読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争   作:ダス・ライヒ

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これで終わりとなります。

ドラゴンボールになっちまったな…。


ガルダーゴン、陥落

 圧倒的な魔力と戦闘力をもってガルダーゴンに存在するイヴ人以外の人型生命体の抹殺を行う仮名666に対し、持ち合わせた神の力故にイヴ人と認識されなかったターニャは切り札であるエレ二ウム九五式を使用した。

 帝国再建委員会が更に発展させた演算宝珠とエレ二ウム九五式の力がスパルタン用のミニョルアーマーに合わさり、アーマー全体が眩く神々しく光り始める。

 それに気付いた仮名666は一度止まり、ターニャの戦闘力を測定する。

 

「戦闘アーマーを纏った敵小型生命体の戦闘力、更に上昇を確認。優先ターゲットを目前の生命体に固定。排除開始」

 

「来い、死体を媒介にした化け物め。直ぐに終わらせてやる」

 

 神の力こと存在Xの加護を発動させたターニャを、優先すべき抹殺対象として仮名666が判断すれば、彼女は左手で挑発した。

 これに仮名666は乗り、左腕のガントレットよりこれまで使わなかった短機関銃の銃身を展開し、左右の足に付けたポーチから弾倉を取り出して装填してからターニャに向かって撃ち始める。

 

「この期に来て短機関銃など!」

 

 先の相転移砲が来ると思いきや、短機関銃による掃射が来たので、拍子抜けしたターニャは手にしているバトルライフルで反撃した。仮名666は9ミリパラベラム拳銃弾の短機関銃。対するターニャは遥か先の未来で製造されたバトルライフルの弾丸であり、しかも魔力で強化されている。

 左腕のガントレットの内蔵銃としてベースとなったのはMP28短機関銃なのか、簡単に撃ち負けた挙句に破壊されてしまう。射撃武器を破壊された仮名666は魔法障壁を張り、後退しながら次の武器となりそうな場所を探す。

 

「左腕の9ミリ短機関銃消失。相転移砲の発射に掛かる時間は五分以上。次なる武器は…」

 

 ターニャのカービン銃から放たれる銃弾を躱すか魔法障壁で防ぎつつ武器を探す中、付近を飛んでいる連合軍のスピアヘッド戦闘機が目に入った。

 

「逃さん! 主よ、我に目前の脅威に打ち勝つ力を!」

 

 武器を探して飛び回る仮名666に、ターニャは爆撃機の編隊を全て仕留めた追尾式砲撃術式を使用した。詠唱を短く終えれば、直ぐにそれを発射して仮名666を仕留めようとする。

 

「追尾型術式の弾丸は全て危険と判断。回避に専念します」

 

 ターニャより放たれた追尾式弾丸は全て危険と判断した仮名666は回避に専念することにし、ジグザグに高速で動き回って追尾してくる弾丸を回避し続ける。並の空戦魔導士なら躱し切れず、被弾して死ぬところである。これにターニャは生前に戦った少女を思い出した。

 

「存在Xの手先だった小娘を思い出すが、あいつより動き過ぎだ。全く当たらんぞ」

 

 追尾式砲撃術式を躱し続ける仮名666は、あの少女よりも動き過ぎていると言った後、ターニャは躱し切れないほどの巨大な砲撃術式を撃とうと詠唱し始めたが、目標は予想だにしない反撃を行った。

 全弾を躱し切った後、目に入った先のスピアヘッドのキャノピーに張り付き、パイロットをブレードで殺してから戦闘機を奪い、機関砲でターニャに反撃する。

 これを防ぎながら詠唱を行うが、ミサイルが飛んできたので詠唱を中止してライフルで迎撃しながら応戦した。

 

「ちっ、戦闘機を奪うとは! だが、その程度の戦闘機では私に勝てんぞ!」

 

 スピアヘッドでは勝てないと仮名666に言いつつ、ターニャは相手に向けて高速で突っ込んだ。

 凄まじい弾丸の如く速さで突っ込んでくるターニャを戦闘機の機関砲で迎撃する仮名666だが、速過ぎて当たらず、戦闘機を体当たりで撃墜されてしまった。直ぐに離脱し、ブレードでターニャを切り裂こうとする仮名666であるが、躱されて魔力とミニョルアーマーで強化された蹴りを受けて吹き飛ばされる。

