【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争   作:ダス・ライヒ

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カヤ・クロイツ
陸軍の混成装甲大隊「シェイファー・ハウンド」の隊長。
階級は原作では親衛隊曹長であったが、ここでは陸軍中佐。服装は帽子以外みんなドイツ連邦陸軍戦車兵用迷彩服となり、プリケツは台無しに。
乗機:レオパルド2A7(大隊指揮車仕様)
武器:MP5A5短機関銃、ワルサーP99自動拳銃

マイタ・カドゥワン
シェイファー・ハウンド所属の偵察員。階級は大尉。
眼鏡で巨乳であるが、原作でのあの格好はしてない。基本ドイツ連邦陸軍の車両用迷彩服。
乗機:フェネック偵察車
武器:G36K突撃銃、̪シグP226自動拳銃

アンナ・アダー
シェイファー・ハウンド所属の戦車長。階級は大尉。
原作一話で死んでしまう可哀想な人。だが、この物語では乗員揃ってピンピンしてる。
乗機:レオパルド2A7(通常仕様)
武器:G36K突撃銃、USP自動拳銃

桂佳織(かつらかおり)
シェイファー・ハウンド所属の少佐。原作では日本からの軍事留学生。
武器:日本刀

アマガネ・アザギ
人狼機ウィンヴルガの世界からイヴ人に転生してきた人。階級は大尉。
原作が原作なだけに酷い目に遭いそうだが、十八禁になるので、そうなることは無い。
乗機:量産型モリビトH型
武器:MP5A5短機関銃、USP自動拳銃

ウィッジクラフト
JKハルは異世界で娼婦になったで登場する双剣の老剣士。
流石の爺さんでも現代兵器で武装したt系兵を相手にするのは厳しいのか、アガサ騎士団の横槍で貰ったシルバリー合金で出来た武器と鎧を身に纏い、薬物まで投与して銀英伝のオフレッサー状態になっている。

メイソン騎士団
JKハルの世界でアガサ騎士団が暗躍していると知り、帝国再建委員会の侵攻を見学しに来た赤い騎士の方々。
見学で済むはずが無く、剣と槍を持って蛮族の虐殺に加わる血の気の多い人たち。


ミドルド要塞攻防戦

 演習とも思えるこの大規模作戦が暗礁に乗り上げ始めたのは、ミドルド要塞攻防戦からであった。

 このミドルド要塞は、最前線である自由都市が突破された場合の人類の第二の絶対防衛ラインとして、各国の出資によって建造された要塞であり、魔王軍の大攻勢に長期間耐えられるように設計されている。

 魔王が倒された今、ミドルド要塞はその地を持つ国家の物になったが、帝国再建委員会の侵攻を受け、建造された役割を果たす羽目となる。

 

 要塞に配置された兵器類は中世欧州レベルの物であるが、過剰なまでに何層にも重ねられて厚くされた壁は、劣化ウラン弾をも弾くほどに強固であった。だが、侵略軍を迎え撃つために出陣した数万の兵士らは砲撃で吹き飛ばされ、挙句に空挺降下とヘリボーンから要塞内部の敵歩兵の侵入を許し、榴弾やロケット弾の嵐を耐えた壁は、航空機を有する軍隊の前には全くの意味をなさなかった。

 

 砲兵隊の長期砲撃や爆撃機による絨毯爆撃で潰してしまえば良いが、陸軍はここを首都攻略戦の橋頭保にするべく、三十万の兵力を以て攻略を始めたのだった。

 攻略作戦は順調に進み、ミドルド要塞も容易く陥落するかに思えたが、この世界の英雄、ウィッジクラフトと異世界勢力の暗躍によって狂い始めた…。

 

 

 

「クリア! 突入! 投入!!」

 

