【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争   作:ダス・ライヒ

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終わらせる気になったのは、モチベが低下して来たからです…。


激戦は学園を焼いて…後編

 IS学園における戦いは、アトリオックスのバニッシュトと神矢のゴットアーミーの増援により、戦況は攻撃側のメイソン騎士団に傾いた。

 専用に改造したMSであるサザビーを駆るアトリオックスが、圧倒的な力を持って学園の防衛線を突破したからである。

 

「フン、異世界の機動兵器とやらはこんな物か? それにこの世界は持って居る物ばかりでつまらん! ISとやらは例外であるがな」

 

 乗機の性能と圧倒的な力を持って複数のジムⅢや不知火を撃破し、機体の足元に倒れるそれらの残骸を見ながら落胆したアトリオックスは、このIS世界の物が全て持って居る物ばかりで更に落胆する。

 彼のいる世界では旧世紀の物ばかりだ。無いとすれば、ISくらいな物である。これにアトリオックスはヴィンデルに対し嫌悪感を覚える。

 

「ヴィンデルの奴め、俺をこの世界に向かわせるために出まかせを言ったな。ISのコアとやらを手に入れれば、もう帰らせてもらおう。お前ら、続けぃ!!」

 

 向かってきたバルキリーのVF-117の編隊や不知火一個小隊を瞬く間に粉砕しつつ、アトリオックスは部下を率いて学園内へと突入した。

 一応ながら随伴歩兵は居るが、学園内に展開する歩兵部隊の待ち伏せ攻撃で阻まれており、アトリオックスに随伴できなかった、向かってくる敵機を撃破しながら進むアトリオックスのサザビーに、学園内の建造物で待ち伏せを行う対戦車班はカールグスタフm3対戦車火器を標的に向けて発射する。

 

「っ! 随伴歩兵はどうした!?」

 

『敵歩兵部隊に阻まれ、前進できません!』

 

「ちっ、ネズミの始末もやらねばならんのか!」

 

 攻撃を受けたアトリオックスは対戦車班をシールドで建物ごと粉砕しつつ、随伴歩兵がどうしたと問えば、その随伴歩兵部隊は抵抗が激しくて来られないと答える。

 速くこのつまらない任務を終わらせたいアトリオックスは単独で進むことにして、未登録のコアが保管されている区画へと進軍する。歩兵部隊や対戦車火器の車両などが妨害するも、アトリオックスのサザビーには傷一つも付けられない。彼の性格を反映したカスタマイズがされているからだ。

 唯一対抗できるMSや戦術機、AS、KMF、VAが挑むも、サザビーカスタムの圧倒的な性能の前に屍を晒すだけであった。

 

「ほぅ、単機で防衛線を突破するとは。あのエイリアンやるじゃないか。あそこから行くとするか」

 

『あっ!? おい! 待て!! ぐわっ!?』

 

 アトリオックスが防衛線に穴をあけたのを見たKMFのパーシヴァルを駆るブラッドリーは、持ち場を放棄してそこへ直行した。静止の声を出すグレイズに乗った騎士が居たが、紫色の武御雷の長刀で切り裂かれて撃破される。

 

「ブラッドリーめ、持ち場を放棄するとは! 騎士の風上にも置けん奴!」

 

 紫色の武御雷の随伴する色が違う同型機と交戦中のニムバスは、持ち場を放棄してアトリオックスが明けた穴に向かうブラッドリーに怒りを覚える。

 そんな時にニムバスのイフリート改がルリのマギア・コリツェの攻撃を受けて被弾する。上を取られているが、ニムバスには関係のない事だ。鬱陶しさを覚えたニムバスはスラスターを吹かせて機体を飛翔させる。

 

「えぇい、鬱陶しい奴! 引きずり降ろして細切れにしてやる!」

 

 自分に向かって飛んでくるイフリート改に、ルリの反応は遅れた。

 

「来たっ!?」

 

『反応が鈍いな! 戦場に出たことを後悔するがいい!』

 

 反撃を行おうとするルリであるが、ニムバスの言う通りに鈍すぎた。もう既にヒートソードの間合いに入られており、それが振り落とされようとしていた。これにルリは剣では無く、何故かロッドを構えた。

 

「ロッド? だが、既に遅い!」

 

