「なれません!あなたは絶対に助六にはなれません!」
「!!!!」
叩きつけられた死刑宣告に、幼女は逃げる事しかできなかった。
憧れていた夢が粉々に砕ける音。自分の全てを否定された気がした。それがただただ悲しかった。涙が零れ落ちた。
泣きながら家へと走る。
「……あれ?」
無我夢中に走っていた幼女は違和感に足を止め、周りを見回す。
不安を掻き立てる赤と黒。どろどろとした空を背にそそり立つ巨大な四角い門。
いつの間にか美術の教科書で見た絵画のような風景になっていたのだ。
そして。
幼女はゆっくりと蠢く多くの人影が、自分に害をなそうと近寄ってきているであろうことを本能的に感じ取った。
「!!」
幼女は恐怖のあまり動くこともできない。見開いた目からぼろぼろと涙を流し、震える唇を噛む。
――なれません!あなたは助六にはなれません!
頭に響く声。幼女はぎゅっとこぶしを握り締めた。そして大きく息を吸った後、大きく口を開き。
「あんたたちになんか、まけない!助六になるわたしは!あんたたちなんかより、ずっとつよいんだから!」
幼女は押しつぶそうとする悪意に向かって、精一杯の啖呵を切った!
「よくいった!あとは助六にまかせなよ」
ふわり。
次の瞬間。青いショートカットに青い衣装。そして白いマントを靡かせた少女が幼女を庇うように降り立ち、そして幼女ににっこりと微笑んだのだった。
「すけろく?」
「あー、うーん。それ、ちょっと複雑だけど、なにかの縁かもね?」
自分を見つめる幼女に、友人とのやりとりを思いだしていた。
――えっと、なんで私が『助六』なわけ?
――なんでだろうね?
――で、『助六』ってなに?
――さあ?でも六回も助けるって書くんだよ?仏様でも三回なのに、すっごいよ!いつも私を助けてくれるんだもん。ピッタリだよ!
幼馴染みのフォローの言葉に、少女はおもわず苦笑い。
「おねえちゃんはぜんぜん助六じゃないよ?」
「やっぱりー?残念!ともかくー。ちゃっちゃっと終わらせちゃいますよー!」
青い少女は首を傾げる幼女に、決め顔でウィンクしてみせた。
*****
「起きて?遅刻するよ?」
「ん?んー」
ルームメイトの声に、ぼさぼさ頭の少女は眼を擦った。
「……あなたはあの時の……?」
「いいえ違うわ。残念だけど、違うと思う」
「そう……。そうですね」
同じ青いショートカット。でも、あの人はもっと……。
少女は目を閉じる。
なにせ幼いころの記憶。あれだけ衝撃的なことをいわれた後のことだ。とても記憶は曖昧で……。
お化けに囲まれて怖かったあの時。そのひとは颯爽と現れた!
青い衣装に片手剣。白いマントを靡かせて、迫りくる敵をバッタバッタとなぎ倒し!
爆発する凱旋門を背に、マントを翻すその姿はそれはそれはもう恰好よくて!
……あれれ?
少女は寝ぼけ眼で首を傾げた。
オスカル様が凱旋門を襲撃?バスチーユでなく?金髪ではなく青髪?そもそも女の子だった気も……。
――あんたに
思い出される明るくおどけた声。私を安心させようとしてくれたのだろうか。
とにかくあの時。私を助けてくれたのは助六でもオスカル様でもなく、優しく微笑むあのひとは……。
「どうしたの?」
「ええと、へんなゆめをみまして……」
「ぼうっとしてないで。いそいで」
起伏の少ない声だけれど、ルームメイトがかなり焦っているのがわかる。実際時計の針は信じたくないほどのギリギリの時刻を指していて。
――いい?ひとりの落ち度は全体責任よ?
可愛い顔で、えげつないことをにっこりという先輩の顔が浮かぶ。
少女は事態の深刻さを思い、目を見開いた!
「はい!い、いそぎます!」
少女はルームメイトに続き、バタバタと部屋を出ていくのであった
『かげきしょうじょ‼』とのクロスです。
知らない人でも楽しめるようにと書いてはいるのですがどうでしょう?
感想おまちしてます
→『かげきしょうじょ‼』が面白すぎて……;ぽろっと。
後悔はしていない!
さやか=助六はおもろネタなんですけれど絡めてみました。つか、絡まった?
→「ローミオッ!」
心の中で一人ティボルトごっこがマイブーム。オススメです。
→ずーん。後悔しました……。かなり手直し;
→さやか=助六ネタは、アッチでやろと思っていたんですけどねー。
→んん?紅華乙女って、全員キュゥべえロックオン!でもおかしくなくないない……?! それはまたのお話しで……。
→誤字修正のついでにいじくりまわしてました!おかしい。誤字なくならない……。