【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争 作:ダス・ライヒ
佐奇森神矢の新世界との死闘を終え、ルリのマギア・コリツェは地球に帰ってきた。
究極進化の影響か、地面に降り立った瞬間にマギア・コリツェの究極形態は解除され、更には纏っていた者であるルリまでに影響が及んだ。
「っ!? まさか死んだのか…!?」
島に集まっていて生存者を探していたエルネスティーヌやミッチェルを始めとした者たちは、ルリの全身が光って彼女が死んだと思ったが、結果は予想に反する物であった。
「ふぇ? なんでちさくなってんの?」
「それはこっちが聞きたい」
マギア・コリツェが強制的に待機状態へ移行すれば、ルリの身体は四歳ほどの幼児となっていた。
その訳を利き手を包帯で釣っているミッチェルが聞きたいと言って、空いている左手で救援活動を行っている他の騎士を呼ぶ。
この戦いでアガサ騎士団は投入した戦力の七割を失い、次に攻撃を受ければ一溜りも無かったが、敵方のメイソン騎士団は既に撤退しており、もうここで戦闘は起きることは無い。
身に着けていた衣服が身体に合わなくなったルリに毛布を被せ、救援にやって来た女性兵士に彼女を抱えさせた後、ミッチェルは領主であるエルネスティーヌの容態を補佐を務めている労連の騎士に問う。
「ご領主殿の容態はどうか? 篠ノ之を庇って重傷と聞くが」
「昏睡状態でありますが、応急処置のおかげか、お命に別状はございませぬ」
補佐の騎士が答えれば、隣に立つ騎士は本国より増援が来ており、メイソン騎士団は仕掛けて来ないと聞いても居ないのに口にする。
「それとアルゴン王の命により、本国より増援が来ております。メイソンの者共は王を探すのに躍起ですので、仕掛けてこぬかと思います」
「一先ずは安心と言う事か。では、救援活動と回収が済み次第、撤収だな」
「勝手に戦闘に参加した学生たちの処遇はどうするので? 民間人の身でありながら、あそこまで勝手に来られるのは…」
「怪我が治るまで病室にでも閉じ込めて置け。それが処罰だ。それに我々の武装闘争に巻き込んでしまったからな」
戦闘が起きることは無いと判断すれば、ミッチェルは救援と回収活動が完了次第に撤収すると言う。これに頭に包帯を巻いた騎士が、勝手に戦闘に参加した一夏たちはどうするのかと問うてくる。
これにミッチェルは怪我が完治するまで病室に閉じ込めて置けと答えてから、同僚たちと共に宇宙に帰ると告げる。
「では、私はロスガルド卿たちと共に宇宙へ帰る。後は頼んだぞ」
「はっ!」
後は頼むと言ってから、松葉杖をついているロスガルドや車椅子に座らされているガリア、その車椅子を押している軽傷のユウ、左手を負傷しているジョン等と共に宇宙港へと向かう輸送機に向かった。
後の一夏ら学生たちはそれぞれの母国の病院へと移送されていく。重傷を負ったエルネスティーヌは、自分の居城がある方へと移送された。
かくして、IS世界でのアガサ騎士団とメイソン騎士団の武装闘争は幕を終えた。
「モーリック王よ! 無事でありますか!?」
その頃、神矢の新世界に吹き飛ばされたメイソン騎士団の決戦兵器ホークに乗っていたモーリック十三世は、捜索隊のメイソン騎士団の者たちに回収されていた。
コクピットのハッチを開け、無事を問うてくる騎士に対し、モーリック王は戦況がどうなったかを問う。
「よい! それより、戦況はどうなっておる? 我が方の勝ちか?」
「い、いえ…それは…!」
