【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争 作:ダス・ライヒ
年齢:不明
階級:少尉
所属:テキサス軍第29歩兵師団
武器:M16A1、コルトM1911A1
概要:アメリカ人のように金髪で巨乳。カウボーイハットを被っている。
名前:ホア
性別:男
年齢:不明
階級:上級貴族
所属:リップシュタット連合軍 門閥貴族軍
武器:剣、ゴールドルガー。乗機は馬
概要:現地世界の門閥貴族の上級貴族。現代兵器や人型兵器で溢れた戦場で中世染みた格好で出て来る。
募集キャラ
名前:ルシル・ジャベリン
性別:女性
年齢:24
階級:中尉
所属:テキサス軍第29歩兵師団
武器:コルトM1917
概要
軍服を改造したコートとカウボーイハットを被る女性。カウガールである。
キャラ提供はただのおじさんさん
『味方の航空魔導士の下方に敵MS正体を捕捉。彼女を捕獲するつもりです』
「そりゃ大変じゃん! 直ぐにそいつ等を…!」
ターニャがスミスとその部下たちに包囲される中、彼女の真下にジンクスⅡ一個小隊を捕捉したキュートが玲子に報告した。それを知り、そのジンクスⅡ小隊の排除を行おうと向かったが、ブーツホルツに捕捉される。
『敵機にロックオンされています!』
「戦場だからね! って、速いじゃん!?」
キュートの知らせで、自分の邪魔をしようとする敵機の排除を行おうとするが、相手は熟練のパイロットであるブーツホルツである。ミサイルで撃墜しようと放つも、あっさりと躱されて倍返しのミサイルが来る。
『ミサイル接近! 接近!』
「なんなのあいつ!?」
熟練のパイロットの相手をするのは、玲子に取って厳し過ぎたようだ。キュートの警報に玲子は操縦桿を必死に動かし、自機に向けて飛んでくるミサイルを躱し切る。様々なパイロットと幾度となく戦った経験のあるブーツホルツは、その動きと反応を見て直ぐに玲子が素人であると気付いた。
「あの動き、素人か!? VF-25に訓練不足のパイロットを乗せるとは、やはり人手が足らんようだな! だが、手加減はせんぞ!」
玲子を訓練不足のパイロットと見抜いたブーツホルツであるが、ここは戦場なので彼は容赦しない。自分のような熟練のパイロットが、素人同然のパイロットに撃墜された現場を見ているのだ。例え半人前であろうが、ブーツホルツは容赦せず落としに掛かる。それに必死に逃げ回る玲子の動きで、ブーツホルツはVF-25が本来の性能を出せていないことを見抜く。
「空戦仕様に改造しているようだが、所詮は宇宙用の戦闘機。重力下の空ではそれほどの性能は出せんぞ。何のサポートを受けているか知らんが、半人前は隠せん!」
キュートのサポートのおかげで何とか攻撃を躱している玲子であるが、熟練のブーツホルツから見れば性能頼りのパイロット同然だ。追い詰めて冷静さを奪い、判断をに鈍らせようとする。碌な反撃も出来ず、ただ撃たれる同然の玲子は何とか反撃しようと、キュートに反撃の手段を問うが、彼女を守るためのAIはそれを了承しない。
「ねぇ、反撃できないの!? このままじゃ…!」
『マスター、落ち着いて回避に専念してください。敵は貴方より遥か上を行くパイロットです。今は回避に専念してください』
「もう! やられっぱなしは趣味じゃない!」
お前では無理だと言うキュートに玲子は苛立つ。玲子とキュートを追い回し、最低限の射撃で弾を節約するブーツホルツは、相手が反撃するのを待っていた。
「どうした、反撃せんのか? このままではやられるぞ」
相手の玲子が慌てる中、ブーツホルツは慌てず、相手のミスを待つ。他にもVF-25メサイアはいるが、彼は部下と頼連合軍に任せ、一対一の状況を作り出している。
勝つのはブーツホルツだろう。だが、万に一つの可能性でブーツホルツがド素人の玲子に負ける可能性がある。それを理解している熟練のパイロットは相手から冷静さを奪い、確実に撃墜しようとしているのだ。
