」

 

 ダリュンの存在に怯えて攻撃できない地上部隊に代わり、イーリスは随伴する部下と共に爆裂術式で攻撃を行う。この攻撃から主君を守るべく、ガイエは防御術式の魔法障壁で守る。

 

『ヴァフリズ殿!』

 

「ガイエ、手助けは無用だ。この愚か者共は、俺が討ち取る!」

 

 イーリスらの爆裂術式は、ガイエの魔法障壁によって完全に防がれた。強襲してくる敵航空魔導士から主君を守ろうと、ジダンらが守ろうとするが、ダリュンはいらぬものと断り、腰の剣を抜いて異常な高さまで飛躍する。

 

「こ、こいつ! 能力者が!?」

 

 僅か数秒で自分の高度まで飛んで来たダリュンに、イーリスは相手が能力者だと思って防御術式を張ろうとするが、その前に剣で斬られた後であり、血反吐を吐きながら落下していく。

 

「この!」

 

「無駄だ…!」

 

「えっ?」

 

 自分らの隊長であるイーリスを斬り殺したダリュンに対し、残る航空魔導士等は至近距離からG3A4自動小銃やHK33突撃銃、MG3汎用機関銃を放とうとするが、引き金を引く前に剣を振るっており、全員が血飛沫を上げて息絶える。

 

「こ、航空魔導士が…!?」

 

「ひ、一振りで数名を…!?」

 

 瞬く間に空軍野戦師団では最高の歩兵科である航空魔導士、それも複数を斬り殺したダリュンに、地上に居る将兵等は完全に戦意を失う。

 

『いくら能力者でも、MS相手に!』

 

『ヴァフリズ殿、今度こそ我らに!』

 

「いや、こいつにもお前たちは出なくて良い。それより槍を寄越せ」

 

 だが、戦意を失わず、挑んでくる者が居た。それは、ジムⅡを駆るメイ・リーフェンだ。MSのジムⅡであれば、幾ら能力者のダリュンに勝てると踏んだのだろう。ジダンとその部下たちは迎撃に出ようとするが、またもダリュンに止められた。どうやら、相手がMSでも勝てる自信があるようだ。ビームライフルで攻撃してくるメイのジムⅡに対し、ダリュンは投げられた槍を受け取り、それを向かってくるジムⅡに狙いを定める。

 

「槍でMSに勝てるとでも!? 舐めちゃって!」

 

 槍でMSを倒そうとするダリュンに、メイは動きを止めてビームライフルを撃ち続ける。掠めるビームにダリュンは全く動じることなく、投げようとする槍にオーラのような闘気を纏わせ、十分に距離と落ちる速度を計算すれば、勢いを付け、メイのジムⅡに向けて投げた。

 勢いよく投げられた闘気を纏った槍は、弾丸の如く目標であるメイのジムⅡに吸い込まれるように飛んでいく。投げられた槍にメイは全く警戒してなかったが、その槍はジムⅡの装甲を貫通し、コクピットまで達してメイの身体を貫いた。槍で身体を貫かれたメイは、驚きの表情を浮かべながら血反吐を吐く。

 

「えっ…? な、なんで…」

 

 その言葉を呟いた後、メイは完全に事切れた。

 MSのジムⅡですら容易く倒してしまったダリュンに、空軍野戦師団の将兵等は完全に戦意を喪失した。敵対するようなら殺されることは確実と悟り、ダリュン等を通してしまう。

 

「流石に、この世界の軍は挑んでくるか」

 

『露払いは我らにお任せを! 今度こそ出番だ! 皆の者、かかれぃ!!』

 

『我ら砂漠の虎隊もこれに加わるぞ!』

 

 空軍野戦師団は恐怖の余りダリュン等を素通りさせたが、対峙していたUCA軍は別であった。テノジアの最強紳士であるダリュン・ヴァフリズを知らないUCA軍は、全力で攻撃してくる。数で攻撃してくるUCA軍に、バタララン・ドゥを駆るジダンは、配下のゲド・バッカ多数に指示を出し、ダリュンの前に出て敵軍を迎え撃つ。セイバータイガー隊もこれに加わり、UCA軍と交戦を開始する。

 

「地上部隊は、アンノウンに抑えられているぞ!」

 

『なら私たちは、空からアイツを!』

 

『あぁ! 何処の軍隊か知らんが、みんなでやっちまおうぜ!』

 

 SFSのケッサリアに二機ずつ乗るジェガンJ型とジェットストライカー装備のダガーLの混成部隊は、上空からダリュンを攻撃しようとするが、ガイエの拡散術式による対空攻撃で迎撃され、次々と撃ち落とされていく。多数の量産型ヒュッケバインMk-Ⅱも側面より攻撃しようとするが、随伴するセイバータイガーの対空攻撃に遭って被害を出すだけであった。

 

「ヴァフリズ殿、ガルファール殿が抑えておられる内に!」

 

「承知している! 奴の首、必ずや討ち取る!!」

 

 随伴する騎兵隊より急かされれば、ダリュンは空高く浮遊し、ターニャが居る方へと飛んで行った。




次回もまた登場し、見事に散って行きます。

不定期の読者参加型の奴、やろうかな。
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