艦これの進め方   作:sognathus

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久しぶりにゲームサイドの話ですが、ここでも活躍するゲームの鳳翔

そしてついに判明する提督の『嫁』


49:大人の魅力

嫁艦、艦これプレイヤーなら大体いるであろう数ある艦娘の中でも特に好意を持ち、贔屓する存在。

嫁艦はケッコン艦の中でも一番レベルが高かったり特定の艦娘でしか伸ばせない運のステータスが伸ばされていたりする。

提督もそんなプレイヤーの例に漏れず嫁艦がいた。

彼の場合は艦隊の戦力の底上げを優先しつつ、機会があれば嫁を育てるという方針を取っていたので嫁艦のレベル自体は艦隊の中で3位であった。

しかし唯一艦隊の中で運のステータス強化を受けていた為、それが提督にとって『彼女』が嫁艦である事の何よりの証と言えた。

その彼女とは……。

 

『うにゃ~……ふにゃぁ~……』

 

何とも奇妙な女性のものと思われる泣き声がプレイヤーが知る事はない場所から木霊していた。

 

「あぁ、そういえばまだアイツには提督の事言ってなかったな」

 

聞き慣れた泣き声でそんな重要な事を思い出した武蔵があっけらかんとした顔で言った。

彼女と一緒にいた金剛は信じられないといった顔で武蔵を睨む。

 

「それマジ……?」

 

「いや、お前も教えてなかったろ」

 

「う……そーだけど、私はてっきりアナタが伝えていたと思ってたカラ……」

 

「私もだ」

 

二人は気まずい沈黙を共有した後に無言で頷き合うと、やや緊張した面持ちで泣き声がする部屋へと続く扉を開けた。

 

「あら、いらっしゃい」

 

先ず素敵な笑顔で二人を迎えてくれたのは呑み屋と思しき室内に設けられたカウンターに立つ鳳翔だった。

彼女は入ってきた客人に直ぐに空いている席を案内して御通しの茄子の漬物を用意する。

 

「二人ともここに来るのは久しぶりですね。今日はどうされたんです?」【鳳翔改:レベル100】

 

「あ、その前にオーダーするワ。私、モスコミュール、武蔵はウイスキーのロックだっケ?」

 

「ああ、頼む」

 

「はい、畏まりました。ありがとね」

 

二人からのオーダーに鳳翔はお礼を言うと、直ぐに用意を始めた。

そして時間をかけることなく速やかにそれを二人が座るテーブルに置いたところで、トレイを胸に抱いて再び訊いた。

 

「それで、今日はどうしたの?」

 

「いや、そこの酔い潰れて奇妙な泣き声を出している奴に用があってな」

 

「あぁ……」

 

鳳翔は主な用件を知って何処と無く困った顔に笑みを浮かべて武蔵の視線の先に自分も目を合わせた。

そこには真っ赤な顔で酔い潰れて何やらウニャウニャ言っている足柄の姿があった。

 

「迷惑をかけて悪いな」

 

「いえいえ、武蔵さんが思っているよりもずっとあの子大人しいですよ」

 

「hm? でも酔い潰れちゃってるヨ?」

 

「ええ、確かに酔い過ぎてはいますが、しっかり私の言葉には反応しますし、あんな状態でもお代も払ってくれるし閉店を過ぎても居座るなんて事は絶対にしないんですよ?」

 

「へぇ……すっごく意外」

 

「酔ってはいるができる限り他人に迷惑をかけないように、という意識はあるんだな」

 

「ふぁーしょーさぁん……」【足柄改二:レベル152、運:72】

 

意外な事実に武蔵達が感心していると、まだ二人が来ていることに気付いていない足柄が拗ねた子供のような舌足らずな声で鳳翔を呼んだ。

鳳翔は武蔵達に「ごめんなさい」と一言断ると「はいはい、どうしたの?」とパタパタと足音を立てて直ぐに足柄の側に向かった。

足柄は鳳翔が来てくれると、急に立ち上がってカウンター越しに甘えるように彼女に抱きついて、その胸元に顔を埋めた。

 

「きゃっ、もう……どーしたのー?」

 

「ふぇぇぇ……」

 

鳳翔の胸に顔を埋める足柄は、彼女の優しい声に更に甘えるように両手で鳳翔の服の胸元を大きく開き、より露出した彼女の裸の胸に直に顔を埋める。

鳳翔はそんな足柄の行為に動揺した様子も咎める事もなく、ただ黙って自分に甘えてきた彼女の頭を優しく撫でてくれた。

 

