第四次にシグルドが乱入したそうです   作:ぴんころ

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間桐はHFですでに召喚されてるアサシンを触媒に真アサシン召喚したし。
ケイネス先生は魔力供給の回路を分割するとかいう手段使ったし。
召喚の際に特殊な条件付すればいけるっていうから……

あ、ちなみに適当に書いたので続編があるかどうかは……


召喚への介入って色々あるし問題ないよね

 イギリス、ロンドンに存在する時計塔とは、裏の人間であれば誰もが知っている魔術師たちの総本山。

 四十を超える学生寮と百を超える学術棟、そしてそこに住む人々を潤す商業から構成されるこの学術都市の一角にて。

 一人の男が、未来へ向けた(科学技術の)発展から背を向けた魔術師には似つかわしくない携帯電話を手に取った。

 彼は液晶に表示されている名前を一瞥して、近しい人物でなければ気がつけないほど小さく、表情を緩める。

 

『授業中だったかしら?』

 

「いや、この時間帯は別に講義とかはないけど……何かあった?」

 

『触媒が届いたのよ。これ、どこに置いておけばいいのかしら』

 

「あー、重たいなら玄関先から動かさなくても別にいいよ。帰ったら工房に持ち運ぶし」

 

 触媒。魔術師には聞き慣れたものではあるが、この場合は意味合いが違う。

 極東、男の出身地でもある日本と呼ばれる国の一都市、冬木と呼ばれる街で行われるとある魔術儀式へ向けて取り寄せたもの。

 その儀式の名は聖杯戦争。七人の魔術師が英霊を従えて万能の願望機、聖杯を巡る争いである。

 であればこそ、その魔術儀式に関わる触媒とは、英霊召喚の縁となるもの。人類史に自らの生き様を焼き付けた人理の影法師達の生前に深い関わりを持つものを指す。

 

『そう、工房ね。とりあえず、机の上にでも置いておくわ。あとで魔法陣も描くでしょうし』

 

「運ばなくていいって言ってるのに」

 

『運んではダメ、というわけではないのでしょう? だったら……』

 

「ああ、うん。ありがとう」

 

 故、当然のことながらそんな触媒の取り扱いを任せられる相手というのは限られてくる。

 召喚する英霊とは、人類史に名を刻んだ英雄。彼らには生前の死因という弱点すらもそのまま再現されている以上、呼び出す英霊のことを知る人物は少ない方がよい。

 つまり、極限まで信頼できる相手。彼が電話をしている相手もその類。家同士が決めた、今現在は良好な関係を築いている婚約者である。

 

「あ」

 

『あら、どうかしたの?』

 

「いや、足音が聞こえてきた。ちょっと切るわ」

 

『はいはい。また後でね』

 

 ぷつ、と通話が切れた電話はそそくさと片付けてしまう。

 その最中も、彼の耳に届いた足音は錯覚ではないことを示すように大きくなって迫ってくる。

 時計塔に限らず、魔術師というのは自らの魔術に自信を持ち、科学技術を軽視する方向性にある以上、時計塔内部に携帯電話を持ち入れていることが発覚すれば面倒ごとが起きるのは容易に想像できる未来だ。

 

 今回やってきたのも、そういう人種の魔術師だった。

 

「どうぞ」

 

 扉をノックする音には速やかな返答。

 時計塔にいる魔術師は、代々魔術の研究を継いできた由緒正しい魔術師が多い。

 そして金食い虫である魔術を代々研究できるというのは、つまり彼らはそれだけ金持ちであるということであり、貴族的な権威をも持ち得る相手である、ということ。

 そういう相手を待たせるというのは、相手の怒りを買うだけである、ということは当然知っている。

 

「入るぞ、玲瓏館」

 

 中に入ってきた魔術師の名はケイネス・エルメロイ・アーチボルト。九代続いた由緒正しい魔術師の家系であるアーチボルト家、その正式後継者。

 かつては神童、今では天才の誉も高き彼は人呼んでロード・エルメロイ。

 若き身でありながら君主(ロード)の名を冠する、時計塔では一級講師の地位に相応しい実力を持つ魔術師である。

 

「どうかなさいましたか、アーチボルト先生?」

 

「何、敵情視察というやつのつもりだったが……」

 

 その右手にあるのは、三画からなる赤い文様。莫大な魔力を有するそれは令呪と呼ばれる聖杯戦争への参戦切符。

 つまりは冬木において少年と殺しあう間柄にある相手であった。

 