 ロッドを構えたルリに呆気にとられながらも、止まることなく機体のヒートソードを振り下ろしたが、ロッドの先端に取り付けられた宝石より強力な光が発せられ、モニター越しより伝わる眩い光にニムバスは思わず目を背けてしまう。

 

「ぐわっ! 目潰しか!? うぅ!?」

 

 目晦ましを受けたと思ったニムバスであったが、それはMSですら吹き飛ばす強力な衝撃波であった。光と同時に吹き飛ばされたニムバスのイフリート改は地面に叩き付けられ、コクピット内に伝わる衝撃で思わず吐血してしまう。

 

「かはっ! 小娘め…! 許さん!!」

 

 身体を強打したはずだが、ニムバスは吐血するほどの痛みを物ともせずに上空のに居るルリのマギア・コリツェに接近しようと立ち上がる。

 そのままジャンプして再度ルリを細切れにしようとするが、邪魔な敵を排除し終えた四機の武御雷がニムバスのイフリート改に迫る。それに気付いたニムバスはルリを放置し、武御雷の対処に回る。

 

「足止めも出来ん奴らめ!」

 

 自分に背中を見せたニムバスに、ルリは空かさずにビット攻撃を行うとしたが、大量のソロムコやGAがやって来たためにそれの対処に追われる。

 

「美少女だァ! 美少女だァァァ!!」

 

「犯すぅぅぅ!!」

 

「何こいつ等!?」

 

 雄叫びを上げながら突っ込んでくる多数のGAに、ルリは十基全てのビットで対応する。

 GAはISほど防御力は高くなく、変幻自在のオールレンジ攻撃であるビットの掃射で次々とソロムコと同様に撃墜されていく。だが、GAを纏った男たちは狂人であり、死を恐れずに欲情する容姿であるルリに一直線に突っ込んでくる。

 

「アァァァ!!」

 

「怯まない!?」

 

「もっと撃ちなさい!」

 

 数十機も撃破したのに怯まずに突っ込んでくるGAにルリが驚いて攻撃を止める中、後退したマルアリア・カーンは攻撃を継続しろと檄を飛ばす。

 これにルリは正気に戻り、再びビット攻撃を行う。その攻撃にサブ・マシンガンを加え、制圧力を増させる。マルテリアのダヌム・アルゴンで編成されたVA隊の攻撃も加わり、GAとソロムコの大群の進撃を押し止める。

 

「クソっ、これだけの戦力を投入しているのにまだ突破できんのか!?」

 

 増援として投入された旧ソ連製大型戦車に随伴しているASのZy-98に乗るクラフチェンコは、大量の戦力を投入しているにも関わらずに突破できないことに苛立ちを覚える。

 彼が担当する区画は唯依の武御雷やゆきなの打鉄、グラディス、千雨、愛のラファールリヴァイブ、不知火にKMFの月下等の部隊が担当しており、強固な防衛線でメイソン騎士団とガンステイドの部隊は前進できないでいる。

 

「やもえん、強行突破するか」

 

 凄まじい防衛線にクラフチェンコは強行突破しかないと判断し、ブレイバーとソロムコ、レッドショルダーのインゲ・リーマン少佐の隊の到着と同時に突撃を行った。

 

『来るぞ! 構えろ!!』

 

「なんて数…!」

 

 援軍の到着と同時に数に任せた物量で突撃を敢行するクラフチェンコと大型戦車に唯依が構えろと無線機で叫ぶ中、ゆきなは突っ込んでくる敵の数に思わず逃げ出したくなる。

 グラディスと千雨、愛も同様であるが、ここで退けば学園は蹂躙されるので、地上に降りて迎撃を開始する。地上の敵部隊が防衛砲火によって次々とスクラップになっていくが、突撃の中心となっている大型戦車の正面装甲はMSやIS等のビーム攻撃を弾く特殊なコーティングが施されており、戦車に隠れられるくらいのサイズのATが下がっていく。隠れられない程に大きいグレイズやレギンレイズ、ドトール、ガンステイドは撃破されるばかりだ。

 空を飛んでいる敵部隊はハエの如く落とされていく。それでも敵部隊は数に任せて突っ込んでくる。やがて接近戦ができる距離まで来れば、大型戦車の背後よりリーマンの専用スコープドッグと数機の随伴機、ブラッドサッカーが飛び出し、手にしているヘビィマシンガンを浴びせる。

 

「こいつ等何者!? しかも包囲速過ぎだって!」

 