「ぐす……。ていとく……まだ帰って来ないのぉ……」

 

「うん……そうだねぇ」

 

「わたしぃ……寂しくてぇ……」

 

「うん、寂しいねぇ……」

 

「っ、ぐす……鳳翔さん、ごめんえぇ……」

 

「いいのよぉ、今はこうして安心してください」

 

「ぐす……ありぁと……」

 

ひとしきり彼女の胸で泣きじゃくった足柄は程なくして静かに寝息を立て始める。

鳳翔はそれを確認すると、足柄を抱きしめながらそっと再び席に座らせてカウンターで優しく彼女を離してあげた。

 

「…………」

 

「…………」

 

武蔵と金剛はそんな鳳翔の様子に無意識に「ほぅ……」と溜息を漏らしながら惚れ惚れとした様子で眺めていた。

鳳翔は足柄の相手をして少し疲れたのか「ごめんなさい」と言って火照った身体を手団扇で扇ぎながら開けた胸元を直しつつ微笑む。

その仕草は堪らなく魅力的で、同じ女であるにも拘らず武蔵と金剛は完全に鳳翔の大人の色気に魅入られるのだった。

 

「なんというカ……相変わらず鳳翔はセクシーネ……。私、一瞬だけど間違いなく惚れてたワ」

 

未だに鳳翔の色香に当てられて顔を赤くした金剛が恥ずかしそうにそう言う傍らで武蔵も力強く頷いて言った。

 

「全くだ。いや、今の私は完全に惚れている。なぁ鳳翔、今晩は私と寝てくれないか?」

 

鳳翔はそんな武蔵の直球の誘いに気を悪くした様子もなく笑いながら答える。

 

「えぇ? ふふ、どうしましょう。私、求められるのは嫌いではないのですが、武蔵さんみたいにガッツリ来られるより足柄ちゃ……さんみたいに甘えてくる方が好きなんですよねぇ」

 

「む……では今宵の武蔵は存分に子供になろうではないか。鳳翔、私を好きにしてくれて良いぞ」

 

「いや、もうその時点で全然子供っぽくないし、甘えているようにも見えないカラ……。本当に武蔵は甘え下手ネェ」

 

金剛は鼻息荒く鳳翔を求める武蔵の様子に呆れ顔で手にとった自分の酒を啜る。

 

「ん、美味し……」

 

特に珍しくもないカクテルだがやはり此処で、鳳翔が入れてくれた酒はとても美味しく感じた。

惜しむらくは、未だにテーブルに置かれた酒のツマミが御通しの茄子の漬物だけだという事だ。

それも決して悪くはなかったが二人が頼んだ酒はどちらも洋風。

どうせならこの酒をより美味しく味わうためにもう少しマッチしたツマミが欲しい。

そう思った金剛は、迫る武蔵をかるくいなす鳳翔に追加の注文をした。

 

「鳳翔さん、おつまみ追加ネ。なんかピーナッツとか枝豆ぇ……でも良いケド、なんかこれに合うやつお願いしたいネ」

 

「はぁい」

 

「む、金剛邪魔をするな。私は今‥…え? お? ほ、鳳しょ……んむぅっ……」

 

金剛の注文に応えるべく鳳翔はしぶとく言い寄ろうとしていた武蔵に不意の口づけをして黙らせると小走りで厨房へと消えていった。

 

「ハァ~~~、鳳翔……流石ネェ~」

 

大人の色香を撒きに撒き、ついにはそれで圧倒的に力で勝る武蔵ですら無力化してしまった鳳翔の手腕に感心しきった声を出す金剛。

その言葉通り、彼女の向かい側に座っていた武蔵は鳳翔の先程の不意打ちによってすっかり言葉を失くし、まるで幻視でもしているように彼女が消えた空間をボーッとした顔で眺めているのだった。

 

鳳翔の抱擁によって安らかに眠る足柄、同じく彼女の魅力にやられて放心状態の武蔵、最後に真似したくてもなかなかできない彼女の立ち回りにすっかり感心する金剛。

恐ろしいことにこの時点で足柄に朗報を伝えるのが目的で此処に来たはずの二人は、すっかりその事を忘れてしまっていた。




ゲームとリアルの艦娘が合流するのはまだ先になりそうだから、閑話でいきなり合流後の話でも打ち込もうかなと思う今日この頃
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