円環物語   作:ぶんた

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その9

「神崎アオイ。君はなにを望むのかい?」

「私……。私はっ!」

 

 アオイは震える唇をぎゅっと噛み、胸元で両手を握る。大きく息を吐いた後、キュゥべえをじっと見つめる。

 

「私は。私の家族から大事なものを奪った鬼と闘う勇気が欲しい。私と同じように心挫けてしまった人の支えになりたい。そんな鬼と日夜闘う鬼滅隊の方々の力になりたい。突然鬼に日常を奪われる人達を助けてあげたい。ん?そもそも鬼のいない世の中にしたい!それと……」

「まってまって!アオイ。望みはひとつだって」

「……洗濯物を干すのに困らないようにお天気を操作したい。あと、からから煎餅たべたい……。えっ?!」

 

 思いつく望みをつらつらあげ続けるアオイに、キュゥべえが待ったをかける。

 

「ちゃんといったろう?叶う望みはひとつだよ」

「あ、はい」

 

 アオイは眉をよせ考え込む。

 

「あっ!じゃあ、百の願いにしてください!」

「アオイ。叶うのはひとつだよ」

「はい。叶う願いを百に増やすというひとつを叶えてくれれば結構です!」

「そういう願いは叶えられないよ」

「それ、聞いてませんよ?あとからそういうこというのは、おかしいですよね?」

「…………」

 

 ご、ご指摘案件だー!

 キュゥべえの表情は変わらなかったが、小さく震えた。

 

「ちょっと待ってもらってもいいかい?」

「ええ」

 

 アオイの許可を得てキュゥべえは意識を肉体から切り離し、母星の管理者と相談をはじめる。

 

「ちゃんと事前に免責説明をしなかったのかい?」

「フロー通りの説明をしたつもりだよ。大体、聞かれなければ話さないフローじゃないか」

 

 管理者キュゥべえからの問いかけに、キュゥべえは首を竦めた。

 

「やりとりがうまくなかったと思うよ。まず願いを絞らせてからにしないとだからね。まあフィードバックは後にしよう」

「そうだね」

「んー大抵の少女は、そういったずるは駄目で引きさがるんだけど。ちょっとためしてみてよ」

 

 意識を戻したキュゥべえは、眉をよせ胸元にこぶしを握りるアオイに向き直る。

 

「とても申し訳ないのだけれど、その願いはずるになる。ずるは嫌だろう?」

「ずるとかの問題じゃないです。あなたが嘘をいったかどうかが問題です!」

「そうかい。ちょっと待ってもらっていいかい?」

 

 キュゥべぇは再びまったをかけ、そのやり取りを聞いていた管理者に声を掛ける。

 

「いや。なかなかの堅物そうで難しそうだよ。温度感も高いしね」

「まあこういったケースがいままでなかったわけではないよ。重大インシデントにはなってしまうけれどQカード100で勘弁してもらおう。免責を伝えておいてね」

 

 Qカード。願いの効果・効力を限定的にすることにより、数を増やすことができるようになるというものだ。

 

「アオイ、わかったよ。では願いを百にしよう」

「やった!」

「因果によって願いが叶わないこともあるといったね?願いを増やしたことにより因果が分散されてしまい、効果の減少が予想される。これはシステム的なものだから了承してほしい。また、これ以上願いを増やすこともできない。これでよけば契約するよ」

 

 キュゥべぇは免責を並べ立て、アオイの出方を待ち受けた。

 

「わかりました。百の願いを叶えてもらうで契約します」

「クーリングオフはないけれど、問題ないかい?」

「はい。くぅっ!」

 

 アオイの胸元から輝く光が浮かび上がった。

 

「受け取るといい。それが君の運命だ」

 

 キュゥべぇが静かに告げる。

 

 ――こうしてアオイ☆マギカが幕を開けたのだった!




 衝撃の問題作!業界バレバレネタ!
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