【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争   作:ダス・ライヒ

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これでもう終わりです。

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キャラ提供して頂き、ありがとうございました!


新世界創造

 神を自称する男、佐奇森神矢が新世界を創造すると発したことに、集まっていた一同は戦慄した。

 メイソン騎士団の決戦兵器ホークスを一瞬にして片付け、その圧倒的な神の如き強さを見せた神矢に、一夏たちは臆することなく挑もうとする。

 尚、メイソン騎士団はモーリック王の回収の為に撤退した。

 

「何が神だよ! お前みたいな奴が、神なんかであるはずじゃないだろ!」

 

『姉弟そろってこの神を愚弄するか…! だが、貴様程度に振るうこの神ではない! 戦士たちよ! あの小僧を始末しろ!!』

 

 一夏に姉の千冬と同様に否定された神矢は苛立ったが、神としての威厳を保つべく、配下の者たちに命じて始末を命じる。

 それに応じてGAを纏ったゴットアーミーの面々が一夏の始末に向かう。カーネルを初め、マッド軍曹、バッカムなどのレッドベレーの面々が一夏たちに襲い掛かる。

 

『死ねぇぇぇ!!』

 

 マッド軍曹とバッカムがニードルナイフによる弾幕を浴びせるが、一夏たちはこれを躱して反撃を行う。

 だが、相手は完全戦闘用に開発されたGAだ。それに纏っているのは戦闘のプロたちであり、反撃を躱して倍返しの弾幕を浴びせる。

 

「ぶははは! 小娘共め! そんな攻撃は当たる物か!!」

 

「戦闘のプロなら、こちらにもいるぞ!」

 

「ん!? たわば!?」

 

 一夏たちの反撃を笑うマッド軍曹に、青騎士を纏うエルネスティーヌは凄まじい速さで接近し、両手剣で彼を惨殺した。

 

「マッド軍曹が!? なんて女だ!」

 

「神を守護する軍団の兵はその程度か? 笑わせてくれる!」

 

 マッド軍曹を一撃で倒したエルネスティーヌは神矢の軍隊はその程度かと挑発する。これに腹を立てたカーネルは、直ぐに一斉攻撃を開始する。

 

「えぇい、調子に乗りおって! 全軍、攻撃せよ!!」

 

 カーネルの怒号でゴットアーミーの総攻撃が開始される中、エルネスティーヌは的確に指示を出す。

 

「あの神を自称する者の攻撃はお前たちに任せる。あの軍隊の相手は我々が行う! 各員、時間を稼げ!」

 

『はっ!』

 

 この指示に応じてアガサ騎士団はゴッドアーミーとの戦闘を開始した。神矢と対峙することになった一夏たちはこの敵をどう倒すかと迷うが、やらねば世界の危機は去らないと判断し、戦闘を始める。

 

「迷ってる暇はない! やるぞ!」

 

 射撃兵装を持つISは、ルリのマギア・コリツェのビット攻撃を合わせた集中砲火を行うが、神矢のGAには通じない。紅椿を纏った箒は一夏の白式を始めとする近接組と合流して追撃を行うも、ブレード攻撃も通じなかった。

 

『ハハハ! 無駄だ! この新世界は何の攻撃も受け付けんのだ!』

 

「なんてシールド!?」

 

「私の単一仕様を使った超弾幕が通じないなんて…!?」

 

『所詮、ISはその程度なのだ! この神の作り上げったGAの火力を見よッ!!』

 

 シャルルが攻撃が効かないことに驚き、マデリーヌの単一仕様を使ったありったけの弾幕が通じないことに驚けば、神矢は倍返しの反撃を行う。それは無数のビームによる反撃である。ありったけのビーム弾幕に、数機が躱し切れずに被弾してしまう。やられたのは、ラウラとクリスティーナだ。

 

「キャァァァ!」

 

「うわぁぁぁ!」

 

「隊長!?」

 

