艦これの進め方   作:sognathus

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新たな仲間は木曾と、もうひとりの戦艦は……。
微妙にデレ回


42:二人目の戦艦

結果から言って、残念ながら雷巡の深海棲艦から戻った艦娘は軽巡の木曾だった。

 

(まぁ……流石にそんなに上手くいかないよな)

 

確かに多少がっかりはしたが、提督はそこまで落ち込んではいなかった。

ゲームを振り返ってみれば艦種が変わった艦娘の中にはしっかりと自分の新しい力をアピールするセリフが実装されている子もいた。

それから考えればいきなり雷巡の状態の木曾がその事に言及することもなく自然に振る舞う様子というのも確かに受け入れ難い。

そして、一番懸念していた木曾と戦艦の艦娘以外の深海棲艦の行方については、結局判らず終いだった。

警戒態勢を取ってから内にも外にもそれらしき姿を確認したという報告が上がってこなかった事から、提督は多分風呂の効能によって上手い具合に浄化(成仏)したのだろうと適当に納得した。

職務放棄とも言える都合が良い結論であったが、判らないものは仕方がない。

生粋の軍人なら思い悩み本部に正直に報告したりするのだろうが、提督は軍服は着ていても結局のところ頭の中は一般人だったのであまり気にしなかった。

 

「大丈夫でしょうか……。内部に潜んで奇襲する機会を窺っているという可能性も捨てきれません……」

 

大淀の不安も尤もだったので、提督は対策案として暫く部屋から出る際は必ず最低3人以上で動く事を提案した。

 

「じゃあ私は提督を護るわね」

 

「そうね。人間の提督(アンタ)は特に気を付けないといけないわけだし……私も警護に付くわ」

 

 

「「というわけで暫くは」」

 

「提督の部屋まで一緒にいますから」

 

「一緒にいるから。勿論部屋までよ」

 

呼んだ覚えがない者からの突如自分の背後から耳に入ってきた護衛宣言。

提督はその声に驚くと同時にふりかえった。

 

「えっ」

 

最早誰とは言わないが、着任して間もないのに加えてゲーム(原作)とは正反対に近い態度に困惑しているとある二人の姿がそこにはあった。

 

「なんですか? 一応そんなに的外れなことは言ってないつもりですけど……。貴方は提督なんですよ? 自分が思っているより提督という存在は重要なのよ?」

 

「山城の言う通りね。ここは素直に同意するのも提督としての器量を示すことになるんだから」

 

「えぇ……」

 

提督は困った顔で傍らの秘書艦(大淀)を見て助けてくれと目で訴えた。

大淀なら何とかしてくれる。

深刻な男性問題があった此処(鎮守府)の事を考えれば、いくら当時の事を知らない新人であっても女として看過はできない流れだろう。

そう期待を込めて提督は大淀に視線を送っていたのだが……。

 

「……提督は人間ですからね。提督には艦娘が3人護衛に付く4人体制が妥当でしょう。戦艦、軽巡、駆逐と構成のバランスも丁度良いですしね」

 

「……」

 

決して狭くはなかったが4人という人数となると広いとも言えなくなる自室で一体どう暫く過ごすことになるのか。

提督は大淀が賛同した時点で反論を試みるのは無駄なことだと悟り、これからこの部屋でのどう過ごすかについての思考に早々に切り替えたのであった。

 

 

そして深海棲艦から艦娘に戻った二人の話に再び移る。

 

「そういえば二人はどんな感じ?」

 

「今は医務室で安静にしています」

 

「まだ寝てる状態?」

 

「木曾はまだ意識は戻っていません。もうひとりの方でしたら……」

 

「あっ、そういえばあの戦艦っぽい艦娘は誰なのかな?」

 

深海棲艦から戻った二人はあれから速やかに医務室へと移された。

目立った外傷も確認されず、穏やかに動く胸の動きから呼吸も安定してそうだったので、目が覚めるまで取り敢えず様子を見る事にした。

提督は木曾こそ特徴的な外見から直ぐに見当をつけることができたのだが、戦艦の艦娘に関しては二次と三次の情報の質の差に加えて見当をつけるだけの特徴を見出すことができていなかったので、この時点まで彼女が何という名の艦娘なのか知らないでいた。

