【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争   作:ダス・ライヒ

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これでゲイムランド編は終わりです。


決着はつかず

 ガンダムタイプを駆るスパルタンⅤ三名を立て続けに撃破し、海上に展開される多数の連邦軍水上艦隊の旗艦、大和級戦艦に定めたマリのソードインパルスが、そちらへ敵艦に乗り移り、対艦刀で切り裂きながら向かう頃、激しい戦闘を繰り広げる四人の強者もそちらに向かっていた。

 

「貴様、味方に損害が出ているんだぞ!?」

 

「黙れ悪党め! 貴様の言葉に、この正義の化身である俺が惑わされると思っているのか!?」

 

 周囲の味方を巻き込みながら猛攻を続けるスパルタン・デラックスマンに、テノジアの最強戦士であるダリュン・ヴァフリズは注意するが、相手は聞く耳を持たずに攻撃を続ける。

 

南斗獄殺拳(なんとごくさつけん)!」

 

 ガルム・マッドアイと交戦しているターニャは、打点の高い飛び蹴りの技を繰り出していた。殆どの物を切り裂いてしまう南斗聖拳に、ガルムは避けることなくその飛び蹴りを敢えて受けた。

 

「南斗聖拳を真面に受けるとは、正気か?」

 

 背後に回ったターニャは、飛び蹴りを受けて左肩から勢いよく出血するガルムを見て、敢えて受けた彼の正気を疑う。が、対してガルムには効いておらず、全く痛みも感じていないようで、ターニャの南斗聖拳を付け焼き刃と指摘してくる。

 

「フン、付け焼き刃だな。本物の南斗聖拳であれば、俺の左腕を斬り落とせただろうに」

 

「ちっ、見様見真似な技では通じんか!」

 

 ターニャも見様見真似な物であると理解しており、それをガルムに見破られれば、航空魔導士としての術式による魔法攻撃を仕掛けた。凄まじい光線であるが、ガルムはそれを避けてブラスターで反撃してくる。

 避けながらも射撃にも関わらず、その狙いは正確だ。的確に自分へ向けて飛んでくる光弾に、ターニャは防御術式で防ぎつつ、魔法による射撃戦を展開した。

 

 

 

「前方の味方艦隊、スパルタン・デラックスマンと三体のアンノウンの交戦に巻き込まれ、更に被害甚大!」

 

「インパルス、前衛の艦隊を撃沈しながら当艦に接近!」

 

「何をしている!? 元帥閣下が見ておられるのだぞ!? 前線に回しているスパルタンⅤを呼び戻せ!! デラックスマンを援護させろ!」

 

 大和級戦艦の艦橋にて、次々と来る損害報告とマリのソードインパルスの接近に恐怖した艦長は、前線のスパルタンⅤを呼び戻せとヒステリックに叫ぶ。航空母艦や強襲揚陸艦などの艦載機が対処しているが、マリのソードインパルスが放つビームブーメランや振るわれる対艦刀に切り裂かれるばかりだ。

 

『我が分遣艦隊の損害が甚大! て、撤退の許可を!』

 

「だ、黙れ! 誇り高い海軍軍人なら、最後まで戦え!!」

 

 撤退の許可を求める通信も聞こえて来るが、今の大和級戦艦の艦長は恐慌状態であり、撤退を求める味方に、自分の艦の盾になれと言わんばかりの命令を下す。そればかりか、艦長は迫るソードインパルスに向け、主砲を放つようにまで言う。射線上に味方の艦が居るにも関わらずに。

 

「主砲発射! 目標、十二時方向から接近中のインパルス!」

 

「駄目です! 射線上にまだ僚艦が!」

 

「黙れ! 従わんと、お前から殺すぞ!!」

 

「うっ…!? 主砲、直ちに照準!」

 

