ルールは簡単、各アイドルにはHPと能力・武器が割り当てられていて、HPが無くなったら脱落です。フィールドとなる島から離れなければ基本的に何をやってもOKで、最後までメンバーが残っているユニットの勝利です。
それではさっそく始めていきましょう〜!
目隠しをされてヘリから降ろされた真乃はゲームの開始を待つ間、わずかな不安を抱いていた。うまく灯織やめぐると合流できるだろうか、自分は何もできずに脱落してしまうのではないか……。
しかしゲーム開始の合図が島中に鳴り響き、目隠しを外すと、その不安は和らいだ。真乃の目の前に数羽の鳩が佇んでいたのである。周りを見渡せばさらに何羽もの鳩が真乃の周りで戯れている。そこで真乃ははづきからの伝令書を開き、自分の能力を確認する。
ピーちゃんはいないけど、この島の鳩たちが自分を助けてくれる。それだけのことだったが、真乃は随分と安心できた。
鳩たちと少しおしゃべりをしたあと、真乃はゲームへと気持ちを切り替える。
「鳩さん、鳩さん、みんなの居場所を教えて……!」
彼女の言葉に呼応するように、鳩達はバサバサと飛び立って行くーー
櫻木真乃
鳩と話すことができる
フィールドは島だと聞いていたのでどんなところかと三峰は思っていたが、少なくとも彼女が降ろされた場所はかつて人がいた様子である。ゲームの開始の合図と目隠しを外すとすぐ隣に灯台があったことからそれは明らかであった。味方であるユニットメンバーの位置もわからないこのゲームにおいて情報が最も大事だと判断した三峰は、真っ先に灯台の階段を登り始めた。
素早く島の全貌を記憶し、あわよくば仲間を見つけ、人が集まりやすいであろうこの場所から急いで離れよう。階段を駆け上がりながら彼女はそう考えた。少し息を切らしながら展望台に着くと、彼女ははづきからの伝令書をポケットから取り出した。伝令書で自分の能力を確認した三峰は、それを再びポケットに収めて島を見下ろした。
灯台の明かりは灯らず、まだ早朝ということもありはっきり見えるというわけではなかったが、辺りを見渡すには十分だった。
島には北側と南側がそれぞれ小さめと大きめの山があり、島の形はその2つの山の真ん中がくびれた、歪んだひょうたんのようなものだった。三峰がいる灯台はその南側の山にあり、周りを森で囲まれていた。というより、大小複数の道やところどころ開けたところがある以外は、山のほとんどは木々が生い茂った森であった。島の北西部の沿岸部には集落のようなものがあり切り開かれている。沿岸部の多くは砂浜となっていて、島の東西のくびれた部分は特に広め。また、島の南西(このあたりもまた森だったが、)から北東に向けて鳥のようなものがいくつか飛んでいた。
「……となると、ヘリを使ったんだし沿岸部にまだみんながいる可能性が高いかな」
しばらく辺りを見渡した後、三峰そう呟いた。そして展望台で見つけた懐中電灯を手にして、彼女は再び階段を駆け下り出した。とりあえず誰かが居そうな場所に向かうという方針が取れるのは、人数が多いアンティーカならではと言えるだろう。灯台に留まることも考えたが、人が集まりやすいであろう灯台に誰かが来るとすれば、他のユニットの誰かが味方と合流してから安全に来る可能性が高いため、危険と判断したのである。
階段を下りきり、灯台から足を踏み出したその時。
声が、響いた。
「甜花ちゃーん、早くしないと誰か来ちゃうよー!」
三峰結華
窮地に立たされるほど、身体能力が向上する
Tips
アイドルたちは攻撃を受けると、怪我をするかわりにHP(体力)にダメージを受けますよ〜。
あまりにも、早すぎた。
三峰は自分が灯台から離れるまでに誰かに遭遇することは想定していた。その可能性をなるべく減らすためにあらゆる行動を出来るだけ素早く行ったつもりであった。しかし、彼女が想定していたのはあくまで「誰か一人」との遭遇であって、島を見渡すだけの間に「既に合流をしている敵」と遭遇することは無いだろうと思っていた。しかしその想定外が現実となってしまったのである。