 接近してきたスコープドックに刀による斬撃を食らわせようとした千雨であったが、避けられてしまう。そればかりかあっという間に包囲され、四方八方よりヘビィマシンガンやミサイルを浴びせられる。

 

「千雨ちゃん!」

 

『人の心配をしている場合か!』

 

「っ!?」

 

 包囲された千雨を救おうとした愛だが、援護用の狙撃ライフルを構えた瞬間にリーマンのグレードアンテナとパイルバンカーが装備された専用スコープドッグが迫る。

 止めに入ろうとした月下を流れるように左腰のガトリング砲で仕留め、右腕に装備したパイルバンカーの打ち機に脚に装着している杭を装填し、地に足をつけている愛のラファールリヴァイブに高速で接近する。気付いた愛は直ぐに飛ぼうとしたが、リーマンに随伴している三機の赤い肩で重装備のスコープドッグがそれを阻止した。

 

「この!」

 

『フン、甘いな』

 

 接近してくるリーマンのスコープドッグに対し、シールド・ピアースで対処しようとした愛であったが、敵は百戦錬磨の兵士だ。あっさりと避けられてパイルバンカーを打ち込まれて吹き飛ばされる。

 

「きゃぁぁぁ!」

 

「愛!? このぉぉぉ!!」

 

 絶対防御が働いたために愛は無事であったが、流石に衝撃波までは相殺しきれず、強い衝撃で気絶してしまった。彼女がやられたことに怒りを覚えたグラディスはラファールリヴァイブの最強装備とも言える二門の25ミリ七連砲身ガトリング砲を撃つが、既にリーマンは射線より離脱していた。代わりにガンステイド四機が撃破された。

 そんな冷静さを失ったグラディスに三機のブラッドサッカーが高速で迫り、連続してアームパンチをお見舞いする。三発のアームパンチを受けたグラディスは衝撃の余り、昏倒してしまう。

 

「NO…!」

 

「グラディスちゃん! このぉ、邪魔だ!!」

 

 仲間を倒されたことに腹を立てたゆきなは強引に包囲を突破し、駆け付けようとするが、彼女の元にもパイルバンカーを持つリーマン機が迫りくる。

 

「次は奴だ! 援護しろ!」

 

 ブレードで友軍機を切り伏せながら向かってくるゆきなの打鉄に迫るリーマンは随伴する僚機に指示を出しつつ、的を絞らせないようなジグザグな動きで接近する。

 

「やぁぁぁ!」

 

「動きが見え見えだわ。小娘め」

 

 怒り心頭にブレードで斬りかかるゆきなに、リーマンは確実に勝ったと判断してフェイントを掛けようと操縦桿を強く握った。

 あの斬撃を躱し、右腕のパイルバンカーを打ち込むだけ。リーマンはそう思ってほくそ笑んでいたが、それが彼の最期の思考であった。パイルバンカーの間合いにゆきなが接近したところで、躱して打ち込もうとしたところで、撃ち込まれたビームで乗機を狙撃され、リーマンが機体と共に訳も分からずに爆散した。

 

「うわっ! なんだ!?」

 

 その言葉を最期に、リーマンは機体と共に運命を共にした。彼のスコープドッグを攻撃したのは、エルネスティーヌの第四世代型の専用IS「青騎士」である。増援が到着したのだ。

 リーマンを仕留めた青騎士はアガサに持ち替え、周辺の敵を瞬く間に一掃する。レッドショルダーのATも立ち向かうが、圧倒的な青騎士の性能の前に撃破されるばかりだ。

 

「メイソンの連中よりも動きが良い。だが!」

 

 KMFのランスロットに乗ったミッチェルも地上に降り立ち、レッドショルダーとの交戦を開始する。

 連携を取ってこちらの動きを抑え込もうとするスコープドッグやブラッドサッカーに対し、ミッチェルは機体の高機動を駆使して躱し切り、手にしている両手剣で次々と斬り捨てる。

 

「負けてられない!」

 

 千雨もミッチェルが乗るランスロットの剣裁きを見て闘志を燃やし、千刀流を駆使して次々と斬り始める。敵機は手練れであるが、千雨の思い切った行動で意表を突かれてか、戦闘力を奪われていた。尚、千雨は一人も殺していない。

 

「レッドショルダーがやられているだと!? なんてことだ!」

 