 そんな命令に従えないと抗議する砲術長であるが、艦長は強制的に従わせるために拳銃を取り出し、安全装置を外して銃口を向ける。その脅しが本気であると悟る砲術長は、主砲の砲手たちに照準命令を出す。艦橋内の通信士は、味方の誤射を防ぐため、射線上に居る僚艦への退避を伝達する。

 

「僚艦に、射線上から退避するように伝達します! こちら大和、これより主砲を発射する! 射線上に居る僚艦は退避せよ! 繰り返す、直ちに退避せよ!」

 

「んなこと言ってないで、さっさっと撃て! 奴はすぐそこまで迫ってるんだぞ!?」

 

「まだ照準が定まっておりません! 照準が定まるまでは!」

 

「クソっ、どいつもこいつも! テメェらそれでも日本最強の戦艦の乗組員か!? 俺が撃てと言ったら撃つんだ! 速くしろ!!」

 

 誤射を防ごうとする乗組員たちを他所に、我が身可愛さを優先する艦長は、拳銃片手にヒステリックに発射命令を叫ぶ。これに艦橋内に居る者たちはいつ撃たれるか分からないので、恐怖して命令に従った。

 

「主砲、直ちに斉射!」

 

『照準が定まっておらず、まだ前方にはカリーニングラードが居ります!』

 

「もう避けようにない距離まで迫っている! 前方のカリーニングラードはもう助からん! 全砲門、直ちに斉射!」

 

 脅かされる砲術長の命令に、大和の主砲に居る砲手たちは、標的であるマリのソードインパルスが味方のスペングラー級強襲揚陸艦に取り付いているので、砲撃できないと拒否する。これに艦橋から様子を見ている砲術長は、もう助からないと言って無理に撃たせた。

 標的に側面を向けた大和級戦艦の三つの主砲は、砲術長の命令通りに艦砲射撃を行い、ソードインパルスに取り付かれたスペングラー級諸とも撃破しようとした。この主砲の威力は威力は凄まじく、一撃で全長280メートルはある強襲揚陸艦を沈めた。

 

「どうだ! 46センチ砲の威力は!? いくらフェイズシフトでも、三連装砲塔三つの砲撃を受ければ、一溜りもあるまい!」

 

 味方諸ともやったのにも関わらず、艦長は完全に倒した物と歓喜していた。無論、喜んでいるのは艦長一人だけであり、後のブリッジクルーらは冷めた目や白い目で彼を見ていた。そんな艦長に、レーダー手は忍び寄る死を報告する。

 

「も、目標健在! カリーニングラードの残骸を足場に、こちらに向かってきます!!」

 

「な、何ィィィッ!?」

 

 三つの46センチ三連装砲の砲撃で轟沈した強襲揚陸艦の残骸の中から、マリのソードインパルスが現れ、大和級戦艦にスラスターを吹かせて接近していた。機動盾は紛失しており、フェイズシフト装甲と合わせて砲撃から機体を守ったようだ。

 対艦刀を振り下ろさんと迫るソードインパルスに、護衛機のビームや搭載火器の副砲と機関砲などで迎撃を試みるも、それを掻い潜りながら彼女のガンダムは大和級戦艦に迫って来る。

 

「ひっ!? い、嫌ダァァァッ!!」

 

 艦橋に向けて対艦刀を振り下ろそうと迫るソードインパルスに恐怖した艦長は、最後に脱出するという艦長の掟を忘れ、我先に艦橋から絶叫しながら逃げ出そうとする。それで間に合うはずもなく、艦長は貫いてきた対艦刀の刃先に突き刺されて消滅した。当然、艦橋内に居た者たちは全員即死である。

 艦橋を破壊されて指揮機能を失った大和級戦艦は、混乱して搭載火器を乱射していた。そんな無様な姿を見せる水上艦隊旗艦の戦艦に、大型空母「ファラガット」でエイムズ・バストーレは、思わぬ形で羽翼元帥の失点の機会が来たことに驚いていた。

 