「アルストロメリア……!」
敵は二人、いや三人かもしれない。戦うか、逃げるか、それとも……
幸運なことに、この時灯台の入り口にいた三峰に、わずか十数メートル離れたところにいた甘奈は気づいていなかった。さらに五十メートルほど後ろを、自分の身長くらい長い木の棒を杖にしながらのろのろと歩く甜花に呼びかけていたためであり、この隙は三峰が逃げる絶好のチャンスといっても過言ではなかった。
しかし、その隙が三峰を惑わせた。後ろを向いている甘奈と、歩き続けてかいかにも疲労がたまっていそうな甜花。千雪が居る気配は無い。甘奈に奇襲で攻撃を与えてその後逃げれば、甘奈は甜花を置いてまで自分を追うことは無いだろうと、そう考えたのである。
この考えは半分合っていた。三峰が甘奈に向かって走り懐中電灯で全力で一発殴ると、甘奈は大きく体のバランスを崩した。慌てて振り返り手刀で三峰を狙うも躱され、再び攻撃を食らう。完璧な奇襲だった。敵が、甘奈だけであれば。
二発の銃声とともに三峰の体は大きく傾き、地面に落ちた。疲れていて、離れていて、甘奈の足を引っ張るであろうと三峰が見積もった甜花は、その二丁拳銃で寸分の狂いもなく三峰の急所を撃ち抜いたのである。
三峰結華 脱落
大崎甜花
おもちゃの二丁拳銃を持つ
Tips
甜花ちゃんが疲れているのは平常運転ですよ〜
「いい?この3人の中ではあんた一番身軽なんだから、あんたが積極的にふゆたちを探しに来なさい」
芹沢あさひはゲームの前にストレイライトの3人で話していたことを思い出していた。
「あんたなら誰かに追いかけられても逃げ切れるでしょ?ふゆたちはあんたと合流するまでは基本的に目立たないようにして動くわ」
「いいんすか?目立たなくて」
「馬鹿ね、アイドルなんだからちゃんと目立つわよ。でもふゆがそのかわいさを魅せるのは最後。他の奴らが消耗しきったところでドッカーンと優勝決めてやるのよ」
「なるほど〜」
「愛依、あんたも手伝うのよ。聞いてる?ーー」
あさひは閉じていた両目をゆっくり開き、目の前の現実に再び思考を戻す。
「うん、愛依ちゃんと冬優子ちゃんと一緒なら負ける気がしない」
そう呟いて駆け出して行った。
大崎甘奈
望んだ時に甜花とテレパシーができる
「何か……気配を感じる」
小さな山小屋で一休みしていた智代子は気付く。ゲーム開始後、山道を下って放クラとの合流を目論んでいたところでこの小屋を見つけ、何か使えるものが無いかと中を物色していた時である。
小屋はたった一部屋、それも十畳も無いものであり、どう見ても中には智代子しかいないはずである。智代子しかいない、そのはずなのに、他に何か気配がするのである。
何もいないのに、何かいる。その気配は少しずつ、少しずつ近づいてきているようで、そしてーー
「わっ」
突然、智代子の耳元で叫び声がした。
「わあああっ!!!えっ何!?」
飛び上がって再び声がした方を見ると、さっきまで何もなかったはずの空間にいるのは透だった。
「……驚いた?」
そう透は問う。智代子は心臓の高鳴りが収まらないまま、震える声で答える。
「お、驚いたよ!透ちゃん何してるのもー……ってあれ?」
智代子の右隣にいたはずの透はいつのまにか居なくなってーー
「わっ」
「わああっ!」
今度は智代子の左に透は現れた。
「ふふ、なにこれ、たのしい」
「もう……」
智代子は驚きで透に疑問を問うこともできず、呆然としていた。
そして、少し間をおいて、
「なんか私、消えられるみたい」
透はそう言うと、
「ふふふ」
と笑いながらすうっと消えていった。
呆然としていた智代子はしばらくしてからようやく落ち着きを取り戻した。
「なんだったんだろう……」
わからん。
浅倉透
姿を消すことができる