艦これの進め方   作:sognathus

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建造が出来たんで次は装備の開発、そして演習という流れです。


4:こんなもん

「失望したりはしないんですね」

 

希望していた空母が生まれなかったので、てっきり愚痴を言ったり落ち込むオジサンの姿を見る事になると大淀は予想していたのだが、意外にも提督は殆ど気にしていない様子だった。

 

「まぁこんなもんだよ。目的があるまともな建造は久しぶりだった」

 

「え? 建造の経験がおありだったんですか?」

 

「ああ。だから慣れてる」

 

「そうですか……」

 

てっきり提督の事を『提督』の才能があるという理由で民間人から採用された人間だと思っていた大淀は、この言葉に彼の認識を少し改めた。

 

(もしかして見た目相応にそれなりに経験を積んだ真っ当な人なのかな。……いや、もしそうならあんなに人目を憚らずに落ち込んだり、突然涙目になったり、艦隊指揮に慣れた提督なら当然知っていそうな事なんて訊かないか。なんなんだろうこの人……)

 

提督は大淀が不審そうな目で自分を見ている事に気付いていた。

今までの行動や発言を反芻するといくらでも心当たりはあったが、本人はそれを別に気にしたり反省して今後の行動を慎重にしていくという気は全くなかった。

 

(ま、結果を出してある程度環境も改善してやれば特に何も言ってこなくなるだろ。……ゲームみたいに行けばいいけどな)

 

提督はそんな事より残りの資材・資源の数値を見た。

 

【燃料700/弾薬700/鋼材400/ボーキサイト400】

 

「…………」

 

空母レシピはもう回せない。

かといって戦艦の方も鋼材の量的に高確率モデルのものは回せなかった。

 

(開き直って駆逐だけでも良いやつって事でレア駆逐試してみるか? いや、演習で艦隊のレベルを底上げしたいし、そうなると補給分も要るしな)

 

「提督?」

 

いつの間にかブツブツ独り言を言っていたらしい。

短時間なら良かったがどうやら彼女が無視に耐えられないくらい考え事をしていたようだ。

 

「ああ、悪い。そうだな次は……。あ、そうだ。ちょっと教えて欲しい事があるんだけど」

 

「はい、何でしょう」

 

「もし建造で同じ艦娘が生まれた場合はどうなるの?」

 

「同じ艦娘は生まれません」

 

「お?」

 

「私たちには判りませんが、建造を実行した時点で何になるかは決まるので機械が過去に迎えた艦娘になると判断した場合は、艦娘の生成は行われず該当する艦娘の性能が自動的に強化されます」

 

「それって対空性能とかも?」

 

「そうですよ。元々無い性能は当然強化されませんが、元から備わっている性能に関しては全て強化されます」

 

「おお、それは良い事を聞いた。凄く効率的だ。……ん? 本人が意識してなくても勝手に強くなるの? 例えば寝てる間に強化が入ったら起きた時に気付くみたいな」

 

「はい。艦娘と建造機は私たちの目には見えない電波のような回路で常に繋がっていますので」

 

「ソフトウェアのデータ更新みたいだな。まぁ方法は無線接続のみ対応みたいな感じか」

 

「……先程から提督が仰っている言葉の意味の一部が私には解りかねるのですが……」

 

「ああ、悪い。今度説明できる時にそれはするよ。じゃあ次に何をするかな。大淀、予定表を」

 

「どうぞ」

 

提督は手渡された紙の予定表を確認してそろそろ他の鎮守府の艦隊との演習時間が近いことを把握した。

 

「対戦予定の相手の艦隊の一覧とかはある?」

 

「こちらです。どうぞ」

 

「ん……」

 

一覧を見る限りどの相手もきっちり一艦隊6隻で編成しており、目安となる艦隊個々の練度もまぁそれなりという感じだった。

 

(まぁ実際これが普通だよな。ここではゲームじゃないんだから)

 

「残念だけどどの艦隊にも俺たちは勝てないだろうな」

 

「そうですね」

 

間髪入れずに肯定する大淀に提督はちょっと冷たい奴だなという印象を持ったが、そこはまだ前任者の影響による不信感も在るかもしれないという事で取り敢えず提督は気にしないことにした。

 

「ま、結果は散々になるだろうけど。皆には参加してもらって少しでも強くなってもらわないとな。編成は……まぁ全員参加だな。あ、そうだ。武器、装備を開発したい。装備の開発する時間はあるよね?」

 

「ええ、装備の開発は結果は直ぐ出ますから。そこはご存知なんですね」

 

「半分予想が当たっただけだよ。で……装備を造る機械はこれ?」

 

「そうです。先程の建造と同じ要領で投じる値を決めて下さい」

 

(全員装備のスロットすら全部埋まってないんだよな。最低限の装備だけ先ず整えるか)

 

「開発方針は所属艦全てに最低限の主砲、副砲、機銃、魚雷を装備できるまで行う事。まぁ運が良ければ5人分くらいは何とかなるだろ」

 

「それは納得行く結果にならなければ獲得した資材と資源が枯渇しても構わないという事でしょうか?」

 

「いや、最低限警戒任務をする子と演習後の補給はできるくらいは残す。投じるポイント数は……」

 

(あ、またあの小さいやつ使ってる)

 

提督は暫くスマホを弄りながら時折顔を上げると自分の掌に何やら書き込むといった動作を繰り返していた。

そしてそれを数分続けた後、やっと顔を上げて大淀の方を向くと言った。

 

「よし、じゃあ開発するか」

 

「……装備の開発『れしぴ』もご存知みたいですね」

 

「まぁ分かるっちゃ分かるけど。今回に関しては知らなくてもどうにかなるレベルだよ」

 

「そうですか……」

 

大淀は自分が知らない事をいろいろと提督が知っているというこの事実が段々と面白くなくなっていた。

何となく不快、何となくこのあまり頼りにされてない感じ。

感情的には子供が拗ねているものに近いという自覚は彼女にもあった。

しかしだからと言っていま目の前にいる男は今のところ自分たちにとても協力的だ。

少なくとも暴言を吐いてきたり性的な行為を強要してくる雰囲気はない。

大淀は静かに深呼吸をすると密かにこの提督の評価を先延ばしにした。




間髪入れずに投稿できているのは、単に今は話が直ぐ浮かび、それを文字に起こすモチベが珍しく続いているからです。
本当に珍しい。
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