ブーツホルツの思うように追い詰められている玲子は痺れを切らし、キュートの最強のシールドであるフォースシールドを使い、相手が驚いている隙に倒そうと決意する。
「ねぇ、キュート。フォースシールドで敵の攻撃を防ぎ、相手が驚いた隙に落とすわ!」
『駄目ですマスター、あれは一度限りです。二度目はありませんので推奨できません!』
「うるさい! じわじわと嬲り殺しにされてたまるもんですか! 実行!!」
キュートのフォースシールドはどんな攻撃でも防ぐ代物だが、今は一度限りしか使えない。それを使おうとする玲子にキュートは反対するが、冷静さを欠いている彼女はそれを実行し、ブーツホルツのVF-22の攻撃を防いだ。
「な、何っ!?」
確実に撃墜できるミサイル攻撃を、まるで効かなかったように動く玲子のVF-25を見てブーツホルツが驚く中、彼女はその隙に機体をバトロイド形態に変形させ、人型となった機体の両手にガンポッドを抱え、連射する。
並のパイロットなら撃墜は出来たが、相手は熟練のパイロットだ。直ぐに回避行動を取り、同じく機体をバトロイド形態に変形させ、両腕のピンポイントバリアで防ぎながら離脱し、ミサイルによる反撃を行う。
『ミサイル!』
「危ない!」
ミサイルの接近に玲子は直ぐに機体をファイター形態に戻し、飛んでくるミサイルを躱し切った。それがフォースシールドの弱点を晒したことを、玲子は知らない。今の回避行動を見ていたブーツホルツは、即座に今の絶対防御が一度限りだと気付き始める。
「なぜ躱した? あれほどのシールドなら、躱すことなく突っ込んでくるはず…! なら、もう一度当てて確かめるだけだ!」
絶対防御が一度ならと思ったブーツホルツは確かめるべく、奇襲攻撃を行うため、機体をファイター形態に変形させ、電子戦装備を使ってキュートを騙し、玲子の視界より消える。
ステルス状態となったVF-22Sは、太陽を背にしての攻撃をするために更に上昇していた。
『敵機、ロストしました』
「あれ、逃げた? なら、今のうちに…」
キュートの知らせでブーツホルツが逃げたと誤認した玲子は、ターニャの救援に向かおうとしたが、太陽を背にしたVF-22の奇襲を受けた。
『攻撃、当機の上方より!』
「えっ、上!? あっ…!」
太陽の光に目をやられ、玲子は反応が遅れた。
「俺なら撃ち続ける!」
太陽を背にして奇襲したブーツホルツは反応が遅れた玲子のVF-25に容赦なくレーザーやガンポッドの掃射を浴びせ、敵機をハチの巣にする。ガンポッドの掃射を受けたVF-25Aは耐え切れず、火を噴いて地面へと墜落していく。
「キャァァァ!!」
『機体損傷! 航行不能! 直ちに脱出装置を作動させます!』
撃墜され、パニックを起こす玲子にキュートは脱出装置を作動させる。火を噴いて墜落していくVF-25を見ていたブーツホルツは、先の一撃はまぐれであると分かった。
「どうやら、今のはまぐれのようだな。もう少し腕を上げていれば、あのインチキを使わなくとも、俺を撃墜でも出来ただろうに」
撃墜した玲子に、ブーツホルツは悪く言わずに他のVF-25に苦戦する味方の救援に向かった。
同じく玲子が落とされたのを、敵機のVF-22Aを撃墜したフュカリタにも見えており、どさくさに紛れて脱走どころか、落とされたことに衝撃を受ける。
「玲子!? 落とされたの!? 応答して玲子! 玲子ぉぉぉ!!」
必死に玲子にコールするフュカリタであるが、今の彼女はキュートによって機体から脱出しており、既に戦場から逃げ去っていた。死んでいないとは知らずの玲子の仇を討とうにも、VF-25を包囲する連合軍機は多く、救出には向かえない。
否、一人だけ居た。ターニャ・デグレチャフ少尉である。
「ば、バカな!? 衝撃波でこの包囲を破っただと!?」
謎の衝撃波を放ち、自身を含めた部下の航空魔導士と捕獲のためのジンクスⅡ部隊を纏めて吹き飛ばしたターニャにスミスは驚愕する。彼女はこの世界にある技、即ちスキルを使ったのだ。
