【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争   作:ダス・ライヒ

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間に合ったぜ!

これで今年最後の更新です。

ご提供されたキャラは引き続きの登場となります。

リオンテイルさん、誤字報告サンクス!


アトリオックス

 宇宙のデブリ帯でアガサ騎士団の追跡隊がバニッシュトのアンゴイで編成された斥候隊と交戦が行われている頃、メイソン騎士団のモーリック十三世が居る牙城にて、新しい戦力を投入すると、王自身が玉座の間に集まった幹部たちに告げた。

 

「あ、あの赤鬼(せっき)十三騎士を編成されたのですか!?」

 

「なんと恐ろしい! こちらの戦力は拡大しますが、我らの騎士が何人巻き添えを食うことか!」

 

「流石にモーリック王の決定と言えど、これには反対だ!」

 

 モーリック十三世の十三人に準えた部隊の編成に、騎士団長と幹部らは反対の声を上げる。

 赤鬼十三騎士なる部隊は、彼らメイソン騎士団にとっては恥ずべき物であるようだ。その歴史を知る幹部らはモーリック王の決定に反対する。

 決定に反対する幹部らに対し、モーリック十三世はアガサ騎士団を倒すには、この方法しかないと玉座の間に集まる幹部らを説き始める。

 

「卿らが反対の声を上げようと、アガサの者共を倒すにはこの方法しかないのだ。それにメイソン騎士団の信条では、弱者は強者に仕える義務がある。余の決定に卿らが拒む道理は無い」

 

「ですが、赤鬼十三騎士は我らメイソン騎士団に災いをもたらす存在! 仇となるのでは!?」

 

「それは余が召喚士に命じてこの世に集めさせた者どもを見て判断するが良い。もう既に隣の部屋に居る。玉座の間へ入ることを許す。入ってまいれ」

 

 メイソン騎士団の古参である赤いサーコートを着たクリフ・ジャンパーと言う幹部が赤鬼十三騎士は自分らに災いをもたらすと言うが、モーリック十三世は聞く耳を持たず、その十三騎士等を見て判断しろと返した。

 反対する幹部らを少し信用させるべく、モーリック十三世は配下の召喚士に命じてこの世に召還した者たちを玉座の間に入れる。

 

「ほぅ、これがメイソン騎士団の幹部共か。どいつもこいつも、腐ったような眼をしている」

 

「なんだと!? 貴公、勝負せよ!!」

 

 青い服を着た金髪の男が、幹部らを見るなり無礼な言葉を発すれば、怒った幹部の一人が腰の剣を抜こうとする。

 

「ふん、この程度の安い挑発に乗るとは。案外メイソン騎士団も大したことは無さそうだな!」

 

「若造め! ここが玉座の間で無ければ、血祭りに上げている所だ!」

 

 白髪の青年がメイソン騎士団を侮辱するような発言をすれば、クリフは場を弁えて殺すと怒鳴る。

 他の者たちも自分等メイソン騎士団を馬鹿にするような目線で見ており、派手な格好の男は更に幹部らを煽り立てるような発言を行う。

 

「おぉ、怖い怖い。これが騎士団の幹部とは思えんな。どいつもこいつも、血の気が多くて、とても山賊にしか見えんよ」

 

「ぬぅ…! 王よ! この者ども、追い払うべきでは!?」

 

「はっはっはっ、威勢が良いわ! 無礼ではあるが、強者であることは間違いない。既に二名ほど件の世界へ送っておる。今は十人しか居らぬが、三人目は向こうに到着予定ぞ。後に赤鬼十三騎士全員も投入する。されば、彼奴等に地獄を見せるであろう」

 

 この煽りに追い出すべきだと主張するクリフに、モーリック十三世は聞かずに赤鬼十三騎士はアガサ騎士団に地獄を見せると豪語した。

 赤鬼十三騎士は十人しか居らず、残り三名は姿を見せていない。既に二名は現地のIS世界に居り、アガサ騎士団に対する破壊工作を行っている。もう一人はアトリオックスであり、現地に合流する予定である。