 隊長がやられたことに、ヴィルヘルミナは動揺し、その次に神矢のGAより放たれた無数の拳によるパンチを躱し切れず、命中して吹き飛ばされる。

 

「あぁぁ!」

 

「ミーナ! このぉぉぉ! 落ちろぉぉぉ!!」

 

 同じ学校に通うクリスティーナとヴィルヘルミナがやられたことに腹を立てたマデリーヌは、メリアやシャルルと共に神矢に向けて火力を集中させる。幸い、倒れた者たちは生きていたが、戦闘に復帰できる状態では無い。

 今までの火力では不足と思ってか、クランティは自分専用ISの最大火力である「ギャラティック・アブヒサラン」を使うしかないと判断。チャマック・ターラーの外部装甲の殆どを外し、ランス型近接武器「チャンディーカ・ブハラ」に排した装甲を付け、エネルギーチャージを始める。

 

「撃つから援護を!」

 

「了解ですわ!」

 

「分かったで!」

 

 クランティが援護を願えば、セシリアとアリアチェールが応じ、攻撃して神矢の注意を引く。それに動じて一夏たちも神矢を攻撃し、クランティに攻撃が来ないようにする。

 だが、その陽動を軍人であるアガサ騎士団と交戦中のカーネルが見抜き、神矢に報告せずに自分等だけで攻撃を始める。

 

「むっ? エネルギーチャージをしているISが! 三機ついてこい! 残りはそのまま対処せよ!」

 

 四機で編隊を組み、クランティを攻撃しようとするが、それに気付いたルリはマギア・コリツェの十基のビットを放ち、三機を一気に仕留めた。

 

「むぅ!」

 

「おっ!? 一気に三機のGAを! あれが篠ノ之博士の自ら作り上げたISか! だが、乗っているのは素人! この俺は殺せんぞ!」

 

 一気に三機を撃墜したルリに驚きつつも、動きが素人同然であるためにカーネルは戦闘のプロである自分は殺せないと言って、彼女の攻撃を避けながらライフルの単発での反撃を行う。

 特殊部隊を出ているカーネルの射撃は正確であり、ルリは当たるばかりで、彼女が撃つサブマシンガンは全く当たりもしない。それにカーネルには超能力があるのだ。

 

『フハハハ! 無駄だ! この俺は超能力者でもあるのだ! 貴様の攻撃は手に取るように分かる! たとえ全方位の自在な攻撃でもな!』

 

 ルリのビットによるオールレンジ攻撃を避けた後、カーネルは体長が五メートルもある男となって彼女の前に姿を現す。無論、この姿は幻影であるが、GAを纏ったおかげで彼の超能力も強化されている。気配を消す能力もISのセンサーを騙せる程になっているのだ。ルリが攻撃した瞬間に大男となったカーネルの幻影は消え去る。どこに居るのかと目で探した瞬間に、ルリの背後よりカーネルは攻撃した。

 

『ド素人め、対応は遅いわ! それでよくも我が神に逆らおうなどとした物だ! そんな鈍間な貴様なんぞ、直ぐにこの俺が殺してくれる!』

 

 攻撃されて被弾した後、ルリはカーネルが来た背後より剣による反撃を行ったが、既に相手は気配を消して何処かに潜んだ後であった。ルリの余りの対応の遅さにカーネルは呆れており、直ぐに殺すと気配を消しながら宣言する。

 ルリはその宣言に次は自分を殺しに来ると確信し、両目を瞑ってセンサーの感知度を上げる。感度を上げたところで、センサーすら騙すことが出来るカーネルの気配を感じ取れない。

 

「センサーに反応なし。なら、あの訓練を…」

 

 しかしルリは周りの危害、あるいは殺気を感じ取るようにする訓練を受けたことがある。その感じ取る訓練を思い出し、背後から来るカーネルが出す殺気を察知した。

 

「そこっ!」

 

「っ!? な、何ぃ!?」

 