「まさかこんな形で、奴の失点が現れるとは…! 他にもイレギュラーな事態が発生している。奴が苛立つ様が目に浮かぶわ」

 

 他にも羽翼元帥が苛立つ事態も起こっていることを、エイムズは知っていた。それはターニャにダリュン、ガルムの存在であり、彼ご自慢のスパルタンⅤであるデラックスマンと交戦中だ。乱戦中と言った方が正しいだろう。

 地上からスパルタン・ソルジャーが、スパルタンⅤ数名を率いて救援に向かっているようだが、乱戦に巻き込まれる水上艦隊の被害は、マリのソードインパルスの損害を含め、責任を問われるレベルである。

 

「艦隊指揮を引き継いだ第2分艦隊旗艦に、後退して再編するように要請しろ。当艦隊もだ。空の元帥殿は、許さないだろうが…」

 

 水上艦隊は混乱状態なので、エイムズは水上艦隊指揮を引き継いだ艦に、後退して再編するように要請しろと通信士に命じた。

 

 

 

「あの航空魔導士等、ヴァフリズ殿に近付かせるわけにはいかん!」

 

 向かってくるUCA軍を蹴散らしたジダン・ガルファールは、自身が搭乗するバタララン・ドゥのカメラに、上空を飛び、数名のミニョルアーマーを纏うスパルタンⅤを率いてデラックスマンの救援に向かうスパルタン・ソルジャーの一団を発見し、ダリュンに負担を掛けさせぬため、配下のゲド・バッカと共に攻撃する。

 

「下方から、多数のアンノウンによる攻撃!」

 

「見たことも無い機動兵器だ。それに鬱陶しいな。一掃してから向かう!」

 

 攻撃を受けたソルジャーたちは、ジダンのバタラランとゲドが居る地上へと降下し、手持ちの火器で攻撃を始める。向かってくるスパルタンⅤ等を迎え撃つジダンらであるが、ミニョルアーマーの強力なシールドの前に攻撃を弾かれ、ゲドは一方的に引き裂かれて破壊される。

 

「な、何という威力だ!? ゲド・バッカを紙くずのように引き裂いておる! パワー型の能力者か!」

 

 配下のゲドが次々と引き裂かれて撃破され鵜光景を見て、ジダンはスパルタンⅤ等を自分の知るパワー型の能力者と認識する。KMFを容易く引き裂けるのは、ISの技術を盗用し、戦闘力を更に向上させたミニョルアーマーのパワーアシストの恩恵であるが、今のジダンは知らない。

 それに標的であるスパルタンⅤが人が少し一回り大きいだけなので、バタラランとゲドの攻撃は当て辛く、盗用されているIS譲りの機動力で躱され、一方的にこちらがやられるだけだ。

 

『うわぁぁぁっ!? た、隊長ォーッ!!』

 

「クソっ、ならば電磁バリアで!」

 

 部下たちが一方的に虐殺されるのが我慢できなくなったジダンは、バタラランの両腕に搭載された電磁バリアを展開した。

 

「っ!? 散会!」

 

 だが、ソルジャーに気付かれて散会されてしまい、戦果は一人だけとなる。

 

「一体だけか! ならば、熱線砲で!」

 

 一人だけでも倒すべく、ジダンはバタラランの尻尾先に搭載されたキュラ・ラ熱線砲を発射し、電磁バリアで拘束されたその一人のスパルタンⅤを跡形も無く消し飛ばした。IS譲りなシールドも、長い熱線の掃射には耐えられないようだ。

 

「出来る限り、多くの者を!」

 

 熱線砲が有効な武器であると分かったジダンは、胴体左右六基の大型スラッシュハーケンでソルジャーたちを拘束しようとしたが、先の熱線砲を脅威と見なしたソルジャーを本気にさせてしまったのか、射出されたスラッシュハーケンは次々と破壊され、迎撃不能な懐まで接近されてしまった。残りのゲドは全て撃破されており、既にジダンの隊は壊滅していた。

