【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争   作:ダス・ライヒ

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名前:真下一元(ました・かずもと)
性別:男
年齢:25歳
階級:軍曹
所属:帝国再建委員会 義勇空軍航空魔導士
武器:FAL自動小銃
概要:行く当てもなく、帝国再建委員会に流れ込んだ風来坊。市民権が手に入ると聞き、労働者から軍に志願し、魔力適性があったのか、強制的に航空魔導士にされる。そんで激戦区に放り込まれた。
義勇兵の演算宝珠は旧式であり、ターニャの前世の物とは違って幾度か小型化されているが、重い。

ウィリー・アーメンガード
黒人と化したヴァイス。だが、スキンヘッドで所帯持ち。後にターニャの部下となる。
幼女の過去編では、義勇軍の航空魔導士部隊に属していた。


ガイエス平原での決戦 その5

 帝国再建委員会の本隊がベルンブルク領本土に雪崩れ込んでいく中、背後を守る常備軍と義勇軍は、リップシュタット連合の増援を押し止めていた。増援の数は連合軍以上であり、長く押し止めるのは限界であった。

 

「畜生! こうなれば入るんじゃなかった!!」

 

 帝国再建委員会で採用されている旧式の演算宝珠を装備し、古いライフルであるFAL自動小銃で押し寄せる連合軍の増援を迎撃する義勇軍航空魔導士の一人、真下一元軍曹は、帝国再建委員会に入るんじゃなかったと今更ながら後悔した。

 一元は嘆きつつも、敵が都合を考えることなく物量に任せて突っ込んでくる。MSのヘリオンやイクナト、リカルドにフラッグ、ティエレン全領域型、連合軍共通装備のジンクスの大群が一挙に押し寄せ、その後から戦闘機やバルキリーの大群が圧し潰さんと迫る。

 地上では三ヶ国特有兵器であるメックが地を埋め尽くし、背後から歩兵や戦車、戦術機の大群が押し止める帝国再建委員会を圧倒していた。

 

「嫌だ! 俺は死ぬのなんて御免だ! 俺は逃げるぞ!!」

 

 連合軍の過剰な増援部隊に、義勇軍の航空魔導士の一人が逃げるのは無理もなかった。それを脱走兵の上官であるウィリー・アーメンガードは止めようとするが、脱走兵が聞く耳を持つはずが無い。

 

「あっ、待て! 逃げるんじゃない! 押し止めるんだ!!」

 

「馬鹿やろうが! イヴ人のために死ねるか! 俺は俺の為に…」

 

 ウィリーの静止の声を聴かず、脱走兵は装備を持ったまま逃げようとするが、連合軍に側面攻撃を行う敵魔導士と勘違いされ、集中砲火を浴びて死亡した。これを同じく義勇軍として戦う他の航空魔導士等は嘲る。

 

「フン、逃げるからそうなる!」

 

「そんなことをしている場合があったら、奴らを押し止めろ! 本隊が連合軍の大将を抑えれば、こちらの勝ちだ!!」

 

「つったって、こんな数をどうやって抑えるんだ!?」

 

 死んだ脱走兵を嘲た部下らを叱りつつ、ウィリーは本隊がリップシュタット連合の大将を討ち取るか捕らえるまで持ち堪えろと指示を出し、押し寄せる敵を砲撃術式で撃破し続ける。

 確かにターニャやカヤたちが敵の大将を殺すか捕らえることが出来たならこちらの勝利だ。だが、それまで持ち堪えられるかどうか分からぬ数の敵の大群が迫っている。これに一元は文句を言いつつ、生き残るために必死で迫りくる敵を撃破し続けた。

 

「大将! 逃げましょうぜ! このままじゃ俺たち殺されちまう!」

 

 地上のアムレートも同様で、叩いても叩いても出て来るメックを斬り続けた。だが、敵は絶え間なく出て来る。それに部下の一人が一機のメックをRPG-7対戦車火器で撃破し、逃げようと上官であるアムレートに提案する。

 無論、アムレートには行く当てがない。メックを大剣で叩き切った後、脱走はしないと部下に返した。

 

「逃げて何処へ行こうとする? 行く当てがあるのか? それに逃げたとしても、委員会は俺たちを見付け、必ず殺す。行く当ても目的もなく、生きるために逃げ続けるのか?」

 

「はっ、大将らしいや! なら本隊が勝つまで、一人か一機でも多く道連れにしてやるぜ!!」

 