 カーネルが攻撃を仕掛ける前に出した殺気を察知することに成功したルリは瞬間的に背後を振り向き、剣で彼を攻撃した。身体を切り付けられたカーネルは自分の殺気に気付いたことに驚きつつも、直ぐに後退して体勢を立て直す。

 

「まさか殺気を感じ取ったと言うのか!?」

 

『エネルギーチャージ完了! 撃つから射線上に居る人は離れて!!』

 

 ルリがカーネルと交戦している間に、クランティがエネルギーのチャージが完了したことを無線で知らせた。IS専用の無線連絡であるためにGAには聞こえず、カーネルはルリが離れたことに見抜けなかった。

 

「逃げる気か! 次は必ず仕留めてやる!」

 

『発射!』

 

 逃げようとするルリにカーネルが追撃に入った瞬間、クランティはギャラティック・アブヒサランを発射した。

 

「フラッシュ!」

 

「うっ!? し、しまった!」

 

 追撃を掛けて来るカーネルに、ルリはマギア・コリツェの単一仕様能力「魔法」を使って目晦ましを行い、相手が体勢を立て直す前にビットによる追撃を掛け、ビーム砲の方へ突き飛ばした。

 ルリは狙ってやったわけではない。たまたま蹴った方向へクランティの放った高出力ビームがあっただけだ。

 放たれたビームはバッカムを含め、多数のGAを呑み込んで撃破していた。アガサ騎士団の方は巻き込まれる前に退避している。カーネルもそのビームに呑まれ、身体が徐々に消滅していく。

 

「う、うがぁぁぁ!? はばぁ! はべべべ!?」

 

 断末魔を上げながらカーネルが消滅した後、高出力ビームは真っ直ぐと神矢に向かっていく。命中すれば大規模な爆発が起こり、巨大なGAを纏う神矢を覆い隠すほどの煙が巻き起こる。

 

「やったか!?」

 

 アリアチェールは神矢を撃破したかと思い、思わず口にしてしまった。

 あれ程の高出力ビームだ。あれを受けて撃破できずとも多少の損傷を負わせているはず。皆がそう思っていたのだが、煙が晴れた後に現れた神矢の新世界は全くの無傷であった。

 

『おい、聞いていなかったのか? この新世界はあらゆる攻撃も受け付けないと!』

 

 この新世界はあらゆる攻撃を受け付けない。

 そう言った神矢は全体攻撃を行い、その場に居る多数のアガサ騎士団の騎士たちと日本にスイスのIS複数を戦闘不能に追い込んだ。全体攻撃を避けられたのはわずかだ。

 

『きゃぁぁぁ!!』

 

「セシリア! 鈴! シャルル!?」

 

「一文字と敦賀もやられた!? 第二ISは全滅!?」

 

 一夏、箒、ルリ、エルネスティーヌ、イクサー1、勇、相良は避けられたが、セシリアに鈴、シャルル、ゆきな、千雨は全体攻撃を避け切れずにやられてしまった。メリア、マデリーヌ、アリアチェール、クランティは同じく全体攻撃にやられ、第二IS学園のメンバーは全滅してしまった。アガサ騎士団の突入部隊はエルネスティーヌとイクサー1しか残っていない。尚、倒されたメンバーは生きている。

 

『なんだ、まだ残っているのか? まぁ良い、所詮は残りカスだ! この神の裁きを受けよ!!』

 

「あの敵、手強すぎます!」

 

「分かっている! だが、ここで我々が引き下がれば、奴は世界を自分の思うがままに作り替えてしまう! 何としても止めるぞ!」

 

 続けざまに神矢は残った者たちに対して追撃を掛ける。攻撃を避けつつ、イクサー1は手強すぎると言えば、エルネスティーヌはここで自分たちが下がれば、この世界に未来はないと思い、決死攻撃を行う。その後を一夏たちも続いた。