 先にミドルド要塞に突入したのは、テキサス軍隷下の歩兵師団に属する歩兵中隊であった。

 狭い室内での戦闘を想定してか、M1A1トンプソンやM3A1グリーズガンと言った短機関銃ばかりだ。M37やM870と言った散弾銃を持っている。

 散弾銃を持った班を先頭に向かわせ、その後ろから短機関銃、M16A1突撃銃を持った兵士らが警戒しながら続く。

 通路の部屋と言う部屋を制圧しながら進めば、鎧を纏い、剣や手斧を持った集団が立ち塞がる。

 

「前方に敵歩兵集団!」

 

「撃ち殺せ!」

 

 現れた敵集団に対し、直ぐに中隊長は射殺命令を出す。冷戦期の銃火器が火を噴き、近代兵器の前には全く意味をなさない鎧を纏った兵士たちは蜂の巣にされるかと思われたが、鎧は西側諸国のライフル弾や拳銃弾を弾いてしまった。これに一同は驚く中、指揮官はその鎧の存在を知っているらしく、直ぐに隙間を狙撃するように指示を出す。

 

「シルバリー合金!? 鎧の隙間を狙って!」

 

 将兵等も驚き、撃つのを止めてしまうが、指揮官の指示でライフルを単発に切り替え、単発で隙間や顔などの部分の狙撃を行う。

 当たる確率は低く、徐々に距離を詰められるも、散弾銃や短機関銃を連射して動きを止め、単発での命中率があるM14やM16で兜の顔部分や隙間を狙撃して無力化する。

 再装填の隙を突かれるのを阻止するため、後方に控えるM60軽機関銃を持った班に制圧射撃を掛けさせて動きを止めた。

 

「この調子なら…!」

 

 この調子なら、内部で抵抗を行うその世界に無いはずの合金で出来た鎧を纏う集団を排除でき、ミドルド要塞を手中に収められると、突入した中隊は思っていたが、異世界の武器と鎧で武装したウィッジクラフトによって打ち砕かれた。

 

「このアマ共…! テメェらの快進撃もここまでだ!!」

 

 散弾銃を持った班が瞬く間に血の海に沈んだ。彼女らを殺したのは、両手に片手剣を持ち、魔王を倒して世界の英雄となった老剣士ウィッジクラフトであった。

 テキサス軍に対して怒りに燃える英雄である老剣士は高齢とは思えない素早さで銃を持つ兵士たちを次々と斬り捨て、通路を彼女らの血で赤く染め上げる。

 目にも止まらぬ速さ迫るウィッジクラフトを銃を乱射して必死に殺そうとする中隊の将兵等であるが、一発も当たることなく双剣に斬られて絶命する。ウィッジクラフトが現れて十分が経つ頃には、一個小隊分の人数が通路に転がる屍の一つとなっていた。

 

「撤退! 撤退!!」

 

 一個小隊ほどの人数を喪失した中隊は直ぐに撤退を選び、銃を撃ち、負傷兵を運びながら大隊本部がある方向へと撤退した。

 

「また来い! 今度は一人残らず逝かしてやるぞォ! なんたって俺は女の扱いに長けてるからなァ! ブッハハハ!!」

 

 撤退する中隊に向け、小さな勝利を収めたウィッジクラフトは追撃せず、下品に笑いながら双剣に着いた返り血を振り払い、次なる襲撃に備えて仲間たちと共に壁の如く立ち塞がった。

 

 

 

 テキサス軍の歩兵中隊の撤退の報を受け、ミドルド要塞の付近で本陣を構える帝国再建委員会の要塞攻略部隊の本部では、シルバリー合金の武具で武装したウィッジクラフトの存在を知り、控えている部隊を投入しようとしていた。

 だが、これにただこの侵略戦争を見学に来ていた異世界勢力であるメイソン騎士団は、威圧的な態度を取りながら異論を唱えた。

 