「その反応、我が方の負けか。ぬぅ、アガサの者共にしてやられるとは…!」
騎士の返答に困った反応で、モーリック王はこの世界の戦いで敗北したと察した。
「だが、今はくれてやろう。この次の戦い、勝てぬと思うなよアルゴンよ! 本国へ帰投する! 余に続け!!」
『はっ!』
敗北を知ったところでモーリック王はホークが動くことを確認すれば、本国への撤退することにし、捜索隊にそれを命じた。
ホークを鷲の形態へと変形させ、捜索隊を率いて本国への帰路へ着いた。
かくして、アガサ騎士団とメイソン騎士団との戦いは今も続く。どちらかが倒れるまで…。
ISコア、ゴーレムの物であるが回収に成功したアトリオックス率いるバニッシュト軍団は元の世界へと帰投した。拠点へ帰投した包帯だらけのアトリオックスは、ヴィンデルにコアを回収したことを特殊な通信機で報告する。
「例のISコアとやらは回収したぞ。おかげで、また戦力の大半が減ったがな」
『ご苦労。戦力の方は直ぐに補填できる。今は戦争中だ、脱走兵など幾らでも居る』
報告したアトリオックスにヴィンデルは労いの言葉を掛け、損失した戦力は戦争中に発生する脱走兵たちで補填できると口にする。
「フン、使えればな。そう言えばあの世界にはゴットアーマーとか言うのがあったが、あれの方が良いんじゃないか? あれの方が男も乗れるし、お前みたいな闘争心溢れる戦闘狂にもなる」
『ゴットアーマー? GAのことか。既にテストはしてある』
「ほぅ、既にご存じか」
その脱走兵がバニッシュトで使えればとアトリオックスは口にしつつ、IS世界で見た神矢の作り出したGAことゴットアーマーをヴィンデルに進めた。当のヴィンデルは既にGAを知っていたらしく、既に試験運用を進めていたようで、試験運用の結果をアトリオックスに告げた。
『あれは欠陥品だ。あれを作った者の選民思考が強過ぎてな。二十一世紀の地球で試験運用をしたが、一日も経たないうちに着用者の大半が暴走し、地球を死の星に変えた。戦闘力は高いが、制御できる着用者は殆ど居ない。奴には悪いが、不採用だ』
「やはり欠陥品か。そう言えば、あの人間はかなり危険な奴だったな」
試しに二十一世紀の地球で試験運用をしたところ、一年どころかわずか一日程で地球を市の星に変えた。その結果、ヴィンデルはGAに不採用の烙印を押したのだ。
そこでヴィンデルは女性しか纏えないが、自分の知るフォアランナーに近い技術で作られたISに目を付け、それを持って帰れとアトリオックスのバニッシュトにIS世界への派遣を命じた。
できれば唯一ISを纏える男性である織斑一夏も攫ってきて欲しかったが、帰ってきたアトリオックスとバニッシュトの損害を見て仕方ないと判断し、ISコアを手に入れたことでヴィンデルは満足した。
『まぁ、ISコアを手に入れればそれで良い。私が保有するフォアランナーの技術と掛け合わせれば、男でも纏うことが出来よう。ISの絶対防御があれば、我々は更に戦力を強化できるだろう』
「我々か。俺たちはお前の飼い犬になった覚えが無いがな」
『私が拾わねば、お前たちバニッシュトは再編成に更なる時間を要したであろうに。早急に人を回す。変な気を起こすなよ? 起こせば、どうなるか分からん奴ではない』
「十分に承知している。このアトリオックス、恩を仇で返すジラルハネイではない。引き続き、再編には協力してもらうぞ」
ISコアをフォアランナーの技術と掛け合わせれば、更なる戦力を強化できると豪語するヴィンデルに対し、いつの間にか一党にされていたアトリオックスはそれになった覚えはないと言う。