 当然、機体の装甲は引き千切られ、搭乗しているジダンが居るコクピットまでスパルタンⅤの魔の手が差し迫って来る。もはや自分の死は避けられないと判断したジダンは、自爆装置を起動させ、通信でダリュンにソルジャーたちの接近を知らせる。

 

「ヴァフリズ殿! 新手が、新手がそちらに迫っておりますぞ!!」

 

 ソルジャーらの接近をダリュンに知らせることに成功したジダンは、装甲を引き裂きながら迫って来たスパルタンⅤに頭を掴まれ、そのまま身体から力づくで引き抜かれて絶命した。それと同時にか、バタラランは自爆し、ジダンは死際に自分の頭を引き抜いた一人のスパルタンを巻き添えにし、仕えるダリュンの脅威を少しでも取り除くことに成功した。

 

「戦力を減らしたか。だが、問題はない。このままデラックスマンの救援に向かう。後に続け!」

 

 ジダン等の命を懸けた足止めにより、二名のミニョルアーマーを纏うスパルタンⅤを失ったソルジャーであったが、問題無いと判断してデラックスマンの救援に向かった。

 

 

 

 ゲイムランドの戦いが混迷して激しくなる中、新百合帝国軍はこれ以上の戦闘はいたずらに戦力を消耗させる物と判断し、この世界からの撤退を決定した。

 自分らを狙って乱入して来たアンオスゴタ王子率いるテノジア軍が連邦軍に攻撃してくれたおかげか、圧倒的戦力を持つ連邦軍の注意がそちらの方へ向いたので、撤退するなら今がチャンスと捉えたのだ。未だテノジア軍は新百合帝国にも攻撃を続けているが、UCA軍や連邦軍からの追撃は殆どないので、損害は出るだろうが成功の確率は高い。

 そう判断した方面軍司令部は、ゲイムランドで戦う全部隊に撤退命令を出したのだ。無論、持ち運べぬ重装備の類の破壊を命じて。

 

『こちらゲイムランド方面軍司令部より戦闘中並び待機中の全部隊へ。当戦線の維持は既に不可能な物と判断、即時撤退を開始せよ。装備類は出来るだけ持ち帰るように。持ち運べぬと判断した装備類は、出来るだけ破壊するように。重要な物は完全に破壊から、その上で指定する撤退ポイントに集結せよ。尚、これは録音であり、司令部は既に撤収している。繰り返す…』

 

 この命令を受けたゲイムランドで戦闘中並び待機中の全部隊は、即座に撤退行動を取った。通信機からの命令は録音であり、撤退を決めた瞬間から司令部は全ての機材を持ち運び、本国へと帰還していた。

 

「ゲイムランド軍のアンノウン、戦闘を停止して撤退を開始!」

 

「例のアンノウン共が撤退しているのか? 何処へ退く気だ?」

 

 上陸地点で待機中のスペングラー級強襲揚陸艦「プリビャチ」より、レーダー手からの報告で新百合帝国軍の撤退を知ったグレゴリー・マリャルは、何処へ撤退するのかと疑問の言葉を投げた。

 

「新たな反応! ISAヴェクタ軍の艦隊、ゲイムランド上空に出現!」

 

「ISAは、この作戦に参加しない方針じゃないのか!?」

 

「今さらの増援か? だが、どうして?」

 

 それと同時にISAのヴェクタ軍の巡洋艦の艦隊がこの戦場に何故か駆け付けて来た。作戦に参加しないと表明していたISA軍の出現に、プリビャチの艦橋内はざわつき、グレゴリーは更に疑問を抱いた。ISAのヴェクタ軍の艦隊が来た理由は、アンダース・ベノワ率いるファントム・タロン社を、羽翼元帥の暴挙から守るための物であるが、グレゴリーは知る由もない。

 

「ようやく撤退か…! また生き残ってしまったな」

 