「スキル名、衝撃波。私の魔力と組み合わせれば、全方位バリア並みの威力だわ」
ターニャが使ったスキルは衝撃波であり、この世界に転生した少女であるハルより貰ったスキルの一つだ。ターニャはこのスキルに前世からの高い魔力とさらに加わったロリータ族の魔力を掛け合わせ、威力を増幅したのだ。結果、衝撃波は高い機動力と性能を持つMSのジンクスⅡを吹き飛ばす程であり、スミスが動揺を覚えのも無理はない。
「高魔力を誇る魔導士ですらこの衝撃は放てんぞ!? 一体なんだと言うのだ!?」
「そうか、お前たちはスキルを知らないんだな。まぁ、無理も無いな。こんなのも使えるぞ」
スミスが動揺する中、ターニャはハルより貰ったスキルをまた使う。それは炎魔法であり、ターニャの魔力も合わさって大きかった。それを自身の周囲にも召喚して一斉に放てば、スミス隊の航空魔導士らは直ぐに魔法障壁を張る。だが、その威力は衝撃波同様に魔力で上乗せされているので、容易に貫通して暗部の魔導士らを火達磨にする。
「な、なんて威力だ! オマケに追尾機能だと!? やはり奴は変異種だ! クソっ!!」
魔法障壁を容易く貫通する火の玉に続き、おまけに追尾機能まであるのでスミスは逃げる。だが、逃げ切れる訳が無いので、スミスは航空魔導士として戦闘に参加している現地世界の王国の王子を見付け、彼を盾にして防ごうとした。
「な、何をするのだ!? 私は王子だぞ!?」
「知った事か!」
「止めろ! 離せェ! わぁぁぁぁ!!」
無論、抵抗されたが、スミスは力尽くで捻じ伏せ、王子を盾にして追尾型炎魔法を防いだ。
「グゥゥゥ…! ミートシールドを重ねた魔法障壁でも防げんとは…!?」
王子を盾にして防ぎ切ったが、その火力を完全に自信を防ぎ切ることが出来ず、負傷したスミスは離脱した。ようやく包囲を抜けて自由になったターニャであるが、上官のアーデに貴重なバルキリーであるVF-25の救援を命じられる。
「手が空いているのはお前だけだな!? 直ちにVF-25を包囲している部隊を殲滅しろ!」
「私には…」
「見ていないと思っているのか!? 追尾型炸裂術式を使え! 周辺の敵は我々とお前の部下が何とかする!」
これにターニャは断ろうとするが、あの炸裂術式を見ているので言い訳できず、アーデからの命令に従ってVF-25に襲い掛かるブーツホルツなどが駆るVF-22シュトルムフォーゲルⅡに照準した。
「ちっ。主よ、我が戦友の脅威を払いたまえ!」
舌打ちしながらも詠唱を行い、全機をロックオンすれば、直ぐに前世で爆撃機の編隊を一掃した追尾型炸裂術式を放った。放たれた強力で前世よりも更に威力が増した魔弾は容易くVF-22を撃墜する。
『駄目だ! 躱し切れない!! うわぁぁぁ!!』
何機かは躱すが、ターニャもそれを見越して多めに放っており、一撃目を躱せても二撃目を躱せずに被弾して撃墜される。しかし、ブーツホルツは例外であり、機体をファイター形態に変形させ、避けようと必死に操縦桿を動かし、追尾型魔弾を躱し続ける。
「こんなところで、死んでたまるかァ…!」
部下を殺され、自身にも死神の鎌を喉元に突き付けられるが、ブーツホルツは諦めず、強烈なGを耐え切りながら死の魔弾を躱し続ける。身体が潰れるような機動を行っており、ブラックアウトしてもおかしくない状況であるが、ブーツホルツはそれらを諦めない決意と精神力で捻じ伏せ、死の瞬間から逃れ続けている。ブーツホルツの生への執着心にターニャは驚かされる。
「なんだあのパイロット!? あの機動ではGで身体が死ぬぞ!?」
無茶な回避機動を取りながら追尾型魔弾を躱し続けるブーツホルツに、ターニャも驚愕していた。彼女の言う通り、ブーツホルツが乗るVF-22は人が死んでもおかしくない飛行を行い、命を刈り取らんと迫る魔弾を躱し続けている。他のパイロットたちもブーツホルツの執念に驚かされていた。
「ぬぁぁぁ! アァァァ!!」
