読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争   作:ダス・ライヒ

23 / 167
ラース
元軍人で特殊部隊員であり、残りの余生を過ごしていたが、娘夫婦を白騎士事件で無くし、更に数年後には残された妻や孫まで失う。
復讐に走ったが、元同僚らはアガサ騎士団に売られ、実行前に捕まってシベリアの収容所に送られてしまう。実は…。
元の設定はISアンチ物主人公臭が凄まじかった為、かなり変更されてもらった。ごめんなさい。
搭乗機はゴッドアーマー「ラース」
キャラ提供はkinonoさん

リオンテイルさん、誤字報告サンクス。


復讐鬼ラース

 テロリストたちによるIS学園襲撃が計画される中、ロシアのシベリアにあるテロリスト専門の収容所が、謎の勢力による襲撃を受けていた。

 

「クソっ、なんだこいつ等!?」

 

『ISなのか!? 男が乗ってるぞ!』

 

 人が訪れない地域にある収容所であるのか、MSが配備されていた。だが、旧式のジム寒冷地仕様機や量産型ガンキャノン、量産型ガンタンクであり、謎の勢力が使うISに似た兵器に圧倒されていた。

 そのISに似た兵器には織斑一夏のように男が乗っているが、乗っている男たちの表情は狂気に染まっており、恐ろしい攻撃を仕掛けて来る。

 

「殺す! 殺す! 殺す!!」

 

『うわぁぁぁ!? は、離れろ! ワァァァ!』

 

 ISに似た小型機動兵器に取り付かれたジム寒冷地仕様機のパイロットは腕を動かして振り払おうとするが、狂人が乗った小型機動兵器は止まらず、胴体を抉って乗っていたパイロットを殺した。

 他の機体も的の小さいISに似た小型機動兵器を相手に奮戦するも、ISを上回る火力を前に撃破されるばかりであった。

 

『クソっ! 畜生!』

 

「死ねぇぇぇ!!」

 

『わっ!? うわぁぁぁ! アァァァ! た、助けてくれぇぇぇ!!』

 

 量産型ガンキャノン三機が群がる小型機動兵器に取り囲まれ、互いの背中を合わせて抵抗するも、機体を抉られて撃破される。

 

「増援は!? 増援はまだか!?」

 

『なんだ、この赤い肩の連中は!?』

 

 三種のMSの他に、ASのサベージも収容所に配備されていた。MSも含めてパイロットたちは元ロシア連邦軍の職業軍人たちであり、アガサ騎士団に雇用されている状況だ。

 そんなサベージに乗るパイロットたちも、右肩を赤く染めたスコープドックの集団に襲撃を受け、MSの救援を要請していたが、MS隊はIS擬きに襲われ、壊滅状態に陥っている。

 対してサベージ隊に襲い掛かる赤肩のATのスコープドック集団はIS擬きよりも統制が取れており、その組織的な攻撃で警備兵らが乗るサベージを圧倒していた。乗っている人間は元軍属のようだ。

 

「い、嫌だ! 俺は死にたくない! うわぁぁぁ!?」

 

 数秒足らずでサベージ隊は壊滅し、生き残った一機はライフルを棄てて逃げ出したが、ローラーダッシュで一気に追い付いた一機のスコープドックのアームパンチを打ち込まれ、パイロットは圧殺された。

 最後に抵抗していた量産型ガンタンクがスコープドックの無反動砲による集中砲火を受けて沈黙すれば、残っていた警備兵らは抵抗することも無く、AK-74M突撃銃やRPG-29対戦車無反動砲を捨てて収容所より逃げ出した。

 追撃しようとしたスコープドックであったが、赤いベレー帽を被り、右目に眼帯を付けた顔面傷だらけの指揮官は無線機の受話器で追わないようにと指示を出す。

 その指揮官の名はカーネル。元アメリカ陸軍の特殊部隊レッドベレーの指揮官で、現メイソン騎士団の赤鬼十三騎士の一人だ。

 尚、レッドベレーはISの登場によって解散している。カーネルの指揮下でATに乗って戦っているのは、元レッドベレーの隊員たちである。

 

