艦これの進め方   作:sognathus

3 / 59
艦これのイベントがもうすぐ始まる。
でもこの話にはあまり関係ない。


3:建造

各資材と資源の値が1000まで貯まった。

提督は漸くここで建造の実行を決定をした。

 

「戦艦も良いけど先ずは空母かな。リアルで襲撃の可能性があるのなら警戒任務は索敵能力が高い空母の方を優先したい」

 

「考えは理解できますけど、空母も戦艦も運が良くないと直ぐに迎えるなんてできませんよ」

 

「……やっぱり艦種の固定化はできない?」

 

「当然です。人間だって実際に生まれてくるまで性別は判りませんよね。この建造機も同じです。艦娘は兵器であるのと同時に生命体でもあるんです。思いのままに創造するなんてそんな神みたいな事はできませんよ」

 

「カオス理論か……」

 

「え?」

 

「いや。まぁでも建造に使うポイントの比率は明らかに影響してるよね? 生まれる艦娘がどの艦種になるかの可能性には関係しているだろ?」

 

「……確かに。消費相応の結果と受け取れる例はそれなりにあります」

 

「そうか」

 

提督は大淀の答えに所謂建造レシピという建造を行う際に非常に助かるデータが当てにならないかもしれないという不安が杞憂で終わりそうな事に内心ホッした。

対して大淀は、何とか希望する艦娘を造りたいという態度を崩さない提督に自分でも解らない形容し難い不快感を抱くのだった。

 

(なんでだろ。オジサンに指揮されるのが嫌なのかな)

 

そんな事を考えていた大淀の目が何やら提督が弄っている端末を捉える。

 

「提督? それなんですか?」

 

「スマホ。いやぁ良かった。ここWi-Fiが常備されていて。スマホもパソコンも支給品としてあったし。正直これだけでも凄く安心した」

 

「はぁ……? スマ……ホ? パソ……コン?」

 

「え? 前任の提督は使ってなかったの?」

 

自分が言った言葉の意味がまるで解らないとでもいうような大淀の表情に提督も驚いた顔をする。

 

(まさか。こんな普及していそうな文明の利器を知らないなんて。まさかここの時代は……。いや、そもそもそうだったら支給なんてされているわけないよな)

 

大淀は暫し沈黙して熟考しているような様子を見せると程なくして何やら悩ましげな顔でかぶりを振りながら答えた。

 

「いえ、提督に支給されているものなら前任者も使っていたはずです。私が知らないのは前任者がそれを私たちの目に故意に触れないようにしていたとしか……」

 

「ふーん……。もしくは単純に使いこなせずに放置していただけか……。いやマジかよ。となると報告書とかはもしかして以前は全部手書きだったり?」

 

「え? そうですけど?」

 

何をそんな当然のことを訊いているんだと言わんばかりの大淀の顔を見て提督はもしかしたらとある予想が浮かんだ。

 

(この鎮守府もしかして……)

 

「なぁ大淀」

 

「なんでしょう?」

 

「お前たちの部屋を少し視察したいんだけど」

 

提督の言葉に意外にも大淀は女性であるにもかかわらず男性である提督のそんな要請に特に嫌そうな顔も見せずに答えた。

 

「は? 部屋ですか? それはまぁ構いませんけど……。建造は後にされるんですか?」

 

「いや、するよ。視察は今日いろいろ落ち着いてからにしたいんだけどいい? 消灯時間になる前には終わらせるから」

 

「承知しました。では本日の予定に加えておきます」

 

「宜しく。さて……」

 

思いがけない事実に驚いてやや時間を使ってしまったが、提督は漸く建造に取り掛かるために資材・資源ポイントを振り分ける建造機の操作パネルの前に立った。

提督が振り分けた数値は……。

 

【燃料300/弾薬300/鋼材600/ボーキサイト600】

 

振り分けられたポイントの値を見て大淀は提督に尋ねた。

 

「迷いがなかったですね。何故このように振り分けられたんですか? 何か独自の根拠でもお持ちだったですか?」

 

「これは所謂空母レシピというやつだ」

 

「え? レシピ?」

 

「この値で建造すれば空母が生まれる可能性が高い、と思う」

 

「可能性が高いって……。もしそれが本当なら本部の軍事機密に該当すると思うんですけど」

 

「え? こんなのが?」

 

「私の認識では自分が望む艦娘が生まれ易いポイントの配分などというのは、艦隊指揮官としてかなりの経験を積んだ熟練の提督のみが辿り着く事ができる境地だと思います。故にそういった背景も無く、そんな知識をいきなり披露されては軍事機密を知っているとしか思えないと取られるのは普通だと思うのですが……」

 

大淀の言葉に提督は「ああ、なる程」と一度頷くと、自分のこめかみを片手の親指で搔きながら言った。

 

「信じ難いかもしれないけど俺は別に違法行為とかはしてないよ。知っているのは元々知識として識っているから。……まぁここでもそれが通じるかは判らないけど」

 

「知識って、そんなさも一般に情報が公開されているような……」

 

「まぁまぁ。これだって必ず空母が生まれるわけじゃないんだ。ただ可能性が高いだけ。では……建造っと」

 

果たして提督が数時間の建造時間を経て初めて生み出した艦娘は、空母ではなく重巡だった。

 

「は、羽黒です。宜しくお願いします!」




次は何の話にするかな。
部屋の視察の話にするかなカルチャーショックの話にしようかな。

あっ、大型建造のネタ使うの忘れてた。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。