 直ぐに背後へ衝撃波を放ち、反撃に転じようとするも、ターニャは間髪入れずに追撃を仕掛け、何発も拳を仮名666に打ち込む。魔法障壁で防いでくるが、何発も強い魔力を込めたパンチを打ち込んだ所為か、障壁が破れて拳が仮名666に届いた。

 一見、兵器とは思えない可憐な女性であるため、殴られた仮名666は無表情ながらも皮膚が切れて出血する。人間の死体をベースにしているために出血しているのだ。そのままミニョルアーマーを身に着けたターニャのパンチのラッシュを受け続ける。

 

「死ね、死ね、死ね、死ねぇ! 死ね…っ!?」

 

 ただ殴られている仮名666ではない。右拳を受け止め、口から血を流しながらも無表情な顔でターニャの腹に膝蹴りを打ち込んだ。その威力は凄まじく、ターニャは思わず吐血し、吹き飛ばされる。

 

「ぐはっ!? ミニョルアーマーで無ければ死んでいた所だ!」

 

 ミニョルアーマーのシールドが無ければ、真っ二つに割れていた事だろう。

 アーマーのスラスターで体勢を立て直し、反撃に出る仮名666のブレードによる斬撃を躱しつつ、銃剣で斬撃を防いで左足を蹴り込む。無論、仮名666はガードして空かさずにカウンターを入れ込んでくる。

 そこから双方による一進一退の激しい打ち合いが始まる。徐々に打ち交わされる拳や蹴りの速さは増していき、やがては機関銃の如く速くなる。おそらく銃弾よりも速いだろう。余波も激しく、付近を飛んでいた連邦軍や同盟軍の航空機はターニャと仮名666のラッシュの余波で発生した衝撃波を受けるだけでバランスを崩し、互いに衝突するか操作不能となって墜落していく。

 常人離れした激しいラッシュ比べを制したのは、抹殺兵器である仮名666であった。

 

「なにぃ!?」

 

 アーマーの腕が仮名666のパンチで砕けたことに、ターニャは驚きの声を上げる。あのような数百年前の良く分からない技術で作られた死体を媒介にした兵器に、最新型であるミニョルアーマーの腕が破壊されたのだ。無論、破壊された右腕にはターニャの腕は入っていない。右腕を粉砕した仮名666の拳が本体がある胴体へと迫る中、ターニャはヘルメットを緊急パージし、破壊されゆくミニョルアーマーより緊急脱出した。

 

「アーマー撃破。ただし、本体は目標ロスト。索敵…」

 

「よくも私の一張羅を!」

 

 爆発の衝撃で本体であるターニャを見失った仮名666が索敵を行おうとする中、脱出した本体は怒りを込めて敵の顔面に小さい足で蹴りを入れた。小さいながらも、ターニャの蹴りは成人男性の頭部を破壊するほどの威力である。

 

「なんだと!?」

 

 だが、寸でのところで魔法障壁を張っていたのか、仮名666の綺麗な顔は無事であり、左手でターニャの足を掴んで地面に叩き付けようと投げる。

 

「ぬわぁぁぁ!!」

 

「目標、地面に落下中。生存を確認。追撃します」

 

 地面に向かって高速で落下するターニャに、仮名666は確実に仕留めるために追撃を仕掛ける。落下するターニャを追う途中で、アーデらに妨害される。四人がかりで抑え込まれ、アーデに主人であるはずのイヴ人であるターニャをなぜ攻撃するのかと問われる。

 

「止せ! 奴は異端思想の持ち主だが同胞だぞ!? なぜ攻撃するのだ!?」

 

「防衛目標のイヴ人を視認。全員、錯乱している模様。錯乱したイヴ人に対するプログラムに従い、昏倒させます」

 

「へっ? ぶっ…!?」

 

 純血のイヴ人であるアーデの問いに対し、仮名666は答えずに彼女らを錯乱しているイヴ人と判断。目にも止まらぬ速さで彼女らを昏倒させ、アーデには強力な拳を腹に打ち付けて気絶させた。

 

「かはっ…!? なんで…?」

 

「この高度では落下死する可能性大。まだ正常な意識を保っている付近のイヴ人に介抱を要請。お願いします」

 