「放っておけ! この広いシベリアで、人里に着くなどほぼ不可能だ。直ちに歩兵隊と共に内部の掃除に当たれ! GA隊は撤収せよ!」

 

『はっ!』

 

 アメリカ製の装甲指揮車両より指示を出すそのカーネルに、スコープドック隊はヘビィマシンガンの銃口を下げ、歩兵部隊と共に収容所内部の掃討に向かう。

 

「うるせぇぞ! まだ殺したりないんだよぉ!!」

 

 スコープドック隊より撤収を命じられたGA、その名もゴットアーマー隊は反発する。これを予想していたのか、カーネルはこれからやって来る自分の上官に連絡を取る。

 

「神よ、タイプワンの搭乗者が反発しております。どうしましょうか?」

 

『爆破しろ。代わりが幾らでも居る』

 

「了解。リモコンを」

 

 反発して逃げていく警備兵らにビームを撃ちまくるGAに、カーネルの上司は爆破命令を出した。それに応じてカーネルは部下よりリモコンを取り、安全装置を解除してからスイッチを押してそのGAを爆破した。

 

「04、爆破確認。放射線反応、探知されません」

 

「引き続き掃討を継続しろ。″ラース″の確保が最優先だ」

 

 部下からの報告で爆破したGAより放射線が出ていないことを部下が報告すれば、カーネルはラースと呼ばれる囚人の確保を優先するように命じる。

 前回述べた通り、GAは核エネルギーで動いている。破壊されれば放射能を巻き散らし、環境を汚染する。この場に居る者たちが放射能で汚染されてしまうが、開発者である神矢の用意した特別な自爆装置ならそれを巻き散らすことなく爆破できる。

 カーネルが神と言った上司は、GAの開発者である佐奇森神矢の事だ。今は神矢の下で、元レッドベレー指揮官としての手腕を振るっている。彼の元に集まったのは元隊員達だけでなく、ISの登場によって人員削減を理由に軍を除隊させられた将兵らやゲラドルドのような傭兵たちも含まれている。

 彼らの属する軍隊の名はゴッドアーミー。神を自称する神矢の私設武装組織から名付けられた。

 数分もしない内に実戦経験豊富な将兵や傭兵たちによって収容所は制圧され、囚われていたテロリストたちは解放されてゴッドアーミーの指揮下に入る。

 収容所を制圧した後に神の如くの風貌を持つGAを纏った神矢が降り立ち、カーネル等は軍隊式の敬礼を行う。

 

「制圧しました。神様。例の男の安全も」

 

「ご苦労。では、戦士を迎えに行こう」

 

 神矢を神と慕うカーネルは、ラースの確保に成功したことも知らせれば、彼は気を良くしてその男が囚われている区画まで歩いて向かう。

 階段を下り、最も危険なテロリストを収容している地下の最下階まで到達すれば、ラースの牢のドアを開けていた部下が出迎えの敬礼を行う。

 

「あれがラースと言う男です。本名は…」

 

「そんな物は良い。これからあの老人は人間を超越し、神の戦士となるのだ。この神の手によってな」

 

 本名を言おうとするカーネルに神矢は自分の手駒として使うので、ラースのままで良いと言って彼に近付き、自分の戦士にならないかと誘う。

 

「…何者だ?」

 

「おい、聞こえているか。私は神だ。私の戦士となって戦わないか?」

 

「冗談は止せ。もう私に存在価値は無い」

 

 神を自称する男の誘いに、ラースは自分にはもう存在価値が無いと言って断る。

 ラースは本名ではない。元軍人でしかも特殊部隊員であるが、神である神矢には関係ない事だ。彼をここまでに追いやったのは神矢自身であるのだから。恐ろしいことに、神矢はそれを全く覚えてもいない。

 