「フン、だらしのない! たかが我らと同じシルバリーの武具を身に纏っただけの老人如きに怯えよって! ともあれ、これでここの蛮族共の背後にアガサの影が見えた。我が主君、モーリック王の読み通り、あの石器時代の英雄にシルバリーの武具で武装させたのは、腐り切ったアガサの仕業に違いない!」

 

 ウィッジクラフトのシルバリー合金の武具の存在を知ったメイソン騎士団の見学者らは、出陣を決め込んで従者らにシルバリー合金の武具を持ってこさせる。

 

「よって我らは見学者ではなく、騎士として出撃する所存! アガサのアルゴン王の企み、打ち砕いてくれようぞ!」

 

「あの、あなた方は見学で来たのでしょ? 勝手に出られては…」

 

「黙れ! たかが老人一人風情に銃を持った百の兵が逃げるような軍隊など、参考に値せず! 我らメイソンの騎士が蛮族を打ち倒す光景、しかと見るが良いわ!!」

 

 勝手に戦闘に参加しようとするメイソン騎士団の騎士を止めようとするが、鎧の上に赤と黒で塗装されたサーコートを身に纏い、刀剣類の得物で武装した騎士等は聞く耳持たず、ミドルド要塞の戦いに出陣した。

 その様子を威圧的な態度で止めきれなかった本部の指揮官らは、直ぐに通信機を使って侵攻軍の総司令部に伝え、次なる指示を仰ぐ。

 

「閣下。見学者のメイソン騎士団、勝手に出撃しました。どうしましょう?」

 

『放っておきなさい。倒しても倒されなくとも、後で敵の仕業に見せ掛けて始末すれば良い。それより、ファイテックス隊の準備は?』

 

「撃退された場合に備え、ただいま出撃準備をさせております」

 

『よろしい。攻略を急ぎなさい。我らと同じ異界の勢力、その介入があったとなれば、この作戦、頓挫する可能性がある』

 

「はっ!」

 

 メイソン騎士団に対する侵攻軍本部の返答は、ウィッジクラフトを倒せても、倒されなくとも始末しろと、非道な物であった。

 撃退された場合に備え、予備として控えている主力軍のファイテックス隊の準備もしていると答えれば、総司令部は評価する。それと同時に攻略を早期に速めるように急かした。シルバリー合金の武具の存在で他の異世界勢力の介入を悟り、無用と思われていた機動兵器などを装備した主力軍が必要となったのだ。

 幾ら数が多くとも、侵攻軍の大部分は新兵であり、対機動兵器用の装備は充実していない。そんな状態で機動兵器を多数装備した軍隊の攻撃を受ければ、壊滅的被害と士気低下は免れないだろう。

 そう判断した帝国再建委員会はミドルド要塞の攻略を速めるため、温存していた部隊の投入を決定した。更なる状況の変化に備え、待機中である部隊の中より精鋭を選抜し、この攻略戦の為だけの隊を編成した。

 

「おぉ、なんだァ? 今度は赤い甲冑の奴らが来たぞぉ?」

 

 ファイテックス隊や選抜隊の編成が行われる中、メイソン騎士団の見学者らはウィッジクラフトが待ち受ける通路へと出ていた。

 自分らと同じような格好の集団を見たウィッジクラフトは首を傾げるも、直ぐに戦闘態勢をとる。メイソン騎士団の騎士たちの背後には、抹殺を兼ねたG36突撃銃を持った陸軍の歩兵部隊が控えている。

 テキサス軍の歩兵中隊を撤退に追い込んだウィッジクラフトに対し、メイソン騎士団の騎士等は名乗りを上げる。中世の騎士としての礼儀だ。もっとも、メイソン騎士団の騎士たちはこの世界の者たちを蛮族と見下しているが。

 

「我ら、モーリック王に仕えるメイソン騎士団! 情けないイヴ人に代わり、貴様ら蛮族を教育しに来た!!」

 

 この名乗りにウィッジクラフトは怒りを覚えるも、堪えて名乗り返す。

 