 ゴルドスで引き続き防衛戦を継続していたテズ・マッキャンは、撤退命令を聞いてまたも生き残ってしまったと後悔を漏らす。この命令が出されるまで、第13軍団はかなり損耗しており、戦闘可能な部隊は一個旅団程度まで減っていた。所属師団の増援を受けたゾフィー・レオンハルトが属する陸軍装甲旅団もまた、撤退命令を受けて他の部隊と共に撤退している。

 

「ねぇねぇ! あいつ等、なんか撤退してるけど!?」

 

「今はこいつ等に集中しろ!」

 

「ゲイリー!」

 

 新百合帝国軍が撤退しているのを見て、スパルタン・フラウロスがそれをスパルタン・カイザに知らせたが、今の自分らは多数のゲイリーたちの攻撃を受けているので、それどころではないと注意される。

 

「撤退命令ですって」

 

「けっ、ようやくか!」

 

 スパルタン・シドや複数のカリスト、キックとパンチの地獄兄弟、ニュクスにPMCであるシャドウ・カンパニー社と乱戦状態にあった二コラとキアラにも、司令部からの撤退命令が来た。これを待っていた二人は、防衛目標であったこの世界の物を破壊し、次元転移装置がある方向へと撤退する。無論、随伴する歩兵等もそれに続いた。

 

「クソっ、あいつ等!!」

 

「奪取目標をぶっ壊したのか!?」

 

 目標を破壊されたシドは激怒し、ニュクスは自分らが守っていた物をあっさりと破壊したことに驚愕する。

 

「どうする兄貴?」

 

「そりゃあ、帰るしかないだろうな」

 

 やる気が失せたパンチに問われたキックも、やる気が失せているので、母艦へと帰投した。

 

『おい、あいつら目標をぶっ壊したぞ! どうするんだ!?』

 

「なんだって!? おいおい失敗かよ!? どうするんで、ボス?」

 

「ちっ、やってくれたな。もうこの世界に居る意味は無いな。撤収する」

 

 ニュクスから目標を破壊された報告を受け、安全な場所から指揮を執っていたスミスとシャドウ・カンパニー社の指揮官らは、この世界に居る意味が無いと判断して撤収を始めた。

 

「イヴ人の賊軍、撤退を開始しました!」

 

「何ッ!? ならば追撃せよ!!」

 

「王子、追撃に回す戦力がありません!」

 

「何だと!? 我らは大軍を持ってきたのだぞ! どうして足りぬという!?」

 

「敵の数が多過ぎるのです!」

 

 かつてはゲイムランドの議事堂であった本部にて、撤退を開始したと知り、アンオスゴタ王子は追撃を命じるも、配下に追撃する戦力が足りないと言われて激怒した。確かに王子は大軍を引き連れてこの世界に来たが、ゲイムランドに攻め込んだ連邦軍の数が多過ぎ、挙句に無差別攻撃を行ったため、連邦軍の注意をこちらに引いてしまったのだ。

 

「我らも撤退せねば、包囲されて殲滅されてしまいます! 王子、ここは彼奴等と同じく撤退を!」

 

「ぬぅ…! この俺に、他の兄妹共の笑いものになれというのか!?」

 

「しかし、ここでお命を落とせば、継承権は得られず! ここは恥を忍んで…!」

 

「クソっ! 全軍撤退だ! 主君の俺の命、臣下の名誉にかけて守り切れ!」

 

 自分のミスにも関わらず、プライドが高いアンオスゴタは撤退を拒むが、参謀に説得されて撤退を決断した。

 

 

 

「あれは、撤退信号!? ようやく来たか!」

 

 撤退を通信が出来ない隊にも伝えるのか、空高く信号弾を撃ち上げてそれを伝えていた。

 ダリュンやガルム、デラックスマンと乱戦中のターニャは、自軍の信号弾が連続で上がっているのを見て、ようやく撤退すると知って安堵する。だが、これほどの強者に狙われているので、撤退は至難の業である。そればかりか、スパルタン・ソルジャーらの増援も現れる。