 元々は余生を過ごしていた老人であったが、娘夫婦を白騎士事件の影響で無くした。否、白騎士事件では亡くしていない。GAが危険な代物と暴露した助手がラースの娘の夫であった為、怒り狂った神矢は彼を妻や旅客機の乗員諸共に事故に見せ掛けて殺害する。ISが軍事転用化されると、ラースの娘夫婦を白騎士事件の被害者に仕立て上げたが、偽造と見抜かれて計画は破綻した。無論、ラースは自分の娘とその夫を殺したのは神矢であると気付いていない。

 ラースは怒ったが、真犯人が神矢であることには気付いておらず、孫の為に自制していた。しかし数年後、孫は事故に遭って亡くなってしまう。孫の命を奪ったのは女尊男卑思考が強いIS委員会の幹部であった為、自分の不注意であったにもかかわらず、孫が悪いと言って賠償金すら払わなかった。

 これに目を付けた神矢はラースを復讐に嗾けるべく、彼の妻と家を暴徒に放火させ、女尊男卑思想の者たちの仕業に仕立て上げる。神矢の目論見通り、ラースは復讐に走ったが、ここに来て誤算があった。ラースに武器や装備を提供しようとする者たちは彼を裏切ったのだ。更にアガサ騎士団が介入した時期であった為、実行前にお縄となってしまい、ラースは極寒の地のシベリアに送られた。

 

 神矢がシベリアの収容所を襲撃した理由は、ラースを自分の手駒とする為である。ラースがこんなことになったのは、神矢自身の所為でもあるのだが、当の彼は覚えていないどころか、気にも留めない。

 

「存在価値が無い? なら与えてやろう。お前に復讐の武器をくれてやる。条件は私の新世界の創生に協力することだ」

 

「復讐…?」

 

「そうだ、この腐り果てた世界に対する復讐だ! この神がその機会をお前に与えるのだ! どうだ、やらぬか? それともここで…」

 

 選択は二つ。この神を自称する狂った男の要望に応じるか。断ってここで朽ち果てるか。

 ラースが選んだ選択は、前者であった。彼は自分の総てを奪ったISに復讐すべく、神矢のGAを纏った。当の張本人が目前に居ることなど気付かずに。

 纏ったGAの名は「ラース」。彼には相応しいGAである。

 

「良いだろう。お前の手駒となってやる! 私の総てを奪ったISに復讐する為にな!」

 

「素晴らしい! それでこそ私の戦士に相応しい! さぁ、一緒にあのクソ兎が作った世界を破壊しようぜ!」

 

 優秀な手駒を手に入れた神矢は目的である第二IS学園を襲撃すべく、シベリアの収容所を後にした。

 

「そうだ、第四世代機はチートだったな。あっちの襲撃隊が可哀そうだ。少し楽をさせるために囮を出さなくっちゃな」

 

 収容所を後にした神矢はISの第四世代機のことを思い出し、囮を出すと口にして端末を操作した。それは、後に分かることである。

 

 

 

『敵機接近中! 乗員は直ちに宇宙服を着用せよ! 繰り返す! 敵機接近中!!』

 

 地球へと向かう連絡船の船内で、けたたましい警報が鳴り響いた。その警報で飛び起きたミッチェル・ガーランドは窓から外の様子を見て、接近している敵機を見ようとする。

 

「我らの勢力圏内で敵襲だと! 何処だ!?」

 

 窓から連絡船の対空砲が向いている方やアルベルト・ケーニッヒが率いるジンクスⅣで編成された護衛部隊が向かっている方向を見て、何処の敵が仕掛けて来たのかを見ようとするが、乗務員に止められる。

 

「直ちに宇宙服を! 船体が被弾し、宇宙に放り出されるかもしれません!」

 

「いや、出撃だ! 私は荷のMSのパイロットである!」

 

「えっ!? お待ちを!」

 

 乗務員はもしもの場合に備えて宇宙服を身に纏うように言ったが、ミッチェルは自分の宇宙服と言うかパイロットスーツを取り出し、連絡船の荷物であるZZガンダムに乗って戦闘を行うべく、座席を飛び出した。

