何処かには必ず一つはありそうな元ブラック鎮守府。
そんな場所に一人の男が新しい提督として赴任してきた。
「アレが新しい提督……?」
「そう……だと思う」
「何か妙にくたびれてない? というか放心している……?」
執務室の扉の隙間から五十鈴と皐月と川内が提督の姿を覗いていた。
新しい提督は年の頃は恐らく30~40代、中年太りはしてないが、かといって痩せ過ぎている感じはない。
体格は軍人らしく多少は鍛えているのか割とガッシリしているように見えた。
そして彼の風貌はと言うと適当に揃えた髪に無精髭を濃く生やしていた。
「……なんか凄く冴えない感じね。アレで本当に大丈夫なのかしら?」
「僕は前の司令官よりマシだったら誰でもいいよ……」
「それはそうだけどさぁ……。でももうちょっとしっかりしない? 普通。一応軍人でしょ?」
3人が思い思いの感想と不満を漏らしていると彼女達の背後にコツコツと足音を響かせながら大淀が歩いてきた。
「3人共何をやってるんですか。今は提督から指示が出るまで基地の警戒任務に就いている者以外は待機ですよ」
「あれ? 執務室に居ないと思ったら」
「今から引き継ぎ事項の通達ですか?」
「そうよ皐月ちゃん」
「遅くない?」
「……何か部屋に入って椅子に座るなり暫く一人にしてくれと言われてね」
「はぁ……?」
大淀の話に川内は怪訝な顔をして改めて提督の姿を今一度確認した。
果たして件の提督は椅子に深くもたれかかって天井を見上げた姿勢で更に何やら悩ましげ様子で片手で目を覆っていた。
「…………」
提督は赴任した鎮守府の現状に着任早々精神的に折れそうになっていた。
鎮守府近海しか制圧がなされていない。
資材も資源も少なく、当然改修資材(ネジ)もない、装備も少ない。
所属している艦娘も極端に少なく戦艦どころか重巡も建造されておらず、一番大きな艦は軽巡が3隻のみ。
脳内に開いて見える任務ツリーは初期の初期のものばかり、全ての艦隊がまだ開放されていなかった。
おまけにここの前任者はよくいる無能アンド暴君タイプでただでさえ少なく貴重な存在の艦娘の心証を著しく悪くし、提督、というより男性に対しての大きな不信感もついでに植え付けていた。
「……おぇ」
なかなか気が滅入る状況だった。
提督は天井を見上げながら吐き気は感じなかったが心から来る嗚咽のような小さな呻きを声を漏らした。
彼は大淀に執務室に案内されるなりもう耐えられないとばかりに椅子に深く座ると、先ずは精神的に落ち着きたかったので彼女を部屋から退出させたのだ。
艦娘に初めてした命令がこれであった。
(死ぬ。死んでしまう。このクソゲーは時間なんだよ。そういうのの積み重ねなんだよ……。夢でも現実でもいいけど、それにしたってこれはないだろ……)
何だか当人にしか解らぬ特殊な事情を抱える彼の艦隊指揮が今、始まろうとしていた。
リハビリ用というか思いつきというか。
まぁ自分用です。
これが今後の創作のモチベーション向上に繋がったらいいなと。
勿論、この話自体続くかは未定。
今月中に何か他に投稿すると言っていたものがこんなのでスイマセン。