「俺は双剣士ウィッジクラフト! 魔王を討ち果たした勇者よ! モーリックやらメイソンだが何だか知らんが、テメェらは敵だ! 殺人鬼に悪魔だ! 平和を乱す侵略者共め、この俺が一人残らずぶっ殺してやる!!」

 

「ほざけぃ! 我が君主と騎士団を愚弄しよって! 魔王かなんだか知らんが、お前のような死にぞこないの老人に殺されるような奴など、たかが知れてるわ! 直ぐにあの世へ送ってくれる! 掛かれぇ!!」

 

 ウィッジクラフトが怒りに露わにして罵声を浴びせれば、愚弄したと思ったメイソン騎士団の騎士たちはそれぞれの得物を持って雄叫びを上げて斬りかかる。

 

「赤い騎士共め、全身をテメェらの血で真っ赤に染めてやる! 行くぞぉ!!」

 

『おぉぉ!!』

 

 向かって来るメイソン騎士団に対し、ウィッジクラフトも仲間を鼓舞して応戦した。

 血塗れの通路で、中世のような野蛮な戦いが始まった。剣と剣による鍔迫り合いが発生し、手斧で鎧で人体が切り裂かれ、鎧の隙間に剣先が突き立てられて騎士の一人が死亡する。

 剣に斬られて血飛沫が上がり、あるいは棍棒で殴り殺される中、優勢と思われていたメイソン騎士団は、ウィッジクラフトの老練な技術に経験と戦闘力の前に圧倒されていた。

 

「な、なんだこの老人は!? 歳の割りに強いぞ!」

 

「あの老人は本当に衰えているのか!?」

 

「どうした、どうしたァ! 異世界から来た騎士は、その程度かァ!?」

 

 圧倒的な戦闘力を誇るウィッジクラフトに、メイソンの騎士たちの勢いは衰え始める。ウィッジクラフトが双剣を振る度に騎士たちは血の海に沈み、新たに屍の数を増やすばかりだ。

 

()て! 射つのだ!」

 

 前衛どころか、殆どの人員を失った騎士等は、シルバリー合金を貫通する矢を発射するボウガンを持った弓兵隊にウィッジクラフトを射殺すように指示を出すが、返り血塗れの老人は騎士の死体で防ぎ、それを投げ付けて手近に居た騎士を斬り殺す。

 一発の矢が当たりそうになるが、ウィッジクラフトはそれを剣で弾いてしまう。それを見ていた騎士たちは恐れ戦き、向かって来るウィッジクラフトに死の恐怖を感じて後退り始める。

 

「なんだぁ? 掛かってこいよ! 金玉ついてんのかァ!?」

 

「おのれェ…! 死ねぇジジイ!!」

 

 下品な挑発に一人の騎士が乗って剣で斬りかかったが、容易く返り討ちにされてしまう。このままでは士気が崩壊することを悟った部隊長は、苛立ちながらも撤退を選んだ。

 

「ぬぅ、こんな老いぼれを相手に…! 撤退だ! 撤退しろ!!」

 

「何を申される! あの老人の体力も底をつくはず!」

 

「分かっておる! だが、あの老人にはそれが見られんのだ! イヴ人共に笑われるかもしれんが、全滅しては元も子もない! 今は退くのだ!!」

 

 長期戦となれば、ウィッジクラフトの体力が限界となり、勝てるはずかもしれなかったが、あの老人からはそれが感じられなかった。

 撤退に応じたメイソンの騎士たちは負傷者たちを抱えながら後退し、後方の陸軍の歩兵部隊が援護の為、煙幕手榴弾を投げ込んで追撃を封じた。逃げられたことに、ウィッジクラフトは追いもせず、逃げる騎士たちを煽る。

 

「フン! 偉そうなことを言って逃げるのかァ!? 全く、だらしが無い奴だのう! ハハハッ!!」

 