 格納庫へ向かい、自分のZZガンダムの固定を解除するように指示を飛ばしている整備班長に命じる。

 

「固定を解け! ガンダムを出す!」

 

「はっ!? 出撃命令など…」

 

「良いから解け! 別働隊が来るかもしれん! 解かんとぶち破るぞ!」

 

「ZZガンダムの固定を解け! 死ぬぞ!!」

 

 このミッチェルの無茶ぶりに班長は戸惑うが、彼は脅しを掛ければ彼は応じてZZガンダムの固定を解くように命じた。

 固定が解かれる中、ミッチェルはハッチを開けてコクピットに飛び込み、機体を起動させて同じく運び込まれていた専用大型ビームライフルを取って、格納庫のハッチが開くのを待つ。ハッチが開くまでの間、ヘルメットの無線機を起動させて外の様子を伺う。

 

『こいつ等、メイソン騎士団だ!』

 

『なんでこんなところに!? ここは俺たちの勢力圏だぞ!』

 

『シナンジュも居る! 回避に専念しろ!』

 

『あのアヘッド、速い!? それに緑色のカエルも!』

 

「シナンジュ? カエルだと? どうやらメイソンの奴ら、新手を投入したようだな」

 

 無線機よりアルベルトの護衛部隊が交戦しているメイソン騎士団の編成が分かったところで、ミッチェルは機器を操作しながら機体が正常に動くことを確認した。

 

「各部異常なし。ハッチオープンを確認。これより出撃する!」

 

 ハッチも開いたところで、ミッチェルはZZガンダムを動かし、連絡船より出撃した。

 交戦の最中、連絡船からZZガンダムが出たのを確認したクローディアの隊のゾロアットに乗るパイロットは、背中のビームキャノンを撃とうとする。

 

「連絡船からMS!? 援軍か!」

 

 ビームキャノンを撃ち込んだが、ミッチェルはそれを躱してビームライフルで反撃する。放たれたビームは避けられ、ゾロアットは両肩のビームストリングを展開して攪乱しようとする。

 

「そのデカい図体なら、ビームストリングで!」

 

 展開されたビームストリングに大型機のZZは被弾したが、戦闘に全く支障が無いので、ビームストリングを展開していたゾロアットを二発目のビームで撃破した。

 

「食らったが、問題は無い!」

 

 それからもう一機を撃破した後、アルベルト隊の救援に向かった。

 クローディアやマレット、クダルを含めるメイソン騎士団のMS隊と交戦しているアルベルト隊は赤鬼十三騎士の内二人、部隊長の強さに圧されていた。増援も来ているが、やられるばかりだ。

 

「は、速い!? これがガンダムタイプか!」

 

 ジンクスⅣに乗るパイロットはクローディアの駆るシナンジュに翻弄され、そのままビームサーベルで胴体を切り裂かれて撃墜された。

 

『少しはやるようだが、このマレット・サンギーヌの敵ではない!』

 

「こ、こいつ! わっ!?」

 

 アヘッドと交戦していた増援部隊のグレイズのパイロットはライフルを躱しながら接近するマレットの技量を前に、二振りのGNトマホークで切り裂かれて撃破された。

 

「フハハハ! 騎士ってのはこんなもんかい!?」

 

『なんだこいつは!? ギャア!』

 

 続けざまにグレイズ二機をハンマーで撃破したガンダム・グシオンに乗るクダルは、笑いながら三機目の胴体にハンマーを打ち込み、乗っているパイロットを圧殺する。

 増援部隊の他にワルキューレ宇宙軍のM1AアストレイやバルキリーであるVF-171も駆け付けていたが、恐ろしく強い三名を前に撃破されるばかりだ。同じく救援に駆け付けたミッチェルは、前に出て来た敵機であるジンクスⅢを左手で抜いた大型ビームサーベルで切り裂いて撃墜してから、どちらを先に仕留めるべきか確かめる。

 

「パトロールの救援も駆け付けているようだが、あの有様では全滅は必然だ。まずは、あのカエルを倒すか。ナノ・ラミネート装甲は厄介だ」

 