これにヴィンデルは自分が拾わねば、バニッシュトは再編すら叶わなかったと牽制しつつ、変な気を起こさぬように忠告した。完全にヴィンデルのことを信用していないアトリオックスであるが、戦力再編には彼の協力は不可欠であるため、決して奪ったりはしない事を約束した。
こうして、ヴィンデル・マウザーの戦力は着々と強化されていくのであった。
決戦から翌日、IS学園に戻ったルリの体格はまだ幼児のままで、中庭で遊んでいた。昼間に遊んでいるため、休憩時間の学生らが時より来て、一人で遊んでいる愛らしいルリを見て微笑んでいる。
「ルーリちゃん、こんちはー。マギア・コリツェを見せてちょ」
「うん、はい」
人気が無くなったところで、ルリの元に篠ノ之束が何食わぬ顔で彼女に声を掛け、待機状態のマギア・コリツェを見せるように告げる。束に驚くことなくルリは待機状態の自分専用のISを渡し、彼女が褒美として出した菓子を頬張る。
なぜマギア・コリツェを取ったかは、神矢との戦いで得たデータを収集する為である。特殊な端末で待機状態のマギア・コリツェのデータを全て収集すれば、それをルリに返す。
「ありがとね。ルリちゃんのおかげで、束さんのISは更なる進化を遂げられるよ」
「しんか…?」
「そう、進化。じゃあ、また会おうね」
ルリのマギア・コリツェのデータは束にとって大変有益な物であった。これに束は礼を言いつつ、おかげでISは更なる進化を遂げられると言ったが、ルリはそれを理解できなかった。
「バイバーイ、ルリちゃん」
「うん、またね」
何も理解できないルリに説明することなく、束は何食わぬ顔で立ち去って行った。当のルリは束が来たことを誰にも知らせもせず、彼女から貰った菓子を再び口にした。
「コントロール、こちらサラマンダー。Bー13を制圧、我が方の損害は皆無。オーバー」
IS世界とは違う別の世界では、イヴ人の武装勢力の下で戦うターニャ・フォン・デグレチャフはその世界の武装勢力を配下の隊と共に制圧していた。
なぜ制圧するかは、ここをイヴ人の入植地とすべく、ターニャは上司の命令を実行しているに過ぎない。ターニャの大隊も含め、一個師団と一顧航空隊相当の戦力が投入され、碌な抵抗力も持たないこの世界を侵攻している。現地の反乱軍も一緒だ。
イヴ人の侵攻軍と敵対している世界の軍隊は男尊女卑を掲げる勢力であり、ロボットのような兵器を保有していたが、イヴ人の侵攻軍が運用するバルキリーや戦術機はそれらを遥かに上回る性能であったがために虐殺同然であった。かつて存在していた神聖百合帝国軍に倣った侵攻である。
今のターニャは特殊な背中にウィングが搭載された高い科学力で作られた鎧、その名もファイテックスを身に着けており、小柄な体格が二メートル以上になっている。色は銀色だ。
『こちらコントロール、第7装甲師団隷下の第19装甲連隊の戦区の制圧が遅れているようだ。サラマンダー、支援に行けるか?』
「こちらサラマンダー、戦闘継続可能。直ちに支援に向かう。アウト」
本部より支援命令が来れば、ターニャはそれに応じて背中のウィングを展開させ、部下に支援に向かうことを知らせる。
「各サラマンダーユニットに通達。第19装甲連隊に支援が必要だ。行くぞ」
「えっ? 制圧したばっかですぜ。何人か残していくべきでは?」
「後続が来る。ぼさっとしてないでついてこい」
ターニャと同じようなファイテックスを身に着けた若い兵士が残骸を調べながら維持しないのかと問えば、彼女は後続の部隊に維持を任せれば良いと答え、要請があった区画へと飛んでいった。その後を同じファイテックスを身に着けたターニャの部下たちが続く。