 その赤鬼十三騎士のメンバーは以下の通り。

 

 一人はEXAMの騎士ニムバス・シュターゼン。

 二人目はジオンの暴走戦士マレット・サンギーヌ。

 三人目はブリタニアの吸血鬼の異名を持つルキアーノ・ブラッドリー。

 四人目は本編に出て来る客将で、バニッシュトの総帥アトリオックス

 五人目はオウギュスト・ギダン

 六人目はガリー・ダン

 七人目はクダル・ガデル

 八人目はレヴ・クラフチェンコ

 九人目はレッドベレーの隊長カーネル大佐

 十人目はレッドショルダーのインゲ・リーマン少佐

 十一人目はメルキアの銀狐のギャルビン・フォックス

 十二人目はショカン族の王子ゴロー

 十三人目もとい十三隻目は戦艦大和

 

 他にも補欠が居るが、予備戦力であるので、玉座の間への入場は許されなかった。

 メイソン騎士団のこの戦力に投入により、IS世界での戦いは激しさを増すことであろう。

 

 

 

 視点は、宇宙のデブリ地帯におけるアガサ騎士団の追跡隊とバニッシュトのアンゴイで編成された斥候隊との交戦に戻る。

 

「その動き、阿頼耶識システムだな。通りでグラント風情がそんな機動を取れるわけだ」

 

 ガンダムアクエリアスに乗るクルワルドは、並のパイロットではない機動力で迫るアンゴイが駆るドラッツェやマン・ロディを見て、アンゴイが阿頼耶識を使って動かしていると見抜き、ドーバーガンやヒートロッドで自分に向かってきた全機を仕留めた。

 

「通りで動きが速い訳だ! 全機、固まれ!」

 

 ドラッツェを撃破したシュヴァルベ・グレイズを駆るジョンは、クルワルドの解析に舌を巻きつつ、配下の隊に固まって迎撃するように告げる。

 敵のマン・ロディに纏わり付かれ、近接用の武器で攻撃されているシルエットガンダムに乗るユウは、纏わり付いた敵機に蹴りを入れ込んで至近距離からウェスバーを撃って撃破し、友軍機に合流する。

 

「なんですか、こいつ等? マン・ロディなんかを使って」

 

『おそらく斥候か何かだ。少なくとも、メイソン騎士団の奴らじゃない』

 

 上司が乗るシュヴァルベ・グレイズに機体の左手で触れたユウは、ドラッツェやマン・ロディに乗って襲ってくるアンゴイがバニッシュトの斥候であることを知らないのか、ジョンに問えば、分からないがメイソン騎士団の者ではないと答える。

 残りの敵を撃破しようとしたが、その敵部隊は信号弾が上がったのと同時に撤退してしまった。

 

「退いた…?」

 

『油断するな! こいつ等、威力偵察か何かだ! 直ぐに本隊が来る!』

 

 シルエットガンダムのビームサーベルで特攻を掛けてきたドラッツェを仕留めたユウは、敵が退いたのを見て撤退したのかを思ったが、ジョンの本隊が来るとの声に、臨戦態勢を即座に取る。

 ジョンの言う通り、メイソン騎士団のゾロアットやジンクスⅢ、アヘッド、グレイズを伴ったバニッシュトの本隊がやって来る。

 本隊はスピナ・ロディやガルム・ロディ、ガーリオン、量産型アシュセイバー、エルアインスなどの機体で編成されていた。

 

『メイソン騎士団だ! 奴らが来たぞ!!』

 

「あれがバニッシュトの機動兵器だな。その中にワルキューレの領内で使われた兵器もある。やはり、出所はこの世界か!」

 

 ジョンがやって来た本隊の中にメイソン騎士団のMSが含まれていると言えば、クルワルドはワルキューレの世界に投入された機動兵器の出所が分かったと判断して、向かってきたメイソン騎士団とバニッシュトの本隊との交戦を始める。

 

『見付けたぞ! この盗人め!!』

 

「あっ、お前は!?」

 