「どうやら、未だ貴様には令呪がないようだな」

 

 その瞳が、わずかに細められる。

 彼にとって、玲瓏館と呼んだ少年は目にかける価値があると思う程度には才能があった。

 聖杯戦争という魔術儀式で、彼がいかなる神秘を繰り出して来るのか、と期待するほどには。

 そんな相手が、未だに令呪を持っていないという事実。そこに失望を覚えないと言えば嘘であった。

 

「ああ、隠してあるんですよ。一応生徒同士は対等だからか他の生徒が令呪を渡せ、って騒ぎ立てることがあるので」

 

「なるほど。そういうことだったか」

 

 だが、その失望もすぐに評価に変わる。

 一切の魔術的流れを感知させないその隠形は、言われてみればようやくわかるほど。

 ケイネスですらわからないのであれば、一般生徒ではわからないのも仕方あるまい。

 ”アインツベルンの用意した聖杯戦争”という名だけで十分楽しみだったが、これならばより期待も高まるというもの。

 

「では、次に会うときは敵同士、というわけだ。私が教師であることを気にする必要はない。全力でかかってきなさい」

 

「ええ、勝利は頂かせていただきます」

 

「ハハハ、やれるというならやってみたまえ」

 

 笑いながら去っていくケイネスの足が、けれどふと何かを思い出したかのように止まった。

 

「ああ、そうだ」

 

 振り向いた顔には隠しきれない怒りがにじみ出ている。

 こういう顔をしている時の彼は、物事が自分の思い通りにいかなかった時によくみられると評判だ。

 

「もし……もしも仮にウェイバー・ベルベットが参戦しているようであれば、彼の処分は私がする。一切の手出し無用であると知っておきたまえ。君とはそのような形で決着をつけたくはないのでね」

 

「わかりました。もしもそうであったことが確認できた場合はご一報入れますよ」

 

「よろしい」

 

 その言葉を最後に、ケイネスは今度こそ彼の研究室から出て行った。

 それを見送って、彼は小さく舌打ちする。

 

「今日はもう帰るか」

 

 

 

 

 

 ケイネスの乱入は、彼にとって一つだけいい情報を与えてくれた。

 ウェイバー・ベルベットの聖杯戦争乱入の確定。周囲の噂話に耳を傾けてみれば、()()()()()()()()()()()()ケイネスの触媒を盗んだらしい。

 エルメロイの伝手で彼が手に入れようとしていた触媒がイスカンダル由来のものであることも確認済み。

 盗んでからの時間経過などを考えれば、すでにライダーの枠は埋まったと考えていいだろう。

 

「ただいまー」

 

 学術棟から離れ、たどり着いたのは学生寮街(カレッジ)の一角。

 そこに、玲瓏館という表札が掲げられている家はある。

 扉を開けば、奥の方からパタパタと何かが近づく音。

 先ほどのケイネスの時とは違って、その来訪を心の底からの笑みを浮かべて待つ。

 

「おかえりなさい、サツキ」

 

「ただいま、愛歌」

 

 玲瓏館皐月と沙条愛歌。

 親が決めた婚約者同士、二人は今同じ部屋に住んでいる。

 

「触媒は運んでおいたわよ」

 

「ありがと。……重くなかった?」

 

 見慣れた翠緑のドレスに身を包んだ小柄な少女に、あの触媒は手に余るものではなかっただろうか。

 そんな的外れな心配を心地よく感じながら、愛歌は笑顔で足元の影から何かを出す。

 

「大丈夫よ、この子たちが手伝ってくれたもの」

 

「そっか、それなら良かった」

 

 一目見ただけで悼ましいと感じる何かを、可愛らしい小動物を愛でるように愛歌は触れる。

 そしてサツキも同じ家に住む者としてすでに慣れきっているが故に、当然のものとして認識していた。

 

「それで、どんなサーヴァントを召喚するつもりなの?」

 

「って、愛歌は触媒見なかったのか」

 

「ええ。どうせ知るのなら、あなたに聞いてもいいんじゃないかって思ったもの」

 

 愛歌が先導するように、届いた触媒のある工房へと歩を進める。

 それに追従するサツキは、どこか興奮を隠しきれない様子。

 胸襟からわずかに覗く大翼の令呪が、彼の魔術回路の励起に伴いほんのわずかに煌めいた。

 