 

 

 ウィッジクラフトに二度の敗退を強いられた司令部は、遂に準備が出来たファイテックス隊をミドルド要塞内部に送り込み、三度目の正直に挑んでいた。

 それが失敗した場合に備え、少数の決死隊によるウィッジクラフトの排除を行おうと選抜を始めた。その間に、空軍の参謀が意見を申し出て来た。

 

「生かして捕らえてはどうでしょうか?」

 

「なに、あの老人を生かして捕らえる? あれほどの兵を殺されていると言うのに…!」

 

 空軍参謀のバルリング中佐が出した意見とは、ウィッジクラフトを生け捕りにすると言う物であった。これに苛立ちを覚えながらも、要塞攻略指揮官はどう捕らえるのかと問う。

 

「中佐、どうして生かして捕らえる? あんな化け物、生け捕りにするのにどれほどの兵が死ぬことか…」

 

「報告によれば、あのウィッジクラフトなる老人は薬物を投与し、長期的な戦闘を行えるようです。ですが、長期戦の余り注意力は下がっているようで」

 

「落とし穴でやるの?」

 

「ご明察です。餌はこれから選抜する少数精鋭にしてもらいましょう」

 

 撤退した陸軍歩兵の報告で、バルリングはウィッジクラフトが薬物を投与していると見抜いたのだ。

 彼女の言葉で指揮官は水を一杯飲んでから落とし穴でやるのかと問えば、バルリングは頷き、餌は少数精鋭でやると答えた。バルリングの返答で指揮官は直ぐに脳内で作戦を立て、彼女の落とし穴は予備とした。

 

「まぁ、それはプランBとして、ファイテックス隊には捕らえるように命じましょう。ファイテックス隊がしくじれば、少数精鋭の決死隊にやって貰うわ。貴方には…無理わね。空軍の魔導士の誰かにやらせましょう。幸い、落とし穴が直ぐにできそうだわ」

 

 素早く立てられた作戦は直ぐに実行された。少数精鋭の決死隊の選抜は終わったようで、即座に本部に選ばれた者たちが招集される。

 暇を持て余していた陸軍独立混成装甲大隊シェイファー・ハウンドより大隊長カヤ・クロイツ中佐、偵察隊隊長マイタ・カドゥワン大尉、アンナ・アナー大尉、桂佳織、人機連隊よりアマガネ・アザギ大尉。そして、空軍からは小さいと言う理由でターニャ・デグレチャフ少尉一人が選ばれた。

 

「(なんで私を選んだんだ? 陸軍だけで十分だろ!)」

 

 少数精鋭の決死隊に選ばれたことに不満を持つターニャであったが、師団本部からの命令なので逆らえない。仕方なく、ターニャは決死隊と共にウィッジクラフトと交戦するファイテックス隊の元へと向かった。

 

「んん? 敵わないと思って、俺に生贄を差し出したのかぁ? ブハハハッ!!」

 

 予想通り、主力軍のファイテックス隊もウィッジクラフトに敗れ、敗走状態であった。決死隊が来るなり、ファイテックス隊はまだ息のある負傷者を連れて参加することなく撤退した。

 五人と一人の幼女を見たウィッジクラフトは下品な笑い声をあげ、彼女らを自分に向けて差し出された生贄と表した。これに苛立ってか、カヤは手にしているMP5を単発で撃ち込む。

 

「うぉ!? 生贄じゃねぇのかァ!」

 

「生贄だと? 私たちは貴様を捕らえに来たんだ。死にたくなければ、大人しくしろ。ジジイ」

 

「あのお爺ちゃん、絶対に聞かないと思うけど」

 

「(よりにもよって、ハルから戦って殺してくれと言われたジジイでは無いか。上層部も無茶を言う)」

 