彼女らが身に着けているファイテックスは元々違う世界の物だが、イヴ人の武装勢力が残骸を回収して解析し、完全なコピーに成功した。更に改良を加え、戦闘魔導士の強襲装備として制式化した。
改良の結果、性能は本家よりも大幅に優れ、実戦経験の無い新兵でも不意打ちなら戦車や戦闘ヘリ一個小隊を瞬時に撃破可能である。発見された状態では一瞬でファイテックス共々スクラップであるが。
そんな高性能な鎧を身に着けた魔導兵一個大隊を率いるターニャは支援要請があった区画に到着し、指揮車から指示を出している連隊長と合流して状況を問う。
「連隊長殿、状況はどうなっているので?」
「サラマンダーね。敵軍は民間人を盾にしながらこちらを押し返しているわ」
「敵軍が守るべき国民を、盾にして反撃に出ているですと?」
連隊長より状況を聞いたターニャは彼女が言ったことが本当であるかどうかを確かめるべく、戦闘が起こっている方にヘルメットの双眼鏡機能を使って覗いた。
イヴ人の機甲連隊の連隊長の言う通り、敵軍が女子供を盾にしながら反撃していた。対峙するイヴ人の歩兵や戦車、ASのM9A2ガーンズバック、戦術機のEF-2000タイフーンが民間人が迂闊に攻撃できず、一方的に敵軍に撃たれている。
これにターニャは双眼鏡機能を解除し、連隊長に戦闘に巻き込まれたと言い訳が出来るので、攻撃しろと告げる。
「あれがなんです。言い訳がつくでしょう。多少の巻き込みなど…」
「何を言うの? 我々は解放軍なのよ。民間人の被害は最小限に留めろと軍団長より厳命されているの。貴方たち魔導士なら、敵軍だけ狙えるでしょ」
「我々は便利屋ではありませんぞ。こちらにも被害が…」
「良いからやりなさい!」
「たく、無茶を言う」
このターニャの提案に連隊長は激怒し、自分等は解放軍だから出来ないと返して敵軍だけ倒せと無茶を言う。
出来ないことでは無いが、かなり難度の高い方法だ。これにターニャは悪態を付つくも、部下を率いて民間人を盾にする敵軍だけを排除すべく、現場へ急行する。
現場へ到着すれば、敵兵士らとロボット兵器が女性や子供などの民間人を盾にしつつ、撃てずにいるイヴ人の歩兵部隊や戦車、機動兵器の類に一方的に攻撃している。状況を打破しようと接近した戦闘ヘリはロボット兵器によって撃墜されており、墜落した残骸が黒煙を上げている。二機ほどが撃ち落とされた時点で、戦闘ヘリはここから退避したようだ。
「大隊長殿、どうするので? 民間人ごとやるので?」
「馬鹿を言うな。こういう時こそ、我々魔導兵の力の見せ所だ。各員、精密射撃術式で、敵将兵のみ撃ち抜け」
「精密射撃術式? 敵からかなり撃たれますぜ!」
若い男である部下か民間人ごとやるのかと問えば、ターニャは精密射撃術式で敵将兵のみを撃ち抜くと答える。精密射撃術式を敵の射線が通る空でやると聞いた部下の一人が、これに異議を唱える。
「貴様、何の為にファイテックスを身に着けていると思っている? それとも貴様が敵の注意を引くのか? シュルツ大尉」
「じょ、冗談じゃありませんぜ! 連中の集中砲火を受けたら、この鎧ごとお釈迦だぜ! 先のは撤回して、指示に従います!」
「ならば防御術式を張りながら狙撃だ。こんな茶番、十秒で済ませるぞ」
『了解!』
異議を唱えたシュルツと呼ばれる男性魔導士に、囮をしてくれるのかと問うと、身の危険を感じた彼は猛烈に断る。シュルツが拒否して指示に応じれば、ターニャは全員に精密射撃術式を行いつつ、防御術式を展開させるように指示を出してから先陣を切り、民間人を盾にする敵軍の前に姿を晒す。