 

「妖精さんに確認してもらったところ金剛型巡洋戦艦3番艦、榛名ということが判りました。もう一人は提督の予想通り木曾でした。身体の内外ともに懸念するような異常は確認できませんでした」

 

「榛名か……」

 

大淀の報告に提督は明らかに嬉しそうな顔をした。

艦娘の中ではかなり優等生な性格だ。

ここの山城は何故か想像したほどでもないが、扱いに苦労しそうな艦娘から受けるストレスが提督業をこなす上で専らの不安要素であった提督はこの報告を純粋に喜んだ。

 

(まぁ今一番来て欲しい艦娘はチトチヨなんだけどね)

 

などという事は流石に口には出さなかった提督であったが、その時脛の方に染みるような痛みが走った。

 

「あいたっ?!」

 

「なに鼻の下伸ばしてんのよ」

 

「えっ」

 

「提督……榛名はまだここに来たばかりだし着任が決まったわけでもないんですよ?」

 

「え? あ、あぁ、まぁ……確かに」

 

霞の誤解には抗議したいが山城の指摘は確かにそうだ。

提督は取り敢えず目が覚めた榛名の様子を確認して今後の事を決めたいと大淀に言ったのだが……。

 

「その、提督……。榛名さんの事なんですが」

 

「うん?」

 

「彼女、どうやら深海棲艦になる前の記憶が残っているようでして……」

 

「お? あ、あぁ……」

 

大淀の申し訳無さそうな態度と声のトーンから提督はなんとなく彼女が伝えたいことの予想がそれだけでなんとなくついた。

 

(あ~……そっかぁ。そうだよなぁ……。深海棲艦になっていたという事は()()()()事の可能性があるんだよなぁ)

 

公式(運営)から明確な文章での公表はないものの、既にゲームのイベントでの主要なボスのセリフや映像作品から艦娘の深海棲艦化に関しては一般的に後悔や怨嗟など、強い負の感情を持って沈んだ事を起因とする印象が強い。

この世界の艦娘の深海棲艦化がその印象通りであるとするなら、深海棲艦から戻った艦娘は総じて心に傷を負っている可能性が高いという事になる。

 

(め、めんどくせー……!!)

 

最初こそ建造に資源を消費する事なく新しい艦娘を迎える手段が確立できたかもしれないと心の中で小躍りした提督であったが、そのケースで回収した娘たちにその都度メンタルケアが必要になる可能性が高いことに今度は一気に頭が痛くなった。

そんな気持ちで眉間にしわを寄せて沈痛な表情をする提督を山城ら三人は、大淀の言葉から直ぐに榛名の状態を察した提督が彼女の心情を慮ってそんな顔をしているのだと良い意味で誤解をした。

 

「あ、あのさ……。気持ちは解るけど、ここはやっぱり提督として姿を見せるくらいの事はした方が良いと思う……。そりゃ気を遣う気持ちも解るけどさ、でも逆に今会わなかった事がきっかけになっちゃってお互いずっと話し難い関係になるかもしれないわけだし……さ」

 

「え? あ、あぁ、まぁそうだね」

 

袖を引かれたので下を向くと、急にしおらしい態度になっていた霞が榛名に会うべきだと自分の背中を押してきたので提督はその変化に虚を突かれ思わず同意してしまう。

そしてその選択を支持するように山城と大淀も続いた。

 

「最初だから上手くいかないかもしれないけど、キツイ事を言われても気にしないことです。大丈夫、同じ戦艦として私も協力しますから」

 

「山城さんと霞ちゃんの言う通りです。提督、先程こそ私は今は面会を控えた方が良いと進言するつもりでしたが、今まで私達のことを気にかけてくださった貴方なら大丈夫です。最初は上手くいかないかもしれませんが、それでもその一歩を踏み出す事が重要だと思います」

 

「お、おう……そう、だね。はは、じゃあ……うん、会ってみようか」

 

自分の背中を押し、そして支えると言ってくれる三人の言葉はとても温かったのだが、そのポジティブさに妙な圧を感じた提督は微妙に半笑いの顔で面会を決めたのだった。




というわけで一番下に最新話枠を設けることにしました。
宜しくお願いします。
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