 シルエットガンダムに乗るユウがジラルハネイが乗るガーリオンをビームライフル三発を撃ち込んで撃墜した後、ライザが乗るアヘッドが迫って来る。無線機より聞いたことのある声がすれば、直ぐに粒子ビームを躱して反撃する。

 

『そのガンダムは! 私が乗るはずだった機体なのだぞ!? 返せ! この盗人!!』

 

「これはアルゴン王より乗って良いと許可が下りたガンダムなんだ! それに、これはもうアガサ騎士団の物だ!!」

 

『ふざけたことを言うな! この盗人が!!』

 

 返せと無線機から叫んでくるライザに対し、ユウはアルゴン王より許可をもらって乗っていると返せば、火に油を注いだの如く、アヘッドに乗る若い隊長は怒ってビームを撃って来る。

 

「さっきの斥候とは段違いだ! こいつ等、プロだ!!」

 

 一方でシュヴァルベ・グレイズに乗るジョンは、先の斥候とは大違いのジラルハネイが駆る二種類のMSや、この世界の機動兵器の動きに翻弄されていた。メイソン騎士団のMSは何とかなるものの、バニッシュトのパイロットたちは演習を何度も行っており、何機かの友軍機が撃墜されていた。

 

「アガサ騎士団もこの程度か。メイソン騎士団もな!」

 

 アガサ騎士団がバニッシュトとの機動兵器部隊に苦戦する中、ガンダムアクエリアスに乗るクルワルドの実力を過小に評価しつつ、メイソン騎士団のゾロアットやジンクスⅢを次々と撃墜する。

 彼の配下のトーラス部隊も、アガサ騎士団のグレイズよりも多くの敵機を撃破していた。だが、戦況はアガサ騎士団が不利であり、このまま戦闘を続けてはいずれか全滅する。部隊長であるジョンに撤退を進言した。

 

「部隊長、撤退するべきだ。このままでは、母艦もやられてしまうぞ」

 

『あぁ、この世界の連中とメイソン騎士団がつるんでいることは分かった! 全機、母艦へ帰投だ! ゴリ達も収容されている頃だろう!』

 

 クルワルドの進言に、ジョンは従って配下の部隊に撤退を命じた。

 それに応じて、メイソン騎士団やバニッシュトとの交戦を止めてアガサ騎士団の追跡隊のグレイズやレギンレイズが撤退を始める中、ユウのシルエットガンダムもその列に加わろうとするが、怒り心頭のライザが逃してくれるはずがない。

 

『逃げる気か!? 貴様!!』

 

「逃げるも何も、ここで戦ったら死ぬからな!」

 

『殺してやるぞ! 各機、奴を囲め!』

 

「嘘だろ!?」

 

 シルエットガンダムのユウが余ほど許せないのか、ライザは僚機のグレイズに命じて彼のガンダムを包囲させた。

 

『包囲された! 誰か、助けてくれ!』

 

「ちっ、仕方ない」

 

 包囲されたユウのシルエットガンダムは孤立して撤退が遅れそうになるが、そんな彼を見兼ねたのか、クルワルドは救援に向かう。バニッシュトのガーリオンやスピナ・ロディが妨害してくるが、ガンダムアクエリアスの性能や随伴のトーラス部隊には敵わず、返り討ちにされるだけであった。シルエットガンダムを包囲していたグレイズ数機を落とし、突破口を開けば、ユウは直ぐに開いた突破口を進んで包囲から脱出した。

 

『あ、ありがとう! まさか、あんたに助けられるなんて…!』

 

「フン、貴重なガンダムを失っては、こちらが困るのでな! それより、まだ来るぞ!」

 

『ふざけるな! ガンダムが二機揃って!!』

 

 思わぬ人物に助けられたことにユウは戸惑いながらも礼を言うが、クルワルドはガンダムを喪えば自分の立場が危ういから助けたと返す。包囲を突破したシルエットガンダムを、ライザは執拗に僚機やバニッシュトと共に追撃してくる。

 その執拗に追撃を掛けて来るライザに対しユウは機体の機動性能をフルに生かして粒子ビームを躱し、左手にビームサーベルを抜いて斬りかかるアヘッドに、自分のビームサーベルを抜いて立ち向かう。