 アムレートの返答に、逃げ出そうとしていた部下は納得してAK-74突撃銃を手に取って後続の敵歩兵を倒し始める。

 事実、アムレートのような帝国再建委員会に拾われた人間たちは、何処へ行く当てもない者ばかりだ。流れ者として職を転々とするか、死に場所を求めて戦場を渡り歩くか、あるいは野垂れ死にするか三択しか選べないのだ。

 特に帝国再建委員会に拾われ、忠実な兵士として育てられた孤児らは強く、圧倒的物量を前にしても臆することなくイヴ人の為に戦い続けている。

 

「なんだこいつ等!? この数を前にして逃げもしない上に向かってくるぞ!」

 

 大量投入されたメックとMS、戦術機で物量的に圧倒しているはずの連合軍の増援部隊であるが、死を恐れずに立ちはだかる帝国再建委員会のMSであるランドマン・ロディに獅電に正規兵らは恐怖を覚える。

 多勢な連合軍に立ちはだかる両機は共にナノ・ラミネート装甲が施されており、そればかりか士気も高い孤児らが乗っているので異様なまでに強く、物量で圧倒しているはずの連合軍のパイロット等が逆に圧倒されるばかりだ。例え戦闘不能になろうが、一人でも多く道連れにする為、自爆攻撃をするために突っ込んでくる。

 旧式の戦術機であるF-4ファントムやMiG-21バラライカと言った機体に乗る者も同様である。

 

「イヴ人さまの為にッ! うわあぁぁぁ!!」

 

『こ、こいつ等! 両腕も無しに自爆攻撃を!? わぁぁぁ!!』

 

 両腕を破壊されたランドマン・ロディに乗る少女は、自分を我が子のように育ててくれた帝国再建委員会に恩と忠誠を果たすため、自爆攻撃を敢行した。自爆攻撃を敢行したランドマン・ロディや獅電に恐怖した連合軍のMSや戦術機は阻止するために弾幕を張るが、彼に彼女らの委員会の狂信的な忠誠心を砕けるはずが無く、自爆攻撃に巻き込まれて大損害を被る。

 上空のMSのガン・イージー、人機の空戦型モリビトも同様で、戦闘不能になれば道連れにしようと自爆攻撃を行う。流石に味方の常備軍や義勇軍の将兵等も、この狂信的な孤児たちの戦いぶりに畏怖を覚える。

 

「なんて忠誠心だよ、おい。なんで、イヴ人なんかの為に自分の命を簡単に投げ出せるんだ…!? おかしいだろ…!」

 

 付近でウィリーらと共に戦っていた一元は、孤児らの狂信的な戦いぶりに疑念を抱き始める。彼ら彼女らも行き場も無いのだ。そんな自分らを我が子のように思ってくれる委員会に、少しでも恩返ししようと思っての事だろう。自分が生きる事しか頭に無い一元には、理解できぬ行動であるが。

 

「が、ガンダム…! こ、こんなのとやれって言うのか…!?」

 

 連合軍を恐怖させるおは孤児兵の狂信的な行動ばかりではない。常備軍には数機のガンダムが配備されており、乗っているイヴ人のパイロットの技量も重なり、鬼神の如くの強さであった。

 上空では太陽炉搭載型ガンダム数機が数十機のVガンダムと共同戦線を張り、物量で勝る連合軍を押し止めている。地上には伝説的存在であるガンダム・フレームも二機ほど配置されており、鬼神の如くの強さで押し寄せる連合軍の機動兵器を次々とスクラップにしていた。

 

「だ、ダイヤの為に、俺たちに死ねって言うのか…! 上層部の連中は!?」

 

 孤児兵の狂信的な戦いぶり、数十機のガンダムを前にした連合軍の将兵等は、たかがダイヤの為に死ねと言う上層部に怒りが芽生え始めていた。

 

 

 

 高い魔力と前世の戦闘力を保持したが故に、ヴィルヘルム・エーレンブルグことベイに目を付けられてしまったターニャは、誤魔化そうと思ってか、幼女の真似をする。

 

「えーん、えーん! 白髪で怖いサングラスのおじさんが睨んでるよぉ! ターニャ無理やりおねえちゃんたちに戦争させられてるの! えーん、えーん!!」

 

 前世で得た完全なる幼女その物で、ベイの魔の手から免れようとするターニャであったが、当の彼は誤魔化せなかった。何故なら似たような人物を知っているからである。

 

「おい、幼女の振りなんかしてじゃねぇぞ! そんなんで俺の目を誤魔化せると思ってんのかァ? 悪いが知り合いに似たような奴がいるんでなァ、大体のことは分かるんだよ!」