 高い火力を誇る兵装を持つレーバテインは背中の165ミリ榴弾砲(デモリッション・ガン)を持ち、ラムダ・ドライバを起動させて構え、神矢の新世界に向けて放つ。

 

「アル! デモリッション・ガンを使う!」

 

『了解、ラムダ・ドライバ起動!』

 

 165ミリ榴弾砲の発射はかなりの反動を有しており、ASが持てる代物ではない。しかしレーバテインはラムダ・ドライバと呼ばれるあり得ないシステムを搭載している。そのおかげで長距離タイプでも発射は可能である。

 箒やイクサー1、勇のブレンと同じく神矢に向けて放てば、恐ろしい発射音と共に砲弾が新世界に向けて飛んでいく。だが、それすら神矢の新世界を破壊できない。クランティの放った強大な高出力ビームが全くの無傷であったように。

 

『何をするかと思えば、単なる悪足掻きか! ならば反撃させてもらおう! 刮目しろ! これが神の反撃だ!!』

 

 全くの無傷である新世界は、強大な反撃を行った。その反撃は全てを破壊尽くすほどの光線であったが、レーバテインのラムダ・ドライバやルリのマギア・コリツェの単一仕様能力の魔法で動けない者たちは守られる。

 

『小賢しい奴らめ! 魔法などで神罰を凌ぐとは!』

 

「今のうちに誰か動けぬ者たちを回収しろ! 巻き込まれてしまう!」

 

「吾輩に任せろ! スカイリンクス航空、ただいま救援活動に入る!」

 

 一夏と共に突撃を掛けるエルネスティーヌは、倒れて動けない者たちの回収を命じる。それに応じ、スカイリンクスが回収に向かう。乗っている者たちの力を借り、手際よく戦闘不能状態の者たちを回収していき、数秒足らずで地下に突入した生存しているメンバー全員を回収する。

 

「回収完了! 援軍も来る! 健闘を祈るぞ!」

 

『助かる、機械獣よ!』

 

「獣ではない! 吾輩は空飛ぶ山猫、スカイリンクスだ!」

 

『すまぬ、山猫よ』

 

 スカイリンクスが回収を完了すれば、エルネスティーヌは礼を言う。この際に獣と言ってしまったために、彼から訂正を求められた。無論、直ぐに訂正した。それから大和を加えて戦闘を再開し、神矢の新世界に連携攻撃を行うが、全く効果が無い。全ての攻撃が終われば、新世界より凄まじい反撃が始まる。

 

「うわぁぁぁ!」

 

「ブレンが!?」

 

『ハハハッ! なんの兵器か知らんが、所詮はこの新世界には通じんのだ!!』

 

 無数の巨大な拳を全方位に放つと言う弾幕に、勇のブレンは躱し切れずに被弾して戦闘不能となる。更に新世界は海上に居る大和に島の瓦礫や残骸による爆撃を行い、戦闘不能に追い込んだ。

 

「キャァァァ!」

 

『まさかあれが戦艦大和か? 冗談は止すんだな! さぁ、次は貴様だ! 未知の科学力の人形!!』

 

 海上の大和を倒せば、神矢はイクサー1にターゲットを絞った。これに対してイクサー1はイクサービームを放って応戦するが、全ての攻撃を跳ね除ける新世界には通じない。

 

「私の全てを…!」

 

『そんな時間を、この神が与えると思ったか!』

 

「えっ!? あぁぁぁ!!」

 

「イクサー1!? おのれ、この怪物が!!」

 

 攻撃が通じず、イクサー1は神矢の新世界の恐ろしい攻撃を躱し切れずに吹き飛ばされた。仲間を次々と倒していく神矢に怒りを燃やし、全力の斬撃を行うエルネスティーヌであるが、全く通じない。そればかりか、自分を怪物呼ばわりしたことに腹を立てた神矢の怒りの反撃で重傷を負う。

 

『怪物だと…!? この神を、怪物と罵るか! この無礼者がぁぁぁ!!』

 

