艦これの進め方   作:sognathus

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ゲームの方の続きです


31:もしかしたら2

「おい金剛、本気か?」

 

いかなる時も余裕のある態度を崩すことがない武蔵が珍しく焦った声を出していた。

彼女にそんな声を出させている原因であるのは勿論名前を呼ばれていた金剛。

彼女は今、一人腕を組んで海原を眺めながらある大胆な決断を下そうとしていた。

 

「Yes of course. 武蔵、ワタシはやる気ヨ」

 

「しかしなぁ、流石に提督(相棒)の不在のままイベントに出るというのは……」

 

「ノンノン武蔵。そう心配する事は無いワ。幸いテートクはゲームを起動したままのようダシ、おかげでワタシたちが勝手に動いてもゲーム的にはただプレイしているのと同じはずヨ」

 

「しかし相棒が帰ってきた時にゲームを見たら驚くぞ?」

 

「それが良いんじゃナイ?」

 

武蔵を見て金剛は楽しそうに悪戯っぽく笑った。

 

「あの人は今まで嫌々イベントをやってきたケド、それでもやらなかったことはないワ」

 

「ふむ、それが先ずこんな事をする動機の一つというわけだな?」

 

「イエス。きっとあの人は、帰ってきた時イベントに参加できなかった事を悔やむと思うカラ」

 

「ふむ、確かに浦島太郎状態で帰った時の奴の心境を考えると察しても余りあるな」

 

「デショ? んでもう一つは……」

 

「さぷらぁいずというやつだな」

 

武蔵の言葉に金剛は先程見せた笑みを浮かべて頷いた。

 

「そーヨ。彼、帰ってきたらきっと吃驚するワ」

 

「そりゃ何時以来ぶりに戻ってきたのにしっかりイベントもこなされているのに気付いたら驚愕するだろうな」

 

「ウン、それにもしかしたらその顔を()()見られるかもしれないのヨ?」

 

「ふむ……それは、胸が熱くなるな」

 

「人のセリフを盗らないでもらおうか」

 

不意に二人の会話に割って入る声。

その声に二人が振り向くとそこには真面目な顔で腕を組んで自分達を見つめる長門の姿があった。

 

「あと金剛、私のポーズも盗るな」【長門改二:レベル142】

 

「アラ? これって長門専用だったカシラ?」

 

不意の介入者の抗議に別段気を悪くした様子もなく、寧ろ今までと同じように楽しそうな笑みを浮かべてそう言う金剛。

長門は「ふん」と鼻を鳴らすと組んだ腕を解き、二人に近付いてきた。

 

「話は聞いたぞ。金剛、お前なかなか思い切ったことをしようとしているじゃないか?」

 

「止めるつもり?」

 

顔は笑っていても目には僅かに剣呑な光を見せる金剛。

隣にいた武蔵はそれに気付いていたが黙っていた。

その態度には付き合いの長い者に対する信用が窺える余裕があった。

長門は長門で金剛の問いに強く出ることもなく再び鼻を鳴らすと至って落ち着いた声で言った。

 

「面白そうじゃないか。私も乗るぞ」

 

言葉の最後に金剛と同じ楽しげな笑みを浮かべる長門。

そんな二人を見て武蔵も「やれやれ」と眉は悩ましげにハの字にしながらも、やはり口元は楽しげに笑っていた。

 

「お、武蔵も賛成か」

 

「私はまだ一言もそうは言ってないのだがな」

 

「デモそういう顔をしてたワヨ?」

 

「ふっ、言うな」

 

この時、三人はお互いに視線を交わして軽く笑いあった。

そして気が済むまで笑ったところで金剛は言った。

 

「それじゃ、行動開始と行きまショーカ」

 

「まだ皆の同意を得られていないぞ?」

 

「武蔵、野暮なことは言うものじゃない。提督が不在の理由を知って心からこの案に反対する奴なんていると思うか?」

 

「真面目組は判らんだろ?」

 

「きっと口では反対しても足はワタシ達と同じ方向に進むと思うけどネ」

 

「ああ……まぁ、なぁ……」

 

武蔵は頭の中で小言を言いながらも仕方なさそうに付いてくる鳥海辺りの姿を思い浮かべて苦笑した。

そしてそんな鳥海の後ろにはやる気満々といった顔で楽しそうに付いてくる摩耶や、更にその後を付いてくる天龍と駆逐艦の面々といった光景も自然と浮かんだ。

長門も似た光景を思い浮かべたのだろう、彼女は噴き出しそうになるのを我慢しているような顔で金剛を見て言った。

 

「で、実際に行動に移すとしてどのように動く?」

 

「ソーネ、この前演習した子から今度のイベントは海外艦に多く特効効果が付きそうって聞いたワ」

 

「ふむ。だとしたらその点はうちは問題なさそうだな」

 

金剛の言葉に武蔵は頷いて言った。

 

「となると次は戦力の割り振りや難易度の選択だが……」

 

「ドーセ今回も前段と後段に分かれるデショ。まぁ前半は最初の2ステージくらいまでは甲難易度でも良いんじゃないカシラ?」

 

「特効艦の編入に関しては?」

 

「ンー、先ずは特効関係なく単純に高レベル組からチョイスで良いんじゃナイ?」

 

「前段の最終ステージで札付きは出撃できなくなるが……」

 

長門の懸念に大した問題ではないと言うようにそこで武蔵が言った。

 

「そこからは丙だな。元々資材の備蓄は潤沢とは言い難い状況だから妥当だろう。相棒だったらきっとそうする」

 

「では編成に組み込む艦種に関しては……」

 

「また演習で情報を集めるワ」

 

「演習も今日から勝手にするんだな?」

 

「そーいうコト」

 

 

こうして艦娘たちの提督不在でも独自に動くというとんでもない計画の大体の方針は決まった。

三人は再び視線を交わして無言で頷き合うと、速やかに最古参勢とケッコン勢にこの立ち上げた案を伝えた。




前段終わりました
E2までは甲でも問題なかったのですが、掘り作業で休日を含む多くの時間を消費しました
E3は3ゲージあるのを確認して迷うこと無く即丙を選択しました
やってらんねー

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