「神崎アオイ。君はなにを望むのかい?」
「私……。私はっ!」
アオイは震える唇をぎゅっと噛み、胸元で両手を握る。大きく息を吐いた後、キュゥべえをじっと見つめる。
「私は。私の家族から大事なものを奪った鬼と闘う勇気が欲しい。私と同じように心挫けてしまった人の支えになりたい。そんな鬼と日夜闘う鬼滅隊の方々の力になりたい。突然鬼に日常を奪われる人達を助けてあげたい。ん?そもそも鬼のいない世の中にしたい!それと……」
「まってまって!アオイ。望みはひとつだって」
「……洗濯物を干すのに困らないようにお天気を操作したい。あと、からから煎餅たべたい……。えっ?!」
思いつく望みをつらつらあげ続けるアオイに、キュゥべえが待ったをかける。
「ちゃんといったろう?叶う望みはひとつだよ」
「あ、はい」
アオイは眉をよせ考え込む。
「あっ!じゃあ、百の願いにしてください!」
「アオイ。叶うのはひとつだよ」
「はい。叶う願いを百に増やすというひとつを叶えてくれれば結構です!」
「そういう願いは叶えられないよ」
「それ、聞いてませんよ?あとからそういうこというのは、おかしいですよね?」
「…………」
ご、ご指摘案件だー!
キュゥべえの表情は変わらなかったが、小さく震えた。
「ちょっと待ってもらってもいいかい?」
「ええ」
アオイの許可を得てキュゥべえは意識を肉体から切り離し、母星の管理者と相談をはじめる。
「ちゃんと事前に免責説明をしなかったのかい?」
「フロー通りの説明をしたつもりだよ。大体、聞かれなければ話さないフローじゃないか」
管理者キュゥべえからの問いかけに、キュゥべえは首を竦めた。
「やりとりがうまくなかったと思うよ。まず願いを絞らせてからにしないとだからね。まあフィードバックは後にしよう」
「そうだね」
「んー大抵の少女は、そういったずるは駄目で引きさがるんだけど。ちょっとためしてみてよ」
意識を戻したキュゥべえは、眉をよせ胸元にこぶしを握りるアオイに向き直る。
「とても申し訳ないのだけれど、その願いはずるになる。ずるは嫌だろう?」
「ずるとかの問題じゃないです。あなたが嘘をいったかどうかが問題です!」
「そうかい。ちょっと待ってもらっていいかい?」
キュゥべぇは再びまったをかけ、そのやり取りを聞いていた管理者に声を掛ける。
「いや。なかなかの堅物そうで難しそうだよ。温度感も高いしね」
「まあこういったケースがいままでなかったわけではないよ。重大インシデントにはなってしまうけれどQカード100で勘弁してもらおう。免責を伝えておいてね」
Qカード。願いの効果・効力を限定的にすることにより、数を増やすことができるようになるというものだ。
「アオイ、わかったよ。では願いを百にしよう」
「やった!」
「因果によって願いが叶わないこともあるといったね?願いを増やしたことにより因果が分散されてしまい、効果の減少が予想される。これはシステム的なものだから了承してほしい。また、これ以上願いを増やすこともできない。これでよけば契約するよ」
キュゥべぇは免責を並べ立て、アオイの出方を待ち受けた。
「わかりました。百の願いを叶えてもらうで契約します」
「クーリングオフはないけれど、問題ないかい?」
「はい。くぅっ!」
アオイの胸元から輝く光が浮かび上がった。
「受け取るといい。それが君の運命だ」
キュゥべぇが静かに告げる。
――こうしてアオイ☆マギカが幕を開けたのだった!
衝撃の問題作!業界バレバレネタ!