 

「み、見た目も幼女な私の幼女真似が通じんとは…!? こいつは不味い! だがッ!!」

 

 ただの幼女ではないことを看破されてしまったターニャであるが、既に地に居るベイの背後にはフェリーチェが来ており、逆さに持ったMG3汎用機関銃のストックで後頭部に強く殴打する。

 

「これで木端微塵…!?」

 

 凄まじい威力であり、通常なら頭が木端微塵に吹き飛んでいる程だが、ベイは超人の類だ。よろける程度であり、後頭部を殴られたベイは自分を殴ったフェリーチェを睨み付け、強力な右拳を打ち込んだ。

 

「何すんだババアァ!!」

 

「うげェ!?」

 

 この避け切れない強力なパンチにフェリーチェは咄嗟に魔法障壁を張るが、完全に防ぎ切れず、吹き飛ばされた。あの熟練の航空魔導士であるフェリーチェが吹き飛ばされたことに、アーデらを始めとした第6大隊の者たちは驚愕する。

 

「不意打ちとぁ、考えたもんだなぁ? だがな、そんなもんで俺は殺せねぇぞ!!」

 

 後頭部を抑えつつも、ベイは不意打ちを食らわせた彼女らを責め立てることなく、むしろ褒めて攻撃してくる。その標的はターニャのであり、直ぐに周囲の部下らとアーデも含めて砲撃術式を行うが、ベイを倒すことすら敵わない。

 

「効かない!?」

 

 アーデが驚愕する中、ターニャに空高く飛翔したベイの手刀が迫る。これを寸でのところで躱し、反撃の蹴りを相手の胴体に入れ込むが、何度も述べた通りベイの身体は鋼以上だ。逆にターニャの左足に激痛が走った。

 例えるなら、硬い物に思いっ切り蹴飛ばしたような感覚だ。それを感じたターニャは蹴った左足を思わず抑えてしまう。そんなターニャにお構いなしに、ベイはかかと落しを食らわせる。

 

「痛ぇだろぉ? なぁ、痛ぇだろぉ!?」

 

 無論、ターニャのただ者ではない。かかと落しを躱し、今度は至近距離から爆裂術式をベイに向けて放つ。この爆風をターニャは防御術式を展開して防ぎ切った。あの距離で爆裂術式を受ければ、対象は死んでいるはずだ。ターニャはそう思った。

 

「死んだか?」

 

「今のは、ほんのちょいと痛かったぜッ!」

 

 ベイは生きており、少しのダメージが入っていたようだが、見る見るうちに傷は癒えていく。今のは少し痛かったと言いつつ、ベイは反撃の手刀を繰り出してきた。驚きながらもターニャは躱し切り、即座に離れて部下や他の大隊の者たちが放つ爆裂術式の集中砲火より逃れる。

 今度こそはと思っていたが、ベイには大したダメージを与えられていない。そればかりか反撃の不可視の杭の無差別攻撃で多数の味方が死傷する。ベイの味方であるはずのナチス軍を始めとした連合軍にもだ。これにアーデは大隊長に、エリカの高速中隊に対応させるように要請する。

 

「大隊長、あいつは異常すぎます! ホルシュタインの隊を!」

 

「えぇ! 高速中隊、直ちに敵能力者に対処せよ!」

 

 これに応じ、第6大隊の長はエリカの隊に支援を要請した。直ぐにエリカの隊は現れ、自由落下中のベイに向けて攻撃を行う。

 

「速ぇなっ! だがな、その程度じゃ俺は殺せねぇぞ!!」

 

「っ!?」

 

 高速機動しての連続した砲撃術式に対し、ベイは無数の不可視の杭を放ち、エリカの隊の二名を仕留めた。高速の航空魔導士に当てたことにエリカは驚きつつも、誰もついて来れない自分の高速の体当たりは耐えられないと判断して、全速力でベイに突っ込む。その速さ、まさに音速。音を置き去りにしたエリカは銃剣をベイに向けながら突っ込んだ。

 目にと止まらぬ、音速で突っ込んでくるエリカに、ベイは動じることも無ければ怯むことなく、笑みを浮かべて迎え撃つ。やがてエリカが銃剣をベイの胸に突き刺したが、深く突き刺さることは無かった。

 

「上出来だよ、お前は。だがな、形成を使うまでもねぇよ!!」

 

「グハッ!?」

 

 そう言ってエリカの腹に膝蹴りを打ち込み、血反吐を吐かせた後、背中を右手で叩き、地面へと叩き落そうとする。そのまま落下すれば、エリカの死は確実なので、部下を含める他の航空魔導士らは彼女を数人がかりで受け止め、後方へと退避した。

