【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争   作:ダス・ライヒ

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決着ですが、まだ終わりではありません。

リオンテイルさん、誤字報告サンクス。


決着はまだ…

 スイスの第二IS学園での戦闘で投入されたラースは状況を一変させ、ゴットアーミーを優勢に戻した。

 それと同時刻、戦艦大和無力化の為、日本海へと向かったルリは自身の専用IS「マギア・コリツェ」のビット攻撃を駆使し、大和の戦闘力を奪っていた。

 例えISとは言え、四個師団以上の砲撃力を誇る主砲である46センチ砲を受ければ一溜りも無いが、それが全く当たることなく撃てない距離まで接近され、こうして一方的にやられているのだ。

 

「しゅ、主砲が! 46センチ砲が全て!?」

 

「ほぼ全ての兵装がやられてる!? 駄目だぁ! 勝てない!!」

 

 現代に蘇った大和を艦橋で指揮する艦長は、マギア・コリツェの十基のビットで次々と破壊される兵装を見て改めてISには勝てないと痛感していた。他の乗組員たちもそれを見ており、戦意を喪失して冷たい日本海に飛び込む者が続出している。

 その光景はセルベリアのドライ・シュテルンを抑えていたザムザザーに乗るアリアスにも見えており、大和が叶わぬと分かれば逃げ出す彼らに怒りを覚える。

 

「大和、想定よりも早く戦闘不能となっております!」

 

「えぇい、貴様らそれでも日本男児か!? 船を置いて逃げ出すなど!!」

 

 砲手からの知らせで、大和から逃げ出す船員たちを見て怒りを覚えるアリアスは、戦闘指揮を取りつつ空いている配下の部隊に敵前逃亡者を処断するように告げる。

 

「アリアスだ! 予備部隊、出撃しろ! 戦闘を行う前に海に飛び込んだ敵前逃亡者共を銃殺するのだ!」

 

『はっ!』

 

「全く、まさかこんなにも碌に抵抗が出来ないとは。やはり時代遅れの戦艦だ。予定を早め、離脱する他ないな」

 

 予備部隊を出撃させ、敵前逃亡者を抹殺するように指示した後、予定より早く撤退する他ないと周りを見て判断した。

 熟練の指揮官が予定を早める程、ルリのマギア・コリツェの戦闘力が高過ぎたのだ。それにフリゲートやミサイル駆逐艦を始めとしたイージス艦が集まって来ており、これ以上この海域に留まっていれば包囲殲滅される可能性もある。それを踏まえての判断だ。

 大和の艦長とも言える人物が、逃げ出そうとする船員たちを押し退けながら自分だけ助かろうとする姿を見て、もう大和は戦えぬと判断する。

 

「船員よりも先に船長が逃げ出すとは、碌な子孫に恵まれんかったなあの船は」

 

 艦長が海に飛び込んだところで、予備部隊が到着。予備部隊はSV-52を中心に編成されており、アリアスの指示通りにルリのマギア・コリツェを無視して陸地まで泳いで逃げようとする大和の乗員らを射殺し始める。

 

「えっ、何やって…」

 

『構うな! お前は大和を無力化しろ!』

 

「えっと…うん!」

 

 目前で海に飛び込んだ乗員らがレダニア軍のバルキリーによって射殺されていく中、ルリは助けようとしたが、アリアスのザムザザーと交戦しているセルベリアは大和を優先しろと告げ、彼女は言われた通りに大和の無力化を行う。

 

『止めろ! 止めてくれぇ!!』

 

『嫌だ! こんなの聞いてない! うわぁぁぁ!!』

 

「あの人たち、可哀想」

 

 大和の甲板に降り立った後、レダニア軍によって虐殺される脱出した乗員たちを見て、ルリは可哀想と呟く。

 この大和が戦闘可能状態であった頃は、半島の住人たちを虐殺せんとしていたが、今ではその力を幼気な少女が操るISに奪われ、哀れにも自分らに力をくれた者たちによって虐殺されている。