 先に仕留めるのはクダルのグシオンと決め、ミッチェルはサーベルを仕舞ってからその敵を仕留めるために接近する。近付いてくるZZに気付いたクダルは、VF-171のコクピットを素手で潰してから迎え撃つ。

 

「ガンダムフレーム! あいつに似ててムカつくッ!! 潰すッ!!」

 

 ZZガンダムを見たクダルは、かつて自分を殺したガンダムと何処か似ていることに腹を立てたのか、スラスターを吹かせて全力で襲ってくる。ハンマーを振り下ろし、自分を文字通り叩き潰そうとしてくるクダルのグシオンに、ミッチェルはビームライフルを撃つが、外見とは裏腹に高機動で迫って来る。

 

「速いな! 相当な手練れが乗っているか! なら、これは躱し切れまい!」

 

 攻撃を躱して迫るクダルのグシオンに、ミッチェルは機体背部のミサイルランチャーを撃ち込む。このミサイル攻撃にクダルは頭部の信号弾を使って躱し切る。

 

『んなちゃちなミサイルで、このクダル様を倒せると思っているのかァ!?』

 

「信号弾をフレア代わりにした!?」

 

『バラバラに吹っ飛べェ!!』

 

「くっ!?」

 

 信号弾をフレア代わりにしてミサイル攻撃を躱したミッチェルが驚く中、ミサイルの爆風から抜け出したクダルは一気に接近し、機体胸部に搭載された四門の400ミリ口径砲をZZに向けて撃ちこんだ。

 近距離より放たれた強力な弾頭にミッチェルは素早く反応して両腕で防いだ。爆風が巻き起こる中、両腕の中で右腕が動くことを素早く確認してからライフルを手放してハイパービームサーベルを抜き、グシオンに向けて振り下ろす。

 

「フン、これで吹っ飛び…グェ、アァァァ!?」

 

 先の近距離からの砲撃でZZを仕留めたと思っていたクダルであったが、当のZZは左腕が動かなくなった程度で、まだ戦闘は可能な状態であった。振り下ろされた長いハイパービームサーベルのビームの刃で機体を切り裂かれ、乗っていたクダルはビームで焼かれた。

 グシオンが完全に停止したのを確認すれば、ミッチェルはサーベルを戻し、ライフルを手に取って損傷した機体で戦闘を続行する。

 

「アルゴン王に申し訳の無いことをした。だが、敵はまだ残っている。同胞を助けねば!」

 

 授かったZZを損傷させたことを申し訳ないと思いつつ、ミッチェルは仲間たちを助けるべく、近付く敵機を迎え撃つ。

 

『手負いのガンダム! 倒すには苦労しないな!』

 

 友軍機と交戦しているZZガンダムを見たマレットはM1AアストレイをGNトマホークで切り裂いて撃破し、乱戦状態を抜け出してミッチェルを仕留めに掛かる。向かってくるマレットのアヘッドに、ミッチェルは気付いてまだ動く右手に握るビームライフルで迎撃するが、クダルと同じく避けながら接近してくる。クダルのグシオンとは違い、カスタマイズされたアヘッドであり、かなりの高機動で接近してくる。

 

「左腕が死んでいるな! 左から攻めればお前は終わりだ! ガンダム!!」

 

 左腕が動かないことを一瞬で見抜いたマレットは生前のガンダムにやられたことを思い出し、ライフルに持ち替えて左側から攻めを開始する。即座に対応に回るミッチェルであるが、クダルのグシオンより受けた400ミリ口径弾のダメージが残っており、対応が遅れて右足にビームを撃ち込まれて破壊される。右足を喪ったZZはバランスを取るころが難しくなる。

 

『右足が!?』

 

「はっはっはっ! ただでは殺さんぞガンダム! じわじわと嬲り殺しにしてくれる!!」

 

 生前の恨みの余り、マレットは直ぐに撃墜せずに嬲り殺しにすることに決めた。背面に回ってビームを撃ち込み、損傷個所を増やし、相手を恐怖に陥れんとする。

 

