艦これの進め方   作:sognathus

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鳳翔さんがちょっと頑張る話


25:お誘い

映画の上映会も好評に終わり、その日はもう寝るだけ。

それは提督も例外ではなく、彼は床に入る前に今回は前回のような事にならないよう自室だけではなく執務室にも鍵をかけた。

 

(さて、寝る前に一口だけ飲んでほろ酔い気分になるかな)

 

そう考えた提督は、酒が保管された冷蔵庫の扉に手を掛けかけた時だった。

自室に備え付けられた来訪者を知らせる赤いランプが点滅した。

 

「ん?」

 

誰かが執務室の前のインターホンを押したらしい。

夜は音が鳴らない代わりにこうやって光で判るようになっているのだ。

 

(こんな時間に……? まさか敵襲……? 俺みたいな素人は何もできないぞ)

 

深夜という時間に対する不審感、もしかしたら命の危機かもしれないという不安感に緊張しつつ、提督はランプの横の受話器を取った。

 

「はい?」

 

『あっ、こんな時間に本当にすみません。鳳翔です』

 

『間宮です』

 

『伊良湖です』

 

『提督、申し訳ないのですが僅かで構いませんのでお時間少しよろしいですか?』

 

「え?」

 

意外過ぎる面子に提督は直ぐに返事ができなかった。

その三人は提督の中では裏方役(その中の一人は両方で活躍できるが)に位置付けられており、この時間帯に彼女達に関わるとすれば居酒屋とか深夜食堂などという言葉が浮かぶが、残念ながら現時点ではこの鎮守府にはそういった施設はなかった。

 

(何の用だろう。出迎えて大丈夫かな。いや、多分大丈夫なんだろうけど……)

 

三人には申し訳ないが不安になってしまうのはどうしようもなかった。

提督はさんざん悩んで心を決めると執務室の外の彼女達に少し待つように伝え、執務室の照明を点けると扉を開けた。

 

「どうかした?」

 

「あっ……」

 

提督が顔を出したのを見て鳳翔は嬉しそうに顔を綻ばせた。

彼女の後ろでは間宮と伊良湖が暇そうにしており、提督の声に気付くとペコリと二人揃って頭を下げた。

 

「提督、上映会をなされて間もないというのにお声をお掛けして申し訳ございません」

 

「いや、うん。それで?」

 

「提督、今日は私と間宮さんと伊良湖ちゃんとで、もしよろしければ貴方も交じえてお酒なんてどうかなとおもいまして」

 

「え?」

 

提督はその予想外のお誘いに驚いて目を丸くしたが、よくよく考えると何故彼女達が()()で来たのか、その理由を直ぐに悟った。

 

(まぁ、そうだよな。人数が多いほうが不安もないだろうし。しかし……)

 

「俺が酒の相手でいいの? 元々三人で飲んでいたのならそっちの方が良くない? 無理に気を遣ってくれなくてもいいよ?」

 

鳳翔はその言葉に「とんでもない」と大げさに手を振って自分は純粋に提督とお酒を飲んでみたいと思ったので訪ねて来たのだと言った。

間宮と伊良湖も彼女の言葉に同意するように頷き、間宮は羊羹が収められていると思われる包みと皿に盛った枝豆、伊良湖は氷がぎっしり入ったアイスペール……ではなくバケツ、そして鳳翔はニッコリと笑うと一升瓶と人数分のコップを持ち上げて見せた。

提督は鳳翔が掲げた酒瓶のラベルを見てつい「おっ」と声を漏らした。

 

「もしかしてそれは黒糖焼酎?」

 

「はい。提督、これお好きじゃないですか?」

 

「えっ、そうだけど。どうして知ってるの?」

 

「それは……以前、ここでちょっとした騒ぎがあったじゃないですか」

 

「え、あ、あぁ……うん」

 

提督はその時のことを思い出してまた脳裏に『あの』顔が浮かび身震いをした。

そして同時に閃いた。

 

「あ、そうか。もしかしてあの時俺の部屋に来た大淀に……?」

 

「そうです。あの時気を失われた提督の頭を冷やす為に恐れながらお部屋の冷凍庫の氷を利用しようと開けたそうなんです」

 

「ああ、それで中を見たから」

 

「はい。提督がお使いの冷凍庫は独特の外見をされていたので大淀さんも何処に氷が入っているのか判断ができなかったらしくて……」

 

「開けた所が酒が入っていた冷蔵室だったと」

 

鳳翔は提督の予想にこくりと頷いた。

提督の私室に備え付けられていたのは彼が前いた所で普及していた新しい冷蔵庫だった。

果たしてそれを前任者が使っていたのか、または『運営』のサービスなのかは定かではなかったが、提督が厨房で見た冷蔵庫とは外見があまりにも異なるので大淀達があの時に迷ったのは仕方ないと言えた。

 

「やはり提督用の物となると別格なのですね。私、聞いた時は驚きました。凄く大きな化粧箱のような、箪笥のような見た目をした物が冷凍庫だなんて思いもしませんからね」

 

「は、ははは。鳳翔も今度前渡したタブレットで注文してみるといいよ」

 

鳳翔は「ええ、是非」と言うと酒瓶を抱いて一歩前に出た。

提督はその時踏み出した彼女の足が微かに震えていたのを運が良かったのかは分からないが見逃さなかった。

 

「ですからその……」

 

「うーん……」

 

提督は悩んだ。

鳳翔は恐らくその時、トラウマと提督とお酒を飲みたいという意思の板挟みに遭っていた。

故に提督は彼女の情緒に不安を覚え、後ろの二人に意見を求めるように視線を送ってみたのだが、彼女達は真面目な表情で二人一緒に『大丈夫』と頷くのだった。

 

「……分かった。じゃ、せっかくのお誘いなんで有り難く」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「執務室のテーブルでいいかな?」

 

「はいっ。あ、あの……し、失礼します」

 

「二人もどうぞ。持ってるものもそこに置いて」

 

提督は三人を部屋に迎えてソファに座るように促し、自分は執務を行う際に使っている椅子を持ってきた。

その途中で彼はふとした疑問を持ち、嬉しそうにテーブルにコップと皿を並べる鳳翔に訊いた。

 

「そういえばさ。さっき冷蔵庫の中の酒を見たから俺の酒の好みを知ったような事言ってたじゃん?」

 

「あ、はい。それが何か?」

 

「いや、冷蔵庫の中はどっちかというと洋酒が多かったのにどうして少ない焼酎が一番好きだと判断したのかなって」

 

鳳翔は提督の質問にくすりと笑って答えた。

 

「人はよく一番好きなものは最後に残すものです。殿方の場合はそれが顕著で、お酒となると数が少ない物は特に慎重に消費されるだろう、と判断致しました」

 

提督は鳳翔のその推察に「なるほど」と感心した。




雪風改二実装と共に追加された新しい任務をやってました
一日潰れた……疲れた……
艦これというゲームはやはり嫌いです

次は3日目かな
提督まったりできなくてゴメン
疲れたので感想の返信は次回に
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