 ウィッジクラフトが撃たれて驚く中、カヤは高圧な態度を取って銃口を向けながら投降を呼びかける。これにアマガネは絶対に応じないと言って共に銃口を構えた。ターニャは内心でハルより聞いていたウィッジクラフトであると分かり、上層部に文句を言った。

 

「来るわ!」

 

「あれ、本当にお爺さん!? 凄く速いんだけど!」

 

 迫るウィッジクラフトにマイタが知らせれば、アンナは老人とは思えない身体能力に驚きながらもG36K突撃銃を撃ちながら後退する。単発で撃つが、老人は素早く、予測撃ちをしてもまるで当たりもしない。そればかりか徐々に距離を詰めて来る。

 

「どうなってるんだあの老人は!?」

 

「どうやら、薬物投与で身体能力を強化しているようだな」

 

「ならば、接近戦で対処するのみ!」

 

 ターニャが銃弾すら当たらぬ速度で迫るウィッジクラフトに驚きの声を上げる中、カヤは薬物の影響であると認識した。なればと思った佳織は、G36Kを下げて腰の日本刀を抜いた。

 

「なら、こっちも!」

 

 アマガネも接近戦をするべく、背中に背負っていた棒を取り、巧みに回しながら佳織と共に迫るウィッジクラフトを迎え撃った。

 

「くっ…! 老人の力じゃない!」

 

「やっぱり何かやってる…ねっ!」

 

 ウィッジクラフトの力は老人の物ではなく、片手でも佳織とアマガネを圧倒する物であった。その隙にカヤ、マイタ、アンナ、ターニャは狙撃しようとしたが、直ぐにウィッジクラフトが気付いて四名に襲い掛かる。

 

「離れろ! 切り刻まれるぞ!!」

 

「冗談ではない!」

 

 カヤらが退避する中、逃げ遅れたターニャは魔法障壁で斬撃を防いだ。

 

「小娘、テメェ魔術師かァ!?」

 

「それを、答える必要があるか!?」

 

 魔術師かと問うウィッジクラフトに対し、ターニャは背後から襲い掛かる佳織とアマガネの攻撃を誘うために時間稼ぎをしたが、老練の剣士を誤魔化せるはずが無く、気付かれて双剣を振るわれ、吹き飛ばされる。

 両者が壁に激突して血塗れの床の上に倒れる中、ターニャは魔力を込めた左拳でウィッジクラフトを攻撃するが、シルバリー合金の鎧は傷一つ付かず、左手の剣を振るい落としてくる。

 

「効くかァ!!」

 

「のわっ!?」

 

 それを躱したターニャは、自分が先ほどまで居た場所を見る。剣を振るい落とされた床がへこんでいたのだ。あれを真面に受けていれば、自分はバラバラに吹き飛んでいただろう。

 安堵している隙などウィッジクラフトが与えてくれるはずもなく、二撃目を入れて来る。双剣士の老人の背中を銃を持った三名が撃つが、弾かれるばかりだ。隙間を狙おうとすれば、標的を三名に変えて斬りかかって来る。

 

「本当に注意散漫か!?」

 

 弾切れのMP5を下げ、即座にワルサーP99自動拳銃を引き抜いて連発するが、ウィッジクラフトはそれすらも躱して斬りかかる。無論、カヤも斬られる寸前に後ろへ下がって躱したが、持っているMP5を破壊されてしまった。再装填を素早く終えたマイタとアンナは射撃し、ウィッジクラフトを下がらせる。

 

「うはははッ! どうした、どうしたァ!?」

 

「やはり敵わぬか」

 

「プランBに以降ね!」

 

 六人がかりでもウィッジクラフトに敵わぬと分かれば、プランBを実行する。

 それは、工兵隊が作ったとされる落とし穴にウィッジクラフトを誘い込むと言う物だ。それを実行すべく、六名はウィッジクラフトから逃げる。

 

「おぉん? 逃げるのかぁ? 待てよぉ!」

 