 大型戦車に随伴するクラフチェンコは赤鬼十三騎士の一人であるリーマンが斃され、レッドショルダーが苦戦しているのを見て臆し始める。

 そこで逃げようと思っていたが、救援に駆け付けたアイリスディーナが駆る戦術機のEF-2000タイフーンの滑走砲による砲撃を受け、要である大型戦車を破壊される。戦車まで破壊されたクラフチェンコはこれ以上戦うのは不可能と判断し、撤退を開始する。

 

「クソっ、戦車までが! ちっ…!」

 

 撤退すると判断したクラフチェンコは未だに交戦しているメイソン騎士団を見捨てて自分だけ逃げようとしたが、唯依の武御雷が彼の乗っているZy-98の背後に迫る。

 

「逃がすか!」

 

『何っ!? うわぁぁぁ!!』

 

 反撃をする間もなくクラフチェンコは唯依のブレードに切り裂かれ、そのまま絶命した。

 

「もうやられたのか!? 不甲斐ない奴らめ!」

 

 次々と倒されていく同じ赤鬼十三騎士にニムバスは苛立つ。そんな彼も数秒後にその仲間入りを果たしてしまう。

 相手をしている紫色の武御雷は左手に持つ突撃砲をニムバスのイフリート改に向けて撃ちながら接近し、右手の長刀を振り下ろそうとしてくる。これにニムバスは牽制射撃と見抜いて動くことなく、両足のミサイルランチャーを発射した。全弾発射したが、武御雷は跳躍ユニットを駆使して躱しながら接近してくる。僚機の支援なしに近接戦闘に挑んでくる武御雷に、ニムバスもそれに応えてか、両手のヒートブレードの熱を上げる。

 

「このジオンの騎士に接近戦を挑むか。よかろう、その武士の誇りに答え、私も剣で答えてやる! 行くぞ!!」

 

 ブレードを構えながら向かってくる紫色の武御雷にニムバスも機体のスラスターを吹かせ、接近戦で応えて斬りかかる。

 互いの剣が重なり合い、そのまますれ違えば、先に武御雷が地に膝をつく。これでニムバスのイフリート改が勝利したと思われていたが、結果は違った。

 

「ぐっ…! 見事…!」

 

 ニムバスのイフリート改が敗北したのだ。彼の機体はブレードで胴体を斬られて大破する。

 これによって軍事施設内に侵攻したメイソン騎士団は敗退し、残りは学園の方へ侵攻した隊と共に居るバニッシュトとゴットアーミーのみだ。

 

「学園の方の制圧を急ぐ! 続け!」

 

 上空の敵機群をある程度片付けたセルベリアは、ここは残りの部隊に任せ、学園の防衛する部隊の加勢に向かった。ルリもその後へと続いた。

 

 

 

 赤鬼十三騎士四名が倒れたことで軍事施設周辺や沿岸地帯の迎撃が落ち着いた頃、学園ではアトリオックスとブラッドリー、カーネルが率いるレッドベレー、神矢が猛威を振るっていた。

 

『お前が、織斑千冬か?』

 

「形が違う小型ロボット…ただ者ではないな」

 

 千冬を殺そうと戦っていたメイソン騎士団の騎士とサザーランドごとパーシヴァルのミサイルシールドで攻撃して全滅させた後、彼女に本人であるかを問う。これに千冬はブラッドレーをただ者ではないと判断し、突き刺さっている刀、大太刀を構え、質問を質問で返した。

 

「味方を攻撃したのか、貴様は?」

 

『味方…? あぁ、地に伏しているこいつ等か。そいつ等は放っておいて、俺のパーシヴァルの攻撃を躱し切るとは良くやるな。褒めてやるぞ』

 

「味方を殺したんだぞ、貴様。罪悪感は無いのか?」

 

『はぁ、また質問か。自分を殺しに来た雑兵どもを気遣うとは、つくづくと甘い女だ。そんなお前の大事な物は何なのか、聞かせてもらうとしよう』

 

 これを挑発と捉えたブラッドレーは答えることなく、逆に挑発してやろうと思って自分の攻撃を避けた千冬を褒める。千冬もその手には乗らず、味方を攻撃したブラッドレーに罪悪感が無いのかと問う。

 また質問で返してきた千冬にブラッドレーは飽きたのか、ため息をつきながら太腿部に内蔵された二門のハドロン砲を発射した。放たれるエネルギー弾に千冬は自身の身体能力で躱しつつ斬り込もうと接近する。

 