「ぐぅ!? がはっ…!」

 

 絶対防御を貫通した刃に腹を貫かれたが、エルネスティーヌはまだ戦意を失っていない。彼女に向けた怒りで生じた隙に、相良と一夏、箒は斬撃による攻撃を行った。

 先に一夏と箒が斬り付けた後、相良のレーバテインがラムダ・ドライバを使った攻撃で行う。非常識には非常識をと言ったところだろうか。

 AS用散弾銃を弾切れまで撃って捨て、対戦車ダガーで切り裂き、刃が折れるまで斬り付ければ165ミリ榴弾砲を至近距離から放ち、左手に溜め込んだラムダ・ドライバの収束エネルギー弾を直接打ち付ける。この機体の負荷を無視した攻撃により凄まじい爆発が起こり、新世界のシールドを打ち破って直接ダメージを与えられたが、結果は撃破に至らず、神矢を怒らせる程度であった。

 

「なにっ!?」

 

『貴様ァ!? この新世界に傷を付けたなァァァ!!』

 

『敵より強烈な反撃が…』

 

「ぐわぁぁぁ!!」

 

 神矢の反撃はレーバテインのAIであるアルの予想を遥かに上回り、相良は避け切れずにこの攻撃を受けて戦闘不能となった。相良が倒されたことで、次なる攻撃をルリが行うも、神矢の新世界には敵わず、吹き飛ばされるだけである。そんな神矢に休む暇も与えず、一夏は白式を第二形態に移行させ、単一仕様能力の零式白夜を打ち込んだ。

 結果はレーバテインのラムダ・ドライバ同様、神矢の新世界に傷を付けることに成功したが、撃破に至らない。自分のお気に入りに続けざまに傷を付けた一夏に対し、神矢は千冬をやったのは自分だと告げる。

 

『なんだお前か。お前の姉貴は、この神の怒りを買って敗北したんだ!』

 

「あんたが、あんたが千冬ねぇをやったのか!? 許さねぇぞ!!」

 

『許さないだと? 人形風情がこの神に逆らうなどおこがましい! 同じ人形であるお前もなァ!』

 

 この神矢の発言に怒りを燃やす一夏は二撃目を入れようとしたが、入れる前に新世界の腕に捕まれ、強力な攻撃を受けて一夏は昏倒した。

 

「一夏ぁ! 貴様!!」

 

『ハハハ、姉弟そろってこの神に逆らうからだ! 人形如きが人間の真似なんぞして、更には逆らうとは! お前もだ! この神の神聖なる計画をぶっ潰しやがって!!』

 

 倒れた一夏に気を取られ、箒は仇を取ろうと突っ込んだが、神矢は束の妹である彼女に逆恨みとも言える憎しみをぶつけて来る。

 

「計画を潰した!? 何を言っている!?」

 

『お前は身内なのに知らんのか!? この神の計画を欠陥品のISを世界に認めさせるために盗み、挙句にこの神のゴットアーマーを除け者にしたお前の姉貴だ!! ふざけやがって! あいつが計画を盗まなければ、今頃はこの神が統治する新世界となったはずなんだ!!』

 

「っ!?」

 

 逆恨みとしか思っていなかったが、怒り狂う神矢よりとんでもない真相が明かされた。

 それは白騎士事件の真相が、なんと神矢の世界征服の計画を束が盗んだ物であったことだ。むしろ束が世界を救ったと言うべきだろう。元の神矢の計画は大変身勝手な物で、世界を滅ぼし、自分の思うがままに作り替える物であったのだ。

 GAを採用しなかった世界に対する復讐を兼ねた計画であり、ハッキングしたミサイルで世界の主要機関や首都を破壊した後、無秩序となった世界でGAを纏って神の如く君臨し、逆らう者を皆殺しにして支配する計画であった。

 

「姉さんがあんなことをしていなければ、今の私たちは無かったのか…!?」

 