「俺が取り寄せたのは北欧由来の魔銀(ミスリル)。召喚する予定なのはシグルドだよ」

 

「それならクラスはセイバーかしら?」

 

「いや、俺の魔力量だとセイバーは無理」

 

「あら、私が魔力供給を肩代わりしてあげれば問題なく行けると思うけれど」

 

「それはなんか格好悪いからやだ。とりあえず、キャスター呼ぶ予定。ちょっと反則っぽいけど多重召喚(マルチサモン)も狙えば、最弱って言われるキャスターの低ステータスにもちょっとくらい補正が入るんじゃないかなって」

 

「考えてはいるのね」

 

 工房に入れば、そこには魔法陣を描くための魔力に満ちた宝石が多数。

 その中央に、触媒が入っているトランクが置いてある。

 

 詠唱は、つつがなく終わりを告げた。

 

 誰の邪魔が入るでもなく、魔力の流れに滞りがあるわけでもなく。そして、魔術回路の調子が最も良くなる時間帯からずれたりもしていない。

 故に召喚は成功する。沙条愛歌の助けを得て行ったちょっとした裏技に関しては、成功したかどうかはこれから発覚するけれど。

 

 失敗の感触は彼にはなかった。

 

「サーヴァント、キャスター。我が真名をシグルド。貴殿が、当方を招きしマスターか?」

 

 その感触が間違いではないことを示すように、現れたのは竜を連想させる黒い仮面を被った剣士。魔術師のクラスで召喚したにもかかわらずこの結果に、自らの試みが成功したことをサツキは確信する。

 手に持っている赤き魔剣こそは彼の代名詞、グラム。簡素な鎧ながらも極大の神秘を纏う彼こそがサーヴァントと呼ばれる存在であることに疑いはない。

 繋がった魔力の経路(パス)から流れ込むのはシグルドという英霊を完全に動かすにはまるで足りない魔力量。けれどそれこそが彼を呼び出した魔術師であるなどと、彼が竜を殺して得た叡智を用いるまでもなくわかりきっている。

 故にこれは、形式的な問い。招きに応じた来賓として、招いた者への当然の礼儀。

 

「ああ、そうだ。俺が、お前を招いた今回の聖杯戦争におけるマスター。名前は玲瓏館皐月。以後、よろしく頼む」

 

「了解した、マスター。これより我が身は、この聖杯戦争において貴殿の剣となろう」

 

 彼の願いが悪逆に繋がらない限りは、とまでは口にしない。

 シグルドの叡智が捉えたのは少年の背後にて笑顔で控える少女。

 それが、怪物の王女(ボトニア・テローン)に至りかねない危うさを持っていることを認識したが故に。

 

 此度の聖杯戦争は、常のそれよりもわずかに彼に警戒を抱かせる始まりとなった。




・主人公(玲瓏館皐月)
 転生者。FateはFGOとかSNとかZEROとかロードエルメロイとか知ってるけどさすがにProtoまでは知らない。Protoで知ってるのは沙条なんちゃらさんがラスボスで世界を滅ぼそうとしてることだけ。婚約者の愛歌ちゃん様は可愛いし、死んだのはHFで姉に好きな人を取られてラスボスになる妹見てきた直後だし、あの可愛い綾香ちゃんがお姉ちゃんに大好きな人取られてラスボスになるんやろなぁ……ってちょっと悲しんでる阿呆。
 最近実の妹は女王様気質になってきてるので綾香ちゃんは癒し。でもやっぱりラスボスになるので怖い。

・愛歌ちゃん様
 言わずと知れた根源接続者。作者の好きなキャラ。
 王子様が存在することは知ってても出会えないことは知ってるのでラスボスにはならない。親同士が決めた婚約者ではあるが、まあまあ気に入っている。王子様がいないなら結婚してもいいかなーって程度には。王子様がいたら? 存在そのものをなかったことにするよ。

・シグルド
 キャスターのサーヴァントで呼ばれた大英雄。
 多重召喚の対象はライダーとキャスター、あとセイバー。ライダーの複数宝具、(槍ニキの活躍とか見るに他クラスだと魔術は主として使わない感じの思考になってそうなので)キャスターの魔術使いとしての本領発揮、セイバーの高ステータスを狙っての召喚。
 え? 三騎士は多重召喚の対象にはならない? うるせぇ! 愛歌ちゃん様(ジェバンニ)が一晩でどうにかしてくれたんだよ!
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