 僚機はシルエットガンダムを狙おうとする中、クルワルドは配下のトーラス部隊と共にこれを阻止して一対一の状況を作り出す。尚、ユウはクルワルドに助けられていることを知らない。

 

『死ねぇーっ!!』

 

 サーベルで斬りかかるライザのアヘッドに対して、ユウは斬られる瞬間に操縦桿を動かして躱し、敵機の胴体に抜いたビームサーベルの刃を叩き込む。

 

『な、何ッ!? うわぁぁぁ!!』

 

 胴体を切り裂かれ、ビームの刃がコクピットにまで届いたライザはビームに焼かれて死亡した。半分に言ったところでユウはビームサーベルを仕舞い、直ぐに撤退する部隊の列に向かう。

 

『隊長がやられた!』

 

『撤退だ! 撤退しろ!』

 

 メイソン騎士団は隊長であるライザがやられたことで、全機が追撃を止めて撤退した。だが、バニッシュトは以前に撤退する追跡隊を追撃してくる。

 

『奴ら、後退しません!』

 

「どうやら、あのアヘッドが隊長ではないらしい。全機、気を抜くな!」

 

 レギンレイズが追撃を仕掛けて来るガルム・ロディをライフルで仕留め、バニッシュトが後退せずに仕掛けてくると言えば、ジョンはバニッシュトにとってライザのアヘッドは隊長機では無いと答え、エルアインスをライフルで撃墜した。

 損害を気にせずに突っ込んでくるバニッシュトにアガサ騎士団の追跡隊は疲弊する中、遠くの方でネオ・ジオンのMSであるサザビーが見ていた。

 そのサザビーはバニッシュトの好みに改造されまくっており、盾はバニッシュトのデザインとなり、腰にはグラビティメイスが固定されている。ファンネルは搭載されていないが、コヴナント製のシールド発生装置が備わっている。それに乗っているのは、バニッシュトの総帥であるアトリオックスである。

 

「さて、ヴィンデルより貰ったこのおもちゃの性能、奴らで試させてもらうぞ!」

 

 自分専用のコクピット内にて、アトリオックスは機体の性能をアガサ騎士団の追跡隊で試すべく、操縦桿を動かしてスラスターを吹かして撤退する追跡隊を追った。

 

 

 

 母艦であるアーガマ級強襲揚陸艦やヴァージニア級多目的輸送艦四隻、ハーフビーク級戦艦で編成された艦隊に帰投したジョンら追跡隊はそこで補給を受けていた。

 

「補給急げ! 敵はまだ追撃してくるぞ!」

 

 母艦であるアーガマ級に帰投したジョンはまだバニッシュトが追跡してくるので、補給を急げと整備兵や甲板要員に告げる。

 事実バニッシュトは艦隊まで追撃してきており、アーガマ級やハーフビーク級が敵の追撃部隊に向けて艦砲射撃を行っている。それに数も増えている。艦隊目当てで追撃してきたようだ。グレイズやジムⅢなどで編成された追跡艦隊の警戒部隊が迎撃に出ている。

 

「艦隊の略奪が目的か? はぐれ部隊にやられた分際で」

 

 ガンダムアクエリアスの補給を受けているクルワルドはバニッシュトが大損害を被った経緯を知っており、それの補充目的でやっているのかと口にする。

 そんな中、補給を終えたクルワルド傘下のトーラスたちが補給を終えて先に出撃し、ゴリら調査隊を乗せた降下艇が母艦のハーフビーク級に帰投した。直ぐにゴリは無線連絡で、この世界から撤退するように告げる。

 

『こちら調査隊のゴリ・ロッグハートだ! この世界はヤベェぞ! 部下の半分を化け物に殺されちまった! それに奴らは尋常じゃねぇくらいに強ぇ! 皆殺しにされるぞ!!』

 

「もう分かってるっての!」

 