Gの影響で目に血が溜まり、全身を圧し潰されそうになろうとも、ブーツホルツは自身の執念と精神力を耐え、魔弾を躱し続ける。最後に追尾して来た三発を機体を回転させながら躱し切った。
「そんな馬鹿な…!? 全て躱しただと!?」
「なんてパイロットだ!? あれを躱し切るなんて!?」
ターニャも含め、一同はブーツホルツの執念に驚愕した。生への活力と精神力で、ブーツホルツは死神の鎌より逃れたのだ。ターニャの攻撃を躱し切ったブーツホルツは、当然の如く血反吐を吐いた。
「ブハッ! や、やったぞ…! 俺は生き延びたぞ!!」
生き残ったことを喜ぶブーツホルツであったが、ターニャが逃すはずが無く、コクピット近くまで彼女は迫っており、G36A突撃銃を向けていた。
「なっ…!?」
キャノピー越しに見えるターニャに、まだ逃れられていないことを知ったブーツホルツは絶望し、言葉も無かった。ターニャは慈悲もなく砲撃術式をコクピットに撃ち込んで彼のVF-22を撃墜した。
「お前はよくやったよ。だが、ここが戦場だと言うことを忘れていたようだな」
自身のあの炸裂術式を躱し切ったことを褒めたが、ここが戦場だと忘れ、安心しきってしまったブーツホルツを責めつつ、ターニャは補給の為に離脱しようとした。
だが、一難去ってまた一難。新たな脅威か存在Xの差し金か、新たなる敵がターニャに迫る。
「居るじゃねぇかァ…! 滅茶苦茶に強ェ奴がよォ!」
それは、増援としてこの世界にやって来たヴィルヘルム・エーレンブルグことベイであった。彼を見たターニャは、即座にただ者ではないと判断した。
ベイがターニャと会敵する十分ほど前、帝国再建委員会の侵攻軍に参加しているテキサス軍は、委員会の人機旅団の援護を受けつつ快進撃を続け、首都近くまで迫っていた。
「な、なぜ女たちにこうも容易く…!」
未だ女性らを見下す現地世界の貴族部隊である門閥貴族軍は、帝国再建委員会より装備が劣るテキサス軍に押され、壊滅状態に陥っていた。支援部隊も居るが、これも委員会の人機旅団に押されいる。
「おのれ! 女の分際で男に逆らいおって! 女は男に従うのが世の理なのだぞ!!」
負けを認められず、門閥貴族軍は銃を持った敵軍に騎兵突撃を行うが、屍を増やすばかりで無意味であった。
「このホアには黄金の銃がある! この銃は貴様らを粉砕する伝説の…」
門閥貴族軍に属する貴族の一人、ホアはホルスターに仕舞ってある金メッキで塗装したルガーP08自動拳銃を取り出し、この銃ならテキサス軍を粉砕できると言っていたが、所詮はただの銃であり、眉間を撃ち抜かれ、騎乗していた馬から転げ落ちる。
そのホアの死体は逃走する貴族軍の騎兵隊の馬に次々と踏まれ、惨たらしい死体へと変わった。
「敵軍撤退を開始!」
「追撃するわよ! 戦車に乗って!」
テキサス軍の第29歩兵師団に属するアリー・ヒップマン少尉は、ホアを射殺したと思われるM16A1突撃銃の再装填を行い、部下に追撃を命じ、後続のM4A6シャーマン戦車を止めて車体に乗り込む。
「ぐあぁ…!?」
他の場所では、間違えたのではないかと言う出で立ちのイヴ人、カウガールと言うべきか、軍用リボルバーであるコルトM1917一丁で現地軍を圧倒していた。凄まじい早撃ちであり、援護の為に出ていたワルキューレの歩兵部隊も次々と撃たれて倒れていく。
撃っているリボルバーの弾が切れれば、ルシル・ジャベリン中尉は悪癖なガンプレイのような再装填を行う。
「私の革命的リロードを見ろ!」
そう叫んだルシルは、ポーチから出した弾薬をシリンダーに向けて投げ入れると言う再装填を行う。戦場において余りにも悪癖な再装填の仕方だ。M14自動小銃やM16A1突撃銃を持つ部下の援護が無ければ、今頃は敵兵が持つ英国製FALことL1A1自動小銃によって射殺されていた事だろう。
再装填を済ませた彼女は再び早撃ちを行い、一気に六人の兵士を射殺、もしくは負傷させた。今度はあの悪癖な再装填は行わず、普通にポーチから弾薬を取り出して装填している。