 その影響か、海は真っ赤に染まっていた。大和によって撃沈された後、虐殺された軍や民間問わずの船舶の船員たち、止めに入ったテメリア・ガリア軍部隊の将兵、それと交戦したレダニア軍の将兵、最後に大和より逃げ出し、味方であるはずのレダニア軍に虐殺された乗員たちの血が赤に染め上げたのだ。

 

『生存者、掃討完了!』

 

「よくやった。そろそろ頃合いか。信号弾発射! 全部隊に通達、直ちに当海域より離脱せよ!」

 

 大和より逃げ出した全員の始末を終えた部隊より報告を聞けば、アリアスは全部隊に交戦を止めて直ちに撤退するように指示を出した。

 撤退を知らせる信号弾がザムザザーより発射されれば、VAと交戦していたレダニア軍は撤退を開始する。セルベリアのドライ・シュテルンと交戦していたアリアスも、自身が殿となりながら後退する。

 

「撤退したか」

 

「追います?」

 

「いや、良い。それより大和はどうなっている?」

 

 撤退する敵部隊をセルベリアは追跡せず、大和の制圧に向かったルリにまだ抵抗する者が居るかどうかを問う。

 

『残っている人はいるけど、みんな敵意は無いみたい』

 

「そうか。では、海軍の部隊が来るまでこの場で待機だ。艦内に爆弾が仕掛けられている可能性があるからな」

 

 ルリより大和は制圧したも同然であるとの返答が来れば、セルベリアはこの海域の確保を配下の部隊に命じた。

 こうして、日本海における戦艦大和はISとVAによって制圧された。

 大和に乗っていた者たちは、対艦巨砲主義の復活と旧来の男性権威主義の復活に燃え、ISを男の象徴たる戦艦大和で打倒しようと試みたが、逆に世界中に醜態を晒した。

 如何に大艦巨砲主義が時代遅れの思考であるかを露呈し、更にはISの戦闘力の高さを知らしめてしまう。

 ISで前大戦の最強の戦艦を倒し、その戦闘力の高さを世に知らしめたい者たちの思惑通りの結果で終わった。

 

 

 

「卑怯だぞ!」

 

「助けてくれ!!」

 

『馬鹿が! 卑怯もくそもあるか! これが戦争って物よ!!」

 

 一方、ルリのマギア・コリツェ不在でテロリストたちの襲撃を受けていた日本のIS学園では、テロリストたちは制圧されつつあった。

 劣勢と判断したサベージに乗るゲドラルドは、一夏たちが人殺しが出来ないと睨み、脱出するために乗機より脱出した仲間のテロリストを左手で掴み、盾にしながら逃げようとしていた。

 

「仲間を人質に? 馬鹿め! そんな手が私たちに通じるはずが…」

 

「待てラウラ! 人が死ぬ!」

 

「テロリストだぞ! 死んで同然だ!」

 

 ラウラは撃とうとしていたが、人が死ぬのが我慢ならない一夏が止めた。ラウラは軍人であるので人を撃つことに躊躇いも無いが、軍人ではない一夏たちには人を撃てない。シャルロットは震えた手でライフルを構えたまま、引き金を引けないでいる。

 

『はっはっはっ! ほらっ! 撃ってごらんよ! この人も死ぬことになるけどね!!』

 

「うわぁぁぁ! 嫌だ! 死にたくない!!」

 

「なんて卑劣な! お前に人の心はあるのか!?」

 

 箒とセシリアと交戦しているローザも、乗機の月下の左手に仲間を掴んで盾にしており、人を殺すことに抵抗を覚える彼女らを煽っている。そんな手段を使って心が痛まないのかと問う箒に、ローザは右手に持った機関銃を撃ちながら答える。

 

『人の心がある? そんな物、当に捨てたさ! 君が脱いで僕の所に来たら、この人を解放してあげても良いかな~? あっはっはっはっ!』

 

「くぅ…! なんて下品な!」

 

「人質さえ居なければ、あんな奴には!」

 

