円環物語   作:ぶんた

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 ハイパーさやか編もとい、
 ふしぎキュゥべえ編もとい、
 気だるいほむら編の続きとなります


その16

 キュゥべえは数人の魔法少女の様子を見まわった後、いつものようにほむら宅に入り込んでいた。

 夕刻に近い時間ではあるが、すっかり日も伸びている。曇天の空だが、まだまだ明るい。窓からの弱い光が、薄暗い部屋に差し込んでいる。

 ほむらはその窓際のソファの背に、だらりと身を預け、窓の外を眺めていた。

 キュゥべえは赤い目を瞬かせ暫しほむらを観察するものの、ほむらに動きはなく。

 キュゥべえは、ゆっくりほむらに近寄った。

 

「やあ、ほむら。今日は買い物にいくと、いっていたと思ったけれど?」

「あら、キュゥべえ。その予定だったのだけれど、雨が降っているのよ」

 

 ほむらは窓の外へ視線を向けたまま答えた。

 

「とても弱い雨だよ。降ってない時もあるようだ」

「そうね。それでもその中を、わざわざ出かけたくはないわ」

「ろくに食べ物がないじゃないか。わざわざ出かける必要はありそうだけど?」

「問題ないわ」

 

 ほむらのいつもの無気力な様子に、キュゥべえは目を瞬かせる。

 

「これから日本は梅雨の時期だろう?まったく。その調子では、思いやられるね」

 

 キュゥべえの呆れたような言葉に、ほむらは首を傾げた。

 

「そうね。天気がよければいいのだけれど。キュゥべえ、協力してくれる?」

「天気のことで、ぼくが手助けできることはないと思うけど?」

「そんなことないわ!」

「!!」

 

 ほむらは、がばりと起き上がり、とても楽しそうに微笑みながらキュゥべえに視線を向け。

 

「今、紐を持ってくるわね!」

 

 いそいそと部屋の中を物色しだすほむらに、キュゥべえは目を瞬かせた。

 

「天候回復と紐の関係がよくわからないのだけれど」

「てるてる坊主を吊るすのに必要でしょ?」

 

 ほむらは当たり前のことを聞くなとばかりに言い放ちつつ、がさごそと紐を捜し続ける。

 

「てるてる坊主ね。それは知っているけれど……」

 

 キュゥべえは嫌な予感を感じつつ身構えた。

 

「……ぼくを吊るしても、意味はないと思うよ?」

「意味はあるわ。てるてる坊主なのだもの」

 

 やはり。身の危険を感じつつキュゥべえは、じりじりとほむらから距離を取る。

 

「だいたい、てるてる坊主の効果だって眉唾ものだろう?」

「そうね。でも、あなたがてるてる坊主なら意味はあるわ」

「……?」

「すくなくとも、私のココロは晴れるもの」

 

 探し当てたビニール紐を手に、ほむらはにっこりと微笑んだ。

 

「……いや、そんな得意げな顔されても、ちっともいいこといってないよ?」

「それにてるてる坊主は、中国の掃晴娘(さおちんにゃん)が起源だそうよ?あなたにピッタリよね?」

「なにがぴったりか、わけがわからないよ。よくもまぁそんな嘘っぱちをすらすらいえるものだね」

「あら?私はインディアンなのよ?嘘はいわないわ」

「だから!それ!」

 

 紐を持ちにじりよるほむらとキュゥべえは、睨みあう。

 

「ちょっと待って!」

 

 暫しそうしていた後。キュゥべえが声を上げた。

 

「?」

「どうやら雨は止んでいるよ?」

 

 ほむらがキュゥべえの視線の先、窓の外に目を向ける。その先には、雨の止んだ雲の合間から陽光が差し、ほのかに虹が浮かんでいたのだった。

 

 ……儚げに美しい虹は、なんだかとても彼女らしくて。

 

「…………」

 

 静かに虹を見つめ涙を滲ませるほむらを、キュゥべえは暫し見つめた後。

 

「ほらほら、折角じゃないか、買い物にいったほうがよくないかい?」

 

 キュゥべえは、ほむらをたき付けた。

 

「ん、そうね。キュゥべえ、今晩は何にしようかしら?」

「そうだね。カレーがいいんじゃないかな?」

 

 いそいそと買い物の準備をするほむらに、キュゥべえが答える。

 

「ええっ?あなた、カレー好きねぇ。あんまりそんなだと、黄色くなるんじゃない?」

「……まあね」

 

 クスクス笑うほむらに、キュゥべえは首を竦める。

 ほむらでも簡単に調理可能。栄養があり、数日ストックとして残る。具材が変われば飽きも来ず、ライス・麺・スープとアレンジ可能という。キュゥべえ的には無敵のほむらのエサ一択のレシピなのだった。

 

「しかたないわね。何カレーにするかは、おいおい決めましょうか」

 

 キュゥべえの思惑を知ってか知らずか、ほむらは楽しそうにエコバックを手に取り、ドアを開けたのだった。




 近年、ゲリラ豪雨ばっかで梅雨っぽくないかも
 今年はどうかもですねー?
 いろいろたいへんですけど、がんばりませう!

 →嘘つかないのは、インディアンだよ?ってご指摘
  ええっ!修正しました……。
  
  
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