 アーデを含めて五人は抱えている仮名666は、付近で隊長らを目にと揉まらぬ速さで倒したことに驚いで震えるイヴ人の隊員らに彼女の介抱を要請する。これに残った隊員らは応じて昏倒した彼女らを抱えて一目散に安全圏まで退避する。

 

「イヴ人の退避を確認。追撃を続行します」

 

 邪魔が居なくなったところで、仮名666はターニャに対する追撃を再開した。

 

 

 

「あいつ…! 許さないんだから!」

 

 仮名666にブレードを突き刺され、挙句に地面に捨てられたマリは復活し、自分をこんな目に遭わせた破壊目標に対して恨みの言葉を呟きつつ、あらぬ方向へ折れた腕や脚を元に戻して立ち上がった。

 

「ひっ、ひやぁぁぁ!? 生き返った~!」

 

 周辺にアンゴイことグラントが居り、マリが急に蘇ったことに驚いてか、悲鳴を上げながら逃げて行った。

 そんなことを気にせず、マリはボロボロになったパイロットスーツを脱ぎ捨て、魔法で新しい服を構成する。それはミニスカートやフリルと言った魔法少女のような衣装だ。少女が着れば愛らしく見えるだろうが、大人のマリが着れば性的な物にしか見えない。

 

「あっちに居た。これで撃ち抜く…!」

 

 地面に落下したターニャの追撃を行う仮名666を発見すれば、亜空間よりバレットM99対物ライフルを取り出し、安全装置を外してから構えた。スコープを覗き、照準器の中央から斜め上に仮名666が入ってから引き金を引く。

 偏差射撃だ。弾の弾着速度を計算してマリは引き金を引いたのだ。狙いはドンピシャだが、仮名666はサイボークであり、反応速度は凄まじい。魔法障壁で防ぎ、狙撃地点を割り出す。

 

「機関砲クラスによる狙撃を確認。狙撃地点を分析、発見。狙撃手の抹殺を優先」

 

 二射目を撃たせまいと判断した仮名666は、狙撃手であるマリの排除を優先し、地面に叩き付けられたターニャを放ってそこへ向かう。

 

「嘘っ…! 防いだ…!?」

 

 五十口径の弾頭なら確実に仕留められると思っていたマリは、スコープ越しから見える迫る仮名666を見て驚き、ボルトを引いて空薬莢を排出し、押し込んで二射目を薬室に装填する。

 今後こそ仕留めようと狙いを定めるが、仮名666は的を絞らせないように複雑な機動でマリに迫っている。偏差射撃をしようにも、こうも変に動かれては当たりもしない。撃てずにいられない内に、仮名666のレーザーの射程内にまで接近を許してしまう。

 

「このっ!」

 

 撃てないならと思ったマリは、魔法で槍を取り出して接近戦に切り替える。目から放たれるレーザーを躱し、鋭い連続の突きを仮名666に向けて放つ。機関銃のような突きであるが、仮名666は常人離れした反射神経を有しており、それを全て躱しながら反撃しようとしてくる。

 マリも決定的な打撃を与えるべく、わざと攻撃を遅らせ、仮名666に反撃の隙を与えた。マリの術中にはまった仮名666はレーザーを発射しようと目で彼女を見た。相手の動きは少し止まったのを逃さず、マリは素早い突きを相手の顔面に向けて放った。

 

「そう来ると思った!」

 

 仮名666が魔法障壁で槍の突きを防げば、マリはそう防ぐと予想しており、直ぐに左手を槍の柄か手を離し、バスタードソードを亜空間より取り出して横に振った。深くは斬れなかったが、相手にダメージを与えることに成功した。

 

「逃がさない!」

 

 仮名666が斬撃を躱す為に距離を取った直後に、マリは背後に出した亜空間より次々と武器を召還し、それを撃ち込む。自分に向かって飛んでくる無数の雑多な武器に、仮名666は表情を一切崩すことなく躱し続ける。

 

「しぶとい!」

 

 このままでは当たらないと判断してか、銃火器まで召喚して仮名666に銃弾の雨を浴びせるが、これすらも躱し続けていた。周辺で戦っている連邦軍機や同盟軍機が来るが、マリや仮名666に敵うはずが無く、邪魔と判断されて排除される。