 下品な答えで返してくるローザに、箒はあの人質さえ居なければ紅椿で容易く倒せると悔しがる。

 既に残っているのはゲドラルドのサベージとローザの月下であるが、両者が取った生身の仲間を盾にすると言う手段で攻撃できずにいる。

 

「よし、この区画のデータを収集する。データの解析を…」

 

『た、隊長…!』

 

「っ!? 警戒しろ!」

 

 ゲドラルドとローザが一夏たち相手に踏ん張る中、Zy-98に乗るクラフチェンコの隊は軍事施設内のある区画に侵入し、データ収集を図ろうとしたが、僚機のサベージが謎の攻撃によって行動不能になった。

 直ぐにデータ収集を止め、各機が警戒すれば、謎の攻撃を行った正体、更識楯無(さらしき・たてなし)専用機で第三世代型ISであるミステリアス・レイディが姿を現す。

 

「データ照合、ミステリアス・レイディか」

 

「あら、見たことも無いロボットにロシア人? 向こうの人たちは助けに行かなくって?」

 

 データを照合してミステリアス・レイディと確認すれば、楯無はクラフチェンコにゲドラルドたちを助けに行かないのかと問う。

 

「フン、現地の連中は使い捨てだ。助ける義理は無い」

 

「酷い人たち。情報通りね。なら、遠慮なしに!」

 

 クラフチェンコは助ける義理は無いと答えれば、楯無は遠慮なしにナノ・マシンで出来た水による攻撃を始めた。機体の単一仕様能力超広範囲指定型空間拘束結界である「沈む床」を発動し、周辺に居た敵機を拘束する。データを見ていたクラフチェンコは自分だけ飛び、その拘束結界より抜け出して反撃を行う。

 

『き、機体が!? 隊長!!』

 

「データは見ている。単一仕様能力とやらだな?」

 

「自分だけ逃げるなんて。本当に酷い人ね」

 

「何とでも言え。お喋りしている暇があればな!」

 

 回避行動を取る楯無が挑発する中、クラフチェンコは執拗な攻撃を続ける。その流れ弾が味方機に当たっているが、クラフチェンコは気にせずに周りを気遣いながら戦う楯無を攻撃する。

 

『うわぁぁぁ!? 隊長! 自分らがまだ居ります! 攻撃を止めてください!!』

 

「なんて酷い人、味方とか関係ないのかしら?」

 

「お姉ちゃん!」

 

「簪? 気を付けて! こいつ、仲間ごとやるわ!」

 

「分かった!」

 

 攻撃を躱しながら反撃する楯無の元に、第三世代型ISの専用機である打鉄弐式を纏った更識簪(さらしき・かんざし)が駆け付けた。楯無の妹である。駆け付けた簪は機体の背中の連射型荷電粒子砲で追い払った後、姉からの警告を聞く。二機の第三世代ISが来たところで、分が悪いと判断したクラフチェンコは撤退を判断する。

 

「ちっ、第三世代が二機も! 分が悪すぎる! だが、十分なデータは収集した! 撤退する!」

 

 撤退を判断したクラフチェンコは拘束されている部下を見捨て、閃光弾を発射して更識姉妹の目を潰した。その間にクラフチェンコは施設から脱出し、脱出ポイントまで急ぐ。

 

「この、逃がさない!」

 

「待ちなさい! 無理をすることは無いわ。後は軍人さんたちにやって貰いましょう」

 

 逃げるクラフチェンコに簪は機体最大の武装である四十八発ものミサイルを発射する山嵐を使おうとしたが、楯無に止められた。

 学園内に忍び込んだテロリストたちが千冬や守備隊の者たちに倒されるか囚われていく中、軍事施設の外の情報を集めているMS隊の被害も馬鹿にならなくなり、紫色の戦術機である武御雷と交戦していたドライセンに乗るオウギュストは、機体の右腕を長刀で斬られたところで退き時であると判断する。

 