 

「ホルシュタインが敵わない…だと…!?」

 

 アーデはフェリーチェやエリカですら敵わぬベイを畏怖する。ターニャを含めた他の航空魔導士も同様であった。

 

「さて、スラヴの薄汚ねぇ餓鬼。今度こそ血祭りに上げてやるぜ!」

 

 一同が恐怖している間に、地面に降り立ったベイは再び地面を蹴り、空高く飛翔して再びターニャを攻撃し始める。

 

『誰か! 誰か援護を!!』

 

「デグレチャフ少尉の救援要請は無視しろ! 出来るだけ奴から離れるんだ!!」

 

「おいおい、餓鬼があんなのと戦ってんだぜ! 加勢するのが…」

 

「死にたくなければ従え!」

 

「お、おう…」

 

 再びターゲットとなったターニャは救援を請うが、誰もが応じようとしない。アルフィンは応じようとしていたが、大隊長の気迫に押され、指示に従う。アーデを含め、大隊長もターニャを生贄にそこから離れようとしていた。

 

「なんで誰も来ないんだ!?」

 

 誰も助けに来ないことに、ベイの追撃を躱しながらターニャは疑念に思う。逃げたアーデらを除き、他の者たちは目前の敵の対処に追われ、ターニャを助ける暇も無いのだ。

 

「あの空軍の変異種が救援を請う? 無視しろ。我々は敵の総本山まで前進せねばならない!」

 

 少なからずの被害を出しながらも、敵を撃破しながら突き進むシェイファー・ハウンド戦闘団を率いるカヤは、ターニャの要請を無視して第71歩兵師団を後衛にベルンブルク領の首都まで前進した。

 

「助けたいけど、こっちも手一杯なの!」

 

 アマガネもターニャを助けたい気持ちはあるが、アガサ騎士団のグフやグレイズに阻まれ、それどころではなかった。

 

「なんか、可哀想だけど。命令だから仕方ないよね…」

 

 第71歩兵師団の狙撃班に属するチェンバーレインは、ターニャがベイに攻撃されているのを見ていたが、命令なので所属師団と共に続いた。

 

「変異種の分際で我々に助けを請うのか? 化け物は化け物と遊んでいろ! 我に続け!!」

 

 ターニャの要請は進撃していたミロスラーヴァの航空団にも届いていたが、ロリータ族らしくない彼女のことを不快に思っており、一機も援軍に寄越すことなく進撃を続けた。

 

「大隊長殿、第6大隊のデグレチャフ少尉が救援を求めてますが?」

 

「無視しなさい。命が欲しければね!」

 

「は、はい…」

 

「あの子、可哀想…」

 

 第5大隊にも届いていたが、あの戦いを見て応じる者は誰一人いない。フォルモントを始め、ファルカも見たので応じない方が良いと思った。

 

「救援要請? 応じる…訳ないよね?」

 

『当たり前です。我々は脱走兵なのですから』

 

 ブーツホルツに撃墜され、脱出した玲子とキュートの元にもターニャの救援要請は届いていたが、逃げようとする彼女らが応じられる訳が無いので、無視して装備を纏め、その場から離れる。

 

「応じる必要はない。誰かがやるだろう。我々は攻撃目標まで前進だ」

 

 第1大隊を率いるヴィルヘルミーナも、ターニャの要請に応じることなく、隊を率いて攻撃目標まで向かって行った。

 

「行きたいけど、こいつが邪魔で行けない!」

 

『シャハハハ! 余所見はいけませんぞ! 余所見は!!』

 

 ターニャの要請に応じようとする者も居た。その名はナーニャであり、Ex-Sガンダムに乗っていた。だが、今の彼女はルルモードのジョングに阻まれ、向かえない。

 

「なぜ誰も応じないんだ!?」

 

 帝国再建委員会に置いて、誰一人ターニャの助けに応じる者は居なかった。これを知ったターニャは絶望するも、ベイの攻撃を躱し続ける。相手が空が飛べないので、空中高く逃げようとしても、ベイはそれを物ともせず、周りにある物を使ってこちらへ上がって来る。

 ベイからは逃げられない。ターニャが絶望した時、自分の救援に応じる者が現れた。敵であるはずのアガサ騎士団の騎士、ジン・グレイツァ・エルバーンだ。敵味方関係なしに見境なく攻撃するベイに怒りを覚え、成敗する為、数名の賛同者と共にやって来たのだ。