 真相を知った箒は固まり、姉があのマッチポンプのような計画を実行していなければ、核の炎に焼かれていたか、無法者たちに犯されて殺されていた事だろう。

 

『畜生が! お前ら姉妹の所為だ! 許さねぇ! レイプしたって気が済まねぇ! お前をぶっ殺してその首を姉貴に見せ付け、それからあのクソ兎を許しを請うまで嬲り、串刺しにして焼いてやる!!』

 

「なんと下劣な…! お前のような男が、神であるはずが無い!!」

 

 真相を明かした神矢は更に怒り狂い、憎い相手の妹である箒に向けてISを一撃で破壊できるほどの強力な攻撃を行った。そんな攻撃から箒を守るべく、まだ動く青騎士を纏うエルネスティーヌは最後の力を振り絞って盾となる。結果は守り切れなかったが、箒は死なずに済んだ。エルネスティーヌは瀕死状態となってしまったが。

 

『はぁ、はぁ…! ちっ、邪魔をしやがって! まぁ良い、アガサかなんだか知らんが、纏めてこの世界ごと滅ぼしてやる。それからあいつが生きていたら、嬲り殺してやるか。姉貴も一緒にな!!』

 

 全ての敵を倒し終えた神矢は新世界を浮上させ、一気に大気圏を抜けて地球の衛星軌道上まで上昇した。

 

『さて、新世界の構成に入ろうか。まずは各国の主要機関を焼き払い、今の世界を破壊する。それから各地の負け犬や引きこもり共にGAを配布し、選別を行う。GAの攻撃より生き延びた者がこの神の世界の住人だ。これで人口は五億まで減らせるだろう。さぁ、今こそ創造…なんだ!?』

 

 後は世界を破壊し、自分の思うがままの世界を創造するまで。

 そう思っていた神矢であったが、何処からともなく攻撃を受けた。直ぐに神矢はレーダーを見て何処から敵が来たかを調べる。

 

『何処からの攻撃だ!? レーダーに反応なし? 連中の宇宙艦隊はメイソン騎士団の艦隊と交戦中だぞ!? 一体何処に…!?』

 

 探している間に、自分を攻撃した正体が姿を現した。それはマギア・コリツェを纏ったルリであった。なんと新世界に張り付き、ここまで追ってきたのだ。

 

『宇宙空間にISだと!? いや、ISは元々宇宙用の強化スーツだ。宇宙に出ることは可能だが、その様子だと、宇宙用の装備は施して居ないようだな?』

 

 宇宙空間に出て来たISに驚く神矢であったが、ISが宇宙用に開発されたことを思い出し、更にはマギア・コリツェが宇宙用の装備をしていないことを見抜いた。

 彼の言う通り、ISは宇宙用に開発された強化スーツであるが、地球では兵器に転用されているために宇宙装備は施されていない。故にルリは宇宙に長く留まることは出来ず、数分の内に酸素が切れ、凍り付いてしまうだろう。

 

『フン、脅かしやがって。どうせ後数分しか動けんのだろう。赤子の手をひねるより楽なことだ』

 

 ルリの様子はとても苦しがっているようだが、未だに自分に対する敵意を向けている。そんな彼女の様子を見ていた神矢は無駄な抵抗だと鼻で笑い、一撃でルリを殺そうと無数の拳を飛ばした。

 長く宇宙に留まれないルリはそれを躱し、相討ち覚悟でビットを展開しながら突撃してくる。自分の一撃を躱したルリに神矢は驚きつつも次なる迎撃を行い、マギア・コリツェを近付けまいと弾幕を張る。

 

『なにっ!? だが、後一分だろう! 凍り付いて死ぬか、この神の神罰を受けて死ね!』

 

 後一分ほどで敵は動けなくなる。

 そう判断する神矢はルリが動けなくなるまで攻撃を行い、やがて彼女の動きが鈍くなり、更には凍り付いて動かなくなった。

 