「その頑丈さが仇だ! 怯えながら死ね!」

 

『直ぐにZZを仕留めろ、サンギーヌ。奴は…』

 

「煩いぞ! 俺は勝手を許されているのだ!!」

 

 ZZを嬲り殺しにする為に直撃させること無くビームを撃ち続けるマレットはクローディアより忠告を受けるが、無視して嬲り殺しを続ける。ZZが危険な存在であることを理解しているクローディアであるが、マレットはガンダムを嬲り殺しにすることに固執し、話を全く聞かない。

 

「仕方ない…」

 

『動きを止めた!? 今なら!』

 

 上司であるクリフ・ジャンパーより殺害命令を受けているので、その命令を実行する時期であると判断してライフルをマレット機に撃ち込もうとしたが、アルベルトに妨害される。

 動きを止めたことが仇となったのだろう。アルベルトが駆るジンクスⅣが放った粒子ビームでビームライフルを破壊されたクローディアは、直ぐに下がってシールドのグレネードランチャーを撃ち込んで牽制する。

 

「悲鳴を上げながら、死んで行けぇーッ!!」

 

 クローディアに殺された掛けたことも知らず、マレットはパイロットの悲鳴を聞くために二振りのGNトマホークを抜き、動きを止めたZZに斬りかかった。だが、それはミッチェルの狙いであった。

 

「来たな。コアブロックシステムは正常に動いている。チャンスは一度だ」

 

 斬りかかるマレットのアヘッドにミッチェルはコアブロックシステムが正常に稼働することを確認してから、解除ボタンに指を添える。二振りのGNトマホークで切り裂くために横に振った瞬間、ミッチェルはタイミングを見計らってボタンを押した。

 

『死ねぇぇぇ! ガンダムゥ!!』

 

「今だ!」

 

 刃が迫った瞬間にミッチェルがボタンを押せば、ZZは下半身を捨てて上半身だけで上昇し、マレットの斬撃を躱した。

 

『躱しただと!?』

 

「つぁぁぁ!」

 

 驚く相手が反撃に出る前にミッチェルはハイパービームサーベルを抜き、マレットのアヘッドを切り裂いた。

 

『グァァァ!? ガンダムに! またガンダムにこのマレットが!? このマレット・サンギーヌがァ!?』

 

 ハイパービームサーベルで切り裂かれたマレットのアヘッドは撃墜には至らなかったが、戦闘不能となって彼の叫びと共にその場を漂っていた。胴体を切り裂かれた為、乗っていたマレットは重傷を負ったに違いない。

 

「撤退する!」

 

 マレットがやられたのを確認し、アガサ騎士団の更なる増援を確認したクローディアは、この場で戦い続けていれば包囲されると思って撤退を選択する。彼女のシナンジュが信号弾を撃撃って合図を出せば、彼女の部下たちはこれに従い、撤退を開始する。戦闘不能となったマレット機は、ゾロアットに回収されていた。

 戦闘が終わったところで、ミッチェルはヘルメットを脱いで一息つく。

 

「この状態では、始末書どころか、謹慎を命じられるな」

 

 この戦闘で負ったZZの損傷は始末書どころでは済まないほどの物であり、ミッチェルは謹慎処分が下されると思って頭を抱えた。

 

「何機残っている?」

 

『はっ、自分を含めて四機であります。二機が撃破されました』

 

「二機か…!」

 

 戦闘が終了したことを確認したアルベルトは、残存機を部下が報告した。アルベルト隊はこの戦闘で二機の僚機を喪ったのだ。

 

「よし、撤収する。ガーランド卿のZZも回収するのだ」

 

 残存機も分かったところでアルベルトは撤収を命じれば、損傷したミッチェルのZZも回収も忘れないように告げた。




第二IS学園勢、次回に出そうかな?

次の企画はどれにする?

  • 金塊強盗
  • KILLZONE2
  • 復活の佐奇森神矢
  • カオス・ウォーズ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。