「何発撃ったか覚えていないな。覚えてるか?」
「いえ」
「まぁ良い。ついてこい、あそこを突破するぞ」
何発撃ったか覚えていないと口にしたルシルは、後ろに立つ部下に覚えているかどうかを問えば、彼女も覚えていないと答えた。これにルシルは気にすることなく、自分が指差した方向を突破すると言ってそこへと部下を引き連れて向かった。
帝国再建委員会の本隊のみならず、雇われ兵の集まりであるテキサス軍も強く、テキサス軍が担当する戦区に居るリップシュタット連合軍は他の場所と同様に押されていた。
だが、テキサス軍の快進撃はここまだ。何故なら、そこに連合軍の増援、否、第三勢力と言うべきか、ヴィルヘルム・エーレンブルグことベイが来たのだから。
「おうおう、やってるなぁ! それに天気も良い曇り具合じゃねぇか!」
天候が曇りであることから、ベイはそれを大いに喜んでいた。彼は似非吸血鬼と呼ばれる所以は、日光の光が耐えられないアルビノ体質だからである。太陽の光は完全に雲で遮られている。本来なら夜の方が良いが、ベイを焼く日光は無い。
「夜まで大分時間があるな。ちょいとウォーミングアップと行くか!」
腕時計の針を見て、ベイは夜まで大分時間があると分かれば、それまでの時間つぶしの為、目前の敵味方構わず、自身の能力か、不可視の杭を大量に無差別に放った。
突撃してくるテキサス軍を迎撃するために展開した現地軍とワルキューレ陸軍の支隊は背後からベイが放った大量の不可視の杭に突き刺されて次々と死んでいく。ベイに取って彼ら彼女らは味方では無いのだ。
「な、何!? あれ…!?」
無数の杭は見境なく、突撃したテキサス軍の戦車部隊にも不可視な杭が突き刺さる。その威力は戦車の前面装甲を容易く貫き、突撃したテキサス軍のM4シャーマンやM48パットンを含める戦車部隊は壊滅した。これにはアリーを始め、ルシルらテキサス軍の者たちは驚愕する。
「一体、何が…!?」
「ちっ…!」
車体の上よりベイの無差別攻撃を見ていたアリーが驚愕する中、ルシルはリボルバーによる狙撃を行う。500メートルは離れているだろうが、ルシルはリボルバーでそれを成功させてきた腕を持つガンマンだ。しっかりと腕を固定させ、高台に居るベイを狙撃した。
「あぁん、ピストル弾の狙撃だァ?」
あの距離を拳銃弾で狙撃し、当てたルシルの腕は超一流だ。だが、ベイはそれを遥かに凌ぐ人知を超える存在であった。左手に掴んだ拳銃弾で狙撃した距離を計算し、ルシルの位置をベイは割り出した。
あれほどの距離をピストルで狙撃したルシルは、微かに見える標的がまだ生きていることに驚く。無理もない事だ。
「ピストルで俺を狙撃するとは、褒めてやりたいところだがよ…ここは戦場だぜぇ? そこだなぁ!?」
そこへ行くこと無く、ベイは不可視な杭を打ち込んだ。飛んでくる杭は見えないため、ルシルの背後にいる部下を含めるテキサス軍の大勢の歩兵が杭に突き刺されて死亡する。これにルシルは思わず尻もちを着き、身震いを始める。他の将兵等も同様であった。
「な、何が…何が起きたの!?」
全く銃声が聞こえず、突然の如く大勢の味方が死んだことにアリーはまたしても驚愕した。不可視な杭を遠距離より放ったベイは、自分の狙撃が失敗したことに苛立っていた。ルシルのような常人が出来るなら、超人たる自分も出来ると思っていたようだが、標的にした彼女に一発も当たらないことが彼の癪に障ったようだ。
「あぁ!? なんで当たらねぇんだよ! たかが単一生物如きのピストルで当てられる距離だぞ!? クソが!」
苛立ちながらベイはその場から移動を始める。そんなベイの足に無差別攻撃を生き延びた現地の貴族が掴み、助けを請う。ただでさえ苛立っているベイは自分の攻撃で生きている瀕死の貴族を睨み付ける。
「た、助けて…! いくらでも、出すから…!」
「あぁ? てめぇ、なんで生きてん、だッ!」