 逃げる六人にウィッジクラフトは下品な表情を浮かべながら追いかける。銃を撃つこともせず、落とし穴が仕掛けられた通路まで下がれば、ウィッジクラフトを挑発する。

 

「どうした、老害。もう息が上がったか?」

 

「疲れた? 速く降参しちゃいなよ」

 

 この挑発に罠だと思って乗らないようにするウィッジクラフトであるが、薬物の副作用でカヤの挑発は少し応えており、苛立ちを抑えきれない。その反応を見逃さなかったカヤは、ウィッジクラフトを落とし穴に落とす為にさらに挑発する。

 

「貴様は老い耄れだ! 時代遅れの産物だ! 薬物に頼らねば真面に戦えもしない中毒者だ! どうせ女も碌に満足させることもできず、薬に頼ってばかりなのだろ!? その証拠に、我々を殺すこともできず、そこの幼女ですら殺せていない! 若者の道を阻むただの老害だ!!」

 

「そうよ! このクソジジイ! あんたは英雄なんかじゃない! ただのクソジジイよ!!」

 

「そうだ! 貴様は戦闘でも日常でも何も出来ないジジイだ! さっさっと死ね! クソジジイ!!」

 

「みんな、酷過ぎ…」

 

 この罵声に満ちた挑発には、薬物を投与していなければ我慢できただろう。だが、今のウィッジクラフトは薬漬けに等しく、普段はあんな罵声に耐えれても、副作用で我慢できなかった。

 カヤに続くようにアンナとターニャも罵声に加わったので、疲労と怒りの余り冷静さを欠いたウィッジクラフトは、ただ怒りに身を任せて六名に突っ込んだ。

 

「このアマ共ォォォ! レイプして殺してやるぅぅぅ!!」

 

 もはやそこには闘技場で名を馳せるウィッジクラフトの姿は無かった。今の彼は目前の若い女たちに煽られ、我慢できずに激高する老人であった。

 普段は卑劣な相手の攻撃を警戒し、長年の勘と経験で足元に気を配っているウィッジクラフトであるが、長時間に渡る戦闘で疲弊しており、その疲弊を隠そうと薬物を多用し、今は目前の女たちを犯して殺すことしか頭に無い。

 結果、まだ未熟であった少年時代の頃のように、ウィッジクラフトはマヌケにも、落とし穴に落ちてしまった。

 

「グァァァ!? な、なんだこりゃぁぁぁ!? 畜生が!!」

 

 もう二度と落とし穴には落ちるまい。

 そう思って足元を警戒し、これまで戦って経験を積み重ねてきたウィッジクラフトであるが、長い年数を得て落とし穴に落ちてしまった。これにウィッジクラフトは衝撃と落胆の余り、大声を上げて這い上がろうとする。

 だが、落とし穴は這い上がれない程の垂直な斜面だ。ずり落ちるだけで全く上がれない。そんな落とし穴に落ちたウィッジクラフトを一目見ようと、大勢の陸軍兵士や戦った六人の精鋭が集まって来る。ウィッジクラフトに取ってその女たちは、落とし穴に落ちた自分を嘲笑っているかのように見えた。

 

「出せぇ! 出しやがれぇ!! みんな犯して殺してやるぞ!!」

 

 強がろうと必死に罵声を大声で上げるウィッジクラフトであるが、上に居る彼女らは何の反応もなく、ただ見下してくる。ターニャもまた、落とし穴の中で足掻くウィッジクラフトを見下ろしていた。

 やがて、殆どの者が立ち去り、残ったのがカヤのみとなれば、彼女は薬物を使っても未だ戦場に居座り続けるウィッジクラフトに嫌悪感を感じてか、侮辱の証である唾を吐きかけて去って行った。

 

 こうして、魔王を打倒し、勇者として名を馳せたウィッジクラフトは、帝国再建委員会の手に落ちた。

 この世界で暗躍する勢力をあぶり出すために…。




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