『はっ! 無駄な抵抗だったな! 全くこの神を煩わせやがって。さぁ、続きと行こうか』

 

 相手が動けなくなったところで、神矢は碌に調べもせず、凍り付いたルリを放置した。

 その後に、信じられないことを宇宙に漂うルリが起こすことも知らずに…。

 

 

 

「ねぇ、起きて! ルリちゃん起きてよ!」

 

 宇宙空間で凍り付いて動かなくなったルリは死んでおらず、謎の空間にて篠ノ之束に起こされていた。

 その空間は真っ青でほぼ何もない世界。そんな世界に意識があるルリは束に起こされ、周囲を見渡してここは何処だと彼女に問う。

 

「ここ、何処?」

 

「マギア・コリツェの中かな? いっくんの白式と同じって事になるかな。こっちから質問するけど」

 

 起こされたルリの問いに束はマギア・コリツェの中だと適当に答え、彼女に質問を行う。

 

「どうしてあの力を使わなかったのかな? あの力使えば、神とか言っちゃってるあいつを直ぐに倒せるのに」

 

 束はルリに神矢を倒せる力を秘めていると言うのに、その力を使わないのは何故かと問う。この問いにルリは顔を暗くしながら答える。

 

「それは…お姉ちゃんが使うなって言うから…」

 

「ふーん、でも、いま使うべきじゃないの? ルリちゃんがその力を使わない所為で、束さんの世界の住人たちが傷付いちゃってるんだよ?」

 

「えっ? でも…」

 

 ルリはお姉ちゃんと言う人物から使うなと言われているから使えないと答えた。これに束はいま使うべきだと説くが、彼女は頑なに使おうとしない。

 そんなルリに、束は強硬手段に打って出る。お前の所為で私の世界が滅んだと、彼女に向けて言ったのだ。

 

「そう、ならルリちゃんの所為だね。ルリちゃんがその力を使わない所為で、束さんたちの世界は滅んじゃった」

 

「っ!? それは駄目! それはいけないこと…!」

 

「だったら、使わないと。何かを守るためなら、そのお姉ちゃんって人は許してくれるよ」

 

 束の手段は成功であった。ルリはこの世界を守るべく、力を使う決心をした。自分の所為で一つの世界が滅びてしまえば、その罪悪感に苦しんでしまうからだ。

 守るために力を使うことで束は姉なる人物は許してくれると後押しすれば、ルリは立ち上がって自分に封印されていた力を解き放った。

 

 

 

 現実に戻り、凍り付いて宇宙空間をただ彷徨うだけだったルリのマギア・コリツェが光り出し、強力なエネルギーの反応を感じ取った神矢は慌て始めた。

 

『な、なんだこの反応は!? まさか、この状況で進化したと言うのか!?』

 

 直ぐにルリのマギア・コリツェに視線を向け、更なる進化を行う前に破壊してしまおうと、新世界の全力をそのISにぶつける。だが、謎のバリアに守られて全く通じない。

 

『なんてバリアだ! この新世界の攻撃を受付んだと!? 私の知らない物が内蔵されていたのか!?』

 

 新世界のあらゆる攻撃を受け付けないバリアに、神矢は更に慌てふためく。神として振舞っていたが、今の神矢には怒り狂ったようにその姿は見られない。ただの慌てふためく男だ。

 一方で進化を終えたマギア・コリツェは、全く違う姿をしていた。ビットの数も増え、右手には剣が握られ、左手には盾が付いている。それを纏っているルリも急成長を遂げ、身長が二十センチほど伸びた美少女となっていた。

 どうやら、ルリの封じられていた力とマギア・コリツェの単一仕様能力が合わさって、究極の進化を遂げてしまったようだ。おまけに宇宙空間を平然と動いている。

 

『原形を留めぬ進化だと!? そ、それがどうしたと言うのだ!? 所詮ISは欠陥兵器! この神の作り上げたゴットアーマーと新秩序を創造する新世界に敵う物か!!』

 