「クソっ、あの紫色、強過ぎるぞ! もう偵察なんぞ出来るか! 撤退する!」

 

 僚機も殆どが落とされており、最後は自分だけになるのは御免だと判断したオウギュストは斬りかかって来る武御雷に目晦ましの攻撃をした後に、合流ポイントを目指して撤退した。

 これに続いて、残っているMS隊も撤退を始める。随伴していた部下を全て失いながらも威力偵察を行っていた同志のゴブリンは、ディアスのグロースターとニコライのガレス・オハンを始めとするKMF部隊に追い詰められていた。

 

「もう私だけか」

 

『そうだ! 観念しろ!』

 

『後はお前だけだぜ!』

 

 壁際に追い詰められ、左腕を破壊された同志のゴブリンは投降を呼びかけるディアスとニコライの言葉を聞かず、残った右手にあるライフルで抵抗したが、避けられた。

 

『ちっ、無駄に抵抗するんじゃねぇ! ぶっ殺すぞ!?』

 

「くっ、脱出も不可能。もうここまでのようだ…」

 

 ライフルの弾丸を躱したディアスはランスでゴブリンの右腕を刺し、戦闘力を奪った。ニコライは音響兵器であるオハンをいつでも作動させられるように待機し、他のサザーランドやヴィンセントを始めとするKMF隊は射撃兵装を構えて待機している。

 

「だが、既にデータは収集した…! 大義の為、このデータを新たな私に託す…!」

 

 追い詰められた同志は脱出は不可能と判断し、IS学園の軍事施設のデータが入ったカプセルを脱出ポイントに向かった味方に向けて放ち、自爆装置を起動させた。

 

「っ! 何か飛ばしたぞ!?」

 

『野郎、この期に及んでまだ!』

 

 ニコライが同志のゴブリンがカプセルを飛ばしたのを確認すれば、ディアスはとどめを刺そうとする。だが、ニコライは同志が自爆を狙っていると分かり、直ぐに下がるようにこの場に居る全員に告げた。

 

「俺の後ろに隠れろ! 奴は自爆を狙っている!」

 

『なにっ!?』

 

 大盾と重装甲のガレスに乗る騎士が叫べば、ディアスと他のKMFは同志のゴブリンより離れた。十分に離れられないKMFは、大盾を構えたガレス・オハンの後ろに向かう。ディアスのグロースターも一緒である。

 数秒後に同志のゴブリンは自爆し、周辺を爆風が襲う。追い詰めたアガサ騎士団のKMF隊はニコライが気付いたことにより、関節に異常が出る程度で済んだ。

 同志も居なくなったテロリスト、もう戦っていると言えばゲドラルドとローザくらいであり、未だに一夏たちと交戦を続けている。

 この間にATのダイビングビートルで編成されたゴットアーミーの少数部隊が上陸しており、早戸を含めた回収できる限りの戦闘で負傷したテロリストたちを回収していた。

 

「まだ戦闘を行っている者が居りますが」

 

「時期にやられる。俺たちはそれの回収だ」

 

 潜水艇にテロリストたちを乗せる部下からゲドラルドとローザはどうするのかという問いに、部隊長はいずれやられるので、それから回収すると答えた。その言葉通り、ジェーンが乗るジムⅢのビームライフルによる狙撃を受けてゲドラルドのサベージの両足が破壊される。

 

「うぉ!?」

 

 両足が破壊されたところで機体はバランスを崩して倒れ、、ゲドラルドは思わず叫んで盾にしていたテロリストを手放してしまった。続けて高速で動き回るローザの月下の足を、ジェーンは狙撃してバランスを崩させる。

 

「ぐっ!? クソぉ!!」

 

 ローザも同じく盾にしていたテロリストを離したが、まだ抵抗しようとしていた。ゲドラルドも同じであったが、急行していたバレットM99対物ライフルを装備した狙撃班による狙撃で戦闘不能に追い込まれる。

 まだ諦めることなく、二名は機体から脱出して逃げ出そうとする。

 

「くそっ、機体が!」

 

