円環物語   作:ぶんた

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 とてれんてんてれてれてんててん。とてれんてんてててとてん!



その17。下

「あれが『トリャーガの塔』……」

 

 目の前にそびえる巨大な塔。その周りにあるベースとなる街にキリト、アスナ、ユイは降り立った。

 

「うふふ。やっぱり、わくわくするね!」

「ああ」

 

 新しいゲームをはじめる高揚感に、アスナとユイは満面の笑みだ。キリトはそんな二人が愛おしい。

 

「ユイちゃん!」

 

 掛けられた声に振り向けば、ユイと同じ、小さな妖精の女の子だった。

 

「まどかちゃん!」

 

 二人は手をつなぎ、空中でくるくると出会いを喜び合っている。

 キリトとアスナはそんな二人をほっこりと眺めていた。

 

「まどかちゃん!こちらが私のパパとママ!」

「はじめまして。私、まどかっていいます。よろしくおねがいします!」

「はじめまして。よろしくな」

「よろしくね」

「ええと。あっちのゆっくりできる場所にいきましょう」

 

 にこにことご機嫌なまどかが、ふわふわと先頭に飛ぶ。

 

「君は……」

「あ。ごめんなさい。私、ここではいろいろ制限があって、こんな感じでお話しすることしかできないんです」

「へー」

 

 すまなそうに全身力無く萎れるまどかに、キリトとアスナは視線を合わせる。

 

「でも君はユイの友達なんだろ?全然問題ないよ」

 

 キリトとアスナ、二人の微笑みに、まどかは目を見開く。

 

「ありがとうございます!」

 

 感極まって頭を下げるまどかにユイが抱き着き、二人はその様を優しく見つめるのであった。

 

 

 

*****

 

 

 

「キリトくん!さやかちゃん!スイッチ!」

「おう!」「はい!」

 

 アスナの絶妙なトスを受け、キリトとさやか答える。

 

「「スターバースト・ストリーム!」」

 

 キリトとさやかは、巨大な黒い竜を挟む形で必殺の連撃を叩きこむ!

 

「!!!!!」

 

 声にならない悲鳴が響き、階層主は息絶えた!

 

「やったー!」

 

 階層主撃破に、プレイヤー全員が歓声を上げる!

 

 

 

*****

 

 

 

「やばい、やばいよ」

「なんなの?あれ、なんなの?」

「チート?円環様の影響?」

「いや。変な干渉はあるけど、ルール通りだよ。あれらが規格外すぎる!」

 

 『トリャーガの塔』を管理する十人の魔法少女達、通称《十賢者》は顔を伏せていた。

 

 事の始まりは、妖精を連れた黒髪と栗色の二人の魔法少女。

 二人は参加するプレイヤーができるかを把握し、どう鍛えればいいか?どう闘うべきかを指導していく……。

 

 そうして。

 無理ゲーと名高い『トリャーガの塔』は、ぐんぐん踏破されているのだった!

 

「もう七十階層だよ?やばいって!」

「わかってるよ。でも、あんなのどうしようもないじゃん?」

 

 管理者として難題を出す立場ではある。だが、ただの無理難題では駄目なのだ。かつてプレイヤーであった彼女らの理想は高い。

 トライアンドエラーの果ての小さな手がかりから導き出される攻略法。その道のりが困難なほど、達成感は大きいはず!

 自分達が課する高難易度のハードルをクリアされるのは、ぞくぞくする嬉しさもあるのだった!

 

「……拡張エリアを準備するしかない」

「!!」

 

 開発筆頭の魔法少女の宣言に、戦慄が走った!

 

「正直私達だけじゃあれは無理。別特区のマスターと話はつけてるわ。協力してもらって特区をリンク。『トリャーガの塔』を中心に『ファイテン・ファンタジー』(略してFF)という世界を構築。まずは『エルリック地下大墳墓』を追加パックアップとして、追加シナリオ『ノウアスフィの開墾』を展開するわよ?」

「!!!!」

 

 筆頭の宣言に、管理者達は息を呑む!

 

「な、なに?そのデスマーチ……」

「ううう。円環されたのに、ブラックすぎる!?」

「泣くな!泣くのは死んでからにしろ!」

「死んでますー!」

 

 かつて魔法少女だった管理者達が、阿鼻叫喚の悲鳴を上げた!

 

 

 

*****

 

 

 

 こうして……。特区領域は、謎のリンクで急拡大することになる。

 

 まどかは干渉できないからと、挨拶以降積極的に接触しなかった。そのため、気づけなかったのだ。

 

「んーん?」

 

 大きなあくびをして微睡むまどかが仰天するのは、すこし先のお話。




 もろもろ参戦して、カルテットな惨状になるのかもしれません(笑)

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