ターニャとファイテックスの集団を見た敵軍は、怯え切っている守るべきはずの民間人を盾にしつつ彼らに集中砲火を浴びせる。
「侵略者共だァ! ぶち殺せ!!」
「なんだこいつ等、軍隊じゃないのか? 守るべき国民を盾にするなど」
集中砲火を防御術式で防ぎつつ、ターニャは自分等に向けて民間人を盾にしながら撃って来る敵軍を見て、本当に軍隊かどうかを疑う。それもそのはず、制服を着た賊にしか見えないのだ。
精密射撃術式と防御術式の同時展開は少し疲労を感じるが、この手を使わねば、上官らに何を言われるか分かった物ではない。物の数秒で精密射撃術式の照準は眼下の敵兵全てに重なれば、即座に術式を発動して敵兵のみを狙撃する。これにファンタジー風味なデザインのロボット兵器に乗るパイロットらは混乱する。
『ほ、歩兵が!? 歩兵だけがやられたァ!? 畜生が!!』
随伴歩兵がやられ、民間人らが逃げ出したところで、自棄を起こしたパイロットは民間人を手にしている木製の小銃のようなライフルを乱射しようとする。だが、撃つ間もなく、バトルアックスを持ったファイテックス兵が迫り、二機が一瞬にして無力化される。
『く、クソっ! メタルジャイアントは無敵じゃねぇのか!?』
ロボット兵器の名を口にしながら、この場から逃げ出そうとするパイロットであるは、乗機は既にファイテックス隊員に取り付かれており、コクピットのハッチをこじ開けられ、中に侵入して来たファイテックス隊員に頭部を掴まれる。
「ひっ!? あが!? あばば…」
頭部を掴まれたパイロットは抵抗するが、ファイテックスはパワードスーツでもあり、成人男性の頭部を握り潰す腕力を発揮できるのだ。頭部を掴まれたパイロットはそのまま握り潰され、乗っていた乗機は動かなくなる。
「へっ、悪党にはお似合いの死に方ってな」
敵パイロットの頭部を握り潰したファイテックス隊員は、礼を言う地上の民間人らに手を振る。お礼を貰うために地上へ降りようとする隊員であるが、ターニャに首根っこを掴まれて戦闘に戻される。
「な、何をするんで!?」
「何をしているユーゴ・ブラウス中尉。ここは戦場だぞ? そんな物は後でしろ!」
「そんなこと言われなくとも、悪党どもは残らずぶち殺しますんで!」
「威勢のいい奴め」
首根っこを掴まれたユーゴはターニャの手を払い除け、戦闘に戻った、これにターニャは特に咎めることなく、残っている敵を掃討する。
敵の航空隊はバルキリーで編成された航空隊のおかげで既に壊滅状態であり、殺虫剤を吹き付けられた蠅のように落ちている。後は楽に制圧は進むと思っていたターニャであるが、本部から自分に向けて緊急指令が入る。
『こちらコントロール、サラマンダー・リーダー。貴官に指名だ。第11装甲旅団戦区にこの世界の支配者が出現。第9装甲旅団の損害が拡大し、更には敵の士気が上がっている。貴官は単独で敵司令官機と交戦し、撃破せよ。撃破すれば、敵は戦意を喪失する』
「こちらサラマンダー・リーダー、ネガティブ! 第11装甲旅団の戦力だけで何とかならんのか?」
『敵司令官機は圧倒的な戦闘力を誇っている。これ以上の損害は作戦の継続に影響する。サラマンダー・リーダーは直ちに指令を実行されたし。オーバー』
「ちっ、了解! こちらサラマンダー・リーダー、全ユニットをこの場に残し、指令を実行する! アウト」