 この無線連絡にジョンは、補給を終えた機体で出撃してからもう分かったことだと答える。彼らも、バニッシュトに襲われたのだ。

 追撃してくるバニッシュトの部隊を各自が迎撃する中、専用のサザビーを駆るアトリオックスが追跡隊の本隊に迫る。

 

『十二時方向より、新手が接近! 速い!? 敵機の四倍以上の速度で我が方へ接近中!!』

 

「敵の総大将か!?」

 

 シルエットガンダムでバニッシュトの追撃隊を迎撃するユウは母艦のレーダー手よりアトリオックスの接近を知り、敵の総大将が来たと口にする。事実、サザビーに乗るアトリオックスはバニッシュトの総大将である。

 目に映るアガサ騎士団の機動兵器部隊に、アトリオックスはどの程度の実力なのかを問う。

 

「さぁ、こいつの慣らし運転のついでに、お前たちの実力を測らせてもらうぞ! アガサ騎士団!!」

 

 凄まじいGを物ともせず、アトリオックスは全開でアガサ騎士団の弾幕の中へ突っ込んだ。アーガマやヴァージニア級、ハーフビーク級より砲火が集中するが、搭載しているシールドの所為でダメージすら与えられていない。

 

「VAの絶対防御か!?」

 

 ISのような絶対防御となっているアトリオックスのサザビーに、砲火に加わっていたシュヴァルベ・グレイズに乗るジョンは驚きの声を上げる。

 集中砲火を物ともせず、アトリオックスは自機に砲火が止んだところで接近戦を挑んでくるグレイズを、自前で作り上げた実弾をカノン砲で撃破した。そのカノン砲の威力はナノ・ラミネーター装甲を持つMSを容易く貫通できるほどだが、使用弾頭は希少金属を用いており、無駄撃ちは出来ない。

 

「試射ついでに撃ったが、凄い威力だ。このサザビーとやらでないと、右腕が吹っ飛んじまうな」

 

 サザビークラスのような重MSでなければ、衝撃で右腕が破損するとアトリオックスは口にした後、サザビーのビームライフルに持ち替え、続けざまに挑んでくるグレイズを迎え撃つ。

 

『な、なんだあのサザビーの強さは!?』

 

『改造されている! 各機、油断…』

 

「呆けている場合か! 敵を目の前にして!!」

 

『レッツリー隊長!? わぁぁぁ!!』

 

 挑んだ四機のグレイズが全て撃墜され、アガサ騎士団の騎士たちは驚愕するが、アトリオックスはそんな彼らに容赦なく近付き、素早く抜いたグラビティメイスを叩き込んで隊長機のグレイズを撃破した。続けざまに僚機に接近し、同様にグラビティメイスを叩き込んで撃破する。

 友軍機を落とされたことで、ハーフビーク級より発進した四機のジンクスⅣがアトリオックスのサザビーに迫るが、二機が腹部の拡散ビーム砲を受けて一機に撃墜され、もう一機はビームライフルで撃破される。残る一機はトランザムを使い、三倍となった機動力でサザビーに挑む。

 

「トランザムと言う奴か! だが、三倍速くなった程度で俺のサザビーは倒せん!!」

 

 目にも止まらぬ速さで攻撃してくるジンクスⅣに対し、アトリオックスのサザビーは物ともせず、ビームサーベルを抜いて高速で接近してくる敵機に備える。

 ジンクスⅣに乗る騎士は一撃離脱戦法で仕留めようとしたが、数多の戦場を潜り抜けてきたアトリオックスはその手を読んでおり、刺突を躱して敵機が通ると予想される方向に向け、ビームを撃ち込んだ。

 

「俺なら、そこに向かう」

 

 当たらぬであろうと場所に向かって撃っているのだが、敵機のジンクスⅣはそこに吸い込まれるように向かっていき、被弾して青い粒子を巻き散らしながら爆散していった。トランザムシステムを有するジンクスⅣですら撃破するアトリオックスのサザビーに、アガサ騎士団の騎士たちは恐れ戦き始める。

 

『な、なんて強いんだ!?』

 

『か、勝てるわけがない…! トランザムを持ったジンクスですらこの有様とは…!』

 