 その様子は起き上がったターニャにも見えており、マリの正体を見て驚いたが、仮名666に最大ダメージを与えるチャンスと捉えて強力な魔弾を撃つための詠唱を始めた。

 

「背後から亜空間を出して武器召喚だと? あんなものを隠していたのか、あの中三女子みたいな女は。だが、おかけであの女ターミネーターにダメージを与えられる。主よ、機会を与えくださったことに感謝いたします」

 

 詠唱、憎い神に感謝の言葉を述べつつターニャは戦場で死んでいた海兵隊員より拝借したMA5Dアサルトライフルを構え、詠唱で強化された爆裂術式を唱えて撃った。凄まじいほどの光線が発射され、マリと交戦している仮名666に向かっていく。既に躱し切れない距離から放っており、二人が気付いた頃には既に遅い。

 仮名666に夢中になり過ぎて気付かなかったマリは驚愕し、仮名666は全身に魔法障壁を張って防ごうとしていた。

 

「嘘っ…!?」

 

 直ぐにマリは魔法障壁を張って防いだが、ターニャの存在Xの加護を受けた爆裂術式は防ぎ切れず、吹き飛ばされた。

 撃ち終えた後、マリはボロボロになって地面に倒れ、仮名666はまだ健在であったが、損耗激しく立ち上がるのがやっとのようだ。

 

「あのロリコン親父…! 私ごとやるとか…」

 

「ダメージ甚大…! 周辺の人型生命体の抹殺…現状の魔力では不可能…! プランBを実行、自爆します…! 十分後に自爆しますので、半径十キロ圏内にいるイヴ人は、迅速に十キロ圏内より退避してください」

 

 今の状態ではターニャとマリには勝てないと判断した仮名666は最終手段に出た。この辺り一帯を巻き込んでの自爆である。

 それを躊躇なく実行した仮名666は自分の身体に相転移砲のエネルギー弾を撃ち込み、内蔵されているエネルギーを暴走させる。体内でエネルギーが暴走している所為か、仮名666の両目は青白く光っていた。

 わざわざ自爆すると仮名666が言ったので、それを聞いていたターニャは無事だと思って集まって来た自分の部下たちに向け、十キロ圏内より退避するよう小型無線機に向かって叫んだ。

 

「自爆だと…!? 全ユニットに通達! 直ちに回収対象の半径十キロ圏内より退避せよ! 繰り返す! 回収対象は自爆するぞ!!」

 

 ターニャが必死に叫んでいるのを聞いた部下たちはそれを真実と捉え、直ぐに仮名666より離れ始めた。尚、連邦軍と同盟軍は聞いておらず、決戦に夢中になっている。ターニャもマリを見捨てて急いで飛び、仮名666より離れた。

 

 

 

 時は遡り十分ほど前。仮名666に蹴られ、ダブデ級陸上戦艦に激突し、戦艦の爆発に呑まれたマスターチーフはミニョルアーマーのシールドのおかげか、気絶だけで済んでいた。

 

『チーフ、起きた? かなりの爆発のようだったけど…』

 

「平気だ。何処にも異常はない」

 

 コルタナの問いかけに目を覚ましたチーフは、ミニョルアーマーに異常がない事を告げ、何事も無かったのように起き上がる。

 チーフが激突した陸上戦艦は真っ二つに割れており、乗っていた乗員の殆どは死亡していて周囲にはその乗員たちの屍が転がっていた。野次馬の如く集まって来た同盟軍の将兵たちも居て、チーフを見るなり手にしている銃を向けたが、敵うはずが無く瞬きする間に全滅させられる。

 

「海兵隊か」

 

 要塞にはUNSCの海兵隊も到達しているのか、同盟軍の守備軍と激しい銃撃戦を行っていた。形勢は膠着状態であり、どちらに加担するべきかチーフは既に前者の方に決めていたが、コルタナは撃たれると告げる。

 

『チーフ、今のあなたの立場を分かっていて? 撃たれるわよ?』

 

「普通の兵士ならば撃たれるだろう。だが、ここは彼らを信じてみよう」

 

 コルタナの警告に対し、チーフは自分がまだ人類の英雄と信頼されている方に賭け、ヘルガスト兵のアサルトライフルを手に取って海兵隊と交戦していた同盟軍の守備隊を攻撃した。