助ければ報酬は弾むと言う貴族に対し、ベイは瀕死の男の顔を思いっ切り蹴飛ばした。その威力は全速力の大型車の突進クラスであり、瀕死の貴族の頭は跡形もなく吹き飛んだ。貴族の頭を蹴り飛ばしたベイはルシルの元へと全力で向かう。
常軌を逸した速度で接近して来るベイに、後続も含めたテキサス軍は一斉に攻撃を始める。ベイの身体は鋼よりも強靭であり、銃弾を軽く弾いていた。戦車砲を放たれるが、動きが速いために当たらない。M1919搭載機銃やM2ブローニング重機関銃、M60機関銃、M240機関銃ですら当たらない。
「な、なんて速いの!? 化け物!?」
M4戦車の砲塔に搭載されたM2重機関銃を撃つアリーはベイの余りの速さに驚愕する。ルシルはベイを脅威と判断し、得意の早撃ちで迎撃しようとするが、放ったのは拳銃弾であり、全く効きもしない。
「ハハハッ! どうした、どうした!? そんなんじゃ俺は殺せねぇぞ!」
足を止めればベイは周辺に向けて不可視の杭を放ち、周辺のテキサス軍の将兵を殺傷する。
「何なのあいつ!? 車長、後退して! 車長!?」
これに驚いたアリーは自分が乗っている戦車の車長に後退するように言うが、車長と乗員は先のベイが放った不可視の杭による攻撃で死亡していた。
「撤退! 撤退!!」
「おーい、待てよ」
ベイに敵わぬと判断したアリーは即座に戦車から降り、部下らや味方と共に逃げようとするが、気性の荒い男が逃すはずが無く、不可視の杭を打ち込まれ、数十名が死亡し、彼女も不可視の杭を受けて倒れ込む。幸い、当たり所が良く、大事には至らなかった。直ぐに這いずって逃げるも、歩いて近付いてきたベイに首根っこを左手で掴まれて持ち上げられた。
「お前、運が良いなぁ? 大好きだぜ、運が良い奴はよ!」
自分の攻撃を受けても生きているアリーの運の良さに、ベイは自分の好みを言いつつ、怯える彼女にとどめを刺そうとしたが、背中をM14自動小銃の銃剣で突かれた。ベイの身体は鋼以上の硬いので、銃剣は刺さらない。
自分の背後から銃剣を突き刺した兵士に対し、ベイは舌打ちしながら振り向き、空いている右拳を叩き付ける。怒り任せの右拳によるパンチを受けたその兵士の上半身は引き千切れ、下半身は地面に倒れる。
「ムカつくくらいに運の良い奴だな、お前。その運の良さ、俺にもちっとは分けてくれよぉ?」
「ひっ、ひぃぃぃ!? 助けて! 助けてェェェ!!」
味方の兵士の上半身が引き千切れるほどの腕力を持つベイに恐怖したアリーは泣き叫んで助けを請うが、部下を含めて誰もがベイから逃げようと必死に逃げていた。そんな彼女を助けるのは、ガンマンであるルシルである。
正確な射撃でベイの眉間に向けて一発ほど撃ち込んだが、前に述べたように彼の身体は鋼以上だ。容易く弾かれてしまい、無駄玉に終わる。
自分をピストル弾で狙撃したルシルを見て、ベイはアリーを投げ捨ててから問う。
「お前かぁ、ピストルであの距離から俺に当てたのは?」
これにルシルは答えることなく得意の早撃ちでベイを撃つが、全く効きもしない。ベイの次なる標的が自分となったところで、ルシルは勝てそうな部隊である人機連隊の所に行こうとしたが、彼の注目は別の方へ向いた。
それはこの付近でブーツホルツ等と交戦していたターニャであった。彼女の高過ぎる魔力を感じ取ったベイは、ルシルらを無視してその方向へ視線を向けた。
「居るじゃねぇか、強ェ奴がよぉ!」
ターニャの位置を掴んだベイは、アリーやルシル等を無視してそこへと飛んでいった。
「た、助かった…?」
「死ぬかと思った…」
余りにも手に負えなさ過ぎるベイがターニャに向かったところで、負傷しているアリーはまだ生きている事を疑問を抱き、ルシルはカウボーイハットを脱ぎ、膝から崩れ落ちて安堵した。
テキサス軍全体もベイがターニャの所へ向かったことに感謝していた。あのまま彼と戦っていれば、テキサス軍の壊滅は確実だっただろう。対峙することになるターニャに取っては、最悪な事この上ないが。