「どうした? 俺の部下共を虫けらのようにぶっ殺しまくっているお前たちが、らしくないぞ!」

 

 自分を見て茫然としているグレイズ・リッターなどのアガサ騎士団に対し、アトリオックスは聞こえぬ喝を入れる。

 これに自分たちの機体の性能でしか、あのサザビーに立ち向かえないと判断したユウとクルワルドは、味方が撤退する時間を稼ぐために挑む。

 

「やはりガンダムでないと!」

 

『あのサザビーには勝てん!』

 

 ビームを撃ちながら接近してくるシルエットガンダムやガンダムアクエリアスに、シールドを解かれたアトリオックスは盾で防ぎながら自分に挑んでくる彼ら二人に敬意を表す。

 

「ほぅ、骨ある奴が残っていたか! ならば敬意を表し、存分に叩き潰してくれる!!」

 

 そう言ってライフルを腰のラックに付け、グラビティメイスを抜いてビームを撃ちながら接近戦を挑もうとするユウのシルエットガンダムに構える。

 

「接近戦だと思わせて…! ウェスバーだ!!」

 

 機体の高い機動性能を生かし、一気にサザビーまで接近したユウは、自身の必殺技である至近距離でのウェスバー射撃を行おうと、懐まで接近して撃とうとしたが、アトリオックスの方が速く、グラビティメイスを振り下ろされた。

 

「何っ!?」

 

 ウェスバーの射撃を止め、左腕のビームシールドで防いだユウであったが、グラビティメイスの威力は高く、吹き飛ばされてしまう。

 

『ユウ!!』

 

「な、なんて威力なんだ…! 機体が…!」

 

 吹き飛ばされたユウのシルエットガンダムを抱え、回収したジョンは無事であるかどうかを直接通信で問う。機体の左腕は完全に潰れており、胴体にまで達していたが、幸いビームシールドのおかげで大事には至らなかった。

 続けてサザビーにクルワルドのガンダムアクエリアスが挑む。彼がアトリオックスに使うのは電子戦である。ウィルスをサザビーに流し込もうと言うのだ。

 

「シルエットですらあの様か! ならば機体にウィルスを流し込み、ハッキングか機能不全にするまで! 時間を稼げ!!」

 

 電子戦闘でアトリオックスのサザビーを機能不能に陥れるべく、クルワルドは配下のトーラス部隊に時間を稼ぐように指示を出した。それに応じ、六機以上のトーラス部隊はサザビーに陽動戦闘を行うが、アトリオックスは全ての攻撃を躱しつつ、一機をライフルで撃破した。

 

「小賢しい! 部下に時間稼ぎをやらすか!」

 

 一機をライフルで撃破した後、腹部の拡散ビーム砲で三機を一気に撃破する。一機はシールドのクローで潰され、もう一機は蹴りを胴体に入れ込まれ、とどめの強力な蹴りを受けてパイロットは圧死する。

 

『うわっ!? あぁぁぁ!!』

 

「クソっ、せっかく調達した人員が!」

 

『妙なウィルスを流し込まれる前に、叩き潰してくれる!!』

 

 時間稼ぎをしてくれるトーラス隊が撃破されたので、クルワルドは応戦するが、サザビーは躱しながら向かってくる。

 そんなアトリオックスの冷静さを欠かせるべく、クルワルドは手に入れた情報を駆使して彼を煽り始める。端末を操作しながらやるのだ。ある意味で超人である。

 

「アトリオックスと言ったな? お前のデータを調べさせてもらったぞ。UNSCのはぐれ部隊相手に、まんまとはめられて大損害を被ったらしいな?」

 

『貴様、それがどういう意味か、分かっているのか!?』

 

「分かっているから煽るのだ! 旗艦を乗っ取られ、挙句に撃沈させられた飛んだマヌケだとな! それに部下のコントロールも出来ん、腕っ節だけのブルートだと!!」

 

『ぬぁぁぁ! 許さん!!』

 