「ほぅ、中々すばしっこい奴だ。KMFのハドロン砲攻撃を躱すとは。そうでなくては面白くないんだがな!」

 

 人とは思えぬ速度で接近してくる千冬にブラッドレーは闘争心を刺激されてか、彼女との死闘を楽しんだ。両肩のスラッシュハーケンを放つが、千冬はこれを躱してワイヤーを切り裂く。

 

「ハハハ! 面白い女だ! なら、これはどうだぁ!?」

 

 スラッシュハーケンのワイヤーを切り裂いて自分に接近してくる千冬に、ブラッドレーはパーシヴァルの接近戦で虚を突くための物であるヘッドハーケンを放ったが、放たれる直前に気付いた彼女はこれを紙一重で躱す。

 

「ぐっ!?」

 

 虚を突く攻撃を避けて次なる攻撃を仕掛けようと一旦距離を取る千冬だが、ブラッドレーは容赦なく追撃を行い、四連クローで壁に彼女を叩き付け、ルミナスコーンと呼ばれるドリル型エネルギー武器を展開し、いつも敵に対して行っている質問を行う。拘束を解こうとする千冬であるが、KMFの拘束は全く解けない。

 

『ヘッドハーケンを躱したことは褒めてやるぞ! そんなお前に質問する。お前の大事な物は何だ…? 答えは、命だろうが!!』

 

 狂気的な笑みを浮かべつつ、ブラッドレーは分かり切った答えを出しながら標的を掴む四連クローの出力を上げたが、虚を突くような答えが千冬の口から出される。

 

「一夏…!」

 

『なに? 一夏…だと…!?』

 

 これから殺す相手の口より、自分が思っているのとは違う答えが出たことにブラッドレーは虚を突かれ、四連クローを握る手を緩めてしまう。その生じた一瞬の隙を千冬は逃すことなく、四連クローを力強く蹴りを入れ込んで破壊し、拘束から逃れた。

 

「なっ、なにっ!?」

 

 虚を突かれた隙にKMFを拘束を解いた千冬の馬鹿力に、ブラッドレーは驚愕して離れてしまう。そこが彼の敗北へと誘う。

 

「馬鹿な!? 貴様は! 貴様は自分の命が惜しくないのか!?」

 

「私の大事な物は、私の弟であり、唯一の肉親である一夏だ!!」

 

「ほざけぇぇぇ! 大事なのは、自分自身の命だろうがァァァ!!」

 

 大事なのは自分の命よりも弟である一夏であると叫ぶ千冬に対し、ブラッドレーは得物をやられながらも残った左手に持つミサイルシールドで攻撃したが、彼女はそれを超人的な身体乗る良くて躱しつつ自分の得物を力強くパーシヴァルに突き刺した。

 刀身は装甲を貫き、コクピットがあるブロックまで到達して乗っているブラッドレーを串刺しにする。串刺しにされたブラッドレーは貫かれた個所より流れ出る自分の血を見て、自身の命が失われていくことを悟る。

 

「グァァァ!? 命が…! 俺の命が…尽き…る…!」

 

 その言葉を最期に、ブラッドレーは息絶えた。

 

「はぁ、はぁ…! これで最後だと良いが…」

 

 ブラッドレーを何とか倒した千冬は息を切らし、床に膝を付けながらこれが最後であってくれと頼んだ。だが、事はそう上手く運ばない。山田真耶の駆るラファールリヴァイの残骸が千冬の目の前に投げ出された。

 

「っ!? 山田先生! 大丈夫か!?」

 

 投げ出されてきた真耶の無事を確かめる千冬に、近付いてくる者が居る。その者の名は佐奇森神矢。ISとは似て異なる物、ゴットアーマーの開発者であり、その才能に自惚れて神を自称する束よりも危険な男だ。

 

「あぁ、心配するな。そいつは生きてるよ。全く、ISと言うのはしぶとくて鬱陶しい。この神の攻撃に耐えるとは。まぁ、今楽にしてやる。お前共々な」

 

「貴様…!」

 

 自分の助士を嬲った神矢に、千冬は怒りを燃やす。対する神矢も煽り立てるように挑発し、纏めて殺すと宣言した。

 

 

 

「例の物は回収できたな。さて、ずらかるとするか」

 