 

「奴らまで来たのか!」

 

 ジダンの命を懸けた知らせでソルジャーらの出現を知るダリュンは、来る方向に視線を向けながら、三名と交戦を続ける。

 

『撤退命令が出てるぞ! そんな奴は置いておいて…』

 

「そんな物はどうでも良い! 奴を殺すまで、俺は帰らん!」

 

 ニュクスからの通信で撤収の知らせを受けるガルムであるが、己の戦いを優先し、この世界で果てるつもりで戦い続ける。

 

「ヴァフリズ殿に近付けるわけには…!」

 

 新たに迫るソルジャーらに、周辺の敵をダリュン等に近付けないでいたガイエ・ハプスブルグは、魔法で強力なX線レーザーを発射する。発射されたX線レーザーは急行していたソルジャーらに命中し、二名を倒すことに成功した。だが、ソルジャーの方は健在であり、直ぐに接近され、ガイエは腹を抉られて殺害されてしまう。

 

「ハプスブルグを倒すとは! あいつと同等か!?」

 

「これよりデラックスマンの支援を開始する。ビショップ、ズールー、ガイアセイバーは私と共に三名と交戦しろ。MS並びPT隊は、インパルスに集中砲火せよ!」

 

 ガイエをあっさりと殺したソルジャーに、ダリュンはデラックスマンの攻撃を受け流してから槍の矛先を向ける。そんなソルジャーは、ダリュンやガルム、ターニャに他のスパルタンⅤ等を率いて交戦を始める。同時にソルジャーはマリのソードインパルスに対して攻撃を命じており、指示を受けたMS隊とPTは攻撃を行う。

 

「くっ、もうバッテリーが!」

 

 大和級戦艦の艦橋を破壊して指揮能力を奪ったマリのソードインパルスであるが、無茶な連続戦闘でバッテリーは限界であり、攻撃を避け切れず、統制された集中砲火を受け、インパルスは破壊された。破壊された際、マリは機体を分離してコアスプレンダーで脱出し、追撃を受けながら戦場から脱出しようとする。

 

「クソっ、余計なのが増えた!」

 

 インパルスが撃破された頃、ターニャは駆け付けた二名のスパルタンⅤの攻撃を受けていた。ルシファーらとは違い、ソルジャー配下のスパルタンⅤは連携して攻撃してくる。がっ、自分を標的とするガルムの乱入により、二名のスパルタンⅤは直ぐに吹き飛ばされた。

 

「死ねぃ! ターニャ・デグレチャフ!!」

 

「こいつ、まだ生きているのか!?」

 

「ヒィヤァァァッ! 死ねェェェッ!!」

 

 二名の邪魔な敵を排除したガルムの猛攻に、ターニャは生きていることに驚きながら応戦するが、またしても自分を狙う敵が攻撃してくる。それはデラックスマンであり、薬物投与で更に戦闘力を向上させ、凄まじい速度で殴り掛かって来る。

 

「邪魔だァ!」

 

「ブェアッ!?」

 

 標的であるターニャとの戦いに邪魔をされたガルムは激怒し、デラックスマンのヘルメットに拳による強烈な一撃を見舞った。これを受けたデラックスマンは吹き飛び、我先にと乗員たちは無秩序に脱出している大和級戦艦に激突して大爆発を起こす。

 

「奴に討たせるわけには! クソっ!!」

 

 ガルムにターニャを討たせるわけには行かないと判断したダリュンは、ソルジャーらの包囲網を突破しようとするが、統制の取れた攻撃を突破できず、動きを封じられていた。

 

「俺を倒すには、全力を出すしか無いぞ! さぁ、お前の全力を俺に撃ってこい!!」

 

「そうか。ならば、応えてやる!」

 

 ターニャの全力を出させるべく、ガルムは挑発してくる。これにターニャは応じるべく、エレ二ウム九五式を全開にしてガルムに攻撃を仕掛ける。

 