 いきなり単独でやって来る緑のアーマーを纏うスパルタンに、気付いた同盟軍の守備隊は銃口を向けたが、相手はコヴナント戦争を終結させた英雄とも言え、単独で敵基地を壊滅させた実績を持つスパルタンだ。小隊規模の守備隊がどうこうできる物では無く、瞬く間に壊滅させられた。

 何処からともなく現れ、自分たちを助けてくれたマスターチーフに、海兵隊員たちは驚きの声を上げる。

 

「ま、マスターチーフだ…!」

 

「チーフが…! なぜこんなところに!?」

 

「確かチーフは死んだはずなんじゃ!?」

 

 マスターチーフは公式には戦死扱いされているようだ。死んだはずの英雄が自分たちの前に姿を現したことで、混乱する海兵隊員達であるが、チーフにはその訳を離す時間は無い。

 

「驚いているところ済まないが、何か強力な武器は無いか?」

 

 そんな海兵隊員たちに対し、チーフは強力な武器は貰えないのかと問う。

 いきなり現れ、武器を貰えないかと問う死んだはずの英雄に対し、どうすべきかと海兵隊員たちは互いに向き合った後、ヘルメットに内蔵された無線機を切る。その中にはあのキム・ヨンジの姿もあった。彼らの中では、マスターチーフは英雄であったのだ。

 

「あぁ、マスターチーフ。訳は聞かない。強力な武器がご所望なら、マクター特技兵が持つスパルタンレーザーはいかがかな?」

 

 キムは部下が持つスパルタンレーザーをチーフに進めた。

 その武器を持つマクター特技兵はマスターチーフに憧れて海兵隊に入隊した若い海兵隊員であり、憧れの存在に自分の武器を所望されたので、彼はそれを躊躇いも無く渡す。

 

「ど、どうぞ。マスターチーフ…!」

 

「済まんな」

 

「あっ、サインを! サインをお願いします!」

 

「良いだろう」

 

 スパルタンレーザーを受け取ったチーフはマクターに礼を言えば、彼はサインを強請った。これにチーフは応じ、ナイフでマクターのヘルメットに自分の名前を刻む。その場にいる海兵隊員たちが羨ましく思う中、一人が何処へ行くのかと問う。

 

「あの、何処へ行くので?」

 

「向こうだ。移動手段は同盟軍から調達するから良い」

 

 何処へ行くのかと問われたチーフはマリと仮名666が戦っている場所を指差し、そこへの移動手段は同盟軍から調達すると返して海兵隊員たちの前から去って行った。

 憧れの英雄が立ち去るのを黙って見過ごした海兵隊員達の中で一番階級の高い海兵が、キムに向けてこのことは黙っているように告げる。

 

「おい、キム。このことは喋るなよ」

 

「喋りませんよ、曹長殿。だってマスターチーフは連邦とか大西洋連邦が嫌われてるんでしょ。なんで嫌いになるんですかね? 彼は英雄なのに」

 

「さぁな、コーディネーターと同じと思ってんだろ。さて、任務を続行だ。各員、無線機のスイッチを入れろ。交信が無いままだと、司令部にどやされる」

 

 釘を刺された一番口の軽いキムは、連邦軍がマスターチーフをなぜ嫌いになるのかと疑問を抱くのかと曹長に問う中、彼は適当に流して部下たちに無線機のスイッチを入れて任務に戻るように告げた。

 海兵隊員たちの前から去った後、スパルタンレーザーを貰ったチーフは同盟軍の格納庫を襲撃し、返答通りに移動手段を自力で調達した。

 調達したのはゴーストであり、コヴナント軍で広く運用されていた一人乗りの戦闘車両だ。それに乗り込んだチーフはマリと仮名666が交戦している場所までアクセル全開で飛ばす。

 途中、コルタナは海兵隊員たちに撃たれたらどうしていたと問われる。

 

『賭けは当たったわね。でも、最後に撃たれてたらどうしてたの?』

 

「どうにも、彼らが撃っていれば殺していた。それより、破壊目標の座標は?」

 

 この問いにチーフは撃って居たら反撃して殺していたと答える。コルタナが次の言葉を発する前に、チーフは仮名666の詳しい座標を問う。戦っている場所は大体検討はついているが、正しい位置を掴むために聞いたのだ。