作戦本部より単独で敵司令官機を撃破しろとの命令に、ターニャは一度だけ異議を唱えるも、これ以上の損害は作戦に影響すると言われて仕方なく従う。直接作戦本部からの指名に、ユーゴは共に敵司令官を討ち取りに行きたいと申し出る。
「大隊長殿、作戦本部よりご指名で? 俺も連れてってくださいよ。悪党どもの大将を討ち取るんでしょ?」
「全く貴官は、一度死なねば分からんようだな。奴は私しか対応できんよ。ブラウス中尉は残りと共に掃討戦をやっておけ」
「ちっ、勲章物だったのによ! 実力のない自分は、雑魚の相手をします!」
ユーゴの要望をターニャは蹴れば、若い士官は悪態を付きながら指示通りに掃討戦に向かう。他の部下たちも掃討戦を続けているのを確認すれば、敵司令官機に蹂躙される味方を救うべく、ターニャは現場へと急行した。
現場へたどり着けば、無線機より司令官機に襲われている友軍の救援を要請する連絡がひっきりなしに聞こえて来る。どの声も必死であり、自分が倒さなくてはならない敵がどれほど脅威なのか彼女らの声を聴いて嫌でも分かってしまう。
『こちら戦車大隊! 壊滅状態! 負傷者多数で戦闘続行不可能! 至急、増援を請う!』
『こちら第2戦術機大隊、残像機は当機のみ! 助けて!!』
『司令官機の随伴機もかなりの戦闘力だ! 友軍機が次々と撃墜されている! こ、こちらにも来る!』
「随伴機も居るのか。厄介な」
無線機より随伴機も居るとの情報を得たターニャは、ヘルメットの双眼鏡機能を使って友軍部隊を襲う司令官機とその随伴機を確認する。
司令官機はまるでロボットアニメの主人公機のようなデザインであるが、やっていることは悪役そのものだ。戦術機やAS、戦車などの通常兵器部隊を圧倒し、次々と撃破している。挙句に脱出したパイロットや搭乗員を殺害していた。女性的なデザインを持つ随伴機も同様である。
「やってることが外道級の悪役だぞ。これ以上の被害を出さぬため、一気に殲滅するか」
司令官機とその随伴機の蛮行を目にし、これ以上の被害を防ぐためにターニャは収束砲撃術式を使用した。
エレ二ウム九五式は無いが、専用のファイテックスがそれを上回る火力を引き出してくれるため、背中のランチャーを構えた。魔力をランチャーに集中しつつヘルメットの機能で司令官機と随伴機全機にロックオンすれば、十分に魔力が溜まったことを確認する。
「エネルギー充填率百パーセント。ファイヤー!」
充填率が完全であることを確認すれば、マルチロックオンしている全て敵機に向けて収束砲撃術式を発射した。彼女が構えるランチャーの砲口より発射された魔弾は分散し、狙ったそれぞれの標的に向けて飛んでいく。
飛んできた追尾型の魔弾に司令官機の随伴機らは避け切れず、次々と被弾して撃破されていく。司令官機とヒロイン的なデザインの随伴機には躱されたが、鬱陶しい数機を撃破することに成功した。残る二機に集中するのみだ。
随伴機をやられたことに腹を立ててか、ヒロイン的デザインのロボット兵器がターニャに向かってくる。これにターニャはビームの弾幕を軽やかに躱してから腰の剣を抜き、接近してきたそのロボット兵器に構える。ロボット兵器は剣を振り下ろしてターニャを切り裂こうとしたが、彼女は斬撃を躱し、剣を縦に振るってロボットを両断した。
真っ二つに割れたロボットの胸部辺りから人間の血が飛び散る。そこへ視線を向ければ、一際美しい女性がロボットと一緒に両断されていた。司令官機に乗る正妻と言った所だろう。
『お前ぇぇぇ! 俺のハーレムとメイドをぶっ殺した挙句、俺の嫁まで殺しやがったなァァァ!!』
「俺のハーレム? どうせトロフィー感覚で集めた女だろう」