「これが私の全力だ! 受け取れェェェッ!!」

 

 両手を翳し、エレ二ウム九五式による全力を放てば、ガルムはそれを避けることなく受け止めた。

 

「ウォォォッ!? これが、これがお前の全力か…!」

 

 全力のエレ二ウム九五式による魔弾を受けたガルムは、凄まじい吐血を吐いていた。それでもまだ動いており、思わぬ反撃を行う。凄まじい魔力による攻撃であり、エレ二ウム九五式ほどではない物の、ターニャは避け切れずに受けてしまう。

 

「フン、ダメージを、受け過ぎたか…!」

 

 これを術式で防御したターニャに、その術式を貫けない程に自分が弱っているとガルムは知る。そんな弱り果てたガルムに、ターニャは容赦なくとどめの一撃を行った。

 

「フハハハッ、良いぞ…! これで悔いはない…! アハハッ、アーッハッハッハァッ!!」

 

 望んでいた自分を楽しませてくれる相手に倒されたガルムは、破損したマスク越しに満足したような目を覗かせながら、満足して高笑いしていた。その後、マッドアイは大爆発を起こして木端微塵に吹き飛んだ。これほど証拠を残さないように爆発するのは、人造魔導士となるために肉体改造手術を行う際、機密保持の爆弾が仕込まれていたようだ。

 強力かつ戦闘狂であったガルム・マッドアイを倒したターニャは、その場から離脱して撤退する友軍に合流しようとしたが、最大の脅威であるダリュン・ヴァフリズが前に立ちはだかり、数百名のスパルタンⅤの増援を得たソルジャー等が包囲してくる。

 

「こいつだけでなく、スパルタンに包囲されるとは…!」

 

 前には一騎当千の最強戦士であるダリュン、IS技術の盗用で飛行可能となったスパルタンⅤ多数が包囲しているのを見て、ターニャは突破して逃げるのは至難の業であると認識し、エレ二ウム九五式を全開にして突破を試みる。

 

「そこの怪物、一時休戦を行かないか?」

 

「どうした? 投降するつもりか?」

 

「違う。共闘し、この包囲を突破して味方の陣地まで辿り着くのだ」

 

 ダリュンに一時休戦を申し込まれたターニャは、周囲を包囲しているスパルタンⅤに投降するのかと問えば、彼は共闘してこの包囲網を突破しようと提案してくる。包囲してくるスパルタンⅤは増えており、ミニョルアーマーを与えられていないスパルタンⅤ等が搭乗するエルアインス、ランドグリーズ、量産型アシュセイバー、キャニス、ケルべリオンなども集まって来た。ここで決断しなければ、敵は増え続け、やがて包囲殲滅されるのは確実である。

 

「悩んでいる暇は無いようだな…!」

 

「そうだ! こんなところで貴様の首を取ったところで、奴らに磨り潰されるのがオチだ! 一気に突破するぞ! 続け!!」

 

 一定の数が揃えば、スパルタンⅤ等は一気に自分たちを殺しに掛かるので、ターニャは悩むよりも前にダリュンの提案に乗り、共に生き延びるために共闘し、包囲網に対して一点突破を図った。

 

「敵が来るぞ! 撃て!」

 

 ソルジャーに代わって数千人のスパルタンⅤの指揮を執るスパルタン・コマンダーは、突破を図って逃亡を試みるターニャとダリュンに攻撃を命じた。それに応じ、ミニョルアーマーを纏う者と適性が無くて機動兵器を駆る者たちが一斉に攻撃を仕掛けて来る。

 波の如く押し寄せる敵に二人は生き残るために果敢に挑み、押し寄せる敵を打ち倒しながら味方の陣地を目指した。




ここでゲイムランドでの戦闘は終わりです。

マリVSダリュンもやる予定でしたが、尺の都合とやる必要があるのかという疑問で、没になりました。

次回はエピローグです。
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