 このクルワルドの煽り作戦は成功し、アトリオックスは激高して猛攻を仕掛けて来る。

 ビームライフルと拡散ビーム砲による凄まじい攻撃であるが、クルワルドはそれを躱しつつ端末を操作しながらサザビーのハッキングを継続する。同時に行うクルワルドの技量は恐ろしい物だが、彼の疲労はすさまじい物であった。

 やがてウィルスがサザビーのメインコンピューターに流れ込めば、機能不全を起こして停止した。

 

『う、動かん!? なんだ一体!?』

 

「間一髪だったな…! それにしても恐ろしい、ただのブルートではない。ここは、早めに始末しておいた方が…」

 

 間一髪のところでアトリオックスのサザビーは停止した。もう少し敵が動いていれば、クルワルドは死んでいた。

 余りのアトリオックスの強さに恐怖したクルワルドは今ここで始末すべきと判断し、ドバードガンを動かないサザビーに向けたが、レーダーに機体がシールド発生装置と共に稼働したとの反応が見える。

 

『っ!? 生きているだと!? 馬鹿な! ウィルスは流し込み、機体のメインコンピューターを停止させたはず!?』

 

「保険は掛けて置かなくっちゃな。それにセキュリティー対策もしっかりしておかんと、前と同じようになっちまう」

 

 動くはずもないサザビーが動いたことに驚きを隠せないクルワルドは慌てて攻撃するが、シールドで防がれてしまう。あのバニッシュト最大の損害でアトリオックスは学んでおり、同じ目に遭わぬように機体に高度なセキュリティーを掛けていたのだ。これにより、サザビーは回復することに成功したのだ。

 

「さぁ、反撃開始だ! 煽った分、仕返しさせてもらうぞ!」

 

『おのれェ! たかが低能ブルートの分際で!!』

 

 反撃に出ようとするアトリオックスに対し、再びハッキングを仕掛けようとするクルワルドでったが、同じ手は自分が下に見ているジラルハネイには通じず、一気に両腕をグラビティメイスで叩き潰され、胴体を蹴り込まれて拉げ、更に頭部を左手で掴まれて握り潰される。

 

「ば、馬鹿な!? 一体どんな改造を!?」

 

『知りたいか? なら、あの世で待ってろ!』

 

 どんな改造を施したのかと思わず聞いてくるクルワルドに対し、アトリオックスは先にあの世で待ってろと言ってとどめを刺そうとしたが、彼が咄嗟に張った閃光弾を受けて目晦ましを食らう。

 敵機が目晦ましを食らっている間にクルワルドは機体が動く限り動き、母艦へ何とか帰投することに成功する。母艦に帰投するころにはガンダムアクエリアスはボロボロの状態であり、修復にはかなりの時間を要する損傷であった。

 

「ぬぁ!? 知りたいんじゃないのか…?」

 

 逃げたクルワルドに、アトリオックスは知りたいと思っていたようだ。

 

「早く撤退だ! あいつに皆殺しにされるぞ!!」

 

『セイバー卿の言う通り撤退だ! あいつはヤバすぎる!!』

 

 一方で母艦に帰投することに成功したジョンは撤退しろと怒鳴り散らし、追跡艦隊の提督はそれに応じて撤退命令を出した。

 数分後、ただ敵の撤退していくのを見ていたアトリオックスに、部下と再編を終えて駆け付けたメイソン騎士団の部隊は追撃しないのかと問う。

 

『ボス、なんで追撃しねぇんで?』

 

『なぜ見ているのだ!? エンザ卿の仇討ちをせねば!』

 

「いや、楽しみは最後に取っておくものだ。戦争は向こうで楽しもうじゃねぇか」

 

 略奪の為の追撃を進言する部下たちとライザの仇討ちを行おうとするメイソン騎士団の派遣艦隊に対し、アトリオックスは続きは向こうの世界ですると言ってから、母艦へと帰投した。




ジャイアントロボの十傑集やるろ剣の十本刀のような十人的な組織を出してみました。
ぶっちゃけ、ディエス・イレの獣殿が率いている十三人と同じ人数ですが。それに比べると、三人くらい除いてあんまり強くない奴ばかりです。それと補欠もおります(笑)。
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