その美女が乗っていたロボットが爆散すれば、今度は激怒した司令官機が襲ってくる。自分のハーレムとメイドたち、正妻を殺したターニャに激昂し、恐ろしい弾幕を浴びせて来る。
この弾幕をターニャは剣を腰の鞘に戻してから躱しながらのランチャーで反撃するが、敵の司令官機は装甲が厚く、弾かれてしまう。倍返しの反撃がくる中、左手で閃光手榴弾を握り、急接近してくる司令官機に投げ付ける。
敵機の頭部に当たった瞬間に手榴弾は爆発し、眩い光が発生する。ターニャは対閃光防御のバイザーを展開して光から目を守るが、司令官機に乗る男はその光を諸に浴びてしまう。
『うわぁぁぁ!? 目が!? 目がァァァ!!』
強烈な光を浴びて視界を失った男は混乱し、彼が乗るロボット兵器は周囲にビームを乱射して敵を近付けまいとする。乱射されたビームは自分の参戦で士気を取り戻した味方に及び、彼らは自分の大将の攻撃で次々とやられていく。
『り、リオン様!? どうかお止めください! 地上には我々がおります!!』
『くそっ! 何処だ!? 来るな! 来るなァァァ!!』
「ふん、英雄失格だな。坊や」
彼を慕う味方が止めてくれと叫んでいるにも関わらず、それでも味方を殺し続ける司令官機に対し、安全な距離に居るターニャは英雄失格と言ってとどめの一撃を浴びせた。
構えたランチャーから強力な収束型砲撃術式の魔弾がビームの如く放たれ、ビームは司令官機を貫通した。ビームで射抜かれた司令官機は地上へと落ちていき、落下した瞬間に大爆発を起こし、キノコ雲を上げる。
司令官機がやられたことで、敵軍の士気はガタ落ちして戦意を喪失した。
『り、リオン様がやられた…!?』
『駄目だ! 勝てる訳が無い!』
『敵軍、司令官機を撃墜されたことにより戦意喪失。各ユニット、無用な攻撃は控えよ。敵は投降している』
司令官機が倒れた瞬間に敵軍は戦意を喪失して反撃を中止し、一斉にイヴ人の武装勢力に投降し始める。これにターニャはランチャーを担ぎ、戦闘が終わったことを実感して一息ついた。
「やれやれ、手間を掛けさせてくれたな」
ヘルメットを左手で脱ぎ、黒煙を上げる眼下の地上を見て呟く。
この戦いは侵略者側のイヴ人の武装勢力が勝利し、侵攻された男尊女卑の世界はターニャ等イヴ人の支配下に置かれた。
「あの司令官機に乗る男、転生者だな。存在Xと関りがあるか調べるために、生かしておくべきだったか?」
近くの高い建造物に腰かけたターニャは司令官機の残骸を見て、あれに乗っていた男は転生者であると見抜き、自分をこのような状況に陥れた存在Xと関りがある者では無いかと疑ったが、殺してしまったので聞くことも出来ない。
「まぁ、殺してしまったから仕方がない。こちらサラマンダー・リーダー。各サラマンダー・ユニット、基地に帰投せよ」
そのことを後悔しつつ、ターニャはヘルメットを被り、部下たちに帰投することを無線連絡で告げた。それから続々と後続部隊が現れ、勝利して支配したこの大地に降りて来る。空はたちまちイヴ人が使う航空兵器や降下艇、落下傘部隊に覆われた。
前の支配者の旗を切り落とされるか破り捨てられ、かつて存在していたイヴ人の国家の旗が掲げられる。百合が描かれた国旗が掲げられ、あるいは高い場所に上がった旗手がそれを振っていた。
今回はとにかく色々とあった…。
募集すれば、鬼滅の刃の鬼が来るわ、複アカで投稿していた奴が居るわ、終わるのに四か月も掛かっちまうわで。
次回も直ぐに始めようかと思ってます。
さて、今川大戦にするか、このまま継続するか、どっちにしよう…。