 これにコルタナは上空に居る連邦軍の艦艇のシステムをハッキングしつつ、仮名666の座標を割り出し、それをチーフに伝える。

 

『十時方向二キロ先で、アニメなんかに出てきそうな異世界より来た金髪の女と交戦中だわ。巻き込まれそうだけど』

 

「心配ない、似たような目には何度か遭ってきた。やるしかないんだろ?」

 

『そうね。貴方ならやれるわ』

 

 マリの存在も告げたコルタナは巻き込まれて死ぬ可能性を告げたが、チーフは似たような事に何度か経験しており、逆にやるしかないんだろと問う。この答えに、コルタナはチーフなら出来ると告げた。

 やるしかない。マリがしくじれば、自分が仮名666を倒さなくてはならない。

 そう決心したチーフは二人が交戦している場所へ辿り着けば、仮名666がターニャの爆裂術式を受け、自らの身体に相転移砲を撃ち込み、自爆シークエンスに移行している所だった。チーフはコルタナが知らせるよりも前に、仮名666が自爆シークエンスに入っていることを悟る。

 

『チーフ! あいつ自爆するつもりだわ! 速く止めないと!』

 

「見りゃ分かる。一か八かだが、やってみるか」

 

 コルタナが仮名666が自爆しようとしていると知らせれば、既に悟っているチーフはスパルタンレーザーを構え、胸に照準を向けてエネルギーをチャージした。

 

「こいつ…! なんでここで自爆なんて…!」

 

 自爆しようとする仮名666に戦闘不能状態のマリはまだ動く身体でバスタードソードを握り、立ち上がろうとするが、身体が思うように動かない。

 既に自爆まで一分を切っており、ターニャたち特務魔導大隊は自爆範囲の半径十キロ圏内より退避していた。残っているのは動けずにいるマリか、仕留めにやって来たチーフ、知らずに戦っている連邦と同盟の両軍だ。

 そんな矢先にスパルタンレーザーのチャージは完了し、チーフは引き金に指を掛けた。

 

『自爆まで三十秒! チーフ!?』

 

「そうはさせない」

 

 自爆まで三十秒となった矢先、コルタナが慌てて叫ぶ中、チーフはいつもの如く冷静になって引き金を引いた。

 レーザーは真っ直ぐと狙い通りに仮名666の胸に飛んでいき、そこに命中する。レーザーを受けた仮名666の身体は相転移砲のエネルギーに包まれ、彼女と周辺だけを呑み込んで消滅した。

 仮名666はガルダーゴンより姿を消した。これを見たマリは安堵し、その場に倒れ込み、チーフはスパルタンレーザーを下ろす。

 

「上手く行ったな」

 

『まさか、分からずに撃ったの!?』

 

「あぁ。俺でも驚きだ」

 

『はぁ、ドキドキしたわ。まさか当てずっぽうで撃ったなんて…! 効かなかったらどうしてたのよ!?』

 

「その時は、この辺りは吹き飛ぶ」

 

 なぜ仮名666にスパルタンレーザーが効果的だったか、チーフには分からなかったようで、上手く行ったことに驚いていた。それを知ったコルタナは驚き、もし違っていたらどうしていたのかと問えば、チーフは正直に自分も含めてこの辺りは吹き飛んでいたと答える。

 それと同時期なのか、ガルダーゴンでの決戦は終わっていた。連邦軍が総攻撃を仕掛けた要塞が陥落したのだ。要塞を失った同盟軍はこれ以上ガルダーゴンの維持は不可能と判断してか、撤退を開始していた。つまり、ガルダーゴンは陥落したのである。

 空を見れば、多数の同盟軍のシャトルやHLV、宇宙艦艇などが宇宙を目指して脱出している。連邦軍は追撃戦に移っていた。

 

「さて、俺たちも帰るか」

 

 仮名666を倒したチーフは、目標を達成したので、コルタナに帰ろうかと告げた。




えぇ、ラスボスを倒して終わりました。

次回からエピローグとなり、そこで皆様がご提供してくださったキャラクターが登場します。

次の企画はどれにする?

  • 金塊強盗
  • KILLZONE2
  • 復活の佐奇森神矢
  • カオス・ウォーズ

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