 進化を終えたところで、神矢はバリアが無くなったと判断して新世界の全身全霊の攻撃を行う。地球を一撃で粉砕するほどの攻撃であるが、究極進化したルリのマギア・コリツェには全く通じない。

 その全力攻撃の最中、ルリのマギア・コリツェは一切動くことなく全ての攻撃を跳ね除け、更には三十基に増えたビットで神矢の新世界を包囲し、一斉攻撃を行う。レーバテインのラムダ・ドライバや白式の零式白夜しか効かなかった新世界のバリアが容易く貫かれる。

 

『ば、馬鹿な!? 百発の核兵器に耐えるシールドだぞ!? それを容易く貫くだとォ!?』

 

 次々となる警報に、神矢は目前のルリに対して恐怖を抱く。そのルリは右手の剣を動くことなく振るえば、刀身より斬撃が飛んで新世界に向けて飛んでいく。これを無数の拳で防ごうとする神矢であったが、拳が斬撃に触れた瞬間に消滅していく。やがて新世界に斬撃が届けば、新世界は真っ二つに斬れて大爆発を起こした。

 この大爆発で神矢は死亡したかに思えたが、GAを纏って脱出していた。今の状況ではルリに勝てぬと判断し、再起を図ろうとしている。だが、ルリは逃がさない。直ぐに神矢の目前に瞬間移動する。

 

「くそっ! なんだあいつは!? だが、この神は諦めんぞ! 今に見ていろ、そんな物は…うわっ!?」

 

 逃げる自分の目の前に現れた神々しいISに、神矢は裏返った声で驚いてしまう。目前に居るマギア・コリツェに、神矢は騙し撃ちを仕掛ける。

 

「わ、悪かった! この俺が悪かったよ! 許してくれ! 頼む!」

 

 先ほどの神を自称する男とは思えぬ命乞いだ。だが、それは騙し撃ちである。これにルリは何の警戒もせずに近付き、拘束しようとしたところで、神矢は槍を突き刺す。

 

「馬鹿め! 死ね!!」

 

 狙い通り刺さったが、それは幻であった。これに驚いた神矢は直ぐにルリを探したが、もう既に手遅れであった。周囲にビットが展開しており、謎の陣形を描いている。

 

「く、クソっ! 何処だ!? っ!? なんだこれは!? 何をする気だ!?」

 

 動揺しきっている神矢に対し、ルリは何も答えることなくビットを回させる。それは神矢を封印ずる術式であった。見る見るうちに神矢はルリが取り出した小さな容器に向けて吸収されて行く。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!? この神を! この神を封印するのかァァァァ!? 止めろぉ! 止めてくれぇぇぇ!!」

 

 悲鳴が聞こえているが、ルリは全く聞くことなく封印術を続ける。やがて神矢がGAごと容器に吸収されれば、ルリは手にしている容器のふたを閉め、それを何もない宇宙空間に向けて手放した。

 

「自分のやってきた事を反省するなら封印は解かれるよ。罪を認めて反省したら、ね…」

 

 冷たい宇宙空間を漂う神矢が封印された小さな容器に向け、ルリは自分の罪を認めれ反省すれば、封印は解かれると告げた。

 だが、常に自分が正しいと思っているあの神矢が自分のやって来た罪を認めるだろうか?

 認めないだろう。そればかりか自分を肯定し、神である自分がやって来たのだから決して間違っていないと答えるはずだ。それを分かっていて封印したなら、ルリは彼に死よりも地獄な罰を与えたことになる。

 

「さぁ、帰らなきゃ。みんなが待ってる」

 

 この世界の脅威を封印したルリは、真下に見える地球に向けて降下した。

 待っている者たちの元へ帰るために…。




この後エピローグでも投稿しようかな…。

これでIS編は終わりです。皆さま、ご提供いただきありがとうございました!

次も募集する予定なので、お楽しみに。
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