「クソっ、クソクソクソ! こんなところで終わってたまるか!!」

 

 脱出した二名はAKS-74u突撃銃を持って逃げ出そうとするも、狙撃班による狙撃でゲドラルドは足を吹き飛ばされ、ローザは右腕を吹き飛ばされる。それを見計らってか、ゴットアーミーの回収班は狙撃対策として煙幕を張りながら回収に向かう。

 狙撃で呆けていた一夏たちも確保に向かおうとするが、回収部隊が同時に閃光弾を放ったために目晦ましを受け、ゲドラルドとローザは回収されてしまう。

 

「クソっ、逃げられた!」

 

 煙幕を巻かれながらも追跡したが、煙を晴れる頃には回収部隊に逃げられた後であった。ジムⅢのコクピット内で、ジェーンは逃げられたことを悔しがる。

 かくして、IS学園の襲撃は防衛側の勝利で終わった。だが、IS学園を守るアガサ騎士団は知らない。これがメイソン騎士団による威力偵察であると言う事を。

 

 

 

 日本のIS学園の戦いも終わる頃、スイスの第二IS学園の戦闘は終わりそうになかった。GAを纏ったラースの所為である。

 世界中が誇る実力者たちが集う第二IS学園の守りは固く、代表候補生として在籍している生徒たちも圧倒的な強さを誇っていた為、並の人間が纏ったGAは無力化されるばかりであった。これに神矢は自分の最高傑作であるGAを、自分の盗用であるISに倒されるのが我慢ならないのか、最高の適正者であるラースを投入したのだ。

 結果は第二IS学園の代表候補生たちを圧倒し、状況を一変させた。これに神矢は大変ご満足であり、ラースのGAに搭載されたカメラを見て興奮する。

 

「良いぞ! そのまま引き裂け! ぶち殺すんだ!!」

 

 興奮する神矢であったが、カーネルは後の作戦に備えてか、ラースが注意を引いている間に撤収すると告げる。

 

「神よ、後の作戦の為にここは撤収いたしましょう。ラースが注意を引いている間に」

 

「なに? もう少しで勝てると言うのに。ちっ、分かったよ。ラースをあいつらにぶつけることができなくて残念だな」

 

 カーネルからの提案に神矢は不満気であったものの、後の作戦を楽しむことにし、撤収に応じた。

 ゴットアーミーの撤収の為に囮にされ、見捨てられたとは知らずに未だに戦っていたラースは、戦闘に復帰して自分に挑んできたメリアのメダル・オブ・オナーを返り討ちにする。

 

「きゃっ!?」

 

 吹き飛ばされ、地面に叩き付けられたメリアは吐血し、気を失いそうになる。そんなメリアにとどめを刺そうとラースが急接近したが、キュラソーのブラックウィドウに邪魔をされる。

 ミサイルやライフルによる牽制であるが、ラースのGAのバリアによって封じられ、標的が一気にキュラソーに代わる。凄まじい勢いで迫って来るラースに対し、キュラソーはライフルを撃ちながら高速で後退するも、敵は速過ぎた。

 

「嘘でしょ!?」

 

「ISぅぅぅ!!」

 

 叫びながら怯まずに接近してくるラースに、キュラソーは思わず射撃を止め、老人が纏うGAが放つ打撃を受けた。ブラックウィドウの絶対防御は働いたが、着用者のダメージは軽減できず、強い打撃を受けて血を吐いた。

 キュラソーにもう戦闘力が無いと判断してか、ラースは第二IS学園を破壊しようと迫る。

 

「来たっ!?」

 

「撃て! 近付けるな!!」

 

 向かってくるラースに対し、学園を守備する兵士たちは手にしているライフルで撃ちまくる。無駄ではあるが、それでも女性兵士たちは学園の教師や職員、生徒たちを守るために戦う。まだ避難していない教師や職員、生徒が居るのだ。命を懸けて怒りに囚われたラースに挑む。

 

「まだ、避難が終わって…ない!」

 