 まさかの敵が自分の救援に応じたことに驚くターニャのであるが、ベイの注意がジンに向いている隙に、空高く上昇する。

 

「やい、化け物!」

 

「なんだぁテメェら!?」

 

 獲物を追い立てている最中に邪魔されたベイは怒り、不可視の杭による攻撃を行う。これに一人の騎士が甲冑ごと貫かれて死亡したが、騎士たちは怯まない。

 

「俺は代々、悪事を見逃すなと教えられてきた…!」

 

「いきなり出て来たと思ったら、何の用だァ?」

 

「例え友軍であろうとも、味方諸とも敵を潰す貴様は俺の敵だ!! 俺の名はジン・グレイツァ・エルバーン! 貴様を成敗する騎士だ!!」

 

 ジンは名乗ってから、仲間たちと共にベイに無謀にも立ち向かっていった。

 

「出る時代を間違えてねぇかァ…? テメェらはよ!!」

 

 向かって来るジンたちに対し、ベイは苛立ちながら対処に当たる。斬りかかって来た一人を不可視の杭で殺害すれば、二人目の斬撃を躱し、手刀で首を撥ねる。三人目であるジンに対しては、蹴りを入れ込もうとするが、大剣で防がれる。

 ベイの蹴りは大剣を容易く折り曲げたが、ジンは承知の上で大剣を盾にしたのだ。ジンは折れ曲がった大剣から手を放し、素早く抜いたレイピアを渾身の力でベイの胸を突いた。シルバリー合金のレイピアの刀身はベイの胸に突き刺し、渾身の甲斐あって背中まで貫通していたが、心臓がある中心部からはズレていた。

 これにベイは怒ることなく、むしろ驚愕するジンを褒め称えた。ベイは強敵ならば、どんな人物であろうと敬意を払うのだ。

 

「なっ!?」

 

「惜しかったな! もうちょっと真っ直ぐぶっ刺してたなら、俺は殺せてたぜぇ…! もうちょっとでなッ!!」

 

 驚愕するジンに向け、ベイは称賛代わりの蹴りを入れて吹き飛ばす。蹴り飛ばされたジンは近くの岩に激突して気を失う。全身の骨は砕けているが、まだ息はあった。

 

「さぁて、スラヴの餓鬼は…? あぁん、どこ行った?」

 

 邪魔をしに来たジン等を片付けたベイは、ターニャの始末を行おうとしたが、自分が目を離した隙に居なくなっていることに気付き、空を見上げて探す。

 

「主よ。我が身の危機を取り除き、我を救いたまえ…!」

 

 相手が自分を見失っている間に、ターニャは神に対する祈りの言葉を述べる詠唱を行い、起死回生の一撃をベイの顔面へ向けて放つ。構えているG36A突撃銃の銃口より放たれた強烈で光の速さの魔弾は、真っ直ぐとベイの顔面に向けて飛んでいき、彼が気付いた頃には既に命中した後だった。

 

「あっ…?」

 

 飛んでくる魔弾を受け、そのハトが豆鉄砲を食らったような表情を浮かべたベイの顔面は爆発した。それを見ていたターニャは大いに喜ぶ。

 

「やったぞクソったれ! ざまぁ見ろォ!!」

 

 ベイの顔面を爆破したことで、ターニャは幼女らしく嬉しそうに喜ぶ。なんたって一番時間の掛かる技で強敵を倒せたのだ。これには誰にだって喜ぶ物だ。

 果たして、あれでベイを倒せたのであろうか?

 鋼のような強靭な身体を持つベイがあれで倒せるとは思えない。ジンのシルバリー合金のレイピアの渾身の突きで、ようやく貫通できたのだ。爆発で起きた煙が晴れた後、喜んでいたターニャがそれを見て絶望的な表情を浮かべる。

 

「やってくれたなぁ、テメェ! この俺に形成を使わせるとはな! 誇れよスラヴの餓鬼、俺を本気にさせたことをよォ!!」

 

 頭を吹き飛ばされたはずのベイが無傷で生きていたのだ。サングラスは吹き飛んで無かったが、整った顔立ちがターニャを睨み付ける表情に変わっている。更に雰囲気が変わり、先よりも恐ろしさが増している。ベイは今まで遊んでおり、ようやく本気になったのだ。

 ベイを怒らせ、本気にさせてしまったターニャは震え、この場から逃げる事ばかりを考えていた。




次回、ベイさん激おこぷんぷん丸。

他にも色々と戦っている方がいるので、次回で決着をつけさせようかと思います。
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