 一方のアトリオックスは、学園に秘蔵されていたISコアの入手に成功していた。彼が率いるバニッシュト本隊に立ち向かった機動兵器はことごとく倒され、屍を晒している。

 機体から降りてコアを回収したアトリオックスは再びサザビーに乗り込み、離脱しようとしたが、更識姉妹による妨害を受ける。

 

「ただでここから出す訳には行かないわ! 怪物さん!」

 

「春雷! 山嵐!」

 

 楯無のミステリアス・レイディの単一能力である沈む床で拘束され、そこから簪の打鉄弐式の春雷の荷電粒子攻撃に山嵐の多連装ミサイル攻撃による弾幕が浴びせられる。これにミステリアス・レイディの蒼流旋の四門のガトリング砲が加わる。

 随伴していたバニッシュトの部隊は耐え切れずにやられてしまうが、アトリオックスのサザビーはコヴナント製のシールドが内蔵されており、その弾幕を耐え抜き、挙句には気合で沈む床の拘束を解いてしまう。

 

「ぬァァァ! シールドはこちらにもある! それにちゃちな拘束技もこの俺には効かんわッ!!」

 

「嘘ッ!? 沈む床(セックヴァベック)を気合だけで!?」

 

「IS以上のシールドまで内蔵してるの!?」

 

 余りの常識を逸脱したアトリオックスに、更識姉妹はただ驚愕するばかりだ。そんな姉妹にアトリオックスは容赦なく、MSサイズのグラビトンメイスを振るう。

 

「次の小細工はさせんぞ!」

 

「なら、ミストルテインの槍で!」

 

「私が時間を!」

 

 メイスを躱した楯無は諸刃の剣であるミストルテインの槍でしか対抗できないと判断し、後ろへ下がり始める。その時間稼ぎの為に簪が前に出たが、接近戦ではアトリオックスの足元には及ばなかった。

 

「きゃぁぁぁ!」

 

「簪!? もう許さないわよ!」

 

 全く手も出せずにメイスを打ち込まれて気絶した簪を見て、楯無は怒りを覚え、アトリオックスにミストルテインの槍を打ち込もうとする。だが、相手は歴戦錬磨のジラルハネイ。捨て身の特攻を見破られ、妹と同様にあっさりと倒されてしまった。

 

「かはっ!?」

 

「身内をやられ、怒りに任せた捨て身の特攻か。ここは連れて逃げるのが正解だ」

 

 妹共々に床に叩き付けられて気を失っている楯無にアトリオックスは告げた後、そのまま学園を後にしようとしたが、ここへ一夏の白式が奇襲を仕掛けて彼のサザビーの左腕を斬り落とす。

 

「っ!? 貴様は…? ヴィンデルが連れて帰れと言っていた人間の小僧か!」

 

「これ以上、誰も傷付けさせやしない! お前を倒す!」

 

 現れた一夏に対し、アトリオックスはヴィンデルが出来れば連れて帰れと言っていた織斑一夏であると思い出す。

 

「少し長いしたところで、おまけもついてくるとは。小僧、先の奇襲は見事だぞ。それに免じて、俺も生身同然で勝負してやる」

 

 自分のサザビーの左腕を斬り落とした一夏に対し、アトリオックスはその奇襲の仕方を褒め、それに免じて生身での戦いを挑むと告げる。

 

「人間じゃない…!? 宇宙人か!?」

 

「宇宙人を見るのは初めてか、小僧? 何もこのMSとやらに乗ってるのが、人間ばかりではないぞ」

 

「あんた、そのロボットに乗らなくて良いのか? ISと生身でやるだなんて、千冬ねぇ以外ありえないだぜ」

 

 自分の姿を見て驚く一夏に対し、アトリオックスはMSに乗っているのは人間だけではないことを告げる。生身で挑むと言うアトリオックスに、一夏は気遣うような言葉を投げ掛ける。だが、当の本人はやる気であった。

 

「フン、相手を気遣うとは。甘い小僧め! むしろ、俺が手加減をしてやってるんだ。遠慮なしに来い!!」

 

「なら! どうなっても、知らないぞ!」

 

 アトリオックスはむしろこっちが配慮していると言えば、一夏は挑発されたと思って雪片弐型を叩き込もうと接近した。対するアトリオックスもグラビトンメイスを構えて迎え撃つ。IS学園における戦いは、最終局面へと移行していた。




決着は次回に持ち越しになっちまった…。

まだ何人か死んで無いのが居ますが、次回で戦死する予定です。
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