 そんな彼女らを守るため、キュラソーは学園に向かうラースに再び挑んだ。理由は学園を守る兵士たちと同じだ。

 学園に向かうラースは近い距離に居た足を挫いた生徒を抱えて必死に走る職員に標的を定め、叫びながら突っ込む。兵士たちがそれを妨害しようとライフルを撃つが、バリアの所為で全く意味がない。

 

「ISに関わる者すべてが敵だァァァ!!」

 

「それは止めなさいよ!」

 

 もはや見境が無いラースにキュラソーはブラックウィドウの機動力を生かして急接近し、ISを纏っていない生徒を抱える職員に対する攻撃を妨害した。だが、それが彼女の最期であった。

 邪魔をしたキュラソーに怒りを覚えたラースは、手刀で彼女の腹に貫いた。その手刀は弾丸のように速く、GAの火力の高さも相まって絶対防御を貫通してキュラソーまで達したのだ。腹を貫かれたキュラソーの目から徐々に生気が無くなり、武器を持つ手が緩んで手放してしまう。

 

「こんな…最期だ…なんて…!」

 

 素早く手刀を引き抜かれたキュラソーは、最期の言葉を言いながら息絶えた。その後、キュラソーを殺したラースは固まっている生徒を抱えた職員に目を向け、殺そうと視線を向ける。

 殺すためにラースは殺そうと生徒を庇う職員に手刀を放とうとしたが、KMFのランスロット・エアキャヴァルディーに乗ったミッチェル・ガーランドがようやくの所で到着する。メーザーバイブレーションソードでラースの手刀を防いだ。

 

「意思は引き継ごう。VA乗りよ」

 

「貴様ァ…何者だァ…!?」

 

「私はアガサ騎士団に属する騎士、ミッチェル・ガーランドだ。ご老体、いくらVAが憎いとはいえ、見境が無さ過ぎるぞ」

 

 キュラソーの意思を引き継いで職員と生徒を庇ったミッチェルは、何者かと問うラースに対して自己紹介を始める。ミッチェルは幾らISが憎いとはいえ、ISの関係者だからと言って殺しにかかるラースを咎める。これにラースは怒りを覚え、ミッチェルのランスロットに襲い掛かる。

 

「貴様もISの関係者か! 殺してやるっ!!」

 

「ぬぅ、なんだこのパワーは!? あのアーマーには何が搭載されている!?」

 

 恐ろしい速さで迫るラースに防戦一方となる。ミッチェルはGAを知らないのだ。救援に駆け付けて早々にあっという間に左腕を捥がれ、殺されそうになる。

 

「うぉ!?」

 

「貴様も死ねぇぇぇ!!」

 

「死ぬわけには行かん!」

 

 乗機の左腕を引き千切り、全力で殺しにかかるラースにミッチェルが剣を振るって応戦するも、GAはそれを避けて執拗に攻撃してくる。

 

「しまった!?」

 

「グアァァァ!!」

 

 剣の刀身を折り、手刀で貫かんとしてくるラースにミッチェルは死を覚悟したが、MSのジムⅢが彼のGAを捕まえた。

 

「ラッセル・アドラーか!?」

 

『この老人の処理は、情報畑の俺に任せてもらおう!』

 

 ラースを捕まえたジムⅢに乗るのは、顔の右側に大きな傷があるサングラスを掛けた男、ラッセル・アドラーであった。彼の願いで同行とジムⅢの搭乗を許したミッチェルは命拾いをした。アドラーはラースについて知っており、それで彼と対抗するつもりのようだ。

 

「ついて来て良かったよ。シベリアの収容所が襲われ、そこを襲った連中がスイス学園を襲撃したとなれば、この老人を出してくる可能性は高かったからな!」

 

 暴れ回るラースを必死に操縦桿を動かして抑えつつ、アドラーはラースに対して真実を伝える。

 

「聞け! 俺も人のことは言えんが、爺さんよ! その危険なアーマーを渡した奴があんたの仇だ!!」

 

 この言葉にラースはアドラーが戯言をほざいていると思ってジムⅢの両手を破壊し、コクピットのハッチをこじ開けて乗っているアドラーを殺そうとしたが、彼は怯えることなく自分の頭に叩き込んだ真実を伝える。

 

「うぅ…! お前の娘夫婦を殺したのは白騎士事件の流れ弾じゃない…佐奇森神矢だ! あんたの娘さんの旦那は奴の助士だったんだ。ゴットアーマーとか言う危険な代物が採用されなくなったのは、娘さんの旦那が学会に知らせたおかげだ。その所為で神矢はぶちキレ、娘夫婦さんを乗っていた飛行機ごと吹っ飛ばしちまったがな!」

 

 娘夫婦を殺した正体は神矢であると分かったラースは、アドラーを殺そうとしていた手を止めた。敵が止めたところで、アドラーは更にラースに真実を話す。

 自分の残された妻と家を焼いたのは女尊男卑主義者では無く、自分を利用しようとした神矢の仕業であることなどを、そしてそれすら忘れていることも告げる。

 

「これが真実だよ、ラース。奴のことだ、もうそんなことは忘れているだろう。どうする、俺を殺して奴の道具のままでいるか? それとも…?」

 

 真実を更に突き付けるためにアドラーは、懐に仕舞っていた資料をラースに見せる。これを見たラースは正気にでも戻ったのか、固まったままアドラーが見せた資料を見て真実であることを確かめる。

 もう一押しなのか、アドラーはラースに向けて自分を殺して神矢の道具のままでいるか、逆に自分を散々利用した挙句に捨て駒にした神矢を殺すかどうかを問う。

 思わず死を覚悟するアドラーであったが、怒りが別の所に向いたラースは前者を選択してこの場を立ち去った。

 命懸けの賭けに勝ったアドラーは安心してシートに横たわる。真実を告げても、嘘だと思って殺される可能性があったからだ。そんな彼の元にランスロットに乗ったミッチェルが来る。

 

「どういう魔法を使ったんだ?」

 

「なに、調べ上げた情報だよ。奴に話したのは全部真実だ。おたく等は伝えなかったのか?」

 

「…私は管轄外だ」

 

 ミッチェルはどういう魔法でラースを退けたのかと問えば、アドラーは煙草を咥えながら調べ上げた真実の情報を伝えただけであると答えた。火を点けて一服し、紫煙を吐いてから何故その情報をラースに伝えなかったのかを問う。

 この世界のことはミッチェルにとって管轄外であり、彼が知らないと答えれば、アドラーはそうだったと納得して再び一服する。

 

「そうだった、お前さんはこの世界ことはまだ知らなかったな。いや、済まない。悪いのは収容所の奴らだ。奴らがあの事実を伝えていれば、ラースは神矢の道具にはならなかった」

 

 納得して一服しつつ、あの真実を伝えなかったこの世界の騎士たちが悪かったと口にする。あの真実を伝えておけば、神矢の誘いを断っていた所であり、真の仇である彼に一矢報いたはずだ。

 そうであれば、第二IS学園の被害は軽く済むか無く、キュラソーは死なずに済んだだろう。だが、今さら思ったところで、キュラソーは帰ってこない。タイムマシンでもない限り、真実を変えられないのだ。

 

「追跡すべきか?」

 

「いや、また敵襲があるかもしれない。警戒すべきだ。それにラースを信じておけ」

 

 一服しているアドラーに、ミッチェルは追跡すべきかどうかを問えば、サングラスの工作員は敵襲を警戒して追跡するなと告げた。

 第二IS学園を襲撃するのは、ゴットアーミーだけでは無いのだ。それに真実を知ったラースが仕損じるとは思えないとアドラーは信じている。彼の言葉に応じ、ミッチェルは復讐に燃えるラースが神矢を討ち取ることを信じて警戒に当たった。




今回は黒鷹商会組合さんご提供のキュラソーが